ワセダの伝統を引き継ぐ

応援

 1年間の締めくくりとして、ことしで50回目を数える定期演奏会を迎えた吹奏楽団。2013年度最後の舞台は、さまざまなパフォーマンスを交えたワセダらしい響きを作り上げると同時にその伝統を引き継ぐ精神を感じさせ、大勢の観客を魅了した。

 第1部のシンフォニックステージは、演奏会の副題でもある『Golden Jubilee』の華やかなファンファーレで幕を開けた。続いて演奏された『邂逅』は、応援部創部60周年の際、記念に作られた作品。歴代のOB、OGも演奏に加わり、総勢90名のゆったりとしながらも壮大なスケールの演奏で会場を感嘆の渦に巻いた。続く第2部のポップスステージでは、曲の雰囲気に合わせてペンライトを使った観客参加型の演奏、キレのあるアクションやスタンドプレーを決めた演奏でさらに観客を盛り上げる。アンコールでは『都の西北』と『オリンピックマーチ』を披露。この『オリンピックマーチ』は『紺碧の空』と同じ作曲者を持つ。ワセダにゆかりのある2曲で会場全体をエンジ色に染め上げた。

演奏だけでなくスタンドプレーでも客席をわかせた

 第3部開演に先立ち、吹奏楽団責任者の田中潤(商4=東京・成城)が舞台に登場。「気持ちを伝えるプロになる」という部の精神が薫るあいさつ、そして観客と仲間への感謝の気持ちを伝える言葉に拍手が沸き起こった。第3部のドリルステージのテーマは『Company』。サーカス団の一員となった少女が、仲間と危機を乗り越えるというストーリー性のある舞台だった。ドリル隊のきびきびとした動きと、色とりどりの旗を持ち、しなやかに舞うカラーガードは見る者をくぎ付けにした。最後にステージ構成と3部の指揮を担当したDM小出夏子(国教4=東京・鷗友学園女子)とパフォーマンスを考案したGC吉野優花(文構4=埼玉・淑徳与野)が舞台に現われ、演奏会は拍手の鳴りやまないうちに幕を閉じた。

一糸乱れぬドリルを披露する吹奏楽団

 4年生にとってはこの日が最後の舞台であり、次の世代へとバトンは渡される。最上級生と、その背中を追ってきた下級生が紡ぐ確かな一体感をまとったこの演奏会は、脈々と受け継がれるワセダの精神と共に次世代の活躍を予感させた。これからも伝統を引き継ぎながら、応援部はさらなる進化を遂げてゆく。

(記事 伊能由佳、写真 川口真由)

コメント

田中潤(商4=東京・成城)

――きょうのステージを振り返って

あっという間に、気付いたら終わってしまいました(笑)。

――1年間吹奏楽団を引っ張ってきたことについてはいかがですか

周りに助けてもらいました。応援部の中で、自分に甘いような私が吹奏楽責任者として成り立たせてくれるために他の者が指導してくれたり、(自分を)立ててくれたおかげでこうして最後みんなの前であいさつできたのかなと思います。

――仲間に感謝という感じでしょうか

本当にそうですね。

――第3部開演に先立ってのあいさつで「気持ちを伝えるプロになる」とおっしゃっていましたが、4年間で『気持ちを伝えるプロ』になれたと思いますか

自分はなれたと思いますし、この団体はそれが伝統としてあるのではないかと思っています。自分が高3のときに一度話を聞きに来たことがあって、技術よりも心に来るものがあって、「何でだろう」というのが入部の動機で、それが4年間を通して分かったのではないかと、伝えることができたのではないかと思います。

――その答えというのは『気持ち』でしたか

そうですね。気持ちを伝える者が音や楽器に気持ちを乗せたときに他の団体にはないシナジーが生まれるのではないかなと思います。

――きょうはどのような気持ちを乗せて演奏しましたか

来てくれるみなさんへの感謝と、同期と下級生への感謝。その気持ちだけでした。

――4年間で苦労したことは

苦労したことの方が多かったかもしれませんが、おかげで強くなれましたし、そのおかげで応援のときに選手を後押しすることもできたと思いますし、大変でしたけど悪い経験ではなかったと思います。

――強くなれたというのは精神的にということでしょうか

そうですね。精神的な面でも成長できたと思います。

――最後に4年間一緒に過ごしてきた同期のみなさんに一言お願いします

付いてきてくれてありがとう。これからもよろしく!です(笑)。