早慶戦前夜祭、稲穂祭開幕! 集大成へ

応援

 東京六大学野球秋季リーグ戦の早慶戦前夜祭である伝統の稲穂祭が大隈記念講堂で開かれた。昨年に引き続き、オンライン配信での開催。応援部と野球部をはじめとした横のつながり、先輩から後輩に意志が受け継がれる縦のつながり、まさにオール早稲田の演出が光った。最上級生リーダー6人を中心に、野球部の逆転優勝と自身の集大成に向けた熱い応援が講堂内に響き渡る晩秋の夜だった。

 壇上にリーダーとチアリーダーズが並び、緊張感の中、「待ってろ慶應」のコール。そして薗田将直代表委員主将(法4・早大学院)がセンターリーダーを務める校歌から稲穂祭は幕を開けた。嶋ノ内源旗手(人4・石神井)によって今年の春季リーグ戦から代替わりした新しい第一校旗が掲げられ、早稲田の歴史と未来を感じさせられた。最初の応援歌は『紺碧の空』。実行委員長も務める渡辺来夢(文構4・春日部)がリーダー下級生を率いての圧巻の応援だった。早慶戦を歌う『ひかる青雲』、『BlueSkyWASEDA』に続き、投票で選ばれた応援歌5曲をメドレーで披露。講堂内の熱気と高揚感はさらに高まった。各曲雰囲気の違う照明の演出もさることながら、6人のリーダー4年生がリレー形式で全力の応援をつないでいく様は壮観で引き込まれた。普段は体育各部をはじめとした主役を盛り上げる脇役に徹しているが、脇役には惜しいほどの重厚で洗練されたパフォーマンスをしていることを再認識させられる。

鋭い視線で拳を突き出す渡辺来夢(文構4・春日部)

  続いては早慶戦では両校揃って歌われる伝統の『早慶讃歌』。早慶戦の元祖である野球部の大一番を前に熱のこもったパフォーマンス。その後、野球部へのエールを送るオンライン企画が実施された。早慶戦の元祖である野球部に向けて体育各部、学内サークル、早稲田の飲食店などから必勝のエールが届けられ、オール早稲田の広いつながりを目の当たりにした。渡辺実行委員長は「僕たちの思いにまた他の人が応えてくれる。それにまた僕たちがステージを作って応えていくという相互性を大事にしました。」と語った。

全力の応援を見せる薗田将直代表委員主将(法4・早大学院)

 稲穂祭も佳境を迎え、第20回稲穂祭で発表され、半世紀ぶりの復活となった『勝利の賛歌』を披露。明石慶希副将(文4・白鷗)のセンターリーダーで「さあ肩を組め」の歌い出しから始まった。舞台はシンプルな白色照明で明るく照らされ、昔と変わらない応援の姿と想いが壇上に浮かんだ。『新人哀歌』とともにリーダー新人を紹介し未来を託しつつ、4年生は激動の日々を振り返った。先輩から後輩への継承を演出上の重要なテーマに掲げ、4年生の優しさと下級生への期待が表れた一幕であった。最後に神宮球場でもなじみ深い応援曲メドレー。普段、他の体育各部を盛り上げるリーダーに唯一スポットライトの当たる稲穂祭。覇気に満ちた応援で集大成の輝きを見せた。4年生リーダー6人が一列に並び、拳を突き出す様に早慶戦への意気は高まるばかりだった。大興奮の中、「本番は早慶戦、そして優勝すること」の力強い覚悟の言葉とともに稲穂祭は幕を閉じた。

応援部は4年生リーダーを中心に輝きを放った

 応援部には体育各部の試合に駆けつけ、観客の音頭を取る早稲田の学生という立場上、広いつながりがある。だからこそ伝統をも背負い、早稲田全体を巻き込んで力を与えることができる。「挑戦」をスローガンに掲げてその役割をどん欲に果たしていこうという心意気が稲穂祭全体から肌で感じられた。応援部はもとより早稲田一丸で、全身全霊で、早稲田を盛り上げ、野球部を秋季リーグ戦逆転優勝に押し上げたい。

※掲載が遅れてしまい、申し訳ありません

(記事 有川隼翔、写真 宮島真白、有川隼翔)

コメント

渡辺来夢(文構4・春日部)

――まず稲穂祭を終えての感想お願いします

月並みですが無事終われて良かったです。下級生、他の4年生、観てくれた方々が見る前と見た後で特別な変化がそれぞれに残ればいいと思っていました。自分の気持ちを下級生に押し付けるのではなく、自分が好きで全てやったことなのでそれが後輩たちやいろんな人に届いたらいいという思いだけでやってきました。とにかく形として終えられたことは良かったと思います。

――今年はリーダーのテーマが「挑戦」でしたが、稲穂祭で果たすことはできましたか

果たすことができたと思っています。一番は自分自身への挑戦で、この稲穂祭を作り上げることが一つの大きな挑戦でした。はじめに決めたと言うわけではなく、やりたいことが多くある中で、何か一つ軸になるテーマがあったほうがいいと思いました。いろいろな要素を考えたときに、新しいこと、歴史や伝統などのすべて挑戦する思いが出ました。もちろん早慶戦前と言うことで春のリーグ戦1位の慶應に対する挑戦という部分もあります。このように後からこれだと決まっていったというところですね。

――普段は縁の下の力持ちですが、自分たちにスポットライトが当たる唯一のステージとしていかがでしたか

応援部らしくないかもしれませんが、もっと僕たちが前に出ることで何か力になれる、変わることがたくさんあると思っています。いつも縁の下の力持ちと言ってはいますが、ただずっと縁の下にいるだけの存在では駄目だと思っています。自分が稲穂祭を作るに当たってそれを大事にしました。特に2年生や2年生は誰かに褒めてもらうことが少なくて、内部の4年生に評価してもらうだけのことが多いです。4年間やってきて去り際だから言えることですが、自分達のがんばりや魅力に気づいて伸ばしてほしいし、もっと大きな存在に自信をもってなってほしいです。下級生をポスターや映像に載せて、自分たちが多くの人に見られていてこれだけ評価されるべきだ、と去る人間として、本人たちに届くと願ってやりました。

――最後に早慶戦への意気込みをお願いします

本当に早慶戦に勝てないと稲穂祭が失敗と言っても過言ではありません。このステージで終わりではなく、本番で優勝してやっと稲穂祭が成功だと思いますので、そこまで実行委員長として気合を入れていきます。