憧れの舞台でワセダらしいステージを

応援

 吹奏楽団・チアリーダーズのステージである合同演奏会が行われてから一週間、再び六校の応援団が集った。行われたのは『六旗の下に』、ことしで第63回を迎える伝統のステージだ。「リーダーにとっての晴れ舞台」という鈴木崇正代表委員主将(教4=静岡・韮山)の言葉通り、球場やスタジアムでは主役の背中を後押しする立場であるリーダーも、この日ばかりは自らが主役。2000人を超える観客の注目を一身に集める。ことしの会場は昭和女子大学人見記念講堂。例年会場とされていた日比谷公会堂が改修期間に入ったためだ。しかし、場所は変わっても、その盛況ぶりは変わらない。チケットはすぐに完売。当日も10時からの整理券配布のために、朝早くから大勢の人々が列を成していた。

 開演は14時40分。六大学合同のチアリーディング部2年生によるオープニングステージで幕を開けると、メインとなる各校の校歌・応援歌・拍手の紹介へ。4校目に舞台に上がったワセダは、まずは校旗の紹介を行う。この日ステージの中央に堂々とそびえ立ったのは、黎明旗。応援部が大学当局から預かっている7本の校旗の中でも、最も華麗で最も優美とされている校旗だ。田中修平(法4=東京・城北)が旗手を務め、力強くも、その華麗さを象徴するようなしなやかな旗礼で観客を魅了した。

憧れの舞台でテクを披露した鈴木

 続くワセダが誇る第一応援歌『紺碧の空』を挟んで披露されたのは、『伝統の勝利の拍手』。早慶戦で勝利を収めたときにのみ行われる特別なものであり、司会を務めた井上雄太(教3=愛知・海陽学園)が「早慶戦優勝祝賀会」と称したこの日のステージにもうってつけ。三拍子、四拍子、一拍子、二拍子と経て勝ちどきの声で締めくくる、単純ながらも荘厳かつ重厚な拍手だ。「ワセダの強みは人数が多いこと。その強みを生かせるような、迫力のあるそろった演技というのを意識して」(鈴木)との言葉通り、その気迫で客席を圧倒した。

 「ワセダのプライドというものをしっかり出せた」と振り返る野澤大地(代表委員主務・東京六大学応援団連盟常任委員、教4=神奈川・海老名)。『新人哀歌』を下級生のリーダーたちが歌うなか、スクリーンに映し出されたのは幹部の新人時代からの写真。その成長ぶりをたどるとともに、受け継がれてきた伝統を感じさせるものとなった。続くワセダ必勝応援曲メドレー『大進撃~スパークリングマーチ~コンバットマーチ』では、リーダー幹部5名のそろったテクとキレのある突きで客席を魅了。観客も手拍子でそれに応えると、最後は校歌『都の西北』でワセダのステージを締めくくった。

リーダー幹部5名による応援歌メドレー

 各校の個性がよく表れていたこの日のステージ。フィナーレでは六大学のリーダー幹部が共に舞台に立った。六校の応援歌メドレーが披露されるなか、下級生のリーダーたちは観客席に降り立ち、元気いっぱいに盛り上げる。「あの盛り上がりが六大学応援団連盟に対する期待の表れ」(野澤)と言うように、観客も総立ちで、会場は熱気と興奮に包まれた。ライバルであり、仲間である―――。六校の応援団にはまさしくその言葉がぴったりだ。それぞれの伝統を受け継ぎ、互いに認め合いながら、これからも六校はそれぞれの歩みを進めていくことだろう。

※写真はリハーサル時に撮影したものです

(記事、写真 中川歩美)

コメント

鈴木崇正代表委員主将(教4=静岡・韮山)

――きょうの六旗を振り返っていかがでしたか

今回の『六旗の下に』は自分たちにとって最後の晴れ舞台であり、無事に納得のいく形で終えることができたので良かったです。というのも、やはり『六旗の下に』というのはリーダーにとっての晴れ舞台で、幹部が一番目立つところだと思います。そういった部分から、下級生にとって憧れの存在であり続けなければならないし、また一番憧れが強いのが、この『六旗の下に』というステージだと思います。僕も新人の頃に、ああなりたいと思ってここまで頑張ってきましたし、下級生にとってもそういう存在になれたのではと思います。OB・OGの方も本当に大勢見に来てくださって、その点でも成果を見せることができて良かったなと思います。

――日比谷公会堂が改修中ということで会場も変わり、日程も例年とは異なりました

「日比谷公会堂=六旗」というイメージも強くあったのですが、日比谷公会堂じゃないからちょっと、と言われるのは嫌だという部分もかなりモチベーションの中にありました。本当にたくさんのお客さんが来てくださって、いいステージができたと思います。

――迫力のある拍手や早稲田大学校歌では、普段の盛り上げる応援とはまた違い、観客を惹きつけ魅せる演出となっていました

応援とはまた違った感じではあると思うのですが、ああいった技術がまた応援につながる部分もすごくあると思うので、普段の応援の集大成という形にもなると思います。

――各校の個性がよく出ていたと思いますが、ワセダはどのような点に重きを置いて臨みましたか

ワセダの強みは人数が多いことだと思うので、その強みを生かせるような、迫力のあるそろった演技というのを意識していました。

――幹部、代表委員主将となって前に立つと、やはり見えるものや背負うもので違った点はありましたか

そうですね、やはり憧れだった光景に自分が立っているというのは感無量といいますか、感激する部分はありました。

――盛り上がりを見せたフィナーレでは鈴木さんの笑顔も見られました

はい。顔つきも大事かもしれないのですが、お客さんの光景がすごくよく見えて感動して、思わず顔にも出てしまいましたね。

――この舞台に立つまでを振り返って思うことはありますか

先ほども言ったように、下級生の憧れとなる舞台であり、かっこいい姿を見せられるように頑張ってきたので、そういう部分が見せられて良かったと思います。

――鈴木さんにとって六旗とは

いつも応援する立場の僕たちですが、「六旗の下に」は自分たちを見せる晴れの舞台だと思うので、憧れの場であり続ければいいなと思います。

――ファンに向けてメッセージをお願いします

本当に来てくださった方には感謝していますし、これからまたどんどん応援もあるので、きょう来てくださった方もそうでない方もまたいろいろな応援に来て、一緒に応援していただければと思います。

野澤大地代表委員主務・連盟常任委員(教4=神奈川・海老名)

――きょうの六旗を振り返っていかがでしたか

ワセダらしいステージ、シンプルだけれども下級生の人数とテクでしっかり魅せられるステージを心掛けてシンプルかつオーソドックスにやっていたのですが、それをしっかり出せたのかなと思います。

――日比谷公会堂が改修中ということで会場も変わり、日程も例年とは異なりました

早慶戦から少し時間が空いたので、余裕を持って準備できたのかなと思います。下級生もしっかり練習して、最初からは見違えるほどの姿になりました。その上で皆さんにステージをお見せできたので、それが良かった点だと思います。

――連盟常任委員として臨んだ六旗でしたが、いかがでしたか

ワセダの意地をどれだけ見せられるかがやはり連盟の場での勝負だと思います。そういった部分で、ワセダらしさ、ワセダのプライドというものをしっかり出せたのかなと思います。

――新人哀歌とともに、リーダー幹部の4年間を新人時代から振り返りました。この舞台に立つまでを振り返って思うことはありますか

やめたくなるときも、どうしてこんな苦しいことをしているのだろうと悩むときもあったのですが、それでも本当にここまで続けてきて良かったと思えるような舞台でした。下級生もしっかりと四年間続けて、この場に立ってほしいという思いでいっぱいです。

――フィナーレはすごく盛り上がりましたね

あの盛り上がりが六大学応援団連盟に対する期待の表れだと思うので、その期待だったり信頼というものを、崩すことなくさらに大きくしていけるようにわれわれも六大学全体で活動していけたらなと思います。

――このように他の応援団と同じ舞台を作るというのは東京六大学以外ではあまりないように思うのですがいかがでしょうか

ライバルであり仲間であるというのが本当に東京六大学応援団連盟の良い部分だと思います。今回の「六旗の下に」は、その部分をしっかり出せたステージだったのではと思います。

――野澤さんにとって六旗とはどのような存在ですか

一つの集大成であり、一つの通過点かなと。六旗を目指してやっていく部分もあるのですが、年間の活動としてはまだ今後先もあるので、下級生や、私たちも含めて、一つ成長の場であると同時に、一つやはり集大成の場であるのかなと考えます。

――ファンに向けてメッセージをお願いします

秋の大学スポーツ・ワセダスポーツのシーズンが、また夏休みを終えると始まります。我々応援部も、夏合宿で部員の団結力と個人の技術をしっかり高めて臨んで参りますので、ワセダスポーツへの大きなご声援をよろしくお願いします。