東京六大学野球秋季リーグ戦 11月10日 明治神宮球場
※掲載遅れ、申し訳ございません
前日の1回戦で慶大に完敗し、春秋連覇を目前に足踏み状態となっていた早大。だが、1勝すれば優勝という状態に変わりはない。優勝の瞬間を一目見ようと早大の応援席は昨日に引き続き、満員状態だ。『チーム早稲田』の応援席を実現するべく、指揮台での応援だけでなく、試合前企画や場内応援にもいつも以上に気合が入る。大観衆の中、宿敵の前で春に続き、優勝の景色を見届けるべく応援を先導する応援部の様子を振り返る。
『早慶讃歌』の斉唱が終わり、慶應義塾体育会應援指導部が一塁側で応援を披露する「陣中見舞い」が完了すると試合に向けてボルテージが高まる。エール交換を間近に控えた中、田中愛治総長(昭50政経卒)が指揮台に表れ応援席からは大歓声が起こる。プレーオフ地区シリーズでロサンゼルス・ドジャースが崖っぷちの状況から連勝でリーグ優勝決定シリーズへの進出を決めたことを例にとり、「早稲田もここから2連勝するだけだ」と学注(学生注目)を応援席へ叫ぶ。田中総長の学注に応援席が一丸となり「そうだ!」と返し、応援席は試合前から盛り上がりを見せた。続くエール交換では指揮棒を持った星野聖敬代表委員主将(政経4=東京・早大学院)が吉田成ノ真旗手(法4=埼玉・早大本庄)の掲げる大校旗を先導し、一歩一歩力強く場内を入場した。
外野で「福田旗」を揚げる地本大晴リーダー練習責任者(社4=愛知・東海)
エール交換が終わり、試合が開始される。初回、吉田が学注で「『紺碧(紺碧の空)』歌い足りないよな!」と観客席へ呼びかけ、攻撃開始に合わせ『紺碧の空』が場内に響き渡る。『紺碧の空』に後押しされたかのように早大打線はチャンスを作るとそのまま先制し、吉田の言う通り『紺碧の空』を歌う展開が早速訪れる。
序盤から場内応援でも観客を盛り上げていく。場内では豊島悠(教3=神奈川・桐蔭学園)がマイクを通して観客に応援を呼びかける。「絶叫していきますよ」と豊島が大声を張り上げ、観客に向けて応援を促す。早慶戦で設置される「放送研究会」のスピーカーを通して豊島の「絶叫」が応援席に響き渡る。場内応援では、「『アウトコール』をこのままたくさんやっていきましょう!」「早稲田のナイスプレー見たくないですか?『ナイスプレーコール』やっていきます!」と試合の状況に合わせて下級生が臨機応変に観客へ場内応援を促した。
4年生の応援にも気合が入る。3回の回曲『吼えろ早稲田の獅子』に合わせてチアリーダーが早稲田大学応援部マスコットキャラクター「わーおくん」のお面をかぶって登場。4回に学注を行った郷田悠生代表委員主務(文4=岐阜・麗澤瑞浪)、6回に学注を行った地本の二人は早稲田の応援に関するグッズを身にまとった学注を見せる。親近感のある学注で観客と一体となった応援を披露した。
観客を盛り上げる郷田
1-1で迎えた8回。慶大が勝ち越しのチャンスを迎える。曇った表情が目立ち始めた早大の応援席であったが、応援部はどんな状況でも変わらずに観客を巻き込み選手を鼓舞する。慶大のチャンスメドレーである『ダッシュKEIO』をかき消すかのような勢いで場内応援を行い、マウンドの安田虎汰郎(スポ1=東京・日大三)に観客と一体となったエールを送る。絶体絶命のピンチで1点こそ失ったものの、最少失点に抑え、流れを引き寄せるべく応援を続ける。最後の一球まで勝利を信じて応援を続けたが、逆転はかなわず慶大に2連敗。宿敵相手に勝ち点を落とし、優勝の行方は早大、明大両校による優勝決定戦まで持ち越されることとなった。
早大に点数が入り、熱い抱擁を交わす2人
試合後のセレモニーでは昨日同様、『えんじの唄』『早稲田必勝応援曲メドレー』『紺碧の空』『早稲田大学校歌』が演奏された。校歌の指揮・センターリーダーを務めた星野は「今日試合を見に来てくれた4年生にとっても最後の早慶戦だから、一緒に歌いたい」とセレモニーまで残った4年生の早大生を指揮台いっぱいに登らせ、校歌を演奏した。
宿敵相手にまさかの2連敗を喫し、優勝を決めることができなかった早大。だが、試合後のセレモニーで豊島が「俺たちは絶対にいける。こんなもんじゃ挫けないぞ!」と叫んだ通り、このままでは終われない。絶対に負けることが許されない優勝決定戦において、応援部そして応援席の声援は野球部にとってかけがえのない力となるはずだ。令和6年度早稲田大学応援部の応援はまだまだ続く。
(記事 橋本聖 写真 井口瞳、土橋俊介、早崎静、河野紗矢)