東京六大学野球春季リーグ戦 5月3日 明治神宮野球場
東大・法大から勝ち点を獲得し、迎えた立大戦。早大応援部は3パート全体で70人を超える新人が加わった。さらに、大型連休も相まって多くの観客で応援席は溢れた。 立大1回戦は伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)が先発。絶対的エースの投球に応援席では何度も「アウトコール」、「ナイスプレーコール」で盛り上がる。早大打線は2回に1死満塁のチャンスを作ると、吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)が犠飛を放ち先制に成功。早大・伊藤は4回までゼロ行進、立大・小畠一心(4年)も4回まで1失点と落ち着いた試合展開となった。 5回、再び試合が動く。『F6〜SUNRISE』が演奏される中、尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)が中前適時打を放ち2点差に。その裏に1点を返されるも、6回には相手のエラーで1点を追加。7回にも相手投手の暴投間にさらに1点を追加し、4ー1とした。
8回裏、越井颯一郎(スポ3=千葉・木更津総合)が登板。しかし、四球を3つ出すと、ボークを取られ1失点。応援席は『健児コール』や『ファイトコール』でピンチに立つ選手たちを励ます。その後、マウンドに上がった田和廉(教4=東京・早実)が2点タイムリーを浴び同点に。『切り替えコール』などで悪い雰囲気を吹き飛ばしたいところだったが、9回裏にもピンチを迎え、サヨナラ打を浴び初戦を落とした。
東京六大学野球春季リーグ戦 5月4日 明治神宮野球場
サヨナラ負けで初戦を落とし、勝ち点獲得に後が無くなった早大。早大応援部は3日の試合後に全体集合を行い、勝ち点獲得へ向けて執行委員を中心に一つになり気合いを入れ直した。試合は2回、『大進撃』が流れる中で先頭の田村康介(商4=東京・早大学院)が真ん中に入ったボールを振り抜き先制のホームラン。追加点を狙う応援部は『F7〜Bloom』でエールを送る。それに応えるように吉田瑞樹副将(スポ4=埼玉・浦和学院)がタイムリーを放ち2点差に。前日からの嫌な雰囲気を消し去るイニングとなった。早大の先発は宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)。昨年よりも球威が増した直球とスライダーでテンポよくアウトをとっていく。しかし4回表に早大は1アウト満塁のピンチを迎える。緊迫した場面に立つ宮城に、応援部は文字切り『がんばれがんばれ誇南』や『ここで抑えろシェイクコール』で背中を押す。ここをホームゲッツーで逃げ切り無失点で4回を終えた。
5回には小澤周平主将(スポ4=群馬・健大高崎)のタイムリーで1点追加。『F6〜SUNRISE』を響かせていた早大応援部は『紺碧(こんぺき)の空』で得点を祝った。さらなる得点のために、『雷轟』、『F1〜コンバットマーチ』そして今年は比較的多く演奏されている『We Winner Waseda』で打者の背中を押す。しかしここは後続に一本は出ず。3点差で終盤を迎えた。先発の宮城はテンポの良い投球を9回まで継続して披露。結果的にこの試合を完封する投球を見せた。勝利の瞬間に応援席は大歓声。勝ち点の行方は3回戦へともつれることになった。
東京六大学春季リーグ 5月5日 明治神宮野球場
勝ち点獲得に向けて早大はエースの伊藤樹(スポ4=宮城・仙台育英)をマウンドへ送った。応援席ではコールリーダーが『今日は守備が大事』と観客に伝えた。試合前に練習したコールを中1日での登板となる伊藤に向けて何度も行った。
試合は2回から動く。早大が伊藤の三塁打で2点を先制するも、その裏に立大が一挙5得点。相手打線に飲み込まれそうになりながら制球に苦しむ伊藤に応援席は全力で声援を送る。3回に立大・山形球道(4年)に三点本塁打を放たれ6点差とされるも応援席は諦めない。各部員が大きな声を出し、応援席の雰囲気を保った。4回には一、三塁という好機で代打・徳丸快晴(スポ1=大阪桐蔭)が打席に立つ。応援部は『コンバットマーチ』とともに決死の『突き』の動きでエールを送る。それに応えるように1年生がライトスタンドへアーチを描き、快晴の神宮球場に『紺碧の空1番』、『得点校歌』が響いた。どんな展開でも選手を応援するということを体現したイニングとなり、その後も連打で1点を追加し2点差とした。応援席は逆境からの勝利への期待感で満ち溢れていた。
4回からマウンドには安田虎汰郎(スポ2=東京・日大三)が上がる。『守備が大事』と銘打たれた応援席からは常に声援が飛び、安田は4〜8回を投げて1失点のみという内容。四球を4つ出したが、その度に応援席から聞こえる『健児コール』とともに粘り、試合を作った。打線は6回に相手の野選で1点を返すが、続く好機二・三塁のチャンスでは走者を返すことはできず、同点とはならなかった。既に14安打を放ち、あと少しで追いつくという歯痒い展開の中で迎えた7回。先頭の尾瀬雄大(スポ4=東京・帝京)が『早稲田大学校歌』が流れる中でヒットで出塁。相手の失策なども絡み1死満塁という状況で打席には代打・田村康介(商4=東京・早大学院)。『コンバットマーチ』、『NEW WASEDA コール』が繰り返される中、田村が放った大飛球は犠飛となり同点に。一時は6点離れていた試合を振り出しに戻した。
大内碧真(スポ3=埼玉・浦和学院)ら内野陣の好守備もあり、7回以降は試合が膠着。9回には昨日先発登板の宮城誇南(スポ3=埼玉・浦和学院)がマウンドに上がり、この回を抑え試合は延長戦へ。プロ併用日且つこの1試合のみのため、延長15回まで、4時間30分を超えると新しいイニングに入らないという決まりのもと延長に突入。宮城が10回にピンチを背負い、『行け立教健児』が球場に響く。そこでコールリーダーが大きな声を出し、守備のイニングこそ声を出すことを呼びかけ、『切り替えコール』や『ファイトコール』で応援席に勢いを持たせる。気迫の投球で宮城が期待に応えこの回も無失点に凌いだ。攻撃では再三の好機を生かすことができずに迎えた12回。代走の山口力樹(スポ3=早稲田佐賀)が三塁に進み、勝ち越しのチャンス。今日一番の声援が山口の背中を押すように、暴投間にホームイン。試合開始から4時間を超えた中で、応援席は歓喜に湧いた。勝ち点獲得へ守備のみを残し、『いいぞいいぞ早稲田』『がんばれがんばれ誇南』の文字切りを行う。先頭打者に出塁を許した後も、声を絶やさず勝利を祈るが立大・丸山一喜(3年)が放った打球はグングン伸びまさかのスタンドイン。劇的な試合は先に立大の校歌を聞く形になった。
一点、一打、一球の重要さを痛感した試合だった。まだまだ成長の余地があるということかもしれないが、どんな状況でも諦めない姿勢を観客に示し、素晴らしい応援席を作り上げた早大応援部は残る2カードでも球場を盛り上げ、勝利に繋げてくれるだろう。
(記事・写真 土橋俊介)