演奏旅行が4年ぶりに復活! 東北の地で早稲田の今を届ける

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 演奏旅行が4年ぶりに帰ってきた。早稲田大学では、1980年台までを中心に地方都市で演奏旅行を実施。地方の人々に現役学生のパフォーマンスを披露する場となっていた。その演奏旅行はしばらくの休止を挟み、2018年に東海地方で復活。2019年は九州地方を舞台に開催され、2020年は東北開催が予定されていた。しかし、新型コロナウイルスの影響から3年間延期。今年ついに福島県郡山市、山形県山形市、宮城県仙台市、岩手県盛岡市にて念願の開催となった。早大唯一のビッグバンドサークル「High Society Orchestra」、120年以上の歴史を誇る「早稲田大学グリークラブ」、そして早稲田大学応援部の各団体が約40分ずつステージを披露。東北の早稲田ファン、そして早大入学を目指す中高生に早稲田の今を届けた。終了後には、中高生向けに進学交流会も実施。東京での大学生活を送る出演者が中高生一人一人と向き合い、相談に乗る姿が見られた。

※本記事では、8月18日開催の山形演奏会についてお伝えいたします。

 演奏旅行のトップバッターは「High Society Orchestra」。『Take the “A” train』『Little Brown Jug』『Satin Doll』『Moon River』『I’ll never smile again』からなる計5曲のジャズの名曲を届ける。上質で大人な雰囲気を感じさせるその音色に観客も酔いしれた。続いては「早稲田大学グリークラブ」。東北開催にちなんで『最上川舟唄 山形県民謡』『斎太郎節 宮城県民謡』を選曲し、計9曲を披露した。さらにアンコールでは、学生歌『早稲田の栄光』も合唱。「我等の早稲田」――。早稲田の一体感を感じさせる歌詞で締めくくられ、観客は万雷の拍手で讃えた。

 そして、3番目として登場したのが早稲田大学応援部である。秋季バンド演奏曲『青と夏』によるチアリーダーズ演技から開始された。夏らしく、はつらつとした雰囲気を思わせる音色が流れる中、チアリーダーズの笑顔も弾ける。4年生8人をはじめ計18人が華やかなダンスとスタンツで観客に元気を送り届けた。続いて行われたのは校旗入場である。1階客席後方にそびえ立ったのは新黎明旗。ステージ上まで入場したのち、間垣皓介旗手(スポ4=宮城・仙台一)による昇り龍が披露された。東北の地で久々に校旗が舞う。太鼓の音と共に旗を下ろすと、客席からは盛大な拍手が送られた。校旗が登場した後は、第一応援歌『紺碧の空』。山形県のネタを取り入れた紹介と共に登場した小野泰助副将(文4=群馬・沼田)がメリハリあるテクを振り切った。

昇り龍を披露する間垣

 伝統の勝利の拍手では、永田新代表委員主将(教4=静岡・掛川西)が拍手を初披露。引き締まった表情、静寂と連打を繰り返す拍手、勇ましい声からは緊張感が漂う。三拍子、四拍子、一拍子、二拍子を経て明転し、最後は「勝ったぞ 勝ったぞ 早稲田」と勝鬨(かちどき)の声を上げた。リーダーによる演舞はまだ続く。演奏旅行では恒例の演目となっている『人生劇場』は、「早稲田大学第二校歌」とも称される、早稲田にあり続ける名曲。昭和初期の尾崎士郎原作の小説『人生劇場』より作成され、口上や歌詞には古き日本の雰囲気が漂う。宮下陽三代表委員主務(社4=長野・屋代)による口上と、後方の下級生も含めた全員での歌唱を繰り返す。「学びの庭は 早稲田なり」――。新旧の早大生が、その学府の存在を意識させられる瞬間となった。リーダーを中心とした荘厳な演目が終了すると、応援曲メドレーへ。おなじみの『大進撃』『スパークリングマーチ』『コンバットマーチ』に、福島出身で『紺碧の空』作曲者でもある古関裕而作曲の応援歌『永遠なるみどり』を加えたスペシャルバージョンで披露した。「受験生、応援しているぞ!」と叫んだ永田の学注(学生注目)に始まり、メドレーは進行。2度目の『コンバットマーチ』はファンファーレの『F1』を含めない構成での披露となった。最後はやはりこの曲、校歌である。3団体の出演者一同がステージに集い、観客も起立。会場の全員が肩を組み合い、合唱する。中心では永田が指揮。これまで早稲田を存分に味わった会場全体が最後は一体となり、演奏旅行は終了した。

伝統の勝利の拍手を披露する永田

『人生劇場』を披露する宮下

応援曲メドレーを披露する応援部3パート

校歌を合唱する出演者一同

 継承と革新を続ける早稲田のパフォーマンスが存分に発揮された演奏旅行となった。出演者は4日間で4公演のタイトスケジュール。それでも、各地で演目を全うし、観客に元気を送り届けた。応援部にとっても4年ぶりのブランクを感じさせない演奏旅行となった。昭和初期から早稲田に根付く演目から、平成初期にかけて登場した応援曲によるメドレー。そして、最後は全早稲田人の心が一つとなる校歌で締めくくった。「集まり散じて」――。また次の行事で新旧の早大生が一堂に会し、心を一つにする。

★進学交流会を実施! 未来の早大生に寄り添う

 公演終了後には、中高生を対象に進学交流会を実施。3団体の出演者が学部ごとのブースに分かれ、個別相談に乗った。早大には、地方出身の学生も多数在学。受験相談をはじめ、一人暮らしなど、東京での大学生活について熱心に話し込む姿が見られた。三品遥香チアリーダーズ会計責任者(教4=東京・富士見)による進行ののち、最後は永田の指揮による校歌で終了。地方学生との交流を深める貴重な機会となった。

進学交流会の様子

(記事、写真 横山勝興)