ことしもこの季節がやってきた。日ごろ体育各部の試合を、華やかな応援で後押しする応援部チアリーダーズ。年に一度、選手たちのために尽力する立場のチアリーダーズが主役となる大舞台、チアリーディングステージ2016(チアステ)が盛大に開催された。テーマは『STORY』。梶野光里ステージ企画責任者(スポ4=東京・国学院久我山)が「全員が輝けるステージに」と言うように、思いを込めて作り上げた演技が、満員の大隈講堂で輝いた。
総勢76名が迫力のスタンツ(※1)を披露し、笑顔満開のチアリーダーズが掲げた「ようこそチアステ」の文字。熱気に包まれるなか、1年間の集大成となるステージが開幕した。第1部は映画仕立ての3演技。キレのあるダンスに花火のような高いトス(※2)と、次々と披露される演技に歓声が上がる。映画『マンマ・ミーア!』の曲、『Dancing Queen』に合わせた演技では、観客全員に配られたペンライトにより会場が一体となった。テーマに合わせた寸劇や趣向を凝らしたムービーもステージに彩りを添える。
六大学チアリーダーズが共に演技を披露
続く第2部は、12月に行われる全日本学生選手権(インカレ)の演技でスタート。BIG BEARSとしては初めて、インカレに3チームが出場する。今回はAチームが練習に練習を重ねた演技を披露した。応援活動で見せる表情とは異なる、選手としての一面。さらにチアリーディングならではの大技の数々に観客は息をのんだ。東京六大学ステージでは、普段はライバル関係にある六大学の4年生が登場。六校それぞれの輝きを放つ圧巻のステージで会場を沸かせた。続いてリーダーと吹奏楽団が加わり、聞き慣れた応援曲が流れ始める。日ごろ行っている応援活動を再現したステージだ。『紺碧の空』、『応援曲メドレー』で神宮球場さながらの雰囲気を作り上げた。フィナーレでは76名のチアリーダーズが再び集結。終幕を惜しむ観客の拍手に応えるように、アンコールの演技が始まった。息のあったダンスに盛り上がりは最高潮。熱狂と歓声に包まれたチアステは閉幕した。
笑顔で感謝を伝えるフィナーレ
「最高の時間を過ごせた」と振り返る安田愛ステージ運営責任者(教4=東京・国際)。笑顔の裏には想像を絶する努力と苦労が隠されていた。それでも笑みを絶やさず、たくさんの『物語』を抱えてチアリーダーズはステージに上がった。これからもインカレや様々な活動が待っている。団結し、共に歩んできた76名それぞれの『STORY』は、これからも続いていく。
※1 チアリーディング演技における組体操のようなものを示す
※2 スタンツにおいて、下の人がトップの人を高く飛ばすこと
(記事 榎本透子、写真 木村綾愛)
コメント
安田愛ステージ運営責任者(教4=東京・国際)
――きょうのステージにはどのような意気込みで臨まれましたか
見ている人にとってもやっている人にとっても記憶に残るステージにしたいというのと、「みんながいるからできるステージ」というのがことしのコンセプトで、その二つに向けて下級生に初挑戦もさせたりしました。
――どのような初挑戦を
チアの技の話になってしまうのですが、トスで跳ぶ技で新しいものを出してみました。本当に夜遅くまで下級生もたくさん練習してくれて、きょうに間に合わせてくれました。
――振り返っていかがでしたか
危ない場面もあったのですが、下級生たちが本当に頑張ってくれて、目標だったみんなの記憶に残るステージができたのではと思います。
――『STORY』というテーマはどのように決められましたか
最初、みんなにいろんな思いがあるのがBIG BEARSのいいところじゃないかとステージスタッフの三人で話しました。そこから、私たちは大会であったり応援であったりいろいろな活動をしているのですが、なかなかすべてを見ていただけるわけではないので、いろんな私たちの場面を見ていただきたいと思って、『STORY』にしました。
――ステージ運営責任者とはどのような仕事をされるのですか
座席の管理から始まり、どういったスライドを流すのかとか、ステージの演出全般も行います。チームの中では練習メニューなどをたてて、当日までにどう組み立てていけばステージができるかというようなことを考える仕事をしています。
――ムービーが映画仕立てになっていましたが、そういったものも担当されたのですか
はい。すべてラフ画のようなものを書いて、こういうものを作りたいということをSHOCKERSの同期とたくさん打ち合わせをして、8月から撮影を始めました。
――テーマを演技に反映させるために工夫したことがあれば教えてください
演技は3年生とかいろんな人が作ってくれるので、全員にことしのコンセプトを説明して、こういう中で映画というものをどうすれば表現できるか考えてほしい、というお題を出して、何度も演技ができたら見て、ちょっと間違ってると思うからもう一回やり直してという感じで、みんなで話し合って決めました。
――オープニングとフィナーレの制作も担当されたとのことですが、全員が登場するということで構成の難しさはありましたか
76人いるので、重複してしまったりなどと名前を探すだけでも大変で、全員を一覧にして名前を削っていって、この子はこの技ができるなどを全部調査して制作しました。
――集大成となるステージだったと思いますが、楽しめましたか
本当に、下級生のみんなが楽しんでいるのを見ても楽しかったですし、最高の時間を過ごせました。
――最後に後輩たちへのメッセージをお願いします
本当にたくさんの人に支えられているということや、常に自分たちは仲間と一緒に戦っているんだということを忘れないで、これからも全力で頑張ってください。
梶野光里ステージ企画責任者(スポ4=東京・国学院久我山)
――きょうのステージを振り返っていかがですか
きょうのステージは本当に私たち4年生だけではなくて、3年生や2年生や1年生も成長した姿を見せるというステージで、本当に思い出に残る1日になったなと思っています。始まる前に、きょうたとえミスしてしまっても、後になって「楽しかったよね」というふうに思えるステージにしようと、全員で一致団結して取り組んだので、そういった意味では、1年生も全員が生き生きと演技をしていて、一人一人の笑顔を生み出すステージの企画に携われたというのがすごくうれしくて、きょうのことは絶対に忘れられないと思います。
――テーマが『STORY』ということですが、どのような思いで臨みましたか
一人一人が物語の主人公というコンセプトでやっていて、例えば曲の構成では、必ず誰か一人には目立てるポイントを作ったり、全員がどこかで輝ける場所を作ったりして、主人公として輝けるようにしました。私からも下級生一人一人を気にかけて「緊張しないでね」などと声をかけたりして、下級生とも一緒に頑張ろうというふうに思いながら、4年間の集大成を見せられるように頑張ろうとステージに取り組みました。
――印象に残っているプログラムはありますか
印象に残ったのはやはり、WCDという3年生が担当したプログラムですね。3年生と何回も話し合いなどをして、曲のテンポだとか、「ここはこうしたほうがいいんじゃない」などと意見を交わし合いながら試行錯誤して作った作品になっているので、いろんな思いが詰まっていて、思い入れがあります。
――他大学とのステージはいかがでしたか
私たちが今までやってきた中で1番長い5分というステージで、私たちの中では「肝だな」というふうに思っていて、絶対決めようと4年生全員で取り組みました。実際に本番は同期がすごく頑張ってくれて、無事に全部上げることができたので、六大学の仲間とも楽しい演技をすることができて良かったなと思います。
――チアステに向けての準備や練習は大変だったと思いますが
最初は正直完成系が見えなくて、8月辺りから練習を始めたのですが、全然技も決まらないし、「本当にどうなっちゃうんだろう」とステージ担当の3人でずっと話していて。でも、3年生を筆頭に下級生たちが一生懸命やってくれて、野球の早慶戦とかで十分に練習時間が取れなかった中、結果としてすごく成長したステージになったと思います。私は練習計画などをみんなに流したりする役職なんですけど、下級生が無理のないようなメニュー作りを心掛けたし、1年生2年生もそれをくみ取ってくれて、一緒に頑張ってくれたというのもあり、すごく成長できた期間だったと思います。
――動画などの演出もとても手が込んでいる印象でした
SHOCKERSの同期が作ってくれました。私たちのことをいろいろ理解しようとしてくれて、それを知った上で、スライドに投影してくれて、感謝でいっぱいですし、今後もお世話になると思うので、ありがとうと伝えたいなと思ってます。
――今日のステージに点数をつけると何点になりますか
もう120点ですね(笑)。みんなの笑顔が見れたので。
――最後に同期と後輩に一言お願いします
今までつらいことも厳しいことも言ってきたし、たまに私も頼りないところがあって、みんなに「えっ」というふうに思わせちゃったこともあると思うんですけど、ついてきてくれて本当に感謝でいっぱいです。下級生がいなければできなかったステージですし、これからの経験に生かせると思うので、きょうという日を忘れずに、下級生は胸を張ってこれからも頑張ってほしいなと思います。いつまでも応援しています!
高山茉子応援企画責任者(政経4=埼玉・早大本庄)
――最後のチアステを終え、振り返ってみていかがでしたか
本当にあっという間に終わってしまいました。もっといろいろみんなと相談したり考えたりしていきたかったのですが、いつの間にかもうここまで来ていて正直びっくりしています。
――応援ステージの制作を担当されていましたがどのような思いで臨みましたか
そうですね。チアステだとチアのアクロバティカルなものと演技が結構多くあります。それに比べると応援曲は言ってしまえば踊っているだけの印象のような気がします。チアの華やかさが演技だけだと負けてしまう部分があって最初はとても不安でした。今まで私たちが一番慣れ親しんで踊ってきたものは『紺碧の空』や『応援曲メドレー』なので、その発展としていろいろ考えたり他のダンスを覚えたりしていました。一番軸になっているのがこの活動なので、この活動を通して多くの人に演技を伝えていけたらいいなと思っています。また、見てくださる方の中には体育会の方もたくさんいらっしゃいました。今まで自分たちが応援してきましたが、それよりも試合の中で、感動や勝った喜びを一緒に味わわせてもらったり、応援を依頼してくださったりと選手たちからとても励まされてきたので、多くの感謝の気持ちを伝えたいと思って臨みました。
――『STORY』のテーマについてご自身で考えていたことがあれば教えてください
応援部に入り、下級生の時はつらいこともたくさんありました。毎年1回チアステもあって、毎回違う演技を新しい人たちと作りあげていく中でやはりいろいろな物語があります。最後は今までの4年間の思いをみんなに伝えていけたらいいなということで、4年間を自分の中で「STORY」にしてみました。一人一人が主人公としてステージに立とうという時に多少の恥ずかしさはありましたが、自分を主人公に見立てていました。応援部生活4年間をもう一度振り返るいいきっかけになったなというふうに思っています。
――未来の後輩へのメッセージをお願いします
3年生は一年間で大きく変わってくれました。最初は、この子たち大丈夫かなという部分がとても多くて母親みたいな状態でした。一年経ち、来年3年生が部をまとめていくという立場になる時、とても頼もしいなという風に思い始めました。それを支える2年生と新入生は今までにないくらい多い人数で活動していて、その数の多さをよく生かせるようになってきたなと思っています。チアステの練習も応援もそうなのですが、最初は本当に数をまとめたり、チアステの演技をするだけで精一杯でした。全員がステージに上がるためには、応援でも全員が役割を持って行うということがとても大変でした。しかし、今は一人一人がこういうふうに活躍できると考え、いろいろな人がいろいろな風に言ってくれるようになり、頼もしいなと思っています。個性が豊かになったという感じがします。そういうところの強みをこれからも生かしていってほしいなと思っています。
加藤朝水(人4=埼玉・富士見)
――今回のステージを振り返っていかがですか
踊っている最中も観客の皆様の歓声であったり拍手であったりというのがすごく聞こえてきて、つらい練習を続けてきたので、この日のために頑張ってきたという努力が報われる感じがしました。
――今回のテーマは『STORY』ということですが、このテーマにはどのような思いを込めましたか
早稲田大学応援部のチアリーダーズということで、他の団体とは違っていろいろな応援活動であったり渉外活動や大会にも出て、本当にいろいろなことをしていて、その中でいろいろな人にお会いして、その中で私たちがやっていることは全部「STORY」としてつながっているということで、私たちが歩んできた「STORY」、またこれからの「STORY」をイメージしてやりました。
――特に苦労したことやつらかったことは
全体で76名という大人数なので、人と人との移動であったりとか、初心者の1年生もいるので、その人たちがきちんと人前で演技ができるように技術指導したりするのが特に大変でした。
――下級生の成長は感じられましたか
すごく感じられました。この練習をする前は何もできなかった子がしっかり曲やカウントでできるようになっていて、すごくいい経験になったのではないかと思います。
――最後のチアステを通して同級生へどのような思いを抱きましたか
4学年の中でも一番少ない11人なのですが、各自の頑張りを近くで見られて、一緒にステージに上がれて良かったと思います。
――インカレではキャプテンを務められますが、チアリーディングへの思いをお聞かせください
私も大学でチアを始めて、BIG BEARSでチアを学んだのですが、やっぱり演技中に声を掛け合ったり、アイコンタクトをしたり、名前を呼び合ったりとか、思いやりの中でチアをするのが醍醐味(だいごみ)だと思うし、自分たちも元気になって見ている人も元気にできるので、インカレでも元気に頑張りたいです。
――インカレに向けての意気込みをお願いします
BIG BEARSから3チーム出るのは史上初めてのことで、A、B、Cどのチームもしっかり納得のいく演技ができるようにしたいと思います。