清瀬杯直前特集『奪冠』第2回 安在悠真副将×服部峻也×髙橋隆之介×阿部剛士

準硬式野球

 今回登場するのは、バッテリーの4人だ。今季の早大は投手陣の安定感が光った。今回は、そんな早大投手陣を支える安在悠真副将(人4=早稲田佐賀)、髙橋隆之介(法3=東京・早実)の両投手、服部峻也(社4=東京・早実)、阿部剛士(社2=神奈川・川和)の両捕手にお話を伺った。早大バッテリー陣の素顔や好成績の秘訣に迫る。

※この取材は8月5日に行われたものです。

ここまでのシーズンを振り返って

――他己紹介をお願いします

阿部 服部さんは…とても優しい先輩というのが第一印象です。

一同 (笑)。

服部・髙橋隆 ひどいなあ(笑)。

阿部 あとは幼少期にアメリカで暮らしていたらしく、英語が堪能です。

安在・服部・髙橋隆 野球面言えよ(笑)。

阿部 そうですね(笑)。服部さんのバッティングはミート力もあるし、ここぞという場面でも打っているので、とても頼りになるバッターだと思います。

――服部さんから阿部さんの他己紹介をお願いします

服部 パーソナルな面でいくと、距離が近いですね(笑)。良くも悪くも(笑)。

一同 (笑)。

服部 キャッチャー陣がみんな仲良くて距離感近い感じなので、後輩と先輩という感じではないですね。野球で言えば肩が強くて、盗塁を刺せるところは自分も見習いたいし、バッティングも最近すごく良くて、パンチ力があってこの先が楽しみな選手だと思います。

阿部剛は木村杯春季新人戦で捕手としてチームを盛り立てた

――髙橋隆さんから安在さんの他己紹介をお願いします

髙橋隆 安在さんはピッチャー陣の中で愛されキャラって感じで緩い方、マイペースな方なので、みんなからちょっとだけいじられたりもして、2個下の浩成(髙橋、教2=東京・早実)とかね(笑)。場を和ませてくれる方です。野球面で言うと、やっぱり抜群の制球力、ここぞとばかりに抑える気迫、熱い心を持っていますね。

一同 (笑)。

服部 予期せずして打たれるけどね。

髙橋隆 安在さんのピッチングを見習いたいと思うんですけど、フラっとホームランを打たれるので、そこだけ見習わないようにしたいですね。

――安在さんから髙橋隆さんの他己紹介をお願いします

安在 同じ左ピッチャーということで、春季リーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)ですごく活躍してくれて、頼りになるピッチャーです。特に大きく曲がるカーブは、自分がこれまで見てきた中でも一番かなと思います。

髙橋隆 おー。

安在 ただ逆に言うと、カーブはすごくいいんですけど、やっぱり真っ直ぐがちょっと不安定なところもあるので、まだまだ伸びしろのあるピッチャーだと思います。

服部 エース?

安在 エースではない(笑)。

取材を通してチームの雰囲気の良さがうかがえた

――今シーズンのここまでをチーム面、個人面を振り返っていかがですか

阿部 自分は関東大会(関東地区大学選手権)、春季リーグ戦、(全日本出場校選出)予選会と主に試合に出るわけではなくバックアップとしてチームに帯同しました。ベンチの雰囲気も良い中でプレーできていたので、そこはベンチメンバーも頑張れた点だと思います。あとは、同級生の大澤(龍登、文構2=埼玉・星野)がよく頑張っていたのがとても印象的でした。

服部 僕はこの春からレギュラーキャッチャーとして試合に出られるようになって、始めに維持していたバッティングの勢いが落ちてきてしまったことや肩が痛くなって9イニングで続けることができなかったことが悔しかったところでした。今も少し肩は痛いですが治ってきたので、引退までの2つの大きな大会(清瀬杯、東京六大学秋季リーグ戦)を乗り越えていきたいです。

服部は今季、正捕手に定着。投手陣の好投を引き出した

髙橋隆 春季リーグ戦はチームにとって良い誤算というか、思いも寄らない2勝に貢献することができたと思っています。最後に競り勝った法大1回戦の翌日の2回戦で序盤に大量失点をしてしまったので、そういうところの詰めの甘さ、勝負弱さをこれからにつなげていきたいです。

安在 去年の反省を生かして、これまでは最低限の結果を残せていると思います。逆に言うと、(関東大会や春季リーグ戦の)法大戦や(予選会の)日大戦で個人の力があるチームに対して勝ち切ることができなかったので、これから清瀬杯と秋季リーグ戦で勝てるようにしたいと思います。

――今シーズンは投手の安定感から守備や攻撃のリズムが生まれ、得点できていた印象があるのですが、皆さんはどう感じていますか。また、工夫した点などがあれば教えてください

髙橋隆 おっしゃる通りだと思います。去年よりバッテリーのコミュニケーションが盛んなこともあると思います。

服部 確かに。

安在 言いやすいよね。俺とか浅野(崇太郎、スポ4=茨城・緑岡)って。

髙橋隆 そうですね。

服部 怖くないから(笑)。

安在 圧倒的な力を持っているピッチャーがいない中、いかに最少失点で9回をつなぐかということをモットーにやってきたので、それが結果的に大沢や髙橋隆之介の台頭につながって、なんとかやってこれたと思います。

――キャッチャーのお2人が工夫していたことはありますか

服部 僕は、例えばボール球になったとしてもそれが良い球であれば「今の球良かった」と言いますし、逆球を放ったときには指摘するようにしています。でも、ネガティブなことは試合中にはあまり言わないようにしていて、試合後の反省で共有することは心掛けています。試合中に投手がポジティブな気持ちでマウンドにいられるようにしています。

――阿部さんはブルペンやイニング間の投球練習でピッチャーのボールを受ける機会が多かったと思うのですが、注意していた点はありますか

阿部 大澤や髙橋浩成(教2=東京・早実)は同級生で仲も良いので、試合中にベンチでコミュニケーションを取りますし、特に大澤が点数を取られたりランナーを多く出したりしたときには、その気持ちを切り替えられるよう、声掛けをするように意識しました。

――安在さんは今年はロングリリーフや抑えでの起用が目立っていますが、調整面での難しさなどはありましたか

安在 試合中いつ出番が来るか分からない状態で、先発は後輩に任せていたので、見守ることくらいしかできなかったですね。ちょくちょく声掛けはするようにしていました。あとは、去年より倍の時間を使って投球前の準備をするようにしていたので、そういった準備が個人成績にもつながったと感じています。

――髙橋隆さんは春季リーグ戦を通して先発の柱として活躍されていましたが、去年と比べて大きく変わった点(好調の要因)はどこだと感じていますか

髙橋隆 後ろに安在さんがいる安心感が自分のピッチングに良い影響を与えたと思っています。「先発でいけるところまでいくけど、いつ潰れても安在さんがいる」というようなメンタルを持たせてくれました。自分のピッチングは安在さんなしではなかったものだと思います。

一同 (笑)。

――安在さんはそれを聞いてどう思いますか

安在 うれしい反面、バカにしていると思います。

一同 (笑)。

髙橋隆 素直な気持ちです。

安在 自分も1年生のときに、前田さん(前田直輝氏、令2スポ卒)とか杉山さん(杉山周平氏、令2教卒)とかそういった頼れる4年生を見てきて、自分がいざ4年生になってそういう言葉をもらえるのは非常にうれしいですね。

高橋隆は春季リーグ戦で主に先発として活躍した

――服部さんは捕手ながら1番や4番を打ったりしていて、打撃での活躍も目立っていましたが、打撃についてはどのようにお考えですか

服部 初球のストライクは絶対にスイングすることは決めていました。実際にデータを取ったら初球のスイング率がチームの中でも断トツで高くて、実際に結果にもつながっていたと思います。打順はコロコロ変わりましたが、影響はあまりなくて、自分の中では1番が結構しっくり来ていました。

――阿部さんは新人戦や春季リーグ戦を通してベンチやブルペンで先輩たちのプレーを間近で見ていたと思うのですが、学んだことや今後に生かしていきたいことはありますか

阿部 投手陣が特に安定していたので、準備やキャッチャーとのコミュニケーションの段階で、試合前にゲームプランを考えることは今後もやっていきたいです。あとは、服部さんが「打てるキャッチャー」だったので、すごく見習いたいなと思います。

――準備というお話がありましたが、打の中心編でも準備のお話が出ていました。バッテリー間では試合前の準備でどのようなことに気を付けていますか

服部 個人的なことで言いますと、試合前のミーティングで相手のデータも共有していたので、キャッチャーとしては相手バッターの特徴をしっかり頭に入れた上で配球を考えていました。

――投手の安在さんと髙橋隆さんは試合前にどのような準備をしていましたか

安在 基本的にはなかったですね。自分が毎週データをまとめて文字化したものをバッテリーで共有することはしていました。あとは、野手陣との全体ミーティングをしっかり聞くくらいで、バッテリーだけで話をすることだけはありませんでした。

――春先はコロナも少し収まって出掛けやすかったと思うのですが、チームメイトやバッテリーでお出掛けはしましたか

髙橋隆 このご時世なのでみんなでは行けていませんが、仲良いキャッチャー同士やピッチャー同士で出掛けたりはしていました。

安在 さすがに全体では集まれなかったので、試合終わりや練習終わりで何人かで行ったりしました。

阿部 2年のバッテリー陣は結構遊んだりします。

髙橋隆 仲良いよね。大澤(龍登、文構2=埼玉・星野)、(髙橋)浩成、阿部剛士、あの辺。

――イチオシのチームメイトや後輩はいらっしゃいますか

髙橋隆 宮内康汰(教3=東京・早実)ですね。中学から一緒ですが、持ち前のコントロールと決め球が素晴らしくて、いつ抜かされるか分からないので、抜かされないように練習していきます。

阿部 1年のキャッチャーの奈須(健伸、スポ1=愛知・滝)に期待しています。最近Aチームに入っていて、自分にとってもライバルの選手ですが、話しやすくてフレンドリーな感じで接してくれる後輩なので、とても雰囲気良いキャッチャー陣になっていると思います。あとは、守備がとてもウリなので、守備面では見習っていきたいと思います。

服部 ライトの川添伊吹(法4=愛知・刈谷)です。去年まではメンバーには入っていませんでしたが、ラストイヤーでものすごくやる気を出しています。やる気がない感じなんですが、密かにバッティングしているのを僕は見ていて、そういうところがイチオシです。

髙橋隆 えー。

安在 髙橋浩成と渋谷(隆太、商4=茨城・江戸川学園取手)の2人です。似ているようで違うんですが、2人とも右のサイドハンドのピッチャーで、春季リーグ戦は2位という成績を収めることができましたが、客観的に振り返ってみると全体的に右ピッチャーの登板が少なかったと感じたので、右ピッチャー、特に個人的にはサイドハンドのピッチャーが好きなので、2人を中心に右ピッチャーが試合で頑張ってくれればより良い成績を残せるし、(他の投手陣も)もう少し楽になると思います。

清瀬杯に向けて

――清瀬杯は勝ち進めば連戦となり、決勝まで進出すれば4連戦となります。連戦となるとバッテリーの負担が増えてくると思うのですが、対策などは立てていらっしゃいますか

安在 理想はスタミナをつけて4連投できる体をつくることですが、4連投は厳しいので、「こいつに頼んで試合で負けても仕方がない」と思えるピッチャーを1人でも多く増やせることが大事だと思います。自分が1年生のときに全日本(全日本大学選手権大会)で優勝したときも頼れるピッチャーが何人もいて、その中で自分もベンチ入りさせていただいてその大切さを感じていたので、今から頼れるピッチャーを探して、いろいろなピッチャーを使いながら最大4連戦を乗り切りたいと思います。副キャプテンという立場なので、キャッチャーについてもお話しさせていただくと、吉田龍平(令2スポ卒)というスーパーキャッチャーを見てきた身としては、全員に鉄人のような絶対的なキャッチャーになってほしいんですが厳しそうなので、ピッチャーの相性やバッテリーの状態を見ながら、キャッチャーは春季リーグ戦と同様にうまいこと回して、誰か1人に頼るのではなく全員の力でやっていくのがベストだと思います。それが今年のチームカラーかなという風にも感じています。

春季リーグ戦で大車輪の活躍を見せた安在副将

――清瀬杯に向けた注目ポイントや意気込みをお願いします

阿部 自分の売りはバッティングだと思っているので、清瀬杯に出場して力強いバッティングでチームを元気づけていきたいと思います。

髙橋隆 先ほど安在さんがおっしゃられた「頼れるピッチャー」になれるように、頼られるように練習も試合もこれから頑張っていきたいと思います。

服部 自分の注目ポイントはフレーミングです。キャッチャーに転向してから、グラブを下から上げてストライクにすることはすごく意識してやってきたので、その取り組みがちゃんと生かせるようにまずは頑張りたいです。優勝に向けて1試合でも多く出たいですし、吉田龍平さんのような鉄人ではないですけど、それに近づけるようになりたいと思います。優勝に貢献できるように頑張ります。

安在 ピンチのときの粘り強さが自分の持ち味の一つなので、そんなに球速もないですしなんてことないピッチャーですが、しっかり頭を使いながらチームを優勝に導けるように頑張っていきたいとです。

――ありがとうございました!

(取材・編集・写真 渡邊悠太、横山勝興)

◆髙橋隆之介(たかはし・りゅうのすけ)(※写真左)

2001(平13)年11月23日生まれ。175センチ、68キロ。東京・早実高出身。法学部3年。投手。左投左打。対談中には4年生選手との距離の近さも見られた髙橋隆選手。行きつけの店は、東伏見キャンパス近くの『中華料理 吉野』だそうです!

◆安在悠真(あんざい・ゆうま)(※写真中央左)

2000(平12)年8月1日生まれ。169センチ、69キロ。早稲田佐賀高出身。人間科学部4年。投手。左投左打。対談中は副将らしい真剣な眼差しで質問に答えてくださった安在選手。最近ハマっていることは、テレビゲームの『マリオカート』だそうです!

◆服部峻也(はっとり・しゅんや)(※写真中央右)

2000(平13)年12月26日生まれ。170センチ、65キロ。東京・早実高出身。社会科学部4年。捕手。右投右打。今シーズンはチームの女房役としてレギュラーでマスクをかぶり続けている服部選手。最近は麻雀で天和を成立させたそうです!

◆阿部剛士(あべ・たけし)

2002(平14)年5月7日生まれ。188センチ、77キロ。神奈川・川和高出身。社会科学部2年。捕手。右投右打。春季リーグ戦時はブルペンでボールを受けることの多かった阿部選手。学業や部活の練習に加えて、駅員のアルバイトもされているそうです!