『一戦必勝』! 終盤の大逆転勝利で4年ぶりの全日出場が決定!/2次トーナメント決勝 神奈川大戦

準硬式野球
TEAM
早大
神奈川大
(早)大澤、空閑、〇髙橋隆―阿部剛
◇(二塁打)阿部剛(4回表)

 世紀の大逆転劇だった――。全日本出場予選会(全日予選)の初戦を白星で飾った早大は、神奈川大との2次トーナメント決勝を迎えた。この試合に勝利すると、2019年以来4年ぶりの全日本大学選手権(全日)出場が決定する早大。大金星を目指し、万全を期して臨んだ。先発・大澤龍登(文構3=埼玉・星野)は再三のピンチを招きながらも、5回まで1失点。ところが、6回に逆転されると、7回にも2点を追加され、勝利は絶望的かと思われた。しかし、早大ナインは集中力を切らさなかった。直後の8回に一挙逆転に成功すると、1点のリードを守り切ってゲームセット。4年ぶりの全日出場を現実のものにした。

 試合は序盤から攻守ともに動いた。市川諒汰郎(社3=早稲田佐賀)が相手野手の失策で二塁まで進塁。松永賢三(スポ3=東京・早実)の打席中の暴投で三塁に進塁すると、直後に松永がレフト前にはじき返し、幸先よく先制した。一方、先発・大澤は序盤からたびたび走者を背負う。2回には適時打を浴びて同点に追いつかれたが、勝ち越し点は献上しない。粘りの投球で5回まで1失点に抑えた。すると、打線は大澤の力投に応える。4回、先頭の笠井駿汰(政経3=埼玉・早大本庄)の安打をきっかけに1死二塁とすると、阿部剛士(社3=神奈川・川和)の放った打球はライトオーバーの適時二塁打に。見事勝ち越しに成功し、試合は後半戦に突入した。

先制の適時打を放つ松永

一時勝ち越しの適時打を放つ阿部剛

 しかし、ここまで勝ち上がってきた神奈川大も簡単には食い下がらない。6回、大澤は先頭に安打を許すと、続く打者に2ランを被弾。逆転され、この試合で初めて神奈川大にリードを許した。さらに、7回には無死満塁のピンチで、髙橋隆之介(法4=東京・早実)を投入するも、押し出し死球と暴投でさらに2失点。点差は3点に広がり、早大にとっては終盤にして厳しい展開となった。

 それでも、『一戦必勝』を掲げて戦ってきた早大はあきらめなかった。8回、早大は市川と笠井の連打で無死一、三塁とすると、松永のゴロの間に1点を返す。さらに、阿部剛の安打の後、渡邉真之介副将(社4=早稲田佐賀)の打球は挟殺プレーとなるも、これが崩れてさらに1人が生還。そして、村上翔祐(商3=東京・早実)の打席時の暴投でついに同点に追いついた。その直後、中村文哉(法4=埼玉・早大本庄)がバントで投手前に転がし、この間に渡邉副将が生還。この回、打者8人の猛攻で大逆転を成し遂げた。1点のリードを背負って投げるのは、7回から続投の髙橋隆。8回を三者凡退に抑えると、9回も難なく2アウトまでこぎつけた。四球で同点の走者を出したが、高橋隆は動じない。直後の打者を左飛に打ち取り、最後のアウトをつかんだ。この勝利により、早大は見事4年ぶりに全日出場をかなえた。

勝ち越しのセーフティスクイズを決める中村

力投を見せる髙橋隆

 早大準硬の持ち味が実を結んだ試合となった。7回に3点のビハインドとなった時、早大のベンチは静まりかけた。しかし、変わらず戦い続けた早大ナインのプレーは、大逆転劇へとつながった。次なる戦いの舞台は、8月に大阪で行われる全日。目標の日本一へ向けて、試練はまだまだ続く。ここがスタートライン。早大ナインの新たな戦いが始まった。

(記事 横山勝興、写真 横松さくら、横山勝興)

コメント

春名真平主将(教4=東京・早大学院)

――4年ぶりの全日出場が決定しました! 率直な感想を教えてください

 「うれしい」という言葉しか出ないです。去年は悔しい思いをして、今年は絶対に行きたかったので、「うれしい」の一言です。

――中盤で点差をつけられた時の心境は

 今年はここまで粘り勝ちする試合が多かったので、「最後まで分からない」という気持ちを持って全員がやれていたと思います。これが早稲田らしさなのかなと思います。

――逆転した時の気持ちは

 点差よりも1点を取ることに集中していたので、点を取れた喜びが大きかったです。

――勝った瞬間の気持ちと周りの様子は

 自分がキャプテンながら試合に出場できない中で、いろいろな責任を感じていたので、キャプテンらしい役目を少し果たすことができて、周りも喜んで飛び跳ねていて、うれしかったです。

――最後に全日での意気込みをお願いします

 『日本一』がチームの目標なので、今日の試合は通過点だと思っています。優勝するには5回勝たないといけないので、もう一回チームを作り直して、頑張っていきたいと思います。

髙橋隆之介(法4=東京・早実)

――4年ぶりの全日出場が決定しました! 率直な感想を教えてください

 ひとまずほっとしました。みんなにとって念願の全日だったので、無事に決まって本当にうれしいです。

――7回の大ピンチの場面での登板となりましたが、マウンドに上った時の気持ちは

 「点を取られても仕方ない」くらいの気持ちで思い切り腕を振りました。自分のできることだけを考えて投げました。

――8回、9回に投げていた時の心境は違いましたか

 そうですね、ノーアウト満塁からノーアウトランナーなしの場面になって、投げやすさはありました。

――9回2死から同点の走者を出しましたが、気持ちは落ち着いていましたか

 そうですね、2アウトまで順調に取れて楽になっていたので、ランナーを返さなければいい気持ちで、ある種冷静になれていたと思います。

――最後のアウトを取った時の気持ちは

 とにかくうれしかったです。みんなが喜んでくれたのが一番だと思います。

――最後に全日での意気込みをお願いします

 どのような役割を任されるかは分かりませんが、与えられた役割を全うして勝利に導きたいと思います。

中村文哉(法4=埼玉・早大本庄)

――4年ぶりの全日出場が決定しました! 率直な感想を教えてください

 苦しい試合ではありましたが、率直にうれしい限りです。

――犠飛を阻止する好返球もありましたが、今日の活躍を全体的に振り返って

 守備での貢献をメインに試合に出ているので、良かったと思います。

――打撃面でも決勝の犠打を決めました。どのような気持ちで打席に臨みましたか

 苦しい試合展開ながらもみんなが追いついて、あと1点取れれば勝ち越しだったので、「何としても1点を取るぞ」という気持ちで臨みました。

――犠打に成功したときの気持ちは

 前回の試合でスクイズに失敗していたので、「何としても決めよう」と思って、この1週間練習をしていました。練習が結果につながって良かったです。

――仲間と一緒に喜びを分かち合って

 去年はここの段階で負けてしまって、今年はみんなで全日出場を目指してきたので、みんな笑顔でした。

――最後に全日での意気込みをお願いします

 少し期間が空くので、その間に練習をしたいと思います。(東京六大学春季)リーグ戦の時はスタメンではなかったので、しっかりスタメンをこなしつつ、『一戦必勝』で優勝できるように頑張りたいと思います。