強豪・中大を撃破!見事3位を勝ち取る

準硬式野球
関東大会3位決定戦
中大
早大 ×
(早)◯久郷―吉田
♢(二塁打)永井、中村大 

 東京・八王子の上柚木公園野球場で行われた関東地区選手権(関東大会)最終日。前日、東洋大に惜敗した早大は決勝戦ではなく3位決定戦に臨んだ。きょうの対戦校である中大は過去10年で計5回の全国優勝を誇る強豪校であった。試合は1点を争う緊迫した投手戦となったが、野手の守備も助け、先発・久郷太雅(創理3=静岡・沼津東)が最小失点で完投。また、野手も少ない好機をしっかりとものにし、実績では格上と言える相手を見事撃破、3位を勝ち取った。

  この日は前日までの調子を考慮し、打順を入れ替えて臨んだ。すると、それが功を奏したのか、4番から6番に打順が変わった永井隆太(スポ4=石川・七尾)が2回に中越えの適時二塁打を放ち先制に成功。「少ないチャンスを絶対にものにする」(永井)という強い気持ちが適時打を打たせ、存在感を示した。ベンチや応援席が大いに沸き、この勢いで追加点を入れていきたい早大であったが、強敵・中大を相手に打線をつなぐことができないまま試合は進んでいった。

2点目を入れた中村大輔(商4=東京・早大学院)

  すると迎えた7回の中大の攻撃。久郷は、1死走者無しの場面から四球を出すと、続く打者の投手への犠打がセーフに。森田達貴主将(スポ4=埼玉・県浦和)の懸命の抗議にも判定は覆らず、一、二塁となると、次の打者に四球を出してしまい、ついに満塁にしてしまう。ロースコアでの展開が予想されており、勝利のためには何としても無失点で切り抜けたい場面。前日の敗戦も思い出される中、「点を取られてもいいかくらいの楽な気持ちで投げた結果が良い結果につながった」というように、投邪飛に打ち取る。続く打者も見事二ゴロに打ち取り、この回3つ目のアウトを手にした。その後の8回を三者凡退に抑えると、裏の早大の攻撃では、先頭の森田主将が右前打で出塁し、打席にはきょう4番に入った中村大。日大戦では決勝点となる本塁打を放つなど、監督からもチームメイトからも大きな信頼を寄せられている中村大が振りぬいた打球は左翼線への適時二塁打に。9回には中大に1点を入れられているため、この一打の持つ意味はとても大きかった。

喜ぶ早大ナイン

  4年生がチームを引っ張っていることは言うまでもないことであるが、今大会は3年生の活躍が目立った。今大会6試合のうち4試合の先発を含む5試合での登板を果たした久郷は計27イニングでわずか2失点と輝きを放った。久郷なしでは今大会の結果はなかっただろう。また、きょうは前日の死球の影響で出場できなかったものの、今大会で勝負強さを見せつけた加藤大(人3=大分上野丘)について池田監督は、強い気持ちを持っていて「走攻守三拍子揃っている選手」であると評価する。今後の活躍も楽しみだ。また、ことしの早大のエースは杉山周平(教3=神奈川・山手学院)。東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)では杉山、久郷の先発陣に大いに期待したい。最後に忘れてはいけないのは吉田龍平(スポ3=東京・小山台)の存在だ。今大会、制球が定まらないとき、走者がたまってしまったときなどには必ず投手のもとに駆け寄り、守備の要として早大を支えてきた。チームの主力が4年生であってもこのように多くの3年生の名前を挙げることができることがことしの早大の強みではないだろうか。きょうの試合中、決勝戦のために球場にやって来た他大の選手が「ワセダ強いな」とつぶやいた。そうだ、ことしの早大は強い。

(記事 金澤麻由 写真 今山和々子、金澤麻由)

※記事中の学年は新年度のものです。

今回の結果により8月に行われる清瀬杯(全国規模の大会)への出場権を獲得しました。なお、リーグ戦優勝の場合は全日本大学選手権(全日)への出場権に変更になります。

3位の表彰を受ける森田主将

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コメント

池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

本当にナイスゲームですね。久郷が本当によく投げてくれて、しっかりとゲームを作って。やっぱり相手も中大と、ここ10年で日本一に6回ほどなっているチームなので、本当に最強豪のチーム。そこに、数少ないチャンスをものにして、勝てたというのはすごく我々も自身になるし、もちろん一番自身になるのはプレーしていた選手立ちだと思います。本当に良いゲームでした。

――打順が少し変わったと思いますが

前日(東洋大戦)の調子を見ながら、この関東大会ではきょうDH(指名打者)に入った中村大がですね、この前の日大戦でも代打でホームランを打ちましたし、非常に(調子が)上向きだったので彼をDHで四番に置いて、これまで四番でいまひとつ調子に乗り切れなかった永井を六番にすることで気楽に打たせられれば、ということです。その思惑が本当に当たったということで。

――きょうの久郷投手の先発はもともと決まっていたことなのでしょうか

いや、これはきのう東洋大に負けたあと、キャプテン(森田)とそれ以外の幹部学生と相談をして、もちろん久郷にも確認をとって、肩とか肘とかがいたければもうどうしようもないので。本人もいけると言うので、きのうの早い段階できょうの先発は久郷でいくと決めました。

――きょうは加藤大選手が出場されていませんでしたが

彼はきのうデッドボールを受けた時に、肘に当たってのですが、だいぶ本人は我慢をしてやっていたみたいで、試合終わってから病院に行った所、骨折はしていなかったようなのでよかったのですが、きょうの朝、バットを振るときに痛むようで、守備と走塁はできるんですけど。やはりバットが振りづらいと言うので、であればということで外しましたけど、彼もよくやってくれましたね。

――加藤大選手は今大会とても活躍されましたがそれについていかがですか

彼は走攻守三拍子揃っている選手なので、彼の良さが良い形ででたな、と。やはり攻めの気持ちが、せっかく走攻守揃っていても気持ちが弱ければゲームで出すことはできないのですが、そういう意味では彼の気持ち的な部分が前を向いてやれたということが結果を出せた要因ではないかと思います。

――久郷投手は今大会ずっと出場されていましたが、いかがでしたか

久郷についてはですね、昨年の秋まで非常に調子が悪くて制球が定まらない、きょうもスリーボールまでいくことが多かったのですが、フォームをセットポジションでしっかりと形を作って投げる投げ方に変えた所、それが彼にとっては非常によかったみたいで、昨年の暮れからバッテリーの合宿をやったりだとか、年が明けてからもピッチャー陣の中で一生懸命努力して、やった成果がこの関東大会で生きたということは、これはリーグ戦に向けて我々にとっては非常に大きな収穫でしたね。

――優勝を目指しての今大会でしたが、3位という結果についてはいかがでしょうか

正直優勝できたと思うんですね。それをさせられなかったという所は監督としての私の責任で、反省の部分ですね。学生は本当によくやってくれました。あの、本当に今まで、私はこれで4年目なのですが、今までのチームとは良い意味で違う、学生が中心になって考えるチームになってきているので、非常にそういう意味では楽しみなんですね。

――今大会でベスト4に残った中では唯一の六大学所属チームでしたが、来週から始まるリーグ戦に向けてひとことお願い致します

これはですね、優勝。優勝を目指します。その中でもできれば負けを少なくする。すなわち、連勝で勝ち点を取り、それを積み上げていく。というような試合をしていきたいですね。

永井隆太(スポ4=石川・七尾)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きのうの負けから、いかにして1日で切り替えるかというのが重要なチームの課題だったんですけど、きょうは相手が中大ということで、チャレンジャー精神というものが全面に出せて、それが一番の勝利の要因だったのかなと思います。

――以前は4番打者として出場していましたが、きょうは打順が下がりました

実は、きょうはスタメンでの出場ではなくて、ベンチからのスタートだったんです。その中で、正直スタメンから外れたというのが自分の中ですごい悔しかったというのがあって、前日にセンターの加藤大がケガをして、きょう治れば加藤大がスタメンで僕がベンチだったんですけど、加藤大がきょうは厳しいということで、僕が何とかして結果を出そうという、その気持ちだけで打てたという感じでした。

――最近は代打を告げられることが度々あったようですが

僕の代打で出る選手というのが、本当に頼りになる選手で、特に今大会は中村大が本当に大事な場面で打ってくれて、きょうも追加点という大事なヒットを打ったので、彼の働きは非常に大きかったです。他にも代打で出る選手がかなりたくさんいるというのがうちの強みなので、そういった『打てるチーム』ならではの強みを来週からのリーグ戦でも発揮できたらなと思います。

――きょうは先制点を決めました。そのときを振り返っていかがでしたか

中大との試合で乱打戦になるということはあまり考えられないので、チャンスが限られていました。その中で僕に回ってきたので、その一打席に懸ける思いがこれまで以上に強くあって、少ないチャンスを絶対ものにするんだという気持ちがヒットにつながったのかなと思います。

――リーグ戦に向けて意気込みをお願いします

今回3位になったことで、清瀬杯という全国大会への出場が確定したんですけど、僕たちの最終目標は全日に出るということで新チームになってからずっとやってきているので、リーグ戦で全て2連勝して…今まで勝率差で全日に出れていなかったので、今回こそ必ず全日に出るという意味で、来週は立大戦なんですけど、一発目から2タテしたいなと思っています!

久郷太雅(創理3=静岡・沼津東)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

5連投(今大会5回目の登板)だったので疲れもあったのですが、完投とかは何も考えず、とにかく1回1回、1人1人抑えていこうという気持ちでやりました。

――7回表は少しピンチだったと思うのですがいかがでしたか

嫌な形で満塁になってしまったので4番、5番とクリーンアップだったので、ちょっときついなと思ったのですが、別に点を取られてもいいかくらいの楽な気持ちで投げた結果が良い結果につながったと思います。

――来週から始まるリーグ戦に向けての意気込みを教えてください

関東大会はもう終わりなので、リーグ戦に入れば相手も雰囲気もガラッと変わるので、ここで切り替えてチーム全体でまた1からスタートしていきたいと思います。