大会1日目、力発揮ならずフリープログラムでの巻き返しを誓う

フィギュアスケート

 全日本選手権(全日本)の出場権を懸けた大会である東日本選手権(東日本)が群馬県総合スポーツセンターアイスアリーナで行われた。早大からは、昨年の全日本を経験した松嶋那奈(スポ2=東京・駒場学園)、ルーキー山野井英未(国教1=千葉・渋谷教育幕張)の二人が登場。それぞれ課題が残る演技内容になったものの、ショートプログラムを松嶋が6位、山野井が21位で終え、フリープログラムへの出場権を獲得した。

 女子ショートプログラムのトップバッターを務めた松嶋。ジャンプの不調から抜け出せない中迎えた大会であったが、冒頭のダブルアクセルを始め、コンビネーションジャンプも大過失なく決めていく。その後は『アメージンググレース』の旋律に乗せステップを丁寧に踏み、最後は笑顔で観客の声援に応えた。今大会の上位4人しか出場権が与えられない全日本。「全日本に行きたい気持ちもあるのですが、最後は楽しんで滑れたらいいと思います」(松嶋)。全日本出場にはフリープロフラムでの巻き返しが必須となってくる。しかしそれ以上に本人が納得のいく演技を行い、ビックスマイルが見られることを一番に期待したい。

得意のステップと笑顔を見せた松嶋

 「いつもジャンプに気を取られ、得意の踊りを見せられなかった」という山野井は今大会は『自分を出すこと』を目標に臨んだ。大きな得点源であった最初のコンビネーションジャンプは失敗し、無得点になってしまう。しかしすぐに気持ちを切り換え、緩急のある音楽に合わせたステップで観客を引き込んでいく。最後はビールマンスピンで見るものを魅了した。

大人っぽく伸びのある演技を披露した山野井

 両者共にジャンプに苦しんだショートプログラム。そのような状況の中でも「笑顔で滑ることが目標」(松嶋)、「お客さんを楽しませられるように全力で踊りたい」(山野井)と語る二人からは、スケーターとしてのプロ意識の高さが伺われた。勝負はまだ終わっていない。2日後のフリープログラムに向けて早大の二枚看板はさらに上にいくことを目指す。

(記事 中村ちひろ、写真 井上莉沙)

結果

松嶋那奈 6位(45.74点)

山野井英未 21位(35.15点)

コメント

松嶋那奈(スポ2=東京・駒場学園)

――前回の大会から2週間空きましたが、今回に向けて取り組んできたことはありますか

ジャンプの調子が全然良くなかったので、ジャンプを調整しようと思ったのですが、うまくいかなくて、そのまま東日本を迎えてしまったので、とりあえず笑顔で滑ることを目標にしてきました。

――第1滑走でしたが、どんな心境で臨まれましたか

最初1番を引いた時には驚いたのですが、誰の演技も気にせず自分の演技に集中できるなと思いました。

――『アメイジンググレース』と紫の衣装に思い入れなどはありましたか

先生が決めてくれたので、特に何も思わなかったのですが、初めて見た時はすごい綺麗だなと思いました。

――ジャンプの出来はいかがでしたか

6分間練習を見て分かると思うのですが、全然調子が上がらないままで、ちょっとは不満もあったのですが、今まで練習してきたので自分ならできると信じて、思い切って飛びました。

――武器である3回転トーループ-3回転トーループのコンビネーションジャンプはいかがでしたか

2個目はやはり足りないなと思ったので、フリーでもし滑れたら、思い切って滑りたいなと思います。

――フリーに向けた意気込みを聞かせてください

全日本に行きたい気持ちもあるのですが、4枠という少ない中なので、最後は楽しんで滑れたらいいと思います。

山野井英未(国教1=千葉・渋谷教育幕張)

――東インカレからこの試合までどういった調整を進めてきましたか

ジャンプが前回の試合で回転不足ばっかりだったので、回転が足りることとジャンプにキレをつけることを重点的に練習してきました。

――きょうの試合前のコンディションはいかがでしたか

あまり緊張していなくて。むしろ調子がすごく上がっていたので、楽しんで思いっきりやれば上手くいくのではないかなと思っていました。

――この大会での具体的な目標はありましたか

ジャンプの回転不足は点に繋がらないので、3回転ジャンプで回転が足りるようにすることです。あまり順位は気にしていなくて、点数を前回よりは上げることを目標にしていました。

――演技全体を振り返っていかがですか

1個目にいきなりジャンプが抜けて、点数が大きいところが0点になってしまい、そこでやってしまったと思いました。でも今回自分でも宣言していたのですが、お客さんを楽しませられるように踊ることが本当に目標だったので、それだけを考えて全力でぶつかる感じで楽しくできました。

――その後のジャンプについてはいかがでしたか

あまり力みませんでしたし、転んだとしても悔いが残らないようにしようと思って思いっきり跳びました。

――表現面についてはいかがですか

いつもジャンプに気を取られて緊張してしまい、あまり得意な踊りを見せられなかったので、きょうはジャンプを気にせず自分を全部出すことを目指していました。自分的にはすごくエンジョイできました。

――ショートの曲「黒い瞳」を選曲した理由は

結構有名で、定番の曲なのですが色気がある曲を選んでみたかったからです。大人っぽい振り付けで作ってもらいました。

――衣装もそのようなイメージなのですか

そうですね。「黒い瞳」だから黒い衣装かなと最初思ったのですが、人と被らないように緑の衣装にしてみました。

――今後はどういうイメージを持ってこの曲を滑り込んでいきたいですか

思いっきり踊ることはできるようになってきたので、あとはジャンプを3本きちんと決めて高得点を取れるように頑張っていきたいです。

――フリーではどういう演技をしていきたいですか

フリーもショートと同じくジャンプの回転がちゃんと足りてきちんと点がもらえるように、あとは失敗を恐れずに思いきって挑戦したいです。

――あさってのフリーへの意気込みをお願いします

せっかくフリーに残ることができたので、そのことに感謝しながら自分を全開に出していきたいです。