11月3日・文化の日。早慶戦を2日前に控えた早稲田大学応援部と慶應義塾大学應援指導部が今年最後のデモンストレーション(デモスト)を実施した。日吉キャンパスで昼休み時間に実施されたデモストには、祝日ということもあってか、塾生以外にも多くの観客が来場。4年生にとっては最後のデモストで観衆と共に盛り上がり、応援の『原点』に立ち返るかたちとなった。わずか30分間ではあったが、両校おなじみの応援歌と応援曲でステージをつくりあげ、今年最後のデモストを無事に終えた。
塾生が昼休み時間を迎えた12時15分。中庭で校旗と塾旗が掲揚され、デモストが幕を開けた。最初に披露されたのは早稲田の第一応援歌『紺碧の空』。センターリーダーを務めたのは、梶野優介連盟常任委員(創理4=東京・早大学院)だ。デモストで『紺碧の空』を振るのは最後となり、テクにも一層力がこもった。続いては慶應の第一応援歌『若き血』。こちらも連盟常任委員のY.T(慶應・4年)が指揮に立ち、テクを振り切った。早稲田のリーダー下級生やマスコットキャラクター・わーおくんは前へと飛び出し、観客を盛り上げると、チアリーダーズ4年生はその横でダンスを見せ『若き血』に花を添えた。
『紺碧の空』を振る梶野
両校の第一応援歌の次には、早稲田必勝応援曲メドレー。玉城大基学生誘導対策責任者(基理4=沖縄・昭和薬科大付)が学注(学生注目)で先陣を切る。慶應のことは大学受験期から眼中になかったと豪語し、早慶戦での2連勝を約束した。メドレーは今秋から登場した新応援曲『暁』で幕を開ける。その曲名通り、決戦の日の夜明けを感じさせるこの曲では「ユニフォームセット」を身にまとったチアリーダーズ4年生12名がダンスを全うした。続いてステージでは『大進撃』『SUNRISE』『Bloom』『スパークリングマーチ』の4曲をセンターリーダーのリーダー4年生を中心に披露。センターリーダーを務めていない早慶の部員は再び観客のもとに近づき、拍手で盛り上げた。メドレーを締めくくるのはもちろんこの曲、『コンバットマーチ』。塾生にとってもおなじみであろうこの曲で、リーダー4年生8名が一斉の突きを見せた。早稲田が応援曲メドレーで魅せれば、慶應はチャンスパターンメドレーで魅せる。『突撃のテーマ』『コール慶應』『ダッシュ慶應』をはじめとした応援曲で塾生の慶早戦への士気を高める。しかし、早稲田も負けていない。『突撃のテーマ』では「かっとばせ かっとばせ 慶應」の歌詞に「かっとばせ かっとばせ 早稲田」、『ダッシュ慶應』では「ホームラン ホームラン 慶應」の歌詞に「ホームラン ホームラン 早稲田」をかぶせて対抗する。また、両校の4年生部員も前へと飛び出し入り乱れると、おのおのが観客のそばに駆け寄って共に応援を創り上げる。新型コロナウイルスの影響でしばらく見ることのなかった、デモストでの観客との触れ合いが復活していた。
学注を叫ぶ玉城
『コンバットマーチ』でセンターリーダーを務めるリーダー4年生8名
最後のデモストも終わりへと近づくと、塾歌を斉唱。これまでの感謝を胸に、応援企画責任者の乃坂龍誠(慶應・4年)が中心で指揮を振ると、両校全員で塾歌を歌い切った。最後には「フレフレ慶應」「フレフレ早稲田」の文字切りで互いの健闘を祈願。早慶戦が実施される明治神宮野球場への来場が呼びかけられた。
4年生にとっては最後となった今回のデモスト。そこには、両校を代表する応援歌と応援曲で観客との交流を楽しむ部員の姿があった。新型コロナウイルスの影響で2年半にわたり開催が中止され、2019年以来の復活を果たした今年のデモスト。復活後も観客との接触が禁止されることが多かったが、最後の最後でデモストの「原点」回帰を果たした。両校が次回顔を合わせるのは今週末の明治神宮野球場、華の早慶戦。応援部と應援指導部はいよいよ最後の大一番を迎える。
(記事 横山勝興、写真 横松さくら、近藤翔太)
コメント
西田健太朗新人監督(教4=愛媛・愛光)
――最後のデモストを終えて感想はいかがですか
稲穂祭も終わって、4学年しっかりとまとまった感じはありました。
――この秋はデモストをたくさん開催できたと思います。そちらについてはいかがですか
相手校がどんな人たちなのか知るのはすごく大事で、相手を知っているか知らないかで応援部のモチベーションも変わると思うので、下級生も(相手校の人と)交流ができて良かったのではないかと思います。
――観客の皆さんと交流されている姿が印象的でした。観客との交流を振り返っていかがですか
距離が近かったです。早稲田とかでは距離を気にしていましたが、下級生も一人一人しっかりコミュニケーションを取れていました。4年生もそうですし、下級生もいい場内ができたかなと思っています。
――『Bloom』でのセンターリーダーを振り返っていかがですか
「慶應ぶっ潰すぞ」という気持ちだけで、あとはかっこいいテクを振りたいなと思って振りました。
乃坂龍誠応援企画責任者(4年・慶應)
――最後のデモストを終えて感想はいかがですか
人生の最後のデモンストレーションということで高ぶっていた部分があるのですが、さまざまな方に来ていただいて、慶早両校で良い雰囲気を伝えることができ、慶早戦の魅力を伝えることができたかなと思い、とても感慨に浸っております。
――この秋はデモストをたくさん開催できたと思います。そちらについてはいかがですか
大学の皆さんであったり、いろいろな方のご協力があって、このような状況の中でも行わせていただけるようになったことに非常に感謝をしながらも、許されたことの中でしっかりと魅力を伝えていく使命感、責任感を非常に感じながらやっております。
――観客の皆さんと交流されている姿が印象的でした。観客との交流を振り返っていかがですか
いろいろな方への感謝とか支えてくださった方、特に先輩方への恩返しという気持ちも含めて持って、慶應義塾の良さ、慶早戦の良さが来てくださった方により伝わるような指揮ができたかなと思います。