久郷が9回完投。加藤の適時打などで6点を挙げ快勝/立大1回戦

準硬式野球
1回戦
立大
早大
(早)○久郷-吉田

 前カードで東大相手に1敗した早大。2カード目は3月末の関東地区大学選手権(関東大会)でコールド負けを喫した立大との対戦になった。相手先発はその時と同じ大森一秀。前回はなかなか打ち崩すことができなかったが、きょうは初回から2点を挙げると、その後も加藤大(人4=大分上野丘)の適時打などで得点を積み重ね、6得点。投げては先発・久郷太雅(創理4=静岡・沼津東)が2失点で完投し、快勝した。

 初回、内野安打と敵失、四球でいきなり無死満塁のチャンスをつくると、死球と併殺崩れの間に得点し、2点を挙げる。幸先のよいスタートを切ると、4回には加藤大(人4=大分上野丘)が四球で出塁し、盗塁と敵失で三塁へ。この好機で吉田龍平主将(スポ4=東京・小山台)がスクイズをしっかりと決め、3点目を入れた。続く5回、1死三塁の場面で関大輝(基理2=茨城・江戸川学園取手)が適時打を放ち1点を追加すると、次の4番・須能浩太郎(商2=東京・早実)も安打でつなぐ。四球でさらに走者を出し2死満塁としたところで打席には加藤。「チャンスで1本出したかった」という加藤の打球は中前2点適時打となり、この回3点を挙げて立大を突き放した。

適時打を放ち、ガッツポーズをする加藤

 7回、それまで無失点投球を披露してきた久郷だったが、四球で走者を出し、1死二塁となったところで、けん制球を暴投。三塁まで進められると、内野安打の間に生還され、その回無安打ながら失点をしてしまった。その後の8回は三者凡退に抑えたが、9回には併殺崩れの間に出した走者を一塁に置いた場面で、左中間を破る適時二塁打を放たれ、2点目を献上。それでも後続の打者を抑えると、9回を2安打2失点で投げ切った。前カードでは先発した2試合ともに回の途中での降板となった久郷。この試合も「調子がそんなにいいわけではなかった」というが、9回を通して走者を出す機会も少なく安定した投球を見せ、先発としての役割を十分に果たした。ボールが先行しながらでも相手打者を抑えるというのが久郷なのだが、ラストイヤーで投手リーダーも務める今年は、ストライク先行の投球で打者を圧倒し、エースの真価を見せつけたい。

好投を見せた久郷。エースとしてさらなる高みを目指してほしい

 相手の拙攻拙守にも助けられ、快勝したきょうの試合。一番の収穫は、前回抑えられた好投手を相手に得点を重ねられたことだろう。この春から2年生ながら4番に座る須能はここまで打率5割越えと絶好調。同じく好調な、2番・塚脇太陽(人3=千葉・市川)、3番・関らで構成される上位打線を中心に今後も得点を重ねていきたい。一方で、鈴木涼馬(商4=東京・早実)と渡部椋雅(商2=神奈川・桐光学園)がここまでなかなか打撃の調子を上げられずにいることは懸念材料だ。優勝を狙う上で二人の活躍は必要不可欠であり、復調できるかどうかは今後の勝敗にも関わってくるだろう。あすの立大は東京六大学リーグ戦での実績のある泰道勇伊の先発が予想される。好調の上位打線や加藤に加え、鈴木、渡部も相まって泰道を打ち崩せるか。連勝で勝ち星を取り、関東大会での雪辱を果たしたい。

(記事 金澤麻由、写真 小山亜美、渡邉彩織、鬼頭遥南)

初回、2死三塁で見逃し三振に倒れた『眠れる獅子』渡部。明日以降に期待したい

★連載「六大学の好敵手たち」第2回 どこからでも点が取れる打線/立大

上原主将が注目選手に挙げた坂井。大森一秀との『柏南バッテリー』も見どころの1つだ

 現在東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)で3年連続2位以上と好成績を収めている立大。果たして今春はどのような戦いを見せてくれるのだろうか。

 立大は昨年力のある野手が多く引退し、今年は攻撃面で課題があるのではないかとの声も上がっていた。しかし、ふたを開けてみればそのようなことはなかった。関東地区大学選手権で早大にコールド勝ちを収め、東京六大学春季リーグ戦でも東大戦で2試合連続8得点。上原和人主将もチームの強みに『どこからでも点が取れる打線』を挙げている。

 しかし、上原主将は現在のチーム状況について「少し問題がある」とした。この日の試合でその打線が不発に終わったからだ。またこの日は失策も多く、攻守にわたって投手を助けることができなかった。だが、立大は前を向いている。上原主将は試合後のインタビューで、「切り替えて」という言葉を繰り返し用いた。リーグ戦はトーナメントではなく、先に2勝すれば勝ち点を得られるというルール。あすには2回戦が控える中、下を向いている暇はないのだ。

 そんな立大の注目選手は、捕手の坂井廉太郎だ。2年生ながら正捕手を務める坂井は、地元では文武両道の学校として知られる千葉県立柏南高等学校の出身。8番ながら長打を放つこともあるなど、意外性のある打撃が持ち味だ。あすは同学年の清水佑樹(スポ2=早稲田佐賀)との対決が予想されるが、どのような打撃を見せるのだろうか。

 早大は連覇へ向け、是が非でも連勝で勝ち点を取りたいところである。しかし、勝ち点獲得へ後が無い立大も、死に物狂いで勝利をつかみに来る。あすの早立2回戦は、お互いの意地とプライドを懸けた、白熱の一戦となるだろう。

(記事 池田有輝 写真 鬼頭遥南)

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コメント

加藤大(人4=大分上野丘)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

この間の関東大会で大敗している相手だったので、絶対に勝ってやろうと思って臨んだ試合でした。

――きょうは2安打が出ましたが、ご自身のバッティングを振り返ってどうですか

5回のチャンスの場面で1本(ヒットを)出したかったので、結構試合を決める1本が打てて良かったです。今後もあのような場面でヒットを打てるようにしたいです。

――今後のチームの課題はどんなことだと思いますか

きょうみたいに良い流れに乗れた時は勝てると思うのですが、劣勢になった時にそこで踏ん張る力や粘り強さが弱いと思うので、そこを課題としてみんなで頑張りたいです。

――あしたの試合に向けて意気込みをお願いします

次の試合は先攻なので、最初から攻撃でどんどん点を取って有利に試合を進めていければ、おのずと結果は出るかなと思います。

久郷太雅(創理4=静岡・沼津東)

――きょうの投球を振り返っていかがでしたか

調子は良くも悪くもなかったのですが、立教(打線)は淡白な感じだったのでそれに助けられました。あとは、野手がよく守ってくれたと思います。

――きょうは9回を投げきり2安打に抑えました。それについてはいかがでしょうか

その2本が結構いいところで出てしまったので、打たれてはいけないところで打たれないように次回しっかりやっていこうと思いました。

――きょう効果的に使えた球は

何が効果的に使えたというわけではなく、持っている球種全部をバランス良く、バッターによって使い分けられたのが良かったと思います。

――東大戦では2試合連続で早い回での途中降板となりました。そんな中きょうは完投されましたが

先発するからには長いイニングを投げたいと思っていて、きょうはその東大戦での悔しさを持って投げられたのかなと思います。

――ボール先行の投球になりましたが

そもそも調子がそんなにいいわけではなかったのですが、ボール先行になる中でも粘って投げられたのかなと思います。

――最後に今後に向けて一言お願いします

まずはあした勝って、勝ち点を奪取して。今後も苦しい戦いが続くと思うのですが、個人としては残り3カード全てで勝ち星を挙げるということ、チームとしては東大戦で1つ落としてしまったので、残りを全てを連勝で取っていきたいです。

中村康祐(教3=早稲田佐賀)

――今季初の公式戦スタメン出場でしたが、どのような気持ちで臨みましたか

関東大会(関東地区大学選手権)と先々週の東大戦ではけがでメンバーを外れていて、チームに迷惑をかけてしまいました。今回から復帰して早速1番で使ってもらい、どうしても結果を残したかったので、第1打席から集中して入りました。

――1番打者としての役割は果たせたと思いますか

そうですね。特に第1打席では、「自分が(塁に)出たらチームも(勢いに)乗るだろうから絶対に出よう」と思っていました。それで第1打席で出塁してそこから2点入り、その結果チーム全体がいい雰囲気で試合を進められたと思います。なので役割は十分果たせたのかなと思います。

――あす以降に向けて一言お願いします

立教は力のあるチームなので、明日はもっと厳しい試合になるかもしれません。ですが、普段通りの自分たちの野球をすればまたこういういい試合ができると思います。自分がチームを引っ張るという気持ちで頑張りたいと思います。

立大・上原和人主将

――現在のチーム状況はどのように捉えていらっしゃいますか

関東地区大学選手権から先週の東大戦まで打撃の調子が良かった分、きょうの試合で打てなかったというのはやはり少し問題があると思います。個々の選手の調子は良いまま来ていた分、それが落ちてこうなってしまったので、これから修正していきたいと思っています。また、守備も少し乱れてしまいました。これまでのチーム状況は良かったので、きょうはしっかり切り替えて、あしたから頑張るという方針でいます。

――今年のチームの一番の強みは何でしょうか

きょうは不発だったのですが、どこからでも点が取れるチームというのが強みだと思っています。打撃練習に時間をかけてここまでやってきたので、きょうの試合はなしで、切り替えて、という感じですね。

――注目の選手を教えてください

自分としては、キャッチャーの坂井ですね。今は8番に座っているのですが、意外性のある選手で、長打も打てる選手なので、ベンチからあまり期待していないのですがひょこっと打ったりするので期待していますね。

――明日以降に向けて意気込みをお願いします

早稲田さんはやはり簡単に勝たせてはくれなかったので、今までもずっとそうだったので、何度も言いますがきょうの試合は切り替えて、あしたあさって勝てば勝ち点取れるので、打ち勝ちたいと思います。