1回戦 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
三井 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 5 |
早大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 5 |
(早)清水、前田、杉山-吉田龍 ♢(本塁打)須能(4裏) ♢(二塁打)竹本(8裏)、関(9裏) |
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今年4つ目の栄冠を懸けて臨んだ関東地区大学・社会人王座決定戦(関東王座)1回戦。試合は誰も予想できない結末となった。先制された早大だったが4回裏、2番・須能浩太郎(商2=東京・早実)の本塁打で同点に追いつく。さらに6回、2死1塁の場面から相手投手の3連続四球で勝ち越し点を獲得すると、8回には打線がつながり3得点を挙げて引き離す。しかし9回表、救援陣が相手打線につかまる。先頭から5連打を浴びるなどしてこの回4失点。勝ち越したい早大だったが9回裏の好機はものにできず、同点のまま球場の使用時間が終了。決着は9日の延長戦に持ち越しとなった。
先発マウンドを託された清水佑樹(スポ2=早稲田佐賀)は初回、いきなり1死一、二塁のピンチを招くが、後続の打球は一塁手正面。これを中村康祐(教3=早稲田佐賀)が一塁を踏んだ後に素早く二塁へ送球して併殺。ピンチを切り抜けた。しかし3回、3連打を浴びて1死満塁とされ、迎えるは前打席で安打を放った3番・小尾拓大。ここは二ゴロ併殺崩れの間に三塁走者が生還し、先制点を献上することとなった。追い付きたい早大は4回、先頭の須能がど真ん中のストレートを捉える。打球は美しい弧を描き、ライトスタンドへと吸い込まれる。この一振りが試合を振り出しに戻した。
本塁打を放った須能(6)を迎える早大ベンチ
何とか勝ち越したい早大は6回、先頭打者の関大輝(基理2=茨城・江戸川学園取手)が外角低めのスライダーを中前にはじき返して出塁すると、続く須能がしっかりと犠打を決めて好機を演出した。ここで相手の先発投手が崩れる。2死二塁の場面から三者連続四球となり押し出し。この回勝ち越しに成功した。さらに引き離すべく臨んだ8回、打線がつながりを見せる。中村が高めのストレートをレフト方向へ打ち返すと、4番・鈴木涼馬(商4=東京・早実)は三塁線に完璧な犠打を決めて1死二塁とする。ここで打席に立つのは5番・吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)。フルカウントから捉えた7球目は左前適時打となる。さらに、次打者が四球を選んで好機を広げると、代打・竹本周平(人3=鳥取・米子東)が狙っていたストレートを振り抜いた。大きい当たりは左中間に落ち、一塁走者と二塁走者が共に生還。この回一挙3点を獲得し、相手を大きく引き離した。
左前適時打を放った吉田龍主将
投げては5回から救援としてマウンドに上がった前田直輝副将(スポ4=熊本)が好投。力強いストレートとキレのあるスライダーで、8回まで追加点を与えない。しかし4点のリードで迎えた9回、相手打線が牙をむく。「社会人の意地を感じた」(関)。先頭の相手代打に中前打を許すと、その後は甘い球をことごとく打ち返され、2点差まで追い上げられてしまう。なおも無死一、三塁。このピンチを任されたのは守護神・杉山周平(教4=神奈川・山手学院)だ。しかし中前適時打と併殺打の間に2点を奪われ、試合はまたも振り出しに戻ってしまった。何とか逆転は許さずに迎えた9回裏。先頭の関がストレートをしっかりと振り抜くと、これが左翼線への二塁打に。続く須能はまたもしっかりと犠打を決める。さらに3番・中村がボールをしっかり見極めて四球を選ぶと、その後盗塁を決めて1死二、三塁と絶好機をつくった。しかしここで早大野球部OBの増田圭佑(平31文卒)が救援登板し、準硬ナインの前に立ちふさがる。サヨナラの期待を背負って打席に立った4番・鈴木は低めのストレートを打ち上げて遊飛に倒れ、続く吉田龍主将も三ゴロに切って取られて9回が終了。試合の行方は9日に行われる延長戦の結果に託された。
好投しながらも最終回に崩れてしまった前田副将
「この試合勝ちたいですね」(池田訓久監督、昭60教卒=静岡・浜松商)。先制点こそ与えたが、その後は追いつき、引き離し、必勝パターンに持ち込めると思われたこの試合。しかし、やはり勝つことは難しい。最後はサヨナラまであと一歩及ばなかった。4年生を含めた今のチームで野球ができるのは、泣いても笑っても今週末で最後だ。この4日間でしっかり戦術を確認し、9日の延長戦では『楽しむ心』で新たな頂への道を切り開いてほしい。
(記事 小山亜美、写真 手代木慶、鬼頭遥南、西山綾乃)
コメント
池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)
――本日の試合を振り返っていかがですか
何とも言葉にし難いというか、今までにない展開でしたね。決して気が緩んだとかではないのですが。やはり今振り返ってみると、9回は今までの必勝パターンでいけば杉山(周平、教4=神奈川・山手学院)を頭から出すところだったのですが、前田(直輝副将、スポ4=熊本)がうまく強打の相手をかわして抑えてくれていたので、そういう意味でもう1イニングと最終的に決めたのですが、それが裏目に出てしまいました。ただ、あの流れの中で逆転されなかったのは良かったなと、終わってからいろいろ考えている中で感じましたね。
――打線は5得点ということで機能していたように思われますがいかがでしたか
ただやはりもう少しうちらしさを出したかったです。序盤はフライが多かったので。土のグラウンドですから強いゴロを打てば相手のミスも出たかもしれませんし、ひょっとしたら違う展開になったかもしれません。どちらにせよロースコアの厳しい展開になるのは今までのうちのパターンなので「また同じだな」というふうに見ていたのですが、機能したとまでは言えないですね。たまたま8回にいい流れの中で集中打が出たのでそういうふうには見えましたが、私の中では完全に最初から機能していたという感じでは見られなかったですね。
――9回は1死二、三塁で4番・鈴木涼馬選手(商4=東京・早実)でしたが、あの場面は4番のバットに懸けるという感じでしたか
いや、あそこはスクイズも考えましたね。1点取れば終わりだったので。ただ相手がサイドハンドで荒れ気味のピッチャーだったので、スクイズを出すにしてもカウントが難しかったですね。最終的に内野フライを打ってしまったところについては完全に打てのサインだったので、もちろんストライクが来たということで打ったのだと思います。ただあそこでストレートのタイミングに合えば外野フライが出たかなとか、いろいろな思いが頭をかすめましたね。スクイズ、外野フライ、一番いいのはヒットでしたけど。そんな感じでしたね。
――今週土曜日に延長10回から試合の続きが行われますが、それに向けて一言お願いします
この試合勝ちたいですね。正直私も特別継続試合というかたちで試合の続きを1週間後にやるというのは初めてでして。しかも4年生はこの試合に負ければ最後になってしまうので、とにかく勝ちたい。向こうは仕事で平日は練習ができないのですが、こちらは(1日休んで)3日間練習ができるので、少しの差ですがしっかり準備をして勝ち切りたいと思います。
吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
勝ち切らなければいけない試合だったなというのが率直な感想で、追加点を取って5対1で勝っている状態で、最後は追いつかれてしまって。油断はしていませんでしたが、ここで勝ちきれないのはまだまだだなと思います。
――8回適時打となったご自身の打撃を振り返っていかがですか
悪いイメージはなかったのですが、最近ずっとヒットも打っていなくて。前の打席でフライを上げてしまっていたので、強くはたくイメージで打ちにいったので、結果あのようなヒットになって良かったです。
――9回表ピンチとなった時、前田副将の続投理由は何でしょうか
継投はベンチに任せていたのですが、マウンドでは4点あるから1つずつ取っていこうということを話していました。
――きょうのピッチャーの調子はいかがでしたか
悪くはないと思いますね。いつもはストレートで押し切れるところを相手の打者が強く打ってくる印象がありました。
――社会人相手となりましたが
やはりスイングが鋭いというのが率直な気持ちです。六大学ではあまり体験できない、軽い恐怖感というか、甘くいったら打たれるという印象です。
――ミーティングではどのような話をされましたか
ピッチャーの情報共有が主ですね。次に誰が来るかわからないので、誰が来てもいいように共有しました。
――勝ち切るためのポイントは何だと思いますか
次はタイブレークということで作戦を練って、打つだけではないと思うので、ピンチの場面からしっかり守る練習と、取られた点数によって戦術を変えるためにいろいろなパターンの練習をして臨もうと思います。
――次の試合にむけて一言お願いします
本当に難しい試合になると思うのですが、僕らが野球をできるのも最後なので、次は勝ち切れるように。きょうは相手の意地を見せられたので、次はうちの意地を見せたいと思います。
竹本周平(人3=鳥取・米子東)
――けがで離脱されていました。内容を教えていただけますか
死球を受けて尺骨(前腕の2本の長い腕のうちの一つ)を亀裂骨折してしまいました。
――けがを踏まえてどのように調整してきましたか
秋季リーグ戦(東京六大学秋季リーグ戦)は間に合わなかったのですが、優勝して関東王座(関東地区大学・社会人王座決定戦)があるということで、そこに間に合うなら間に合わせてほしいと龍平さん(吉田龍主将)や前田さんや永路さん(山口永路副将、社4=早稲田佐賀)に言われて、自分にできる準備をして今日に至ったという感じです。
――復帰後初打席初安打の感想を教えてください
練習から絶好調だったので特に緊張することもなかったです。来た球を打とうと、集中して臨めたかなと思います。
――真ん中ストレートを打っていましたが、狙っていたのですか
ストレート系を狙ってはいたのですが、どん詰まっていました。
――次の試合に向けて一言お願いします
トーナメントなので負けたら後がありません。3連勝して4年生と最後有終の美を飾りたいと思います。
須能浩太郎(商2=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
先週の新人戦で負けてから、この関東王座を目標にやってきて4年生最後の大会というのもあって勝ち切りたかったのですが結果としては継続試合になってしまったので悔しさが残っています。
――ホームランが出ました
最近あまり自分のバッティングができていないと思っていて、1打席目に先頭が出たところでフライを打ち上げてしまって流れに乗せていけないところがあったので、何とかしようと思って振り切った結果がホームランというかたちになったので嬉しかったです。
――ストレートを待っていましたか
待ってはいないですかね。来たら打とうと思っていて、カウントも1-2とかで。来た球を思い切り打とうと決めていたので狙って打ったわけではないですね。
――バントも2回成功させました
ホームランを打って、少しは打ちたいという気持ちもありますが、そこはチームの方針で送りバントというサインが出たので全うしようと決めて、チームのためになることが結果としてバントというかたちでできたのでよかったです。
――次回に向けての意気込みをお願いします
珍しいパターンで試合に入るまでが難しいと思いますが、4年生とできる残り少ない野球なので楽しむとともに勝利を目指して頑張りたいです。
関大輝(基理2=茨城・江戸川学園取手)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
勝てそうな試合だったのですが、最後の最後で追いつかれてしまって、社会人の意地を感じた試合になったなと思います。
――きょうはDHでの出場となりました
そうですね。竹下さんの方が守備は上手くて、調子もいいので自分がDHだったのかなと思います。毎回集中力が切れてしまって試合に入り辛いんですが、全日でDHだったのもあって起用されたのかなと思います。
――3安打の活躍を振り返っていかがですか
三井住友海上に高校の先輩の増田さん(圭佑、平31文卒)がいるので、今週1週間気合いをいれて練習していました。僕が1番でいく以上しっかり出塁しないと点が取れないので、チャンスで打てなかったのは申し訳ないのですが、自分に回ってきた3回ともヒットというかたちで出塁できて良かったなと思います。
――この1週間特にどのような練習をしていましたか
4年生の幹部の方たちと打撃練習をさせてもらえて。練習にあまり行けない分たくさんバッティング練習を多くしてもらったりとかしていました。当たり前なことですけど、自分でもしっかり素振りなどで調整をしていましたし、この金土日に練習ができたのも自分にとって良かったなと思います。
――新人戦から改善した点はありましたか
新人戦は疲れ切ってしまっていたなと思います。関東王座では、4年生と一緒に野球をできるのが今週で終わりということで、ちゃんと切り替えて、しっかり勝つことだけを考えていました。
――次の試合に向けてチームとして改善する点は何だと思いますか
打てないのはしょうがないので、きょうのバントミスのようなものをなくしていけたらと思います。野球の基本の部分をこの1週間で突き詰めていけたらいいと思います。
――次に向けて一言お願いします
自分としてはこの試合で先輩の増田さんと対戦したかったけどできなかったので、自分としてはうれしい部分もあります。自分にとっては増田さんから打てるチャンスがまだあるなという気持ちで。チームとしては次がないので、きょう以上に打てるように頑張ります。4年生は今週で引退してしまうので、楽しんで最後の試合をやっていただきたいですし、後輩も4年生にいい花向けができるように一週間頑張って王座を取りたいと思います。