TEAM | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 計 | ||||
早大 | 11 | 0 | 5 | 0 | 4 | 20 | ||||
帝京大宇都宮 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | ||||
(早)◯杉山、久郷、宇野澤、前田、福川-吉田、竹下 ♢(本塁打)永井、池上、中村大 (二塁打)永井、吉田、徳島 ※規定により5回コールド |
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厳しい冬の練習を乗り越え、迎えた今季初の公式戦。その成果を見せたいワセダは、実力を遺憾なく発揮し相手を圧倒した。初回に永井隆太(スポ4=石川・七尾)と池上倫平副将(政経4=東京・早実)の本塁打2発を含む打者16人の猛攻で一挙11点を先制。早くも試合の大勢が決まると、その後も破竹の勢いで得点を量産。5回には途中出場の中村大輔(商4=東京・早大学院)がこの日チーム3本目となる駄目押しの本塁打を放つなど、終わってみればスコアボードに刻まれた得点は20。投げては5人の投手が三塁を踏ませない盤石の完封リレーで試合を締め、5回コールド勝ちという最高の形で初陣を飾った。
迷いはなかった。初回、制球に苦しむ相手先発から無死一、二塁とし、打席には公式戦初スタメンの4番・永井。「かなり緊張していました」と本人は語るが、そんな様子は一切見せず初球を強振すると、打球は左翼フェンス遥か上の防球ネットに直撃する弾丸アーチ。ケガにもがき苦しみ、最高学年にしてようやく好機をつかんだ男の公式戦デビュー弾はあまりにも鮮烈すぎた。この先制パンチで相手投手を動揺させることに成功した打線は、その後も連続四球を選んで1死満塁とする。そして打席には打者一巡して2番・池上。『甘い球を逃さない』。その意識がチームに浸透しているのだろう。池上も永井と同じく初球を鋭く振り抜くと、打球は右翼フェンスを悠々と越えていく特大グランドスラム。この衝撃的な一打は、プレイボールがかかって30分も経たないうちに試合を決定づけた。さらに3回には計6安打と打線がつながり、5点を追加。「どこからでも点を取れるチーム」と池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)が誇る打線は、攻撃の手を緩めなかった。とどめは5回。この回は途中出場の選手が数多く打席に立った。虎視眈々(たんたん)とレギュラーの座を狙う彼らのバットは、炎のように熱く燃えていた。そして、その起用に見事応えたのが中村大。力を込めて放った一撃は、打った瞬間にそれと分かる一発。コールドゲームを決める貴重な一打だった。
本塁打を放つ永井
投手陣は徹底した継投で隙がなかった。まず、先発の杉山周平(教3=神奈川・山手学院)が初回を三者連続三振に斬ってとり、新エースの貫禄を見せる。2回は久郷太雅(創理3=静岡・沼津東)が長打を許しながらも、三塁手の今駒顕二郎(教4=東京・早大学院)の好守に助けられ無失点で切り抜けると、3回は宇野澤拓海(人3=東京・西)、4回は前田直輝(スポ3=熊本)がそれぞれ危なげなく3人で抑える。最後は、福川千明(スポ2=兵庫・白陵)が自慢の速球で難なく試合を締めた。全投手ともしっかりと腕が振れており、調整の良さをうかがわせる登板となった。
4人目で登板した前田
街には桜のつぼみが見え始め、その開花も近付いてきた。そんな中、ワセダは厳しい冬の練習とオープン戦でチームの底上げを図り、並々ならぬ覚悟で今季を迎えた。そこには、ここ数年遠ざかっている全日本大学選手権(全国大会)出場という目標がある。そのために必要なのは言うまでもなく優勝であり、それは今大会でも東京六大学リーグ戦(リーグ戦)でも同じことだ。ことしのワセダは近年では最強クラスの打線を誇り、豊富な投手陣がそれを支える。その投打の歯車がかみ合い、彼らの努力が優勝という最高の形で『開花』する日を願ってやまない。
(記事 吉岡拓哉 写真 成瀬允、皆川真仁)
※記事中の学年は新年度のものです
池田訓久監督(昭60教卒=静岡・浜松商)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
ここまでオープン戦を何試合かやってきたのですが、そのオープン戦の調子がそのまま出ました。ことしは非常によく撃つチームで、打順に関係なくどこからでも好機を作れて、どこからでも点を取れるチームなので、その良いところがきょうはよく出たな、という印象ですね
――関東大会での目標は何でしょうか
もちろん優勝です。優勝して、とにかく全国大会に出たいので
――今季の目標を教えて下さい
今季は、関東地区大学選手権もリーグ戦も優勝したい、とにかく1位になりたいですね。ここ数年はとにかく僅差のところで、勝率差で負けて全国大会に出れなかった、リーグ戦も優勝できなかったというのが続いているので、やっぱりことしは何としても1位になりたいですね
永井隆太(スポ4=石川・七尾)
――きょうの試合を全体的に振り返っていかがでしたか
相手は(初戦を突破して)2試合目で、僕たちは初戦だったので試合勘がなかったんですけど、初回に安打で点が取れてなかった中で、僕がつなぐ意識で本塁打という結果的にはベストな形で点を取れたところからチームの良い所が出て、たくさん点が取れたのでよかったと思います。
――本塁打を含む左翼越えの3本の長打がお見事でしたね
前日のフリー打撃で投手が投げてくれた球を良い形で打てていたので、そのままの意識でタイミングを取ることを心がけたら全部左翼に飛んでいきました。本当は中堅に打ちたかったんですけどね(笑)。たぶん状態がいいんだと思います。
今季から4番を任されていますが、それは意識しますか
自分はずっとケガをしていて、新人戦を除いたら初めての公式戦だったので、実はかなり緊張していたんです。それに今の上位打線はかなり調子がよくて、誰でも4番を打てるような打線なんですよ。だから自分は特に4番という意識ではなくて、後ろにつなぐという意識だけでした。それが変に力むことなく結果につながったのかなと思います。
――最後に今大会の目標を教えてください
そうですね。気持ちは一戦一戦勝っていくということだけなんですけど、僕たちの目標は全国大会出場の切符を手にするということなので、目指すのは決勝にいって優勝することです。まずは明日も試合があるので一戦一戦大事にしていこうと思っています。