「優勝に向けて落としたくない試合」(雲見恭光・学生誘導対策責任者、スポ4=茨城・江戸川学園取手)を落としてしまった。東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)立大2回戦。優勝争いをする上で、早稲田はもはや1点も勝ち点を落とせないという状況で苦い敗戦を喫した。「応援席の雰囲気が落ちてしまったのを取り戻せなかった」と池原瞭太旗手(商4=埼玉・川越)が話すように、部員らは結果の責任の一部は応援にあると肩を落とす。5回表に立教に一気に3点を奪われ、7回裏での反撃もあえなく1点に終わり、1-3という不本意な結果に終わった。
他部活の応援や遠方での活動で、4年生リーダーが半数の5人という状態で応援が開始した。だが、部員の威勢は留まることを知らない。1回裏の先制のチャンスから、『スパークリングマーチ』や『コンバットマーチ』で応援席を一体にまとめあげる。下級生に声を掛けながら応援席全体に気を配る4年生リーダーは、したたり落ちる汗など気に留めずに応援に熱中。人数の少なさから、4年生リーダーそれぞれが複数回ずつセンターリーダーや学注を行った。立教に先制を許した5回表、1回戦とは違う試合の流れに、応援席に動揺が走る。5回裏、センターリーダーを務めた池原は雰囲気を取り戻そうと『Viva WASEDA』のテクを全力で振った。7回裏では瀧澤虎太朗(スポ3=山梨学院)の1得点に沸く。8回裏では、学注の際に雲見恭光・学生誘導対策責任者(スポ4=茨城・江戸川学園取手)が折れた太鼓のバチを高く差し上げ、立教もこのバチのようにへし折ってみせると気合十分に誓う。その言葉に応援席は沸き、応援に熱がこもる。3、4年生による伝家の宝刀・『コンバットマーチ』にも士気が高まった。だが、さらなる得点に貢献することはできず、そのまま試合は終了。旗手の池原は校歌斉唱にて旗の掲揚をしながら、その目が見つめる先は、早くもあすの応援、あすの勝利であった。
8回裏、学注で折れた太鼓のバチを見せる雲見
チアリーダーズの衣装は、早稲田のもう一色のテーマカラーである黄色の『ダイヤモンドセット』である。立教のテーマカラーである紫に対抗するカラーとしては印象的だ。回裏の応援で『サクラ咲け』を披露。磨きこまれた4年生のスタンツが式台の上で弾け、観客は新鮮なパフォーマンスにどよめいた。力強い太鼓の音と吹奏楽団の演奏は、1点でも勝利に貢献したいという気概が表れ、頼もしい。早稲田のチャンスやナイスプレーの際には心から喜び励ます笑顔が見られ、劣勢に焦る応援席に元気を与える。また、4年生リーダーの人数の少なさを支えたのは、応援席を飛び回り声を出し続けた下級生リーダーたちであった。1年生も積極的に観客と言葉を交わしており、部員としての大きな成長が見られる。校歌斉唱では、抑えきれない涙をこぼす姿など、パートに関係なく応援にかける情熱が輝いた。
4回裏、チアリーダーズの演技
この日の翌日に行われた3回戦では、早稲田は見事勝利を収め、勝ち点を獲得した。全力投球の応援で敗戦したことでの消耗は、心身ともに大きかったはずだ。その悔しさを糧にして勝利を後押しできたのは、野球部への全幅の信頼と、応援に対するほとばしる熱意があるからだろう。涙と汗には、万感の思いがこもっている。
(記事 馬塲貴子、写真 鈴木隆太郎、馬塲貴子)
コメント
池原瞭太旗手(商4=埼玉・川越)
――本日の感想をお願いいたします
5回表で立教に点数を取られてしまって、お客さんの雰囲気が落ちてしまいました。そこを取り戻せなかったのが悔しいです。
――失点後の応援ではどのようなことを意識されましたか
式台の上からお客さんの方をしっかり見て声を出したりはしたんですけど・・・やはり雰囲気をすぐには変えられなかったのが結構悔しかったですね
――1回の応援から『スパークリングマーチ』や『コンバットマーチ』を連続で行われていましたが、どのような意図がありましたか
『スパークリングマーチ』は、ある程度得点圏内に入ったら使います。部員が盛り上がる曲なので、そこから一気に雰囲気をあげようという意図でやっていました。『コンバットマーチ』は本当に得点の直前にやりますね。お客さんが盛り上がってきてここぞという時に使えたので、良かったと思います。
――試合終了後、校歌斉唱で旗手を務められていた際にはどのような心情でしたか
やっぱり悔しいです。なのでもう、あすの応援ではどういうことをやるか考えていました。
――3回戦への意気込みをお願いいたします
明日も、苦しい展開はあると思うので、そのような時に、リーダーから雰囲気を変えていけるように頑張ります。
雲見恭光・学生誘導対策責任者(スポ4=茨城・江戸川学園取手)
――本日の感想をお願いいたします
やはり優勝に向けて落したくない試合でしたけど…きのうの流れのままで行けなかったのが非常に残念です。
――8回裏の学注で、太鼓のバチが折れるほど叩いたとおっしゃっていましたが、実際に折れたときにはどう感じられましたか
折れた時はそれだけ自分の思いがこもっているから折れたんだと思いましたね。私にとっては、(叩き手の)冥利に尽きるというか、うれしかったですね。太鼓は応援で一番好きなので、太鼓で点数を1点、2点打たせるというのを意識して下級生時代からやってきました。だから思い入れがありますね。
――同じ8回裏の応援にはどのような思いで臨まれましたか
そうですね、それまでは観客席の雰囲気が落ち込んでいたので、自分の学生注目で士気を上げようというのは意識しましたね。
――明日への意気込みをお願いいたします
優勝に向けて、本当に落とせない試合なので、今までやってきたことを全部出して最高のパフォーマンスをしたいと思います。