この日は土曜だというのに、大隈講堂前には大きな人だかりがあった。そう、毎年人気のチアリーディングステージ(チアステ)が行われるからだ。今年度のテーマは『Bears Holic』。当日券無し、満員御礼のステージでチアリーダーズは次々演目を披露する。全4学年86人という大人数であったが、まとまった演技と一人一人の輝く笑顔に会場中の人々が魅了された。
ステージは、いきなり4学年全員がそろうオープニングで幕を上げた。ラインダンスもスタンツも盛り沢山で、特にスタンツでは迫力のある技が何度も繰り出され会場を沸かせた。続くダンスメドレーでは、セクシー、キュート、クールとそれぞれテーマを変え3曲を披露。それぞれのコスチュームも普段の応援で用いるものとは異なり、ショートパンツだったり、ワンピースだったりとチアステならではのナンバーであった。スタンツメドレーでは、『行くぜ!怪盗少女』や『君のことが好きだから』などのアイドルソングに合わせて次々と技を繰り出していく。アイドルらしい振り付けもあり、会場からは感嘆と「可愛い!」の声が続々と上がる。その後、早大の他チア団体とのコラボののち『虹』に合わせた演技を行い、第1部を終えた。
スタンツメドレー、会場からは「可愛い」の声が続出した
第2部は、実際の試合応援の際に行われる各部活のハーフタイムショーで始まる。その後の東京六大学応援団連盟の他五大学とのコラボステージでは、各校の応援歌のダンスにアレンジが加えられ、これもまた通常の野球応援では見られない特別なものとなった。続く応援メドレーでは、体育各部を意識したメドレー形式の応援を披露。スケート部アイスホッケー部門でスタンツのトップがアイスホッケーのユニフォームを着るなど、競技かわかるように様々な工夫が凝らされている。そして応援曲メドレーでは、このステージで初めてリーダー、吹奏楽団も登場。他パートもチアリーダーズの踊りを真似するなど、改めてこの日の主役がチアリーダーズであることが感じられた。ステージが開始して2時間弱。いよいよ迎えたフィナーレにはオープニングと同様86人全員が登場する。それぞれが『今を最高の瞬間に』という年間目標を体現するような一所懸命なパフォーマンスに、観客からは大きな歓声が生まれた。アンコールではおそろいのピンクのTシャツを着て、正真正銘最後のステージをやり切る。チアリーダーズの可愛く、格好よく、力強い演技を見終えた観客たちは、みな笑顔でその場を後にした。
フィナーレは4年生にとってまさに集大成だ
「1年生でも4年生でも、みんなが平等に同じだけステージで輝けるようにと思って作りました」(三ツ松鞠菜ステージ運営責任者、基理4=東京・早稲田渋谷シンガポール)。86人という大人数、全員が活躍できるステージを作ることは容易でないことは明らかだ。しかし今年のチアステでは、それを見事に成し遂げた。チアステを終え、さらにパワーアップしたBIG BEARS。4年生の引退までの残る1カ月も、一瞬一瞬を大事にしながら、全力で笑顔を届けてくれること間違いなしだ。
総勢86人、最高の笑顔でステージを終えた
(記事 今山和々子、写真 橋本和奏、永池隼人、馬塲貴子)
コメント
鈴木凜チアリーダーズ責任者(文構4=東京・頌栄女子)
――ステージを終えた感想をお願いします
何よりも誰一人欠けることなく全員でこのステージに立てたことを嬉しく思っています。最高のステージでした。
――ステージとしては集大成でしたか
客席の方が今まで本当にお世話になったOBOGの方だったり、いつも一緒に頑張っている体育各部のみんなだったり、すごく一人一人がしっかりと見えて、その一人一人に感謝の思いを届けようという気持ちで一つ一つ夏から練習してきたものを出すことができて、そういう面で自分たちが思っている思いというのを伝えられたかなと思います。
――最もこだわった点は何でしたか
今年のステージを中心となって作ってくれている子達とか、あとは3、4年生で演技を分担して作っているんですけれども、一つの曲で一人一つは自分が輝ける場所というのを作っていて、そういう面でチアリーディングを始めたばかりの1年生でも今まで続けてきた4年生でも同じように一人一人輝く場面を作れたので、そういう面でみんなのモチベーションにつながって、本当に86人と言う大人数で一人一人が輝けるステージが作れたんじゃないかなと思います。
――難しいスタンツも沢山あったように思います。気つけた点はありますか
やっぱりケガ人を絶対に出したくないという気持ちで始めていたので、しっかりとお安全に行うためにみんなで事前に話し合ったり声を出したりしていました。あとは(チアステは)唯一自分たちのステージで、挑戦技もできるので、自分たちがやりたいと思える技を思いっきりやることができたので、そういうところが私たちにとって新鮮で、今後の成長につながるいいステージになったと思います。
――チアリーダーズ責任者として活動した1年を振り返っていかがですか
この一年は本当に変化が多かった年で、少し内部の話になってしまうんですけど、監督してくださるコーチの方が一斉に替わった年で、今まで私たちが当たり前だと思って行ってきたことがそこまで当たり前ではなくて、色々革新をした一年でした。部員も戸惑いはあったと思うんですけど、その中でみんなで声かけをしていって、86人でここまで心を一つにしてぎゅっと固まってこれて、すごくよかったなと思っています。まだまだ今すごくいい感じにみんながまとまってきていると思うので、最後の体育各部のみんながすごく大切な試合をしているので、私たちの今の最高の力で勝利に貢献できるようにまだまだ頑張っていこうと思います。
――4年間共に活動してきた同期へのメッセージをお願いします
私たちの代は結構個性の強い者が多かったんですけど、そのおかげで応援だったりステージだったりで、自分たちが満足できるものを作り上げることができて、本当に沢山もめたりもして喧嘩もして色んなことがあった四年間なんですけど、この同期だったからこんなにいい代を作れたと思っているので、すごく感謝しています。
――これからを担う下級生に向けてお願いします
今の下級生みんな可愛くて、すごく4年生を慕ってくれて、いつも頑張っているみんなの姿に4年生も励まされているので、今後私たちが卒部しても、ずっとずっと上を目指して人数はすごく多いんですけれども、全員で仲良く頑張ってほしいなと心から思っています。
三ツ松鞠菜ステージ運営責任者(基理4=東京・早稲田渋谷シンガポール)
――ステージを終えての感想をお願いします
今回、一人一つ絶対に見せ場を作りたくて、例年だと1年生のちょっと出番が少なかったりするのでそういう部分を無くして、1年生でも4年生でもみんなが平等に同じだけステージで輝けるようにと思って作りました。アンコールまで全員が笑顔でできて本当に良かったです。
――ステージ全体で上手くいった部分を教えてください
やっぱり安全第一でやっていたので、ケガが無く終えられたことが本当に一番良かったと思っています。また座席も絶対満席にしたかったので、その点で、席をほとんど埋められたことはよかったと思います。
――きょう着ていらっしゃった新しい衣装の名前を教えてください
実はまだ名前が決まっていなくて、私は衣装管理責任者の方も務めているんですけど、ちょっと今下級生から募集中です。衣装の名前は部員が「この名前にしよう」といって決めるので、まだできていないんです。
――ステージ運営責任者として大変だったことを教えてください
先ほども言ったのですが、満席にするために今年チケットの制度を少し変えたんです。その座席さばきが結構大変でした。あと、そもそものステージ全体の構成などを考える上で、例年とがらっと変えたところが多かったので、皆さんに楽しんでもらうためにどのように工夫するか考えることが大変でした。
――今年一年を振り返った感想をお願いします
自分は4年生としてあと少しの中でやってきていて、本当に各応援「ラストだな」と思ってやるのですが、それぞれの応援で選手の方々に後押しされるし、とても楽しい一年だったなと思います。まああと1か月あるんですけどね(笑)。
――同期の方々に向けてお願いします
この22人でよかったかなというのは思っています。個性はとても強いんですけど、でもやっぱり個性が強いからこそわちゃわちゃしていて、そういうのがすごく楽しいです。助けてもらったことも多くて、いい同期だなと思っています。
――下級生に向けてお願いします
今の4年生が22人もいて、大会なども結構4年生が入りがちだったりして、技術面の方でちょっと心配な部分もあったんですが、その代わりにこのチアステで下級生が成長できるようにと思ってたくさんの挑戦技をいれました。その挑戦技に全員がちゃんと応えてくれていたので、その向上心を忘れずに、チアリーディングの方も、体育各部の応援の方もいつまでも熱い気持ちを忘れずに頑張ってほしいです。
今井杏奈ステージ企画責任者(政経4=埼玉・早大本庄)
――本日のステージを振り返っていかがですか
最初はどうなるんだろうと思っていたのですが、最後はチアリーダーズ全員が本当に楽しい表情でステージを終えることができたので、最高のステージでした。
――本日のステージで良かった点はどのようなところですか
私は結構下級生の挑戦を重視していて。普段できない技を今回で挑戦させることで、今後のBIGBEARSの力になればいいなという思いがあったので、下級生が成長してくれてよかったなと思います。
――本日のステージで一番工夫された点はどのようなところですか
基本的には3年生が中心となってどのような演技にするか決めてくれるんですが、その中でしっかりと話し合いをして、3年生がやりたいと思うことを形にするための工夫をたくさんしました。
――ステージ企画責任者として活動してきて何が一番大変でしたか
チアリーディングは本当に何が起こるかわからないので、練習の際にもしかしたら技によっては頭を打って死んでしまう可能性があるという恐怖心を持って練習に取り組んでいたことが自分の中では大変でした。部員全員に同じ意識を持ってもらって最高のステージを作りたいということを伝えることも力を入れて頑張ってきました。
――いつからこのステージに向けて始動されましたか
1年前の12月頃から始動してはいたんですが、練習自体は8月頃から始めました。
――まだ1カ月ほどありますがことし1年間を振り返っていかがですか
本当にあっという間でした。
――何が一番印象に残っていますか
本当に様々な活動で感動の瞬間に立ち会えたのですが、下級生が新しい技に挑戦して成功したときのみんなで喜ぶ瞬間が印象に残っています。
――同期への思いを聞かせてください
本当にいろんなことがあって、辛いときもうれしい瞬間もずっとずっと家族以上に一緒いた同期とこんな最高のステージを作ることができて、本当にありがとうの気持ちでいっぱいです。
――最後にこれからを引っ張っていく下級生にメッセージをお願いします
きょうのステージは全員が楽しめた良いステージをだったと思うんですが、まだまだ課題はたくさんあると思うので、来年以降もっともっと良いステージを作っていってほしいなと思います。
佐々木愛ステージ広報責任者(政経4=東京・早実)
――ステージを終えての感想をお願いします
4月の段階から、最初のテーマやストーリー性をどんなものにするかをずっと考えてきて、それがあってのステージだったので、最初のオープニングが流れた瞬間はうるっときちゃうところもあったんですけど、とりあえず下級生もいろいろな面で頑張ってくれたり、同期にもいろいろ助けられた部分が大きかったので、今このステージを大きなケガなく終えられてよかったなと思っています。
――最も思い入れがあるところやうまくいったところがあれば教えてください。
1週間前にも同じようなことを流れでやったんですけど、そのときも人の流れとか着替えとか、時間がカツカツで大変でした。全体を終えて、開始は5分押してしまったんですけど、その中でも予定していた時間通りにステージを終えることができたことはよかったなと思っています。
――今回のステージのテーマである、『Bears Holic』について思い入れや感じたことがあれば教えてください。
『Bears Holic』というテーマを考えて決めるのにもけっこう時間がかかったんですけど、私自身も高校時代にBIG BEARSのステージを見に来たことがあって、それ見て大学に入ってもやりたいなと思っていた部分もあったので、私自身と今日の主人公の女の子にも共通する部分があるのかなってところで、初心を思い出しながらステージに臨むことができたので、そこはよかったかなと思っています。
――ステージ広報責任者を務めて、広報で大変だったところや工夫したところはありますか。
広報面におきましては、協賛団体の方々を今年増やさせていただきまして、そのために広告掲載料金の見直しをして、価格を下げたりであったりとか、あと広報面においては、協力してくださった方々に対しても、いかにメリットがあるのかということを考えたかったので、私たちの応援部のTwitterとかで広告の協賛団体の方々のことを広報したりであったりとかをしました。
――今年一年を振り返っていかがでしたか。
自分が1年生の頃は4年生になるということを想像できていなくて、実際に4年生の春から過ごしてきてみて、本当にあっという間だったなって思っていて、春にはチアステなんてまだまだ先だし、まだ準備しなくてもなんとかなるだろうと思っていたんですけど、実際時間が過ぎるのはすごい早くて、あっという間だったなって思ったんですけど、その中でもやっぱり必死に下級生がついてきてくれたり、一生懸命仕事学んでもらったりして、いろいろな同期や下級生に支えられた1年で、そういったみんなの助けがなかったら、ここまで来ることができなかったんじゃないかなと今感じています。
――4年間一緒に頑張ってきた同期に向けてのメッセージをお願いします。
私はすぐ慌てちゃったりとか、焦っちゃって、同期に「どうしよう」って言うこともあるんですけど、そういうときに同期が「大丈夫だよ。落ち着いて」とアドバイスをくれることがこの4年間通して多くて、同期には助けられたので、引退して、もうあと1か月で同期とは毎日一緒にいることはできないんですけれども、これからも助け合いつつ、いい関係を築けたらいいなと思います。
――最後に、下級生に向けてもメッセージをお願いします。
下級生はステージを作るうえでも、入り口に立てかけてあった看板とか、受付にあった装飾一つ一つを作ってくれたり、当日のポンポンとか衣装とかの流れを細かくやってくれて、実際に機材を動かしてくれたのは下級生でした。下級生の存在がなかったらこのチアリーディングステージは成功しなかったし、4年生もこんなにいい形でチアステを終えることができなかったので、下級生には感謝しているし、残り1か月、濃い関係を築き上げていきたいなと思います。