今回登場するのは、チームを陰から支える山下諒主務(スポ4=和歌山・海南)、諏訪優佳マネジャー(政経4=東京・早実)、高田樹里マネジャー(文構4=東京・早実)の三人だ。チームにとって欠かせない存在となっている三人だが、その素顔が表にでることは決して多くはない。今回は、そんな三人の素顔に迫る。
※この取材は8月15日に行われたものです。
互いの印象は
――左隣の人の他己紹介をお願いします
髙田 優佳(諏訪)は普段は天然でふわふわしているイメージですが、マネージャー業務になると一つ一つ本当にしっかりこだわっていて、分からないことを分からないままにせず、分からないことがあったらOBや指導者や選手など立場が違う相手でもこれは何でこうなのと聞きに行きます。一つ一つをこだわり、一つ一つをこなしていく、そういうしっかりした子です。
諏訪 山下くんは、主務としてOBの方や監督や私たちの間に立つ役割ですが、それが本当に上手だなと尊敬しています。OB方に対して強く行かなくてはいけないときもありますが、上手くしなやかさを使い分けてやらなくては行けないのが主務の仕事だと思いますが、選手の意見も聞きながら、それを上手く監督に伝えるなど、つなぎの能力が凄いなと思っています。
山下 厳しいところもありながら、女の子っぽいというかメンタルが強くないというか(笑)。意外と強気な性格ではありますし、そういうふうに見えてもおかしくはありませんが、心配性というか最後の最後まで詰めて確認をしてきたりだとか、そういったところを見ながら一緒に仕事をしていると、それが逆に頼り甲斐が僕的にはありますし、それに僕や優佳(諏訪)が一緒について行けているというのは本当に髙田樹里のおかげかな、と思います。
諏訪 ちょっと追加すると、すごい人の気持ちが分かる子なので、人の気持ちとかも機敏さが今までのマネジャーの中で群を抜いているので、チーフマネジャーとして色んな子に合わせた指導方法とかOB方の対応に表れています。そうした優しさが樹里(髙田)の魅力なのではないかなと思っています。
――それを聞いて髙田さんはいかがですか
髙田 私たちはタイプが本当に違うので、お互い助け合っていて、お互いの良いところをお互いに尊敬していますし、少し足りない部分を補い合っているので、必要不可欠な存在です。
諏訪 良いコンビだと思います。
担当している仕事について
対談は和やかな雰囲気で進んだ
――次にご自身の仕事や役割について教えてください
山下 さっき諏訪からもありましたが、誰かと誰かをつなぐというのが一番の仕事かなと思っていて、具体的な業務でいうと、チームと大学、選手と監督、監督と監督、スタッフとOBなど、そういったところをつなげるというのが多いです。他に具体的な業務でいうと、今だと遠征とか、できてなかったのですが合宿の手配とか練習の組み方とか言ってしまうと雑用になりますが、そんなかたちになります。
髙田 チーフマネジャーという役割をしていて、それ以外にも広報をしています。スタッフの責任を山下と一緒に背負っているという感じで、全て私たちの責任になるので、選手が活動しやすく、モチベーションが上がるように、スタッフと選手両方を見ながら、山下と一緒にスタッフを引っ張りつつ、選手を支えつつみたいな、そういう感じのことをしています。
諏訪 私は会計とOB通知という仕事をしていて、どちらかというと部の根本に関わっていて、イメージは共通するところとして、未来に目線が置かれている業務が多いかなと思っています。OB通知はOB方に対して今の準硬をお伝えしてつながりを強めるというところと、会計は過去の皆さんが築き上げてくれたお金というものをできるだけ残しながら未来の準硬に残していくということが主なので、今の部員たちには割と節約をきつく言う部分もありますが、これからも準硬が続いていくという意味の未来の視点をかなり大事にしている仕事かなと思います。
――インスタグラムを中心にSNSでの発信が増えた印象ですが、今年工夫していることや意識していることはありますか
髙田 本当に見ていただけてうれしいです。今年からインスタグラムを始めて、元々新歓アカウントだけでしたが、部の公式アカウントを作るようになって、試合の結果だけだったらどの大学もどの部活もやっていると思うのですが、準硬の魅力を広めるためには、部員の素顔やどういう意識でスタッフも動いているのかみたいなそういうところを発信したいなと思って、色々な企画に後輩と挑戦しています。
こだわりは
――サポートをする上でのこだわりや大切にしていることはありますか
山下 マネジャーとしての僕の考え方として、やるのが当たり前というか、自分がマネジャーを選んでやっているので、絶対に自分を過大評価しないということと、「やってあげているんだぞ」というのを見せないというのを決めてやっています。
髙田 私は意識面のことを気にしていて、チームで動いているので、雰囲気だったりネガティブな感情を持ち出さないということだったりを今年は本当に後輩に対して口を酸っぱく言ってきたところで、一人でできる仕事はないので、仕事を依頼するにしても言い方やお願いするまでの準備をこだわってきました。
諏訪 私は二つあって、一つは「直したいと思ったことを放置しない」ということで、プラスアルファで思ったことは必ず自分で実践してグレードアップするように意識しています。もう一つは、自分がいなくなった後でも回る体制づくりをすることです。会計もOB通知も専門性が高く、複雑なものが多いので、自分がいなくなった後に、誰でも同じクオリティでできるような仕組みづくりをするために、後輩の指導やフォーマット作りなどをしています。
――マネジャー同士、主務と副務といった交流はありますか
髙田 練習は学年がごちゃ混ぜでAチームとBチームとに分かれてやっているので、練習中も仕事の話で意見を言い合い、どうやって新しい企画に挑戦するかとかスタッフとしてレベルアップするためには何をしたら良いのかみたいなことは話しています。
準硬の魅力とは
――準硬の魅力はどういったところにありますか
山下 早稲田の魅力は、今だと本当に仲が良く、みんな野球が好きそうで取り組んでいるというところだと思います。スタッフも今の野球部が好きというのも良く伝わります。準硬式野球の魅力は意外とレベルが高いというところです。
髙田 野球が好きというのはもちろんなのですが、スタッフをチームの一員として見てくれていることが多いのかなと思っていて、特に4年生などは、やってくれてありがとうというよりは、チームの一員だからできることをもっとやってほしいというスタンスで頼ってくれることが多いので、そういうことはうれしいなと思います。
諏訪 選手もマネジャーも含めて、挑戦できる環境が整っているなと思っていて、広報だったら公式インスタグラムを作るとか、選手も今年からデータスタジアムというアプリを導入してみて、データ班をもっと強化してみるなど、新しいことを理論立てて上の方に説明すれば理解してくださるという環境が揃っているというのは魅力の一つなのかなと思います。
――新しい取り組みはなにかありますか
諏訪 OB通知を今まで茶封筒だったのをクリア封筒に変えまして、中身が見えてパンフレットが分かるような見ていて楽しいものに変えたのは個人的には小さな変化かなと思います。
髙田 OBの方にも今の部のことをより知ってもらい楽しんでもらいたいと考えています。
諏訪 封筒をまず開けてもらうというとこに踏み切るためのアクションとして良かったかなと思います。
髙田 今年から部員の出身校にチームのパンフレットを作って送るリクルート活動を始めて、一からパンフレットを作って部の魅力や推薦方法を調べて、各高校に送って、監督さんや部長さんに部員に見てもらう機会を作りました。
チームの印象は
――グラウンドの外から見ていて、今年のチームの印象はいかがですか
諏訪 個人的にすごく感じたのが、下級生が楽しんで試合中プレーをしているのがかなり印象的で、ベンチスコアに入らせてもらってベンチの雰囲気を見る中で、今年は特に1、2年生が楽しそうにプレーをして、全力でプレーをして失敗しても上級生が「ナイスファイト」って感じで迎えてくれるその雰囲気作りが、下級生はできるのかなと思っていて、下級生が上級生を見習って尊敬して支えるという雰囲気作りにつながっているのかな、という点では印象的だなと思います。
髙田 なんとなく全日を優勝した代(2019年)の厳しさに似ているなと感じていて、傷の舐め合いとかそういう関係性ではなく、特に4年生は自分にも人にも厳しく、気付いたとことは本人にちゃんと言いますし、みんなで絶対全日優勝しようという気持ちは、今まで経験してきた代よりも強いのかなと思います。
山下 僕的には「もっとできるだろう」というのは正直思っています。リーグ戦も関東も予選会も負け方がすごく悔しいというか、負ける時は絶対ボコボコにされて負けるので、勝っている時のチームの雰囲気が良いのはもちろんなのですが、負けた時というのがもう負のオーラが出ているというか今日こいつら負けるんだろうなというのが目に見えて分かるようなチーム状況にになっているのがすごく勿体無いなと思っています。実力もあると思いますしチームの雰囲気自体は、本当に今年は良いと思うので、これまでを次の清瀬(清瀬杯)で発揮できれば良いなというのと、そういったところをできるチームだと思っています。
――今シーズンで印象に残っている試合はありますか
山下 みんな一緒じゃないかなと思いますが、春のリーグ戦の法政1回戦です。上級生も頑張っていましたし、涙は流しませんでしたが泣いた試合は本当にあれくらいだと思っているので、準硬にいてあれがベストゲームだったかなと思います。
髙田 私も法政との1回戦が印象に残っています。上級生は後輩のために、後輩は上級生のためにみたいな全員が一つになっていたと感じました。応援席のみんなも一つになって応援していたので、あんな試合は本当に見たことがなかったです。今年は応援席も強みだと思っていて、4年生のベンチ入りしていないメンバーも幹部についていこうという気持ちが見えるので、早稲田の応援席にも注目してほしいです。
諏訪 モチベーション動画もBの4年生の選手が自主的に作ってくれて、Bの子が応援したくなるチームだからこそ強いのかなとは思います。
――他につながりを強めるための取り組みはありますか
諏訪 Bを治めている池田(竜馬、文4=大阪・天王寺)、奥垣(士門、文構4=東京・早実)の二人が率先してチームの雰囲気作りをしているというのもありますし、Aの幹部も頻繁にBの練習を見に行っているので、ほったらかしではなく、Aの幹部からも意識が向いていると思っているBの子たちは頑張ろうとなるのかなと思います。
髙田 幹部の厳しさかなと思います。Bがここで気を抜いたらどんどん差が開いてしまうみたいなそんな感じも見ていて思いますし、一生懸命やっている幹部を見て怠けられないですし、付いて行っているBの4年生もすごく、幹部もすごいなと思います。
山下 原点としてはみんな仲が良いというのが一番大きいのかなと思います。今は4学年いて、仲が悪い学年はいないと認識しているので、みんな仲が良いからこそ控えが主力を応援して、主力が控えのバックアップや応援をしていて、一つのチームとしてなっているのかなと思います。
――仕事の分担はどのように決めていらっしゃいますか
髙田 主にアナウンスなどの本部席のスコアは連盟が振り分けてくれますが、部内のベンチスコアラーとかになると、一人一人のベンチスコアに入る数を計算しながら4年生が決めています。やっぱり上級生の数が多くなってしまうので、下級生には我慢してもらうかたちになっていますが、できるだけ平等にしています。
入部の経緯は
――入部や現在の役職に就いた経緯について教えてください
山下 小学校から始めた野球を高校3年生まで続けていましたが、怪我をして選手はできないかなとなったときに、マネジャーはしたいという気持ちがずっとあって、初めはラグビーやアメフト、サッカーなどスポ科(スポーツ科学部)なので色々な人に話を聞きましたが、いまいちピンとこず、硬式野球部も入れないということが分かったので、準硬のマネジャーやろうとなったのが入部のきっかけです。そこから紆余曲折(うよきょくせつ)あって、結局僕が主務になりました。
諏訪 元々中高6年間弓道部をやっていて、正直もう部活はやりきったと思っていて入るつもりはありませんでした。1年の秋までサークルに入っていて、サークルに入ったことで、自分は真面目に毎日部活に来て、目標に向かってみんなで頑張る、という部活動の方が楽しさを覚えるなと感じて、髙田の紹介もあり、思い切って準硬式に入ったというのが経緯です。
髙田 性格的に厳しいところに身を置いている方が力を発揮できるというタイプだったので、それこそ早スポと準硬とで迷っていましたが、元々野球が好きな家庭であったのと、高校の時に軟式野球部のマネジャーに誘われていましたが、結局入らなくて後悔したので、最後のチャンスだと思って入りました。
――チーム内での注目選手はいますか
山下 僕は山浦(秀斗、スポ4=埼玉・早大本庄)と鷲田(鷲田拓未副将、スポ4=神奈川・日大高)です。彼らは秋から教育実習に行ってしまい、清瀬が大学生としての公式戦として最後になると聞いていて、二人ともよく頑張っているので、最後有終の美として注目してほしいです。
諏訪 吉田(昂平、法4=埼玉・早大本庄)に注目したいなと思っていて、春はケガで1回も出ていませんでしたが、今復帰もしてきて、オープン戦ではスタメンで頑張っているので、清瀬での活躍が楽しみだなと思います。
髙田 鳥越(鳥越康介副将、文構4=東京・早実)ですね。小学校の時からずっと一緒だったというのもありますが、初めて同じ組織に入ってみて、練習態度だったり、野球に関わらないことだったりも真面目にやっていて、ベンチワークが上手くいっているのは多分鳥越の力もあると思いますし、鳥越が頑張っているからみんなもついていかなきゃいけないと思っているので、最後鳥越の活躍を見たいです。
清瀬杯に向けて
――最後に清瀬杯への意気込みをお願いします
山下 清瀬杯といっても全国大会なので、みんなが優勝できるようにサポートして応援することしか僕たちにはできないと思うので、やれることは最後優勝するまでやってやろうと思います。
髙田 全日(全日本大学選手権)には出られませんでしたが、清瀬で絶対優勝できるように、スタッフとしても妥協は一切したくないですし、広報とかそういう野球自体には関わらないですが選手のモチベーションなどそういったことまで注意して、みんなで頑張っていきたいと思います。
諏訪 (途中入部の)私は2019年に全日で優勝した代を経験できていないので、そういう意味で大きな全国大会は初めてなので、個人的にも楽しみではありますし、このメンバーはAに帯同させていただけるスタッフでもあるので、みんな多分帯同したかったと思うので、そういった気持ちも背負いたいですし、選手と違う立場でありながらも優勝に貢献できるように、精一杯頑張りたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 渡邊悠太、藤田珠江 写真 渡邊悠太、荒井結月)
◆山下諒(やました・りょう)(※写真右)
1999(平11)年10月23日生まれ。和歌山・海南高出身。スポーツ科学部4年。主務。陰でチームを支える山下主務。そんな山下主務ですが、ポケモンカード集めが趣味だそうです!
◆諏訪優佳(すわ・ゆうか)(※写真左)
2000(平12)年8月1日生まれ。東京・早実高出身。政治経済学部4年。マネジャー。実は、アーチェリー部の諏訪陶佳(社4=東京・早実)選手と双子のきょうだいだという諏訪マネジャー。持ち前の仕事ぶりを発揮し、チームをサポートします!
◆高田樹里(たかた・じゅり)
2000(平12)年5月17日生まれ。東京・早実高出身。文化構想学部4年。マネジャー。チーフマネジャーとして、マネジャーを束ねる髙田マネジャー。そんな髙田マネジャーですが、拍手の音が大きいという特徴を持っています!