6月29日、府中の森芸術劇場どりーむホールで六大学合同演奏会は開催された。東京六大学の吹奏楽団とチアリーディングが合同でパフォーマンスを行うという合同演奏会も今年で45回目となる。早大応援部もこの合同演奏会に参加し、大学の枠を超えた演技を披露した。応援部3パートのうち、チアリーダーズと吹奏楽団で作り上げる屋内でのステージ。その出来栄えは想像をはるかに超える素晴らしいものとなった。
第1部は吹奏楽のステージだった。最初の曲は『吹奏楽のための文明開化の鐘』。アップテンポの曲調で合同演奏会の幕開けにふさわしい。次の『天馬の道』はダイナミックで勇ましい演奏に。最後の『With Heart and Voice』は元が賛美歌ということもあり、落ち着いた部分もテンポの速い部分もある曲調の変化が激しい曲だ。これも完成度の高い演奏となり観客を魅了。全体的には壮大で迫力があり、六大学の吹奏楽の技術が全て詰まったような演奏だったといえる。こうして第1部は最高潮の盛り上がりを見せ、幕を閉じた。
第1部のステージでは吹奏楽団の技術力が光った
第2部はチアリーディングステージだ。スタンツ隊、カレッジ隊、ルーティーン隊といった構成でパフォーマンスは行われた。『六大学の同期を大切に』といったスローガンがあったように、六大学のチアリーディングの絆が見られた演技となる。序盤のスタンツ隊はMrs.GREEN APPLE『青と夏』の曲にのせて完成度の高いスタンツやジャンプを繰り出した。息のあった技に大きな歓声が何度もあがる。カレッジ隊はE-girls『Candy Smile』でのパフォーマンス。キレのあるチアダンスは会場を盛り上げた。華麗なツイストや横並びでの足上げに観客は圧倒される。次は3年生のみで構成されているルーティーン隊。ことしからの新しい隊というプレッシャーもある中、全くそれを感じさせない圧巻のパフォーマンス。アリアナグランデの曲にのせて高いトスからの空中ジャンプなどの難易度の高い技が決まっていく。格好良さと可愛さを兼ね備えた演技に3年生の意地がみられた。最後はチアリーダー130人での迫力のあるパフォーマンスで第2部は締めくくられる。
第2部チアリーダーズステージでは大人数での迫力も
第3部はドリルステージ。4つのパートに分かれた構成であった。パートごとの作り込まれた世界観は一つの物語に入り込んだような錯覚に観客を陥らせる。ドラムメジャーが上手、下手の両端の壇上に上がるとパフォーマンスが始まった。その手の動きに合わせてドリル隊が複雑な体系移動を行う姿は観客の目を離さない。だが、素晴らしかったのはドリル隊だけではない。カラーガードが旗を器用に回し、投げるなどの大技を繰り出すと大いに会場は沸いた。また、今回は衣装も見どころである。それぞれの世界観に合わせてカラーガードは衣装や旗を何度も変え、ステージの雰囲気を作り出す。ドラムメジャーとドリル隊のカラフルな衣装も演技に華を添えた。特に『Closer ALEXANDER’S RAGTIME BAND』はドリルステージの集大成となるパートだ。後半にかけて盛り上がりをみせる曲は見ている観客の高揚感も沸き立たせる。最後、大学ごとの応援歌を入れたパフォーマンスで締めくくられると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
ドリルステージは普段の応援では見られない
最後となる第4部は吹奏楽団による演奏。『リトル・マーメイド・メドレー』『Miracle Shot』『ラプソディー・イン・ブルー』という誰もが知る楽曲に合わせながら、高い技術力を披露。また、この第4部は特にソロでのパフォーマンスが多く目立った部であった。サックス・フルート・トランペットなどの楽器が舞台でピンスポットに当たりメロディーを奏でる。曲に合わせたソロの旋律に観客は酔いしれた。そして、手拍子などの観客を巻き込む演出も。『聴く演奏』から『ともに楽しむ演奏』と変わっていくステージ。3曲全てが合同演奏会のフィナーレを盛大に飾った。今回、計4部全てが六大学の枠を超え、息のあったパフォーマンスであったと振り変えることができるだろう。互いにライバルでありながら、合同演奏会では同じ六大学の仲間として演技を行う姿は見るものの心を打つ。早大応援部としても、今回の経験が今後のパフォーマンス向上に役立つのは間違いない。これからの応援部にさらなる期待がかかる。
(記事 高橋さくら、写真 市原健、岡秀樹、橋本和奏)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
菊池真由CS(チアスタッフ※1)(政経4=千葉・市川)
――ステージを終えて、感想などありますか
私は、表方としてではなくて、2年生をサポート、演技を作った側での出演だったのですが、今まで2年生から3回でた演奏会の中で、一番心に残る、思い出に残る、ステージで、本当にここまで頑張ってきてよかったな、という気持ちでいっぱいです。
――表方、裏方、について意識した役割分担などありますか
表方が36人いたのですが、全員が全員輝ける場所、主役になれるようなステージにしたいねと、もう1人と話していて、そこをすごく意識して、あとは楽しくやれるというのをすごく意識していました。
――このステージまでの練習期間はどれぐらいでしたか
だいたい三ヶ月半ぐらい毎週木曜日に練習を行なっていました。
――他の大学との練習で大変だったことなどありますか
大学ごとによって予定が合わないことがあって、全員揃って練習を行うのがちょっと難しかったな、というのがあってスタンツの特性上人が揃わないと上げられないのでそういった点で調整するのは、少し難しかったかなという風に思います。
――今年からルーティン隊、というのが新たに名前を冠して導入されましたが、そのことによってステージにどのような影響がありましたか
今まで2年生と3年生の差というのが技術力の差しか見られなくて、結構似たような演技構成になってしまっていたんですけど、今回ルーティン隊ということでがっつり音楽もJ -POPじゃなくて洋楽とかノリノリの大会っぽい演技構成にしたことで技術力の向上につながったかな、という点と、2年生と3年生の違いがあるという点で、ステージに変化がつけられたかなっていう風に感じています。
――選曲についてこだわりはありますか
私は、最初の方の2年生の方を担当させていただいたんですけれども、2年生らしいフレッシュさっていうのとスピード感を意識した選曲にしました。
――3年生の演技の中などで、難易度の高い技を導入されていたと思うのですが、出来栄えはいかがでしたか
本番が一番出来が良かったぐらいに、もう、本当に良い出来で、舞台袖から見ていて、思わず涙がこみ上げてくるようなすごくいい演技ができたかな、という風に思います。
丹野梢DM(ドラムメジャー※2)(文4=千葉・市川)
――ステージの感想をお願いいたします
はい、まずは出演者自身が楽しめたステージだったと感じています。六大学の仲間が集まってそれぞれの大学ごとのカラーをまとめて、本番で全てを発揮できたステージだったと思います。
――目標としていた演奏はどのようなものでしたか
演奏会自体のテーマが「咲き誇れ」というものだったのですが、出演者である表方と、それを支える裏方全員で咲き誇ることです。個人的な目標としては、六大学の演奏や演技を見て、私たちのファンが増えればいいなということを目標としていました。
――合同演奏会を通して最もこだわっていた点を教えてください
お客さんの心に響かせるために、抜くところは抜いて、インパクトを持たせるところは持たせるというのを意識していました。
――他大学との連携をとる中で大変だったことはありますか
はい、六大学が集まっているということで、価値観だったり意見だったり異なる部分があって、それをまとめるところが大変でした。ですが、まとめられたからこそ大きなパワーになったと思うし、私たちの糧になったのではないかと思います。
――ドラムメジャーとして、早大と他大学で異なる点があれば教えてください
まず練習方法が全然違ったりとか、ドラムメジャーの仕切り方も違う点が多かったです。とまどうことは多かったですが、自分も見習おうと思ったし自分の軸を曲げないようにということも意識していました。
――早大のドリル隊の人数は何名ですか
合計8名出ました。
――ドリル隊の選曲について教えてください
今回のドリル隊の選曲は、テーマをアメリカにしていました。最初に『キングコング』は決まっていたので、それに合わせて最初に思い浮かぶのはニューヨークのエンパイアステートビルだという意見がでました。そこから、『Opener Shut up and Dance』の曲だったり、『Guard Feature CHICAGO collection』の選曲をしました。
――最後に、同期や後輩に向けて一言お願いいたします
はい。今回、六大学の同期が頼れる人たちばかりでありがたかったです。後輩たちは今まで合同演奏会に出てきて3年目なんですが、裏方として出たことで一人一人と向き合えたので、それぞれに思い入れがある貴重な思い出ができました。ありがとうございました。早大に関しては、合同演奏会で学んだことを活かして、定期演奏会に向けて一緒に素敵なステージを作っていきましょうと伝えたいです。
三村舞GC(ガードチーフ※3)(文構4=神奈川・鎌倉女学院)
――まずはステージでのカラーガードの役割について教えてください
マーチングの中で、曲に合わせて旗を振ったりライフルなどを回したりします。吹奏楽団内ではあるんですけれども、身体を使って音楽に華を添えるという役割を担っています。応援部の吹奏楽団は、座奏と競技の応援とマーチングステージという3種類の活動をしていて、その3つの活動を日ごとによって、状況によって行っています。
――合同演奏会にはどのような意気込みで臨まれましたか
そうですね、早稲田だけでやっているのではなくて、東京六大学で集まってやっているので、各大学の長所や短所が合わさって一つのステージを作り上げているという意識を持つというのが意気込みでした。
――カラーガードとして目標としていた操作はどのようなものでしたか
絶対に揃える、ということと、音に合わせて表現するかというのが目標でした。
――合同演奏会に向けてどのくらいの期間練習されましたか
4月の頭からきょうまでですね。約3カ月間。みんなで時間を作って集まって。六大学で時間を合わせて、全員で集まって練習しました。合同演奏会では、ドリル隊、演奏隊、マーチング隊に分かれていたので、それぞれが自分の希望する隊を選んで入っていました。
――出演されていた早大のカラーガードは何名いらっしゃいましたか
4名です。
――六大学全体では
18名です。
――バリエーションに富んだ衣装が見られました。衣装替えなどはありましたか
私はガードチーフという立場で構成を組み立てるという立場だったのでありませんでしたが、実際に振ったりするメンバーは曲に合わせて衣装を替えていました。
――選曲はどのような意図を持ってされましたか
んー。ミュージカルや映画音楽から選ぶことが多いのですが、今回のテーマは『キングコング』でした。あまり知られていない中でも表現がしやすいのでそれにしました。
――カラーガードで使用されていた、ライフルやハットなどの小道具について教えてください
六大学で機材を持っているので、そういうものを持ち寄って使いました。
――第3部の最後が早大の校歌で幕を閉じました。なぜそのような終わり方だったのでしょうか
六大学の応援団連盟でこの合同演奏会を企画しているんですが、毎年当番校というものがあって、その大学が中心となって運営しています。繋げる意味も込めて毎年次の年の校歌や第一応援歌を演奏します。今年は東大、来年は早大なので、今回の合同演奏会第3部は早大の校歌で締めました。
――今後へのカラーガードとしての意気込みをお願いいたします
そうですね、実際に六大学で集まるのは年に一度なんですけれども、それぞれの学校が冬に定期演奏会があるので、それに向けて、演奏会で培ったものをどういう風に活かして行くのか、きちんと活かしていくというのが意気込みですね。
中川友萌子(政経4=神奈川・日本大学藤沢)
――六大学の演奏となりましたが、連携を取る中で大変だったことはありますか
文化が違うので同じような練習をしても方法が違うので、色々な練習方法を学べたのですが、顔見知りじゃない人とやったので、最初は少し辛かったのですが、だんだん打ち解けて行って、解決していく過程が見られたのでよかったです。
――練習期間はどのくらいですか?
各パートは3月から、全体は4月からの3ヶ月間だけでした。
――どのようにして選曲しましたか?
12月に指揮者が集まって決定します。曲候補だけではなく、一番最初にどのような曲をやりたいか、最後どのような曲で締めたいかを話し合いながら決めて行ったので、まとまりのある演奏会になったのかなと思います。
――他の吹奏楽団とは異なる、応援部ならではの演奏の持ち味とは何でしょうか
吹奏楽団体は普段室内で演奏しているが応援団は普段から屋外で練習しているので、圧力が他の団体とは違うと思います。例えば金管楽器ではどこよりもパワフルな音を出せるだとか、そのような点です。
――今回の演奏会を振り返っていかがでしたか
初めは打ち解けてられるか?とか、レベルが合わなかったりしてとても心配で悩むこともありましたが、徐々にまとまっていって、それぞれが上達していく過程が見られたのが、とても良かったです。
――今後に向けての意気込みを教えてください
回色々なことを演奏会で学んだので、それを早稲田大学で活かして、早稲田大学の応援部吹奏楽団のレベルを向上させたいです。そして、コンクールで例年は銀賞とか銅賞なんですけど、金賞を取りたいということと、秋のリーグ戦で選手を後押しして、優勝したいです!
※1 チアカレッジやチアステージの構成や、スタンツ、ダンスの振り付けを考える役。
※2 バンドの指揮者として、ステージ全体での動きと構成を考える役。
※3 カラーガードの振り付け(操作)を考える役。