ついに迎えた東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ)開幕戦。秋といえども肌を焼くような暑さの中で、早大応援部はレベルの高い応援を見せる。先日の夏季合宿を経て一回りも二回りも成長した新人は、春季リーグ戦のときとは少し異なるたくましい顔で応援席に立っていた。そして上級生は、後輩たちに目を配りながらも勢いのある応援を披露。試合には敗れてしまったものの、活気ある応援は選手たちを力づけた。
初戦の相手は法大。この日の試合は序盤から厳しい局面に追い込まれた。早大が1回表から法大に2失点を許したのだ。応援席全体がいきなりの失点に動揺してしまい、少なからず以降の応援に影響が出てしまったという。その後、点差を詰められないまま試合は進んだ。しかし、2回裏には試合日に誕生日を迎えた内野手の福岡高輝(スポ3=埼玉・川越東)を祝って『HAPPY BIRTHDAY』を応援席全体で歌い、試合全体を通してリーダーらがバケツの水をかぶり暑さに負けない気概を見せる。以上のような工夫のあるパフォーマンスによって観客席はどんどん熱気を帯びていった。もちろん、パフォーマンスだけでなく応援歌や応援曲も気合にあふれている。『Stand up and Go Fight!!』や『タイムリーマーチ』などの応援は、失点をものともせず進もうという応援部全体の強い気持ちが伝わるものであった。
吹奏楽団をまとめ上げる佐藤夏海(法4=新潟)
4回表のバンド演奏曲『ウィーアー』では2点差を感じさせない明るいチアリーダーズの笑顔が弾けた。次の5回表では、残念ながらさらに2点を献上し、0-4と点差が開いてしまったものの、5回裏では『コンバットマーチ』を何度も繰り出して応援席の士気が高まっていく。3、4年生のリーダーと4年生のチアが指揮台に立ち渾身(こんしん)の力で魅せる『コンバットマーチ』の突きは選手のもとに届いたに違いない。吹奏楽団の統制された演奏も相まって、応援席の気持ちは一つになった。9回表でさらに1点を法政に取られ0-5となり、このまま完封され決着かと思われたとき、最終回の攻撃で瀧澤虎太朗(スポ2=山梨学院)がソロ本塁打を放ち、意地の1点を奪い返す。これまでの応援のパワーが発揮された得点に、『紺碧の空』が文字通り紺ぺきの空に響き渡った。
応援席を活気づけるため、走者なしの状態で『コンバットマーチ』を披露した
試合の結果は敗戦と悔しさの残るものだったが、秋はまだ始まったばかりだ。応援部の勢いを見れば、これからのワセダナインに大きなエールを送り、優勝への歩みを後押ししてくれることは間違いないだろう。
(記事 馬塲貴子、写真 今山和々子)
小谷太郎代表委員主務(社4=神奈川・相模原)
――合宿から1日空けて、すぐの開幕戦となりました
合宿をあれだけハードにやったので…総合練習を含めて。弱音を吐いたり言い訳をしたりするのはよくないと思うんですけど、正直合宿の疲れというのは自分を含め全部員に見られたのではないかなと思います。
――試合の結果を受けていかがですか
ひたすら法政に打たれて打たれて打たれてという感じで…。我慢が続く試合だったのですが、15安打打たれて、5(失)点というのは、ワセダのピッチャーもよく頑張ったなと思います。でも逆にいえば、もっと我々が頑張って応援していれば、その5点すらも取られなかったのではないかなと思いました。
――走者なしの状態で『コンバットマーチ』をやった回がありました
応援企画の渡邊と、旗手の木村がそういうことを話し合って決めるのですが、法政にばんばん点を取られて…特に4点目を取られたときに、これはもう応援席の雰囲気をガラッと変えないと、このまま終わってしまうのではないかなと思い、最初から『コンバットマーチ』という少し特殊なことをやりました。
――春と比べて全体の動きはいかがでしたか
春のリーグ戦は、新人が少しお客さん(扱い)みたいなところがあって、正直戦力として頭数に入っていなかったのですが、春のシーズンとこの夏季合宿を通して、しっかりと新人も戦力として機能しているなと感じます。応援部としては底上げが図られたのではないかと思います。
――あすに向けての意気込みをお願いします
あす負けてしまうと、自力優勝がなくなってしまうようなものなので、もう絶対に負けられません。あす指揮台に立つときは、もう自分が灰になってもいいくらいに…指揮台の上に自分の墓が立つくらい覚悟を決めて、しっかり振って観客をリードしていけたらと思います。
木村太一旗手(商4=東京・国士館)
――開幕戦を終えての感想をお願いします
悔しいというのが一番大きいです。一昨日合宿から帰ってきたばかりで、気持ちは高ぶっていて、リーグ戦絶対に勝ちたいという思いも強かったので、そこで初回取られて少しああっとなってしまったのは悪かったかなと思います。
――1回表の2失点は応援に影響があったということですか
応援席全体の雰囲気が、ああ…という風になっていたので、それをずっと引きずっていたのかなと思います。
――きょうの応援で良かったところはありますか
ここで打たなきゃいけないというところで、しっかりと自分たちの伝家の宝刀である『コンバットマーチ』をできたので、そこは良かったと思います。そこでお客さんと一体になって、最終回に1点取り返したというのが嬉しかったです。
――5回裏の学注がとてもウケていました。きょうの学注はいつから考えていましたか
基本的に学注は1週間前から考えています。自分でブレインストーミングしながら、法政というえばこうだなと、そこからこのネタを拾ったら面白そうだなというものを用いています。6回は法政出身の有名人からつなげて学注を作りました。
――特に4年生のリーダーが、水をかぶっている姿がよく見られました
すごく暑いので、冷たいものをかぶってガラっと雰囲気が変わるというか、気合いを見せるというか…。少し見せかけっぽいのですが(笑)、パフォーマンス感はあります。
――この秋から新しく始めた応援があったら教えていただけますか
前まで『ミニGO』という曲がありました。それは実は短縮バージョンで長い間使われているもので。今回は短縮しないバージョンでやり始めました。あとは守備でいいプレーをした選手に、絶対に「いいぞ○○(選手名)」を行っています。
――あすに向けて意気込みをお願いします
春の早慶戦のときも同じような状況だったので、しっかりここで切り替えて、自分はもうあしたのことしか考えていないので、きょうのことは反省して、あしたは下級生4年生一体となって全員で勝ちたいと思います。