41回目の新たな一歩

応援

 東京六大学応援団の吹奏楽部とチアリーディング部が、ライバル同士の壁を越え団結し1つの舞台を作り上げる。第41回合同演奏会がことしも開催された。華やかなマーチとともに幕を開けた演奏会は3部構成で、1部ごとに違った個性をもつパフォーマンスが繰り広げられる。第1部~喜歌劇『メリー・ウィドウ』セレクション~の指揮は串田明日香(教4=東京・立川)。次から次へと起こる感情の変化を巧みに表した演奏は観客を曲の世界へ一気に引き込んだ。

 第1部のシンフォニックステージに続いた第2部のドリルステージ。ドリル隊の整然とした動きやチアリーディング部のダイナミックかつキュートな演技、カラーガード(※1)の美しさはこのステージを花形と呼ぶにふさわしいものとしている。その舞台の3曲目と5曲目ではDM(ドラムメジャー※2)田中梓(文4=東京・戸山)がステージの構成と指揮を担当した。3曲目『My Fair Lady』では映画の世界観が見事に反映されたメンバーの演奏とカラーガードの演技の優雅さ。5曲目『虹』ではうって変わってチアリーディング部も加わったポップでパワフルな演技に、観客からは惜しみない拍手が送られた。また、GC(ガードチーフ※3)守口夢子(国教4=神奈川総合)の担当曲は第2部最後を飾った演奏曲『明日への扉』。「1番最後で疲れているが、みんなが笑顔で旗を振ることができるように考えた」と守口は語る。その言葉の通り、演技するカラーガード一人ひとりの輝く明るい笑顔は観客を魅了した。すべての曲が終了し、幕が下りたのちも鳴り止まない拍手。アンコールに演奏されたのは各大学の応援歌だった。六大学ならではの応援歌に会場は沸き、思わず口ずさんでしまう。華やかな応援歌メドレーで第2部は幕を閉じた。

シンフォニックステージで指揮した串田

 観客を圧倒する演技が次々と披露された第2部の余韻に浸りつつ続いたのが第3部のポップスステージ。第1部と同じく3曲が演奏された。『リトル・マーメイド・メドレー』は有名な曲ということもあり、会場は陽気なリトルマーメイドの世界に。ミラーボールの美しい演出に乗って、観客が思わず手拍子を打ってしまう光景も見られた。そして演奏会の最後には嵐の『Happiness』とともに出演者とスタッフ全員が舞台上に登場。会場には鳴り止まない、温かい拍手が響き渡った。

見事な演出で盛り上がったドリルステージ

 昨年の第40回という節目を経て迎えた、この第41回合同演奏会のテーマは『前進~新たな第一歩』。田中と守口は「演奏会を通して成長できた」と口を揃えた。節目を越えてなお、新たな目標に向かって進み続ける応援部がますます発展していくことを願う。

※1 マーチングにおいて旗などを使用して舞い、視覚的表現を行うパートのこと。

※2 ドリルステージやパレードで指揮をする者。全員の動き(コマ)を作成し、構成を考える。

※3 カラーガードの振り付けや旗の動きなどの表現方法を考える者。

(記事 榎本透子、写真 難波亮誠)

コメント

DM 田中梓(文4=東京・戸山)

――感想をお聞かせください

いままで練習を積み重ねてきて、2年生3年生が本当に頑張ってきてくれたので。プレーヤーの努力のたまものだと思っています。

――いつ頃から練習を始めていたのでしょうか

六大学で練習を始めたのが4月で、2月頃から各大学で練習を始めていたという感じです。

――DMとして出演なさったステージはいかがでしたか

DMは楽器を吹いている人の隊形を書くのが役目なのですが、隊形で何を表現しようかというところから考えました。私の担当した曲は『My Fair Lady』という曲で、曲の雰囲気をどう出そうかと。ソロの部分は静かにしたり、盛り上がる部分ではいっぱい動きを出してみたりなど。曲の雰囲気に合うような動きを考えていました。

――六大学でやるステージはどのようなお気持ちでしょうか

普段は野球の応援だったりして、(スタンドの)反対側にいるライバルなのですが一緒に吹奏楽をやっている仲間としては良い仲間であると思っています。一緒にレベルを高めあっていける良い機会だと思いました。

――テーマは『前進~新たな一歩~』、振り返っていかがでしょうか

私もDMになって経験が浅かったので六大学の仲間と協力して自分の技術も精神面も成長できたかなと思っています。

守口夢子(国教4=神奈川総合)

――感想をお聞かせください

すごく楽しかったです。

――構成をより美しく見せるために工夫した点はありますか

自分が担当する曲が1番最後で疲れていると思うので、みんなが笑顔で旗を振ることができるように考えました。

――演技を作り上げる上で苦労した点はありますか

練習を後半に始めたのでみんな疲れている中での練習になったと思います。ですがみんな頑張ってくれたのでよかったです。

――旗を振る際にはどのようなイメージを持って演技をしましたか。

自分が担当した『明日への扉』はとてもかわいらしい曲だったので、とにかくかわいらしい演技にしようと考えました。

――今回のテーマは『前進~新たな一歩~』でしたが、ご自身を振り返って一歩前進した点はありますか

仕切ったり教えたりする立場として、2つ下の学年がすごく成長してくれたことが自分の成長でもあると思っています。