【ラグビー】京産大Aに勝利 勝って兜の緒を締めよ

ラグビー男子

夏季オープン戦 8月26日 対京産大A アンダーアーマー菅平サニアパーク

 今年も菅平の夏が終わる。選手たちは様々な思いを胸に、21泊22日に及ぶ鍛錬に臨んできた。最後の山場は京産大A、多数の外国人選手を中心に圧倒的な力強さとスクラムを武器とする春の関西王者。合宿終盤、心身ともに疲弊していることは百も承知。そんな中、コリジョンバトルで京産大Aに勝ち切ることは、シンプルな結果以上に大きな自信を早大Aに与える。東西で春を制した龍虎が菅平・サニアパークメイングラウンドで相まみえた。前半3分、FB吉廻温真(スポ1=早稲⽥佐賀)が先制トライを挙げると、5分にサインプレーからWTB鈴⽊寛⼤(スポ4=岡⼭・倉敷)が追加点。モールでも1トライを押し込み、順調に思えた前半だったが2連続の被トライで点差は3点、試合はシーソーゲームに。そこから立て直し、2トライを追加した早大Aが29ー14とリードを保ったままセカンドハーフを迎える。後半はBK陣のスキルの高さが顕著に、場面を選ばずに顔を見せた。SO服部亮太(スポ3=佐賀⼯)のロングキックパスで後半も先制した早大A。鈴木が今試合ハットトリックで確かな決定力をアピールすれば、CTB島⽥隼成(スポ3=福岡・修猷館)や吉廻はハイパント処理の上手さで魅せる。リザーブメンバーもそれぞれの色で自らの実力を遺憾無く発揮したが、各所での規律が維持できず失点は重なった。それでもモール、BKのユニークな攻撃の数々で終始リードを守り続けた早大Aが53ー35で今夏を勝利で締めくくった。

ラインブレイクをするSO服部

 早大Aのキックオフでゲームが始まった。試合序盤、早大AはLO笹部隆毅(スポ1=神奈川・東海⼤相模)ら長身FWが安定のラインアウトを見せる。今試合序盤は、ハーフ団が細かくブレイクダウンを作りフェーズアタックを重ねた。笹部が服部とクロス、インコースに走り込みヒット。ディフェンスラインを押し下げると相手ディフェンスの意識はグラウンド中央へ。その隙に空いた左外に待ち構えた鈴木に服部からのキックパス。ゲインを何度も重ねプレッシャーをかけ続けた早大Aは早速ペナルティーを獲得、敵陣ゴール前でラインアウトのチャンスが来た。モールを相手FWに割られるが、マイボールをキープ、逆サイドのディフェンスギャップを確認したSH⼤賀雅仁(スポ4=神奈川・桐蔭学園)が大きく飛ばしパスを放る。島田に繋ぎ、走り込んできた吉廻へ渡すと一気にトライラインを駆け抜けた。中央にグラウンディングし、開始3分で先制トライ。その後も細かいフェーズアタックの中で、ラックには2人までのサポートを徹底し数的優位を常に作りながら隙をうかがう早大A。FWも確実なゲインを獲得するが決して無理をしない。相手ディフェンスが揃う前に裁かれたボールは9シェイプの裏にポジショニングしていた服部へ。デコイの裏を通しボールは島田が受け取った。パスダミーから半歩前に出て相手の裏を通す技ありパス、最後は鈴木が走りきって追いついてきた相手FWを引きずりながら追加点を叩き込んだ。早大BKの非常に完成度の高いサインプレーと、随所での判断は今合宿を通して確実に成長している。11分、フェアキャッチから服部の巧みなコントロールと圧倒的な飛距離で50:22を獲得した早大A。これまでのラグビーにおけるエリアマネジメントを一気に覆す彼の右足は、高地の菅平で最もその真価を発揮する。しかしその後はノットストレート、アーリーエンゲージとミスが続きセットプレーが安定しない。すぐさま修正を図った早大Aは16分、今合宿全カテゴリーを通し攻守において高い完成度を見せているモールから清水が落ち着いてインゴールに滑り込みトライ。キックは外れ17ー0と京産大Aを突き放す。このままリードを保ちたかったが20分、自陣での相手ラインアウトから強烈なFW陣にディフェンスラインを押し込まれる。相手BKの連携から虚をつかれミスマッチから反撃の7点を許してしまう。自陣でのプレー時間が短いだけに痛い失点となった。そのまま試合の流れは京産大Aへ。26分、カウンターラックから相手にボールが渡ると大きく右外へ振られ50メートル以上の後退を余儀なくされる。WTB⻄浦岳優(社3=東福岡)のナイスタックルを起点に防御線を持ち直すが、22メートルエリア内でオフサイドを2回犯してしまい相手にペナルティーを献上。そこから連続で2本目のトライを与えてしまい17ー14とリードは3点まで縮まった。勢いに乗る京産大Aを沈黙させたのはアタックラインを司る服部。29分、逆足の一振りで吉廻の2トライ目を演出し反撃の狼煙をあげさせた。試合序盤とは打って変わり、得意の展開ラグビーで京産大Aを翻弄(ほんろう)すると、大外で受けた西浦が消えるようなステップと持ち味のスピードでトイメンをちぎり、トライラインにボールを叩き込んだ。持ち直した早大Aが29ー14とリードを広げ前半を終える。

ギャップを探すCTB島田

 後半もメンバーは変わらずにキックオフを迎えた。ラインアウトディフェンスでは笹部らがプレッシャーをかけ続け、相手のミスを何度も誘う。後半6分、相手の脱出キックをグラウンド中央左からクイックで受けた服部が選択したのはハイパントキック。島田が相手長身CTBに競り勝ちこれをマイボールとすると、ボールは再び司令塔のもとへ。服部のグラウンドを横断するような長いキックパスを鈴木が確実にキャッチ、後半目覚めの一発を叩き込んだ。スペースを見逃さない戦術眼、勇敢な判断を遂行しきる精度の高さ。明らかにグラウンド内で異様な存在感を放った早大の10番は、ここで注目のルーキーSO⽵⼭史⼈(スポ1=神奈川・桐蔭学園)にバトンを渡しベンチへと下がった。ここから早大Aのアタックは竹山の色へ一気に染められることとなる。相手ラインアウトのミスを獲得した早大Aは早速竹山へとボールを繋ぐ。裏のスペースを見逃さずにショートパントを蹴ると、反応したのは今試合空中戦で絶対的なボール保持率をほこる島田。ラックから順目へパスを出し、西浦がステップで確実なゲイン。再びパスを受けた竹山が自ら仕掛けラインブレイク、米倉に繋ぐ。力強いキャリーでゴール直前まで迫るも、無理をせずラックを形成。最後はサイドライン際に鈴木がハットトリックを決め39ー14。交代からわずか3分間での得点演出だった。竹山の仕掛けるゲームメイクは服部とはまるで違い、そのギャップに相手が対応しきる前に得点を取るまさに理想の展開であった。その後早大Aは、1番へコンバートしたPR平⼭⾵希(スポ2=⼤分東明)、帝京大Aスクラムを粉砕したPR前⽥麟太朗(スポ3=神奈川・桐蔭学園)、先日からカテゴリーを上げたSH川端隆⾺(スポ2=⼤阪桐蔭)の3名を投入。ディフェンスシーンではダブルタックル、セカンドマンレースといった1プレーに対するこだわりを見せ、徐々に京産大Aから選択肢を奪っていった。再び攻勢にでたい早大Aだったが、裏のスペースにキックを蹴り込まれ陣地を大きく戻される。なんとか脱出したものの、その後の相手モールから被トライ。交代メンバーとの連携が取りきれなかったか、セットプレーでの優位が逆転。しかし依然として試合の主導権は早大Aが握り続けた。24分、敵陣でのマイボールラインアウトから、竹山が再びディフェンスラインの裏へショートパント。自分で再獲得し、そのままトライエリアにボールを置いた。コンバージョンが決まり46ー21とダブルスコアに引き離す。竹山の技ありトライで会場を沸かせた直後、京産大Aがゴールを叩き割り早大Aに一瞬の静寂が訪れる。キックオフキャッチからのラックでボディーコントロールをしきれずにボールロスト、そのまま押し込まれ良い流れは完全に断ち切られた。その後も相手の攻勢は続き、ハイボールの競り合いへと局面は移る。ここで島田がスーパーキャッチを見せるも、危険なクラッシュにより試合は一時中断。相手選手にシンビンが出されたことにより、早大Aは再びチャンスを手繰り寄せる。31分、川端の内返しに平山が反応し、得意の肉弾戦でゲイン。ジリジリと相手をゴール前まで押し込むと、川端がボールを持ち出して溜めを作り、勢いよく走り込んだFL城央祐(スポ3=神奈川・桐蔭学園)に鋭いパスをだしてダメ押しの7点をスコアボードに刻んだ。試合終盤、未だ14人の京産大Aだったが猛攻は続き、早大Aはその圧力を前にペナルティーを重ねる。フェーズごとに少しずつ後退していき、相手のギャップをつくプレーを止めきれず再び失点。ラストワンプレーでは、トライ目前まで迫るも早大Aのフォワードパスでノーサイド。53ー35と勝利で今夏の幕は下ろされた。

トライラインを駆け抜けるSO竹山

 結果は大量得点での勝利だ。個人技、特にBK陣は個々の強みを理解し、基礎のスキル、そして一瞬の応用を生かして存分にアピールをした一戦だった。しかし全国制覇を目指すとなった時、早大における一番の敵は失点の多さと言える。天理大戦から20点以上の失点を重ねている現状は、勝負の秋を前に命取りとなるだろう。2年前早大の前に立ちはだかった帝京大、そして宿敵・明大。両校がここまでの大量得点を許してくれるとは考えにくい。「強い早稲田」を取り戻すため、付け入る隙はたとえ一つであっても見せてはならない。良きアタッカーは盤面に揃っている。だが背水の陣ではいささか心許ない。ならばあとは鉄壁を築き上げるのみだろう。

記事:堀内遥寿 写真:早稲田大学ラグビー蹴球部提供

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