フィギュアスケートシーズンの幕開けとなる東日本学生選手権が行われた。この大会は日本学生氷上競技選手権(インカレ)の予選も兼ねており、どの選手も気合十分で臨む。1日目はワセダから4名が出場し、うち女子Bクラスから木村遥香(文1=群馬・中央中教校)と土橋美菜海(国教1=ドイツ・インターナショナルスクールオブデュッセルドルフ)がインカレへの切符を手にした。
木村は第4グループでの滑走。公式戦で初めて使用したという『千日の約束』のメロディーに乗り、優雅な演技を披露した。序盤から高さのあるジャンプを決め、中盤のステップでも滑らかな動きで観客を魅了する。ジャンプでよろけるミスが1度あったもののそれ以外に目立った失敗はなく、50.71点で7位に入った。
笑顔で演技する木村
最終グループの土橋は、赤と黒の鮮やかな衣装でリンクに上がった。曲はコスチュームに合わせて選んだという『マスク・オブ・ゾロ』。「きょうの目標だった」と語る2つのダブルアクセルでは、1つめで失敗したものの2つめは難なく着氷。スピード感のあるプログラムの中でもレイバックスピンなどではしなやかさを見せるなど、緩急をつけた演技で見事52.30点を獲得し、4位となった。9月入学の土橋は、ワセダとして試合に出るのはこれが初めて。緊張もあったが、「部のみんなが応援してくれて励みになり、すごく楽しい試合でした」と振り返り、幸先のいいスタートを切った。
デビュー戦で魅せた土橋
同じく女子Bクラスにエントリーした古橋遥南(政経1=東京・早実)は、プレッシャーにより普段通りの演技ができず、ジャンプでのミスも響いて得点を伸ばせない。41.40点で22位となり、本戦進出はならなかった。女子Cクラスの熊田のぞみ主将(文構4=神奈川総合)は、全てのジャンプを決めたもののスピンが評価されず、18.72点で17位。課題が残る試合となった。
ことしは6人の1年生を迎え、今大会でもルーキーたちの活躍が光った。個人競技ながら、「みんながワセダのジャージーを着ていたり旗を持っていたりという声援もすごくうれしかったです」(熊田)と、仲間同士で励まし合う温かい雰囲気も感じられる。きょねんより部員が増えた分、練習では切磋琢磨(せっさたくま)し、本番では互いを応援しながら、チーム全体で成長していってほしい。
(記事 又坂美紀子、写真 目良夕貴、中澤佑輔)
結果
▽女子Cクラス
熊田のぞみ 17位(18.72点)
▽女子Bクラス
土橋美菜海 4位(52.30点)
木村遥香 7位(50・71点)
古橋遥南 22位(41.40点)
コメント
熊田のぞみ主将(文構4=神奈川総合)
――きょうの演技を振り返っていかがでしたか
ジャンプはとりあえず全部降りたのですが、スピンは、自分では認めてもらえるかなと思ったのですが全部ノーバリューになってしまって、振り返ってみればまだまだ全然実力が足りなかったなという思いがあります。しかし、いま自分でできることは全部やったと思うし、それでこういう結果になってしまったとしてもあまり後悔はないので、その点よくやれたかなというふうに思っています。
――使用した曲について教えてください
曲名は『ワルツファイブ』です。いま滑っているのは2分半なのですが、1分のときからずっとこの曲を使っていたので、もうきょうでこれも最後だという気持ちで滑りました。
――直前の練習では何度もジャンプを確認されていましたが、ジャンプに課題意識などはあったのですか
ホームリンクの高田馬場のシチズン(プラザアイススケートリンク)だと毎回どのジャンプも降りられるのですが、このリンクの氷が少し硬くてなかなか思うように決まらなかったので、ジャンプだけはしっかりやりたいなと思っていました。
――氷が硬いとジャンプが飛びにくいのですか
そうですね。抜けてしまったり、スピードがすごく吸収されて出ないので、飛ぶ前にスピードがなくなってしまったりすることが何回かありました。
――練習直後の滑走順でしたが、緊張などはありましたか
ありました。(練習の後)一番ということがいままでなくて驚いたのですが、振り返ってみれば、体が動いた状態で温まったまま誰の演技も見ずにできたので、良かったかなとはいま思います。
――ことしは主将となりましたが、意識は変わりましたか
いままで上についていくだけだったので、自分から何かを考えたり人を集めたりすることがあまりなかったですし、きょねんまではまだ人数も少なかったので割とこじんまりとしていたのですが、ことしは10人を超えたので、リンクサイドに並んだときの感じが部活になったなという感じがして、それがすごくうれしかったです。
――きょうの演技では、表現面に関してはいかがですか
表現は、陸上だったらもっと手も動かせたしもっと表情も付けられたなという思いがあるのですが、やはり緊張してしまって足に精一杯になってしまったので、そうするとどうしても手が上半身まで回らなかったなという反省点があります。それは練習のときからずっとコーチにも言われていたので、やはりもっと足を鍛えて、上半身に気が回るようにしなければならないなと思います。
――技術的な課題はスピンですか
そうですね。やはりいままでどうしてもジャンプに重きを置きがちだったし、ジャンプが目に見えて派手な要素ではあるのですが、ダブルジャンプを飛ぶわけではないためCクラスだと実はスピンの方が配点が高かったりするので、そこで1つでも取れていれば上位にいけたのになという思いはあります。スピンを練習しなければならないなと思います。
――主将として、早大のチーム全体を振り返っていかがでしたか
朝早くから夜遅くまで時間がばらばらになってしまったのですが、それでもきょう演技がない部員やあした演技を控えている部員もみんな応援に来てくれたので、それは本当にすごくうれしかったです。あとはやはりみんなでリンクサイドに並んで、みんながワセダのジャージを着ていたり旗を持っていたりという声援もすごくうれしかったですし、今回私は予選落ちという結果になってしまったのですが、そのときに笑顔で迎えてくれる部員がいたので、きょう本当にワセダで良かったなと思いました。
――今後や秋季関東学生交流戦(交流戦)に向けての意気込みをお願いします
交流戦まであと2週間しかないのですが、とりあえずはいまできることをして、あとはスピンを重点的に練習して、今度は一つでも決まるようにしたいなと思っています。まだ定かではないのですが、もしかしたらこの2週間で曲を変えて新しいプログラムにするかもしれないので、変えても変えなくてもきちんと滑り込んで本番に臨めるようにしたいなと思っています。
木村遥香(文1=群馬・中央中教校)
――きょうの演技に用いた曲名を教えてください
『千日の約束』という曲です。
――その曲を選んだ理由は何ですか
公式戦で初めてこの曲を使いました。聞いたときにメロディーがすごくいいなと思って、この秋に振り付けをしてもらいました。プログラムを変えたら点数がぐぐっと上がって。きょうは攻めていくよりは守りなかんじだったので心配だったんですけど、でも思ったよりできてほっとしています。
――曲との相性が良かったということでしょうか
それもあるんですけど、やっぱり振り付けが良かったのかなと思います。
――素人目に見て、大きなミスもなかったように思います。きょうの演技を振り返っていかがでしょうか
1つミスをしてしまったのですが、それがすごく悔しいです。できるものしか演技に入れてなかったので、逆にそのミスが悔しいですね。
――きょうの演技に点数をつけるなら何点でしょうか
うーん、70点ですね。
――個人競技ですが、ワセダのジャージーを着て互いに応援されていました。ワセダのチームとして、振り返っていかがでしょうか
大学に入ってからの大会は2回目で、1回目は緊張しちゃったんですけど、だんだん部員ともすごく仲良くなれたし、仲間みたいなかんじで、やっぱりすごく楽しいなと。支えられてるなと感じて、すごく楽しく演技できます。
――7位という結果はどのように感じていますか
私としては満足ですね。あの演技で7位だったらすごいかなと思います。
――日本学生選手権出場が決まりました。意気込みをお願いします
この大会も校内選考があって出させてもらった大会で成績を残せたので、次もワセダの名に恥じないように、ワセダで団体優勝狙って頑張ります。
土橋美菜海(国教1=ドイツ・インターナショナルスクールオブデュッセルドルフ)
――インカレ出場おめでとうございます
ありがとうございます。
――学部と出身高校を教えてください
国際教養学部です。ドイツに住んでいて今年の6月に日本に帰ってきて9月に入学しました。
――今回使用している曲名は
『マスク・オブ・ゾロ』という映画の曲です。
――その曲を選んだ理由は
その映画を実際に見たというのもあるのですが、きょう着たコスチュームが元々あって、それに合う曲という形で選びました。
――衣装のポイントは
スカートのボリュームですね。ジャンプは跳びにくいかなというところはあるのですが、インパクトがあるのでそこがポイントですね。
――この試合に向けて重点的に練習してきたことはありますか
日本に来て新しい先生で新しい環境の元で、全日本インカレ出場という目標に向かって大学の慣れないスケジュールの中でなるべく練習に参加してできるだけ曲をかけて練習しました。
――表現面についてきょうの演技を振り返ってみていかがですか
いつも試合の時は練習以上に踊ろうとか表情を豊かにしようと心がけているのですが、やっぱり緊張してしまって表情もこわばったり、失敗のあとは笑顔がつけられなかったりしたので、そういうところが次の課題かなと思っています。
――技術面についてはいかがですか
ダブルアクセルを2つ入れるのがきょうの目標だったのですが、最初のアクセルは失敗してしまい悔しいので次の大会では2つダブルアクセルがきちんと入れられるように頑張ります。
――ワセダとして出場した最初の試合でしたが緊張はしましたか
それもあるし、日本での久しぶりの試合だったのでそれも緊張した原因でもあるのですが、大学として出たのはすごく楽しくて、部のみんなが応援してくれて励みになりすごく楽しい試合でした。
――今回4位という結果を受けてのお気持ちを聞かせてください
自分の中では失敗が多かったので4位になれたのは驚きましたし嬉しいのでこれをバネにして全日本インカレに向けてしっかり練習を頑張っていこうと思います。
――最後に次の試合である交流戦への意気込みをお願いします
ジャンプをもっと確実にすることを重点に置いて、あとは全日本インカレに行くまでの試合なので緊張とかも慣れることができたらいいなと思います。
古橋遥南(政経1=東京・早実)
――きょうの試合を振り返って
ボロボロで…。最初にジャンプで失敗してしまって、それで引きずっちゃって全然練習通りの演技ができなくて。それから緊張もしてしまって、足が震えて全然動かなかったので、本当に反省点がいっぱいありました。
――演技に使用した曲名を教えてください
『イタリア』という曲です。
――その曲に対する思い入れは何かありますか
1回、高校生のときにスケートをやめていて、その前から使っていた曲なので、ずっと使っています。
――きょうまで重点的に練習してきたことは何ですか
ジャンプをプログラムのときに失敗しないで入れるように意識していたんですけど、全然本番で入らなかったので、これからちょっと頑張って練習していきたいと思います。
――技術面での課題はジャンプということですか
そうですね。あとスピンも、もうちょっと本番で入るように、練習したいなと思います。
――表現面での課題は何かありますか
今だとジャンプとかスピンばかりに気が向いてしまって、他のことをあまり気を付けられていないので、スケーティングとかステップとかもこれからしっかり余裕を持ってできるようにしたいと思います。
――最後に、今シーズン通しての目標を1つ挙げるなら何ですか
緊張する癖を直すっていうのと、本番に強くなれるようにして、練習通りの演技を本番でもできるようにしたいと思います。