明治神宮大会 11月23日 神宮球場
11月23日、早大にとって9年ぶりの神宮大会(明治神宮野球大会)初戦・環太平洋大戦が行われた。第一試合、第二試合どちらもが延長タイブレークに持ち込んだことにより、第三試合であった早大・環太平洋大の試合前エール交換は16時40分ごろに始まり、既に気温が冷え切った中で行われた。早大ファン以外も巻き込みながら10回まで声援を送り続けた応援部。結果的には4年生最後の神宮応援となったこの試合での雄姿を振り返る。
試合前のエール交換で『フレフレ早稲田』『フレフレIPU』と、文字切りを行う星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)
部員全員が初めて経験する神宮大会。何度も使用している明治神宮野球場とはいえ、通常のリーグ戦とは異なる点がいくつかあり、部員が様々な対応に追われる場面もあった。15時前から球場の通路で待機していた応援部であったが、第二試合の試合状況により1時間以上待機。場内に入った後には、野球部、吹奏楽団、コールリーダー用の座席確保。観客の誘導などに追われた応援部であったが、この一年間で豊富な経験を積んだ各部員がスムーズに対応した。これによって第二試合終了後から15分たたずにエール交換を始めることができた。
『打倒環太平洋大』のハチマキを用意してきた吉田成ノ真旗手(法4=埼玉・早大本庄)
忙しなく始まった試合。先攻の早大は神宮の夜空に応援を響かせる。植木建開副将兼リーダー主務(人4=愛知・千種)による指揮の下、『紺碧の空1番』、『F4〜大進撃』で初回から盛り上げる。吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)が二塁打を放ち、『スパークリングマーチ』で印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)にエールを送るがここは凡退。1回裏は先発の伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)がピンチを背負うが、早大ファンではない観客も巻き込みながら『ファイトコール』や『タツキコール』などで声援を送る。この場面は伊藤樹が踏ん張り、無失点に抑えたが、神宮大会の難しさを感じた初回であった。2回には死球で出塁した前田健伸(商3=大阪桐蔭)が二塁まで進み、二死二塁という好機を演出する。負けたら終わりの神宮大会、この状況から『F1〜コンバットマーチ』を披露。しかし、ここでも無得点に終わってしまう。
担当であった初回にテクを振る植木
3回表。園木俊成連盟常任委員(社4=千葉・県立船橋)が『環太平洋はスケールが大きすぎる』という学注(学生注目)を披露。客席は笑いに包まれるが、打線の方は三者凡退。対照的に、裏の回の守備では一死満塁というピンチを迎える。『GWコール』、『Blue Skyコール』などで伊藤樹の背中を押す。この場面を併殺打に抑え0対0で序盤を終える。4回には、優勝パレードで使用する予定であった提灯を使って応援をするという学注を地本大晴リーダー練習責任者(社4=愛知・東海)が行った。そこで披露されたのはスローテンポな音頭風『紺碧の空1番』。球場に提灯の光が灯る中で印出と前田が出塁。一死一、二塁という好機のなか、『F1〜コンバットマーチ』で盛り上げるが、ここも後続が打ち取られ無得点。両大学の先発投手の好投により0対0で5回を終えた。
学注で提灯を用いた応援の説明をする地本
6回は郷田悠生代表委員主務(文4=岐阜・麗澤瑞浪)を中心に『早稲田健児』、『タイムリーマーチ』、『F6〜SUNRISE』で打線にエールを送るが、この回も無失点。両大学が白熱した応援合戦を見せていたが、両者無得点で終盤を迎えた。8回表。横田圭祐新人監督兼稲穂祭実行委員長(人4=東京・成蹊)の『もう延長は嫌だ』という学注と共に『この回!この回!』という声が部員から飛んでくる。『大進撃』、『F6〜SUNRISE』、『タイムリーマーチ』と共に先取点を狙う早大だが、打線は噛み合わず。両者このまま目立った好機なく9回裏を終え、延長タイブレークに突入した。
回曲の『早稲田健児』のテクを振る郷田
9回に続き、星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)が学注を担当。星野は試合開始時より観客が減っていることに着目し、『プレミア12を見るために帰るのではなく、最後まで応援お願いします』と冗談混じりに呼びかけた。無死一、二塁から始まる10回表。他競技の応援を終え、駆けつけた二星太誠学生動員対策責任者兼広報責任者(商4=東京・三田)が登場。そして、先頭の尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)の打席から『F1〜コンバットマーチ』で球場を包み込む。尾瀬の進塁打の後、山縣秀(商4=東京・早大学院)が犠飛を放ち先制。遠かった1点を獲得し、ようやく得点時に『紺碧の空』を歌うことができた。しかし吉納が三振に倒れ、タイブレークにおいて重要な2点目を取ることはできず。勝利はここまで熱投を続けている伊藤樹に懸かった。
『コンバットマーチ』では見事に揃ったテクを披露
早大の勝利のために全力で声を出す応援部。『シェイクコール』や『GWコール』、『Blue Skyコール』で流れを早大に呼び込もうとする。コールのサインが出ていない時は各部員が思い思いに全力で声を出し、祈った。環太平洋大・猿渡(4年)に同点となる適時打を放たれたものの、『大丈夫、大丈夫』という声が何度も聞こえてきた。一死満塁という状況になり、絶対に後続を抑えたい早大。危機的な状況をいくつも乗り越えてきた伊藤樹を全員が信じて声援を送った。そして投じられた初球は無念にも暴投となってしまい、サヨナラ負け。これが最後の神宮応援になってしまった。
星野は一年間の感謝の思いを観客に伝えた
優勝決定戦と同じく、下級生のように頻繁に場内を巡り、拍手の連打や台に乗って応援をする4年生リーダーの姿が印象的であった。1年間どのような場面でも全力で野球部にエールを送ってきた応援部。限界まで自らを追い込み、選手を後押しするリーダー。演奏技術の向上を追求し、壮大で美しい音色を奏でる吹奏楽団。鍛えられたスタンツや輝く笑顔を見せ、いつも応援席を明るく照らすチアリーダーズ。各パートが一つになり、素晴らしい活躍を見せ、チーム早稲田を体現してくれた。まだ、残っている他競技の応援活動がある。4年生は残りの期間、早稲田のために活動を全うする。
(記事・写真 土橋俊介)
コメント
星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)
ーー明治神宮野球場での応援を終えられた今の気持ちを教えてください
春秋連覇を達成し、全日本大学野球選手権大会、そして明治神宮野球大会の舞台で応援させてくれた野球部の皆さんへの感謝の気持ちで一杯です。
ーー通常のリーグ戦との違い、難しさについて何か感じたことはありますか
明治神宮野球大会での応援は、東京六大学野球での応援とは異なりますので、通常リーグ戦の文化を持ち込まない様に心掛けました。校歌斉唱やエール交換、応援曲の合いの手などを適宜変更いたしました。
ーー試合後の全体集合ではどんなことを話しましたか
下級生の皆んなに、4年間辞めずに続けてほしいと伝えました。
ーー4年間神宮で過ごした時間はどのような時間でしたか
とにかく全力で取り組んだ新人。新人の面倒を見ながら太鼓を叩くプレッシャーを感じた2年生。当番台の上に立って応援席を盛り上げようと努力した3年生。指揮台で応援席をリードした4年生。それぞれに辛くも楽しい思い出があります。何ものにも代え難い、掛け替えのない時間でした。