準決勝敗退も、課題見えた新人戦/明大戦

準硬式野球
TEAM
明大 11
早大
(早)太田、渋谷、尾坂、新井、髙橋、●宮内、堀内―浅野
◇(三塁打)新井(4回裏)◇(本塁打)鷲田(1号2ラン)(8回裏)、川原(1号ソロ)(8回裏)

 東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)を終えて一週間経ったこの日、木村杯秋季新人戦が開催された。一時は中止が発表されていたものの復活開催となったこの大会。早大は準決勝の相手として明大を迎えた。試合は8回、鷲田拓未(スポ2=神奈川・日大高)の2ランと川原崚(商2=東京・早実)の本塁打によって同点に追いついた。しかし直後の9回表、4つの四死球で同点に追いつかれると、なおも2死満塁の場面で2点適時二塁打を放たれて相手打線に大きく突き放される。その後は好機を演出できなかった早大。11-8で試合を終え、準決勝敗退の結果となった。

2回こそ失点したが、以降は無失点の好投を見せた先発・太田

 先発マウンドに登ったのは、秋季リーグ東大戦以来の登板となったルーキー太田遼(スポ1=神奈川・横浜翠陵)。「立ち上がりがあまり良くなかった」(太田)。初回はピンチを何とかしのいだが2回、四球と安打、さらには味方野手の失策によって先制を許すと、3番・高橋佑輔(明大)に中前2点適時打を放たれ、この回一挙4点を献上した。一方の打線は4回、1死二塁の場面で打席に向かったのは新井健太(商2=東京・早大学院)。4球目を打った打球はライト線を割る右適時三塁打となる。なおも1死三塁で、後続が放った内野ゴロの間に得点に成功し、この回2得点。さらに6回、相手守備陣の失策が重なり3点を挙げ、見事逆転に成功した。

本塁打を放ち笑顔の川原

 相手のミスを逃さず得点できたことで、早大が試合の流れをつかんだかと思われた。しかし直後の7回に犠飛で同点に追いつかれると8回、この回から登板した新井の暴投と遊強襲適時打により得点を許す。さらに2死一、三塁の場面で、盗塁を図った一塁走者を刺した間に三塁走者が生還。点差を3点に広げられた。このままでは終われない早大は、直後の攻撃で反撃を開始する。2死一塁の場面で打順が回ったのは、ここまで2安打と好調の鷲田。力強く振った打球は左翼スタンドに突き刺さる2ランとなった。さらに、次打者・川原が放った鋭い打球は右方向へ。「強くスイングをすることだけを考えました」(川原)。この本塁打により、早大は同点に追いついた。

ピンチをしのいだ堀内

 相手打線を抑えて攻撃のリズムを作りたい早大は、マウンドに宮内康汰(教1=東京・早実)を送る。しかし、立ち上がりの制球が定まらず、4つの四死球を与え得点を許すと、なおも1死満塁のピンチとなる。この場面で1番・村上洋人(明大)に2点適時二塁打を放たれ、点差を大きく広げられた。ここでベンチは投手を堀内陽平(社2=東京・早実)にチェンジ。堀内は次打者を三直に打ち取り、何とか窮地をしのいだ。3点差を覆したい打線だったが、裏の攻撃では好機を演出できず。上井健太(明大)に三者凡退に抑えられてゲームセット。3時間を超える戦いを制すことは叶わなかった。

 1、2年生のみで構成されたチームで臨んだこの試合。秋季リーグ戦が終幕した直後というのもあり、練習がままならずに守備面でのミスが目立ってしまった。しかし、普段は出場機会がない選手がチームに新たな風を吹かせた。「初出場の投手が多い中で持ちこたえることができた」(川原)。今一度チームの守備面を見直し、そこに新しい戦力がかっちりとハマれば、更なる進化が望める。長い冬を越えた先で、チームはどのような変化を遂げるか。来シーズンも早大準硬の躍動に期待したい。

(記事 小山亜美、写真 小山亜美、鬼頭遥南)

 

コメント

池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

練習する時間が4日間しかなかったので練習不足ですよね。一番しっかりしてもらわなければいけないピッチャー、キャッチャーが試合慣れしていないというか、試合勘ができていないところが出てしまった印象を持ちました。

――ピッチャー陣は1年生中心に継投されていたと思いますが、どのような意図がありましたか

先発の太田については秋のリーグ戦の東大戦でも投げていますし期待するところも非常に大きかったので、彼をいけるところまでと考えていたのですが、エラーなどで4点相手に先行されたのでまずは追い付かなければいけないということで。もう1イニングくらい投げさせたかったのですが、代打で攻めの方に転じなければならないという形で。その後のピッチャーについては、今調子の良いピッチャーから起用しました。多少誤算というか、やっぱり結局は経験不足なんですよね。(投手陣を)攻められないんですよ。今日投げたピッチャーを責めるわけにはいかないのですが、ただ1つ攻めの気持ちや強い気持ちが足りませんでした。明治は強打線ですから。どうしても腕が振らなかったり、気持ちで投げきれなかったり。明治の先発の岩田(一真)くんが5回の満塁の場面を気持ちで抑えたというのを見ていて感じたので、そういう強い攻めの気持ちをピンチで出せるようになってくれば変わってくるかなという気がしましたね。

――攻めの姿勢について、9回に髙橋隆之介(法1=東京・早実)投手に攻めの直球をというお声掛けをされていましたが、見ていてどのように感じましたか

キャッチャーのリードもあるのでしょうけど、入りが変化球でそれを多投する傾向があって。わりと短いイニングでピッチャーを変えていて、変化球主体のピッチャーもあるかもしれませんが、基本ピッチャーはストレートなんですよね。私が今の1年生を知りえる限りでは、やっぱりストレート中心で投げるというのが思いとしてあるので、そういうところからすれば、なんでもっとストレートを投げさせる組み立てをしていかないのかと。要は変化球が入らなくてカウントを悪くして、結局フォアボール、その後のストライクに投げて打たれてしまうケースがリーグ戦でもあったので。そうやって逃げるとか、本人はそうではないかもしれませんが、そう映ってしまうということは、だめだと思うんですよね。よく気持ち気持ちって言いますけど、そういうところなんですね。経験を積んでいかないと出せない部分かもしれませんが、今日1、2年生初めての公式戦なわけで、そんなに臆することなく怖がることなく、堂々と思い切ってやれば、と感じたところがあります。やっぱり得点に絡んできたのはリーグ戦に出場していた選手が中心なので、そういう意味で、経験がない選手はこれからどれだけ積み上げていくかというのが大事だという気がしましたね。

――新井健太(商2=東京・早大学院)選手が初めて登板されましたが

公式戦では初めてだと思います。彼は制球力もあるし、良いピッチングをしていると報告を受けていたので。今日期待して出したんですけどね。やっぱり少しピッチャーとしての経験がほとんどないので、そういう中での緊張感やゲーム感と本人の意識と合致しなかったのかなという気がします。

――2年生の投手の印象は

彼らは基礎体力をつけて、走り込みするなり筋力トレーニングをするなりして、しっかりした足腰ができてくれば球ももっと速くなると思いますし、個人個人のこれからのオフの期間にどれだけ積み上げることができるかだと思います。

――今日、安在悠真(人2=早稲田佐賀)選手が登板しなかった理由はありますか

安在はリーグ戦で頑張ってくれたので、肩か肘(の状態が)よろしくないということで。これからオフに向かう時期ですし、体力強化をしっかりするということで指示を出しました。

――打撃結果については

エラーも重なりましたし、8点が全部打った点ではないですけど。鷲田(拓未、スポ2=神奈川・日大高)のツーランと川原(崚、商2=東京・早実)のソロホームランは、向こうのピッチャーも正直決して一線級のピッチャーではなかったのですが、よく打ってくれたなと思いますね。あの2人は経験を来年以降に生かしてくれれば。今まで出ていた選手が中心になってやっていくようにはなると思います。ただどの選手にもチャンスはあるわけで、いくら今までゲームに出ていてもこの冬練習しなければその差は縮まって逆にひっくり返される可能性もありますから、レギュラーで出ていたからといってあぐらをかいているなんてことはないとは思いますけど、どれだけ積み上げていくかですね。

――チームをどのように立て直していきたいですか

今年は野球ができた回数が本当に少なかったですが、それでもその数少ない中で最終的に勝ちきれなかった。そのあと一歩、何が足りなかったのかというところを考えると、やっぱり守りの部分ですかね。野球というのは、この1年で再確認しましたけど、バッテリーを中心にした守りがしっかりしていないと、なかなか自分達のゲーム展開に持っていけない。いくらバッティングが良くて、例えば7点とか8点取っても、相手が今日のように10点11点取れば負けてしまうわけですから。そこは最小失点に抑えられるように。バッテリーと守備が基本でチームを作り上げていく必要があると思っています。

――最後に来シーズンに向けてひとことお願いします

来シーズンは今年の全日本(大学選手権)が中止になってしまったので、まずは春の大会ですね。その前に関東(地区大学選手権)大会もありますけど、できれば関東大会で全日本の出場権を勝ち取ることができれば、リーグ戦もわりとリラックスした気持ちでできるので。とにかく全日本に出場して、できれば連覇を目指して。できないメンバーではないと思っているのでそこはしっかりやっていきたいです。

川原崚(商2=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

負けてしまって悔しいのと、4打席目まで全然打てなくてそのせいで負けたのもあるのかなと。最後は本塁打を打ちましたが、そこが悔しいです。

――チームの試合展開をどのように見ていましたか

試合展開については、初めて出たピッチャーが多い中で、けっこうみんな持ちこたえることができたので、いい試合だったと思います。

――最初の4打席を振り返っていかがでしたか

全然打てなくて、タイミングが合わなくて。満塁の場面でフライを打ってしまったことが、一番反省しなければいけない点です。

――8回の本塁打については

鷲田(拓未、スポ2=神奈川・日大高)が自分の前に本塁打を打ってくれて、2アウトでランナーなしだったので、強くスイングすることだけを考えて打席に立ちました。

――守備の面で今回はファーストでの出場でしたが、その点について

エラーしてしまって、(ファーストを守るのは)久しぶりで少し緊張もしましたが、それなりには守れたと思います。

――来シーズンに向けて意気込みをお願いします

守備も打撃もレベルアップして、チームに貢献して、春と秋に優勝できればと思います。

太田遼(スポ1=神奈川・横浜翠陵)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

自分の立ち上がりがあまり良くなくて、そこに敗因があるのかなと自分では思っています。

――今日意識されていたことは

今日は試合を作ることを目標としてやっていたのですが、先発は立ち上がりが難しいところがあると思うので、そこを課題として今度からはやっていきたいです。

――3回からは無失点に抑えました。それについては

吹っ切れたというか。もともとストレートが浮いていたので、それが低めに決まるようになって。あとはテンポも早くするように意識したので、そこが3回以降のピッチングに繋がったのではと思います。

――来シーズンにむけて意気込みをお願いします

まだ新チームで自分がどのように使われるかわかりませんが、もし先発を任されるのであれば、一番難しいと言われている立ち上がりを、今日の反省を生かしてちゃんとやっていきたいですし、中継ぎや抑えであれば、短いイニングを完璧にゼロで抑えられるように頑張りたいです。