いよいよやってきた早慶戦第3回戦。泣いても笑っても最後の神宮となる4年生を筆頭に『一丸』となったエールを送り続けた。永田新代表委員主将(教4=静岡・掛川西)が早慶戦前に語ったように早稲田全体が心を一つにした『一丸』となった応援席がそこにはあった。
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初回、先頭の走者を出すと三塁側・慶大応援席からは歓声が起きる。流れを早速奪われそうなこの場面で丸尾隆三郎リーダー庶務(商4=広島・尾道北)がすかさず『ダイナマイトマーチ』を披露。このカード何度も窮地を救ってきた『ダイナマイトマーチ』で先発・加藤孝太郎(人4=茨城・下妻一)を後押しする。2死を取って「守備の神様は我々を味方している」と丸尾が応援席を鼓舞した。その後、早大は満塁のピンチを招くが、丸尾は「この守備回は俺が一番楽しんでいる」と不安の色を一切見せずに『ダイナマイトマーチ』を続ける。早大がどんなにピンチであっても無失点で切り抜けることを確信した応援で、満塁のピンチを切り抜けた。
ピンチで声を張り上げる丸尾
2点を3回に先制され、なおも追加点のピンチを招いた4回にはより一層大きな『GWコール』や『シェイクコール』で一球ごとに加藤に大きな声援を送る。走者を2人置いた場面で、前の打席で先制本塁打を浴びている慶大・廣瀬隆太(4年)を前に間垣皓介旗手兼新人監督(スポ4=宮城・仙台一)が、もう1点もやらんとばかりの『ダイナマイトマーチ』を見せる。ピンチをしのぐと攻撃回では、この日応援に駆け付けた田中愛治総長(昭50政経卒)が指揮台に上がり学注(学生注目)を披露。総長の登場に応援席は大きな盛り上がりを見せた。
6回にはリーダー3年生が一斉に指揮台に。この東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)、4年生の魂こもった応援は勿論だが、リーダー3年生の持ち回で流れを変えた場面も多くあった。この日も、リーダー3年生の持ち回でチャンスを作るとリーダー3年生4人が一斉に『コンバットマーチ』を突く。そして入れ替わるようにリーダー4年生が一斉に指揮台に飛び乗り、『コンバットマーチ』を披露。リーダー3年生とリーダー4年生の『コンバットマーチ』でチャンスを拡大すると、早大が1点を返し反撃の機運を高める。この日初めての得点時『紺碧の空』に早大応援席は大いに盛り上がる。
6回に指揮台に上がるリーダー3年生
このまま逆転を迎えたいところであったが、この回から登板した早大の救援陣がつかまり、追加点を許す。終盤に追加点を許し、思わずため息が漏れる応援席であったが、小野泰助副将兼リーダー練習責任者(文4=群馬・沼田)が「早稲田がこんなところで終わるわけないだろ」「こんなところで沈んではならない」と観客席を鼓舞。なおもピンチを招くが、「こういう時のために我々がいるんだ」「明るい顔をして攻撃回を迎えよう」と早稲田の逆転を信じ、決死の学注。小野の思いが届いたのか、直後の攻撃回では小澤周平(スポ2=群馬・高崎健康福祉大高崎)の三塁打から始まり、チャンスを作ると9名のリーダーが魂を振り絞るような『コンバットマーチ』を繰り出す。この日一番の迫力を見せた『コンバットマーチ』に打線はつながりを見せる。応援部の決死の応援。観客の歓声。それに応える野球部のプレー。すべてが一つになり、『一丸』となった神宮の一塁側。2点を返し、大歓声が神宮の杜に響き渡る。
『コンバットマーチ』を一斉に突くリーダー
いよいよ大詰めを迎えた8回、満を持して永田が指揮台に上がる。アウトを一つとるたびに学注で熱い言葉を投げかけ、迫力ある『ダイナマイトマーチ』でリードしている慶大に流れを渡すことなく攻撃回へ。攻撃回では『紺碧の空』をずっと歌い早稲田の反撃を信じた。最終回には三塁側応援席から慶大の第一応援歌『若き血』が流れるが、対抗して『紺碧の空』を歌う一塁側応援席。そして、「慶應の攻撃なんて『ダイナマイトマーチ』でかき消すぞ」と永田が呼びかけると、応援席全体で立ち上がって『ダイナマイトマーチ』を見せる。神宮で何度もドラマを見せてきた『ダイナマイトマーチ』を最後まで響かせ続けた。しかし、勝負の神様は時に残酷である。早大・森田朝陽主将(社4=富山・高岡商)のバットが空を切り、慶大・森下祐樹(4年)の投じた最後の1球が捕手のミットに収まると目の前で歓喜の渦が作られ、早大はそれをただ見つめることしかできなかった。当然悔しさしか浮かばない早大応援部だが、永田は普段と変わらず指揮台に上り、三塁側応援席を見つめ、最後の校歌・塾歌斉唱に備えた。神宮最後の校歌を振り切ると試合後セレモニーへ。
神宮最後の校歌を振る永田
試合後セレモニーでは「感動をありがとう」のパネルと共に『紺碧の空』を歌うと野球部も応援席に向かって、『紺碧の空』を、肩を組んで歌った。形は違えど神宮で美しく散った野球部と応援部をまさに『紺碧の空』が称えているかのような光景はいつまでも脳裏に焼き付く美しさだろう。
『紺碧の空』を振る応援部と応える野球部
神宮最後の応援で目の前で優勝を逃しただけでなく、最大の宿敵に歓喜の胴上げを許した4年生の悔しさは計り知れない。それでも最後まで声を枯らし、神宮にこだました4年間の勇志は一生消えるものではない。最後の神宮を終えて、引退を迎える代交代式までは、約1ヶ月半となった。完全燃焼をして、「承け継ぎて輝く」4年生がそこにはいる。
(記事 橋本聖、写真 雲田拓夢、横山勝興)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません。
※選手のコメントは後日別記事にて掲載いたします。