大津が粘りの好投も法大に敗戦/法大3回戦

準硬式野球
法大3回戦 10
法大
早大
(早)大津、前田、久郷、●江藤-吉田
♢(本塁打)徳島(5回)  ♢(二塁打)森田(10回)

 第3戦までもつれ込んだ法大との一戦。優勝を目指す上で東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)優勝の法大からは是が非でも勝ち点を取りたいところだった。そんなこの試合、先発のマウンドに上がったのは大津杜都(文構2=東京・宝仙学園)。東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)初先発となった大津は8回途中まで投げ2失点と先発の役割を充分に果たした。一方の打線は徳島有樹(スポ4=早稲田佐賀)の2試合連続の本塁打で先制。その後、8回に逆転を許したが、1点ビハインドで迎えた9回に打線が粘り、同点に追い付くなど意地を見せた。そして、早法3回戦は延長戦にもつれる熱戦に。流れは早大にあったと思われたが、10回に再び勝ち越しを許し、そのまま敗戦した。

 先発を任されたのは大津。初回、先頭打者に安打を打たれると、犠打で送られ、いきなり得点圏に走者を背負うことに。しかし大津はそんな場面でも慌てることなく落ち着いた投球で後続の打者を抑え、ピンチを脱した。続く2回にも投手強襲の安打などで無死満塁のピンチを作ってしまったが、ここから粘りの投球を見せた。まずは三ゴロで1死を取ると、続く打者はフルカウントから空三振で2アウトまでこぎつける。そして最後の打者を左飛に打ち取り、このピンチを無失点で切り抜けた。その後の大津は、内野陣の堅実な守備の支えもあり、大きなピンチを作ることもなく7回まで好投を続けていく。しかし、迎えた8回。2アウトを簡単に取ったものの、連打と味方の失策などで2死満塁のピンチを作ってしまう。ここでベンチは投手を前田直輝(スポ3=熊本)にスイッチ。「あの場面で行けるのは前田しかいない」と試合後幹部学生の諏訪健太(スポ4=東京・小山台)が振り返ったように、清瀬杯第50回全日本大学選抜(清瀬杯)や秋季リーグ戦では中継ぎとして完璧な仕事をこなしてきた前田。今回も火消しが期待されたが、ボール先行の苦しい投球となり、フルカウントまで持ち込んだものの中堅に弾き飛ばされ、逆転を許した。それでも、9回に登板した久郷太雅(創理3=静岡・沼津東)が3人で抑え、裏の攻撃に同点劇を呼び込む投球を見せる。しかし、延長10回に登板した江藤健太(教3=早稲田佐賀)が先頭打者に二塁打を浴びると、左翼手の前にポテンと落ちる適時打を許し勝ち越しを許してしまった。

逆転を許した前田

 法大の先発は第1戦で完封負けを喫している尾崎海晴(2年)。苦手意識のある相手だ。この試合も尾崎の直球に力負けをする打者が多く、なかなか好機を作ることができなかった。そんな重苦しいムードを一掃したのは前日に満塁本塁打を放った徳島だった。5回の先頭打者として打席に立った徳島は尾崎の直球をフルスイング。これが右翼手の頭を悠々と超える特大の本塁打となり、尾崎から貴重な先制点を奪った。その後は得点できず、徳島の本塁打による1点を守り続けていた早大だったが、8回に守備の乱れからついに逆点を許してしまう。そして、1点ビハインドで迎え、後がない状況となった9回。法大はマウンドに前の試合1安打に抑え込まれた西村勇輝(1年)を送ってきた。それでも1死から永井隆太(スポ4=石川・七尾)が安打で出塁。すかさず盗塁を仕掛けるも失敗してしまう。この試合を通じて3つ目の盗塁失敗。2死走者なしという状況になってしまい、ここで試合は終わったかと思われた。しかしここから粘りを見せ、3連続四球で満塁の好機が到来する。この場面で代打に送られたのは宮崎翔(商2=埼玉・早大本庄)。この回途中から思わぬ形でマウンドに上がった石橋錬(1年)から投手強襲の内野安打を放ち土壇場で同点に追い付くと、延長戦に持ち込んだ。そして、1点をリードされまたも後がない状況で迎えた10回。先頭の森田達貴主将(スポ4=埼玉・県浦和)が二塁打で出塁するものの、後続打者に一本が出ずゲームセット。優勝を目指す上で悔しい敗戦となった。

先制の本塁打を放った徳島。これがこのカードで尾崎から奪った唯一の得点

 法大に勝ち点を奪われる結果となった早大。春季リーグ戦では完敗した法大を後一歩のところまで追い詰め、春から成長した姿を見せつけた。法大との差としてきょうの試合で顕著に表れたのはミスが試合の結果に直結してしまった点だ。また、ミスとはいえないかもしれないが、この試合3回仕掛けた盗塁を1つも成功させることができなかった。それでも、確実に春季リーグ戦王者の法大との差は縮まっているだろう。優勝のためにはもう一つも落とせない。栄光に向かって突き進んで行きたい。

(記事、写真 藤本壮汰)

★それでも成長が見られた法大3連戦

 おそらく今季で1番の熱戦が、繰り広げられた早法3連戦。優勝を目指すワセダにとっては非常に苦しい勝ち点献上となった。敗北し、選手にとっては悔しい結果となったが、春の試合結果と比べてみると、この夏を越え、ワセダがいかに成長したか分かるだろう。東京六大学春季リーグ戦では、第1戦を3-12、第2戦を1-4で落とし、法大に格の違いを見せ付けられた。しかし、あの日からワセダも成長。夏の練習、そして清瀬杯を乗り越えてここまでやってきた。「今までのどの試合よりも準備をして、今まで積み上げてきたものをぶつけよう、という試合でした。それは本当にできたと思います」(諏訪)。その言葉のとおり、打線も投手も健闘を見せ、惜しくも敗れた第1戦、第3戦ともに、どちらに転んでもおかしくない接戦を繰り広げた。4カ月前、法大戦で初めて先発に起用された大津は当時5回2失点の投球を披露し、上出来だと言われたが、今回は8回途中自責点2、という圧巻の投球を見せ、チームメイトの期待をいい意味で裏切った。今年の六大学で絶対的な強さを誇る法大を脅かすような試合ができたことは、自信に思って良いだろう。「(みんなが)成長をして、その結果の1勝2敗なので。下を向く結果ではない」と諏訪も語ったように、敗北という結果で何かを否定する必要はないのだ。秋はまだまだ長い。この先もリーグ戦は続いていく。その先にまだ優勝という結果が待っていてくれるのであれば、その時はワセダがそれをつかみたい。

好投を見せた次世代エースの大津。木村杯新人戦では尾崎に投げ勝ちたい

(記事 金澤麻由、写真 藤本壮汰)

コメント

諏訪健太(スポ4=東京・小山台)

――きょうの大津投手の投球を振り返っていかがですか

5回くらいまでいってくれれば良いかな、という話を森田(達貴主将、スポ4=埼玉・県浦和)、池上(倫平副将、政経4=東京・早実)、中村(大輔、商4=東京・早大学院)ときのうしていたので、大津には失礼な話ですけど(笑)、想像以上のピッチングをしてくれました。前も5回2失点で法政を抑えていたということがあって、起用したのですが、皆が思っていた以上のピッチングをしてくれて。ナイスピッチングでした。

――きょうは、第1戦で先発した杉山周平投手(教3=神奈川・山手学院)の先発という選択肢はなかったのでしょうか

杉山は、春のケガの影響があるので、連投は・・・。最初からこのカードに関しては3戦目(での先発)はないという考えだったので。今後は分かりませんが。もし延長(戦が長引く展開)になったら、(登板は)あったのかもしれませんが。先発は(なかったです)。ピッチャーは皆、春よりもずっと成長していて、3戦目、大津(が先発)でも十分に勝負できる、という見立てがあったので。ピッチャー皆、頑張ってくれたな、と思います。みんなを信用して、という形です。

――大津投手から前田投手に変える時は、迷いなどはありませんでしたか

前田はピンチでいく、という話になっていました。石橋優一郎(4年)に(四球を)出した時の大津の球が、抜けてワンバウンドになって、という形だったので、球が乱れ始めたのかな、という判断をこちらでしました。前田は清瀬杯(の日大戦)でも満塁の場面をしっかりと抑えていたので、あの場面でいけるのは前田しかいませんでしたし、あれは打った佐々木(勇哉、3年)がすごかったですね。

――8回に逆転された場面は、守備のミスから生まれてしまいました

森田もアウトにしようと思っていたと思うのですが・・・。結果的にまた・・・。同じような場面でしたね、おととい(法大1回戦での2失点目の場面)と。三品(勇人、4年)から始まって、鳴川(宗志、4年)で。同じところで同じような感じでエラーして、という感じだったので・・・。はい。

――盗塁があまり決まりませんでしたが

そうですね。3回やって3回失敗して。(相手捕手の)乘松くん(幹太、3年)の送球が全部ストライクで来ていたので。うちは足の速いバッターばかりなので、積極的に走って良いよ、という感じでやっていたのですが。乘松くんはすごかったですね。なので、こちらとしてはそこを少し萎縮させる、ということも必要だったのかな、と感じています。

――徳島選手が2試合連続の本塁打を放ちましたが、いかがでしたか

あいつは、ずっと努力をしてきていて。この夏に、早稲田佐賀高校からボールをたくさん貰ったのですが、それを機にあいつが先頭を切って(練習後などに)ボールの数を数えて、道具を大切にしよう、とやってきて。そういう日々の積み重ねとか、野球に取り組む姿勢とか、すごい選手なので、徳島もここまで苦労して、悔しい思いをたくさんしてきたと思うのですが、そういうのが実って、4年秋にこうして活躍してくれているので、チームとしては大きいです。

――9回2死から同点に追い付きましたが、あの場面を振り返っていかがですか

そうですね、(ベンチ入りした)25人全員にそれぞれの役割があって。そういう役割を意識して選んだのですが、代走もそうですし、代打もそうですし、みんながそういう役割を理解して、その上で打席に立ったり、守備についたりしてくれて、追い付けたと思うので、あそこは(相手の)ピッチャーが足で止めたみたいなのですが、あの場面で、もう少しこっちに運が向いていれば、サヨナラだったと思うので・・・。そこは、仕方ないですね。宮崎は本当に良くやってくれましたし・・・。切り替えて、次から頑張ります。

――10回の江藤健太選手(教3=早稲田佐賀)の登板というのは

2死満塁の同点の場面で投手の打席に回ってきたので、あそこはあのまま試合を決めたかったので(代打を出しました)。きょう色んな代打の打者が待機している中で、布施宏倖(文構4=東京・早実)が最後の待機の打者だったので、布施で、と決めました。江藤に関しても、この2試合は投げていなかったのですが、春からずっといいピッチングをしていますし、信頼していたので、迷いなくいきました。

――10回裏の攻撃では、1死三塁となった場面から得点できませんでした

今自分がするような役割(監督の補佐など、幹部学生としてチームを率いる仕事)をするようになってから、すごく意識していたのは、冷静にやろう、ということで。どの球を狙うかなどの統一、ということはずっと中村(大)とかとも話していたのですが、最後の最後で確認を怠ったというか。気持ちがどうしても入ってしまって、いつもだったらこういう球を打てよ、とか、こういう打球を打てよ、とかを冷静に伝えているのですが(できませんでした)。特に関(大輝、基理1=茨城・江戸川学園取手)の打席ですね。あの打席の前(の守備で)関が(外野フライを)ポテンヒットにしてしまって。あの打席で取り返そう、と思って打席に入っていたと思うのですが、そこで冷静に声を掛けてあげれば・・・。あいつも取り返してくれるだろう、というあまり根拠のない気持ちに頼ってしまったので。いつもやっていることが最後の最後でできなかったことが、本当に悔しいです。

――きょうは法大に敗れ、勝ち点を献上することになってしまいましたが、今後の意気込みをお願いします

もう自力優勝はないのですが、僕らは(優勝するには残り3カード)6連勝するしかなくて。今回の法大戦は、今までのどの試合よりも準備をして、今まで積み上げてきたものをぶつけよう、という試合でした。それは本当にできたと思います。春は1試合目は3―12、2試合目は1-4で負けていて、(法大に)力の差を見せ付けられた、という感じだったのですが、そこから夏に練習をして、清瀬杯を乗り越えて、みんなも、野球の面でも、ベンチワークの面でも成長をして、その結果の1勝2敗なので。下を向く結果ではないと思います。これからも強い相手ばかりなので、この法政(カード)の反省を生かして、必ず6連勝して。もしかしたら、優勝決定戦というのも有り得るかもしれないので、その時には法政にリベンジをして優勝したいと思います。