勝利に向かって、全力応援!

応援

 9月上旬から始まった東京六大学秋季リーグ戦も、残すは『華の早慶戦』のみとなった。早大は今季すでに優勝の可能性を逃したが、4年生最後の試合となる早慶戦では快勝を収めたいところ。この日、大隈講堂では早慶戦前夜祭として稲穂祭が行われ、応援部の活気あるステージに観客は熱狂の渦を巻いた。

 第一部では、アイドルグループ・東京パフォーマンスドールによる早慶戦応援LIVEが行われた。これはメンバーである脇あかりさんが、早大野球部学生コーチの脇健太朗投手コーチ(社4=早稲田佐賀)の妹であるという縁があって実現したステージである。代表曲『BRAND NEW STORY』やデビュー前から歌っている『DREAMIN‘』を披露し、会場は幕開けから大盛況。最後の『WEEKEND PARADISE』では、野球のバッターの振り付けをするなど、終始早慶戦を意識したパフォーマンスを見せた。

1年間練習し続けていた『伝統の勝利の拍手』を披露する舟橋

 第二部、慶大の應援指導部を招いた合同ステージは、両校の校旗入場とともに始まる。『早慶賛歌』では、櫻井康裕代表委員主将(社4=群馬・中央中教校)、羽鳥裕基主将(慶大)がそれぞれセンターリーダーを務め、早大、慶大で異なる伝統の指揮を見せた。続いて『Blue Sky WASEDA(KEIO)』、『紺碧の空』、『若き血』、『光る青雲』、『我ぞ覇者(4番)』と交互に応援合戦をすると、会場の熱気も最高潮に。しかし舟橋寛元副将(文構4=福島・日大東北)がセンターリーダー務めた『伝統の勝利の拍手』では、その威厳のある演舞に会場は一気に緊迫した空気に包まれた。慶大は最後に『突撃のテーマ~コールケイオー~ダッシュケイオウ』を披露。途中の学生注目では「嬉しいとき、つらいとき、いつも隣には早稲田の応援部の同期がいた」と羽鳥は話す。ともに早慶戦を盛り上げる好敵手として、彼らも全力の応援を見せてくれた。早大の最後はもちろん『応援曲メドレー』。早慶戦スペシャルバージョンだ。去年まで稲穂祭では『大進撃』、『スパークリングマーチ』等を含むメドレーの前に『新人哀歌』を歌っていたのだが、ことしは「知る人ぞ知る」(櫻井)名曲である『トコトン節』を櫻井が歌った。しんとした会場の中、櫻井の声はよく響き、会場にいる誰もがその歌詞に聞き入っていた。その後、『応援曲メドレー』をリーダー総出の『コンバットマーチ』で締めくくり、第二部は幕を閉じた。

野球部と一緒に校歌『都の西北』を歌った

 第三部は野球部壮行会。最初に応援部が作成した、早稲田で日頃お世話になっているお店の方々からのビデオメッセージが上映された。地元の人々も早稲田の勝利を願っているようだ。高橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)は「慶應を倒して(応援してくれている方々に)お礼をしたい」と、佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)は「早慶戦で勝つのは早稲田の宿命」とそれぞれ意気込みを語った。その後応援部から佐藤晋にペナントが授与され、高橋監督には脇あかりさんから花束が渡された。第64回稲穂祭の締めは『早稲田大学校歌』。ステージ上では、4年生の野球部員、リーダー、チアリーダーズが肩を組み、観客も一体となり全員で声をそろえて歌った。

 早慶戦に向けて気合十分。あとは勝つのみである。大学生活の4年間を最後の最後まで応援に捧げる彼らに、勝利の女神はきっと微笑んでくれるはずだ。

(記事 今山和々子、写真 大島美咲、三浦彩由香)

コメント

櫻井康裕(社4=群馬・中央中教校)

――まず、稲穂祭実行委員長として迎えたと思いますが、本日の稲穂祭はいかがでしたか

 全体的にうまくいったと思います。

――東京パフォーマンスドールの皆様が出演されたことに関してはいかがですか

 最初に話が出たのが、4年生の脇健太朗(投手コーチ、社4=早稲田佐賀)から「俺の妹がアイドルやってるから出してくれない」という話をもらって、連絡先をいただきました。連絡した事務所の方も好感触で、快く受けてくださって。なんの不安もなく第一部を盛り上げてくださったので、今回の成功は第一部の東京パフォーマンスドールの皆さんのおかげと言っても過言ではないくらい素晴らしいステージでした。

――ワセダベアの贈呈もありましたがそちらは

 あれは自分と木村太一(商3=東京・国士館)がユニカフェに下見に行ったときに選んだものですね。すごい喜んでいただいて、よかったです。センスが光りました(笑)。

――以前集客の話をされていましたが、今回そちらに関してはいかがでしたか

 開演前に雨が強く振ってしまっていたので、集客に関しては足を運んでもらいにくくなるんですけど、東京パフォーマンスドールの皆さんのおかげもあり、人は入っていた印象です。

――第二部の早慶合同ステージの構成の方に関して、『紺碧の空』から『若き血』だったり、『光る青雲』から『我ぞ覇者』という構成に関して工夫した点はありましたか

 当然、早慶合同でやる『早慶賛歌』と『Blue Sky WASEDA(KEIO)』はやりたいと思っていました。『紺碧の空』『若き血』や『光る青雲』『我ぞ覇者』はペアの曲になるので入れましたね。舟橋寛元副将(文構4=福島・日大東北)の『伝統の勝利の拍手』は本当に迫力があると思っていましたし、周りの人からも言われていたのでこのステージで披露してほしいと思って入れました。

――『トコトン節』に関して、取り入れた理由はありますか

 今まではあの場面で『新人哀歌』というものをやっていたんですけど、マンネリ化していると感じていて知る人ぞ知る曲というか、70歳80歳くらいの人が知っている古い曲で表に出ることがなく埋もれていたところを、監督(竹沢久喜、昭57商卒=東京・早実)に教えてもらい心に沁みるいい曲だなと感じたので取り入れました。

――慶大の羽鳥裕基主将が「早大の同期がいつも横にいた」とおっしゃっていましたが、それを受けていかがですか

 自分たちもそう思っていて、1年生の時からいろんな種目で早慶戦はありましたし、週に1回、多いときは3、4回会うくらいで。いつも一緒にいましたね。気づいたらここまで来ていました。もう一緒にステージをすることがないのは寂しいですけど、お互いに切磋琢磨してきた仲なので好敵手だなと思います。

――『コンバットマーチ』ではリーダー総出で圧巻でした

 『コンバットマーチ』はこだわりました。リーダーの見せ場を作りたいと思っていて、『紺碧の空』『Viva Waseda』『コンバットマーチ』はチアリーダーズを入れずにリーダーだけだったんです。リーダーのテクと下級生の屏風だけだったので、特に最後の『コンバットマーチ』は2年生が全員振れるようになったので4、3、2年で振りました。野球部にもそうすることで思いが伝わるんじゃないかと思ったので。しかも、ファンファーレからではなく『コンバットマーチ』から始まるというところもこだわりました。

――野球部壮行会では佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)にペナントを渡していましたが、そちらに関しては

 晋甫が苦手な挨拶を頑張っていたので、お疲れという気持ちと、力強い抱負を主将と監督からいただけたのでそこは気持ちを込めて渡しました。打倒慶大の思いが込められているのであのペナントは大事にしてほしいと思います。

――校歌『都の西北』を振ることは数少なくなってきました

 当たり前だと思っていたことが、残りがわずかになってくると寂しく思いましたし、この稲穂祭で大切さに改めて気づけたので、残り少ない早大校歌を振る機会を大切にしたいと思います。

――稲穂祭を踏まえて早慶戦への意気込みをお願いします

 慶大はかなり勢いがありますが、稲穂祭を通して応援部自身もお客さんたちも打倒慶大に向けて士気が高まったと思います。最後は野球部も応援部も意地を見せて、早大一丸となって打倒慶大を果たしたいと思います!

舟橋寛元副将(文構4=福島・日大東北)

――きょうの稲穂祭の感想を教えてください

『伝統の勝利の拍手』をやりましたが、すごいプレッシャーを感じていました。自分は代交代をした直後に、副将とリーダー練習責任者になったのですけれど、応援部の慣例でリーダー練習責任者が『伝統の勝利の拍手』をやるんだと(プレッシャーを感じていました)。それで、竹沢監督には「ことしは鍛えろ。」と言われ、それも正直結構プレッシャーでした。正しいかたちの『伝統の勝利の拍手』を披露するために、監督と二人三脚で練習してきました。まず、六旗(六旗の下に)の時に1回目を披露して、あとは稲穂祭だったんですけれど、自分にとって稲穂祭での『伝統の勝利の拍手』は、自分の一番の見せ所だと思っていました。それで、六旗が終わってからも監督と一緒に練習してきました。正直、本当にプレッシャーというものがありました。でも、この稲穂祭でそのプレッシャーからようやく解放されました。監督からも「よくやった」と言われて、自分的にも納得しています。

――きょうの『伝統の勝利の拍手』はいかがでしたか

 満足なんですけど、自分には滑らかさや繊細さがないんです。自分は不器用なので、ダイナミックさや力強さ、迫力でいこうと思っていました。だから、細かい部分が出せていなかったですね。来年再来年以降は、正しいかたちでダイナミックさと繊細さを出して良いものをつくっていってほしいと思いますね。自分的には、今日の『伝統の勝利の拍手』には満足しています。

――リーダー練習責任者を務めていらっしゃると思いますが、今日の下級生を見ていかがでしたか。

 下級生は、昼のデモンストレーションでもミスをしていたり、昨日も規則違反をしていたり、最近の雰囲気も悪かったので、稲穂祭ではどうなんだろうと思っていたのですけど、きょうは気合いが伝わってきましたね。悪い流れを断ち切って、稲穂祭では下級生は良いものをつくってくれたと感じます。

――慶大の応援部の方が「いつも早稲田の同期は隣にいた」とおしゃっていましたが、それを聞いてどう感じましたか

  やっぱり早慶の絆は強いんだなっていうのを本当に感じましたね。

――稲穂祭を終えて、改めて早慶戦への意気込みをお願いします

  もうやるだけですね。早慶戦に向けて、意識を高めていって集中していってですね。自分は最後の野球の応援なので、悔いの残らないようにしたいです。あとは、2日連続で『伝統の勝利の拍手』を披露して終わるっていうのが理想ですね。

田路進太郎新人監督(商4=兵庫・淳心学院)

――今回の稲穂祭の感想をお聞かせください

応援部生活を送ってきて4回目の稲穂祭だったんですが、お客さんが1番入ってくれていたと思いますし、完成度も1番高くて、実行委員長の櫻井(康裕代表委員主将、社4=群馬・中央中教校)、3年生の実行委員が頑張ってくれて、自分達のステージを作ってもらったので言うことはないですね。

――『紺碧の空』と『Blue Sky WASEDA(KEIO)』でセンターリーダーを務めていらっしゃいましたが、それに向けての想いなどありましたか

別のメドレーとかは振ってたんですけど、『紺碧の空』をこれだけの素晴らしいステージでやらせてもらう機会は幹部になっても最初で最後ぐらいのことでした。新歓ステージ以来のことだったので、気合いは入りましたし、1発目の自分でお客さんを盛り上げられたらなと思っていました。『Blue Sky WASEDA(KEIO)』は、隣で慶大のリーダーに気合いでもテクでも負けないようにと思って意識していました。

――新人監督として、きょうの新人の様子を見ていかがでしたか

新人の頃は仕事をミスしないかということに意識が向いていたので、稲穂祭の記憶はないんですけど、ことしの新人もそうかもしれませんが、4年生になってステージに立って新人を見た時に自分達もこんなときがあったんだなと思って懐かしくなりました。それに、ことしの新人はしっかりしてて、自分は期待して1年間育ててきた自慢の新人なので、彼らが頑張っている姿を見れて良かったと思います。

――慶大の主将の「いつも隣にはワセダの応援部の同期がいた」という言葉を受けて

自分は慶大の応援部は全然色の違う団体だなと思っていて、でも1番身近な、1番のライバルであり、1番の友達でありっていうことには変わりはないです。だからこそお互い違う者同士だから良いところも悪いところも指摘しあって、そうやって4年間六大学の仲間としてやってきたので、自分たちのことを気にかけて言ってくれたのは嬉しく思いましたし、1番仲が良いからこそ早慶戦では負けられないなと思いました。

――早慶戦に向けての意気込みをお願いします

稲穂祭の前に総合練習があったんですけど、今まではきついなとか邪念があったんですけど、そのときはそういったことが全くなく全力でやることが出来ました。そのおかげできょうの稲穂祭のステージでも変な邪念もなく、素直に集中してテクを振ることが出来たので、このまま早慶戦に臨んで、自分が指揮台立ったら観客の皆さんも付いてきてくださるセンターリーダーが務められると思ったので、早慶戦まで気持ちを切らさず頑張りたいと思います。

井上雄太連盟常任委員(教4=愛知・海陽学園)

――まず、きょうのステージを終えて感想をお願いします

 リーダーにとっては最後の大きな行事なので、集大成にふさわしいようにとは思っていやりました。

――旗手として『新前川旗』の入場を務めていましたが、そちらに関してはいかがですか

 早慶戦は『新大校旗』を使用するんですが、通常のリーグ戦では『新前川旗』を使っていて、今回入場に使えてよかったです。

――今回『光る青雲』の方でセンターリーダーを務めていらっしゃいましたがそちらに関してはいかがですか

 早慶戦のための曲というのはあるのであの場にふさわしい曲だったのでそれを噛みしめて振っていました。

――慶大の主将が『早大の同期がいつも横にいた』とおっしゃっていましたが、それを受けていかがですか

 僕はリーダー責任者の星野航佑(慶大)と連盟常任委員で仲良くしてて。特に3年生のときは早慶戦を運営側として一緒にやっていたので、そういう意味で一緒にやれていいものができてよかったなと思います。

――稲穂祭を踏まえて早慶戦への意気込みをお願いします

 これをやってより2連勝して終わりたいというのがあります。早大が慶大に1個でも勝てば慶大の優勝を阻止できると思われていますけど、あくまで2連勝で終われる方が僕らも気持ちよく終われるなと思ったので2連勝して勝ち切れるように頑張りたいと思います。