最高の舞台で『最高のワセダ』を

応援

 開場前から連なる幾重もの列。それは東京六大学応援団による、年に一度の大舞台を心待ちにしているファンの期待の表れでもあった。ことしで60回目を迎える『六旗の下に』(六旗)。普段は『陰の主役』として体育各部を応援する応援部が、『真の主役』となって輝く舞台である。幹部にとってはこれが最後の六旗。満員の日比谷公会堂でワセダの誇りを存分に見せつけた。

見事な旗礼を披露した野村

 節目の六旗の先頭を飾ったワセダは、まず東京の中心で『都の西北』を轟かせた。そして舞台中央に新大校旗が現れる。ことしで生誕30周年を迎えたこの第一校旗の旗手を務めたのは野村隆文(教4=兵庫・六甲)。「校旗はワセダを一番象徴するものなので、美しく見せるということにこだわった」(野村)という言葉通り、大海原のうねりを思わせるような見事な旗振りを披露した。早稲田人の心意気を表現したと言われる『人生劇場』を挟んで日比谷公会堂に響き渡ったのは、ワセダが誇る第一応援歌『紺碧の空』。聴く者に必ず元気を与える名曲がステージに華を添えた。

『紺碧の空』から一転して演じられた『伝統の勝利の拍手』。この拍手は早慶戦でワセダが勝利したときのみ行われる秘技で、荘厳かつ重厚な雰囲気を醸し出す。「早慶戦よりもっと間をもって洗練させて」(関口晃由代表委員主将、教4=東京・東洋)演じた伝統技で観客を魅了した。1時間近くに及ぶステージの最後を飾るのはワセダ必勝チャンスパターンメドレー。六大学一の大きな声と一糸乱れぬ力強い突きで、会場を神宮球場に様変わりさせる。最後は『早稲田の栄光』で締めくくり、最高のステージの幕は閉じられた。

開場を大いに盛り上げた早稲田大学応援部

「このステージに主役として上るということは、もう自分たちの活動も本当に終わり」(高橋一弥、人4=神奈川・茅ヶ崎北陵)――下級生時代から夢見た、六旗という名の晴れ舞台。最初にして最後かつ最高のステージで『最高のワセダ』を大勢の観衆に見せつけた。稲穂の校旗が次に翻るのは東京六大学野球秋季リーグ戦。その最終戦には本当に最後の『ひのき舞台』が控えている。長い応援部生活も残り半年。リーダー幹部三羽がらすは最後のその瞬間まで『最高のワセダ』を魅せるべく、全身全霊で突っ走っていく。

(記事、写真 川口真由)

コメント

関口晃由代表委員主将(教4=東京・東洋)

――きょうの感想を一言でお願いします

最後の六旗で私たちの考えた通りにでき、満足して終わることができたので良かったです。

――六旗で先頭を飾ったのはいかがでしたか

先頭だったのでかなり緊張したのですが、何とかできて良かったと思います。

――最初に登場すると聞いたときは

連盟順でことし最初ということは前から分かっていたので、その点は全然大丈夫です。

――最初に登場というのは気合の入り方も変わってきますか

最初で盛り上がりたかったので構成などもいろいろ考えて、いろいろな曲目をできたので良かったです。

――伝統の勝利の拍手は早慶戦でも披露されたと思うのですが、そのときとは違う感じはしますか

ステージは魅せなければならないので、早慶戦よりもっと間をもって洗練させてやりました。

――早慶戦は『魅せる』わけではないのですか

早慶戦では球場なのでそれほど長く間を持ってやっても飽きてしまうので、ステージとはまた違う形でやるという感じですね。

――代表委員主将として立った六旗の舞台はいかがでしたか

主将としてできて、また、私としてはずっと夢だったステージだったので、最後そういった形で終われて良かったです。

――下級生時代とは違った景色が見えましたか

やはり全然違いますね(笑)。

――どのように違っていましたか

新人のときにすごく感動して、2年3年のときは中核としてどれだけ当時の4年生を輝かせるかということを考えてきて、ことしは自分が輝く番だったのでそれなりに私たちが一番頑張って、その分では下級生が頑張ってくれたので良かったと思います。

――話変わってことしの六旗は60回記念でしたが、そのような年に先頭を飾るというのはどのようなお気持ちでしょうか

60回で記念すべき年に『六旗の下に』をできて良かったと思いますし、私たちなりに六大学、私たちの代で築き上げた六旗だと思うので、そういった意味ではすごく良かったと思います。

――六大学の春季リーグが終わってからきょうまで時間が少なかったかと思いますが

2週間という少ない時間の中で、すごく下級生が頑張ってくれて揃えるところはかなり揃えてくれたので、そう言った意味では例年より下級生も揃った演舞ができたのかなと思います。

――関口代表委員主将の下級生時代よりも揃っていたと思いますか

毎年各代によって色が違うと思うのですが、その中でもことしは徹底的に合わせることを意識して、気合は合わせてからということを下級生には常に伝え続けて、そういうことがことしはすごくよく出ていたと思うので良かったです。

――関口代表委員主将にとっての六旗とは

応援ではなくステージなので。ちゃんとしたものを見せなければならない。そういった意味で個人的にことしは楽しめました。

――きょう日比谷公会堂にはワセダ応援部のファンの方も大勢駆け付けられたことと思います。そのファンの方々に一言お願いします

「六旗の下に」、来ていただき本当に感謝していますし、これからもぜひ神宮球場に来ていただいて応援していただければと思います。

野村隆文(教4=兵庫・六甲)

――最後の六旗を終えての感想は

下級生がいてこその今回の六旗だったと思っておりまして、私たち幹部はもちろんのこと、早稲田大学応援部一人一人全員で作り上げた素晴らしいものができたと思います。

――下級生がいなければこの舞台は成り立たなかったということでしょうか

そうですね。

――神宮球場やデモンストレーションでテクを振ることはあったと思いますが、このようなステージで振ることはいつもと違いますか

そうですね。やはり六大学の中でまずワセダを代表させていただいているので、その名に恥じないように。「これがワセダだ」というような最高の早稲田大学というものを見せたいと思って臨んでおります。

――六大学の旗手の中では野村さんが最初に登場しましたが、何か意識したことは

やはり校旗はワセダを一番象徴するもので、それをいかに映えさせるかが私にかかっているので、美しく見せるということはこだわりました。

――好きな校旗は

きょう持った新大校旗ですね。

――『紺碧の空』は気持ちよく振れましたか

気持ちよく振れましたね(笑)。

――野村さんにとって六旗とは

六旗はいままで懸けてきたものそのものだと思っています。いままで懸けてきたものをすべて発揮する場が六旗なので、本当に懸けてきたものそのものですね。

――きょうはその懸けてきたものを発揮できたと思いますか

そうですね。

――ワセダ応援部のファンに一言お願いします

本当にありがたいと思っています。やはり応援してくださるみなさまがいるからこそワセダの応援部も続いておりますし、いろいろなところで助けられている時分が多いので、本当に感謝しています。

高橋一弥(人4=神奈川・茅ケ崎北陵)

――きょうという日をどのような気持ちで迎えましたか

正直僕の場合はあまり意識をしていなかったのですけれども(笑)、実際4年生になってこの舞台に立ってみるとやはりいままでの下級生の頃のことを思い出してみたり、あとこのステージを主役として上るということはもう自分たちの活動も本当に終わりなんだなということをひしひしと感じますね。

――最後の六旗ということになりますね

そうですね、本当に最後です。

――幹部として臨んだ六旗はいかがでしたか

やはり気持ちいいですね(笑)。下級生の頃とは比べ物にならないぐらい楽しくできました。

――景色が違う感じでしょうか

もう全然違いますね。やはり自分たちを中心にそのステージの全てが成り立っているという本当に普通では考えられないことが起きていたので。

――いつも『陰の主役』である応援部ですが、六旗は『真の主役』となり得る舞台ということもあってとても輝いていました

本当ですか(笑)。ありがとうございます。僕らは普段応援をして彼ら(体育各部の選手)の良いものを引き出そうとやっているのですが、きょうばかりは僕らが主役で楽しみつつ来てくれた方々を楽しませるということを意識しました。

――チャンスパターンメドレーではセンター指揮を務めましたが、気合の方はいかがでしたか

それはやはり何だかんだセンターを務めるということはそれなりのしっかりとしたものを見せないとワセダの恥になってしまうので、それはもうちゃんと100パーセントの力で臨みました。

――ワセダの誇りは見せつけられましたか

ばっちりです!

――チャンスパターンメドレーの中で一番好きな曲は

僕が一番好きなのはやはりコンバットマーチですね。突きは他の曲でもちょこちょこ入ったりするんですけれども、あれだけずっと突きをするのはコンバットだけなので、あそこでやはり一番の気合を見せられるポイントだと思うので、そこが好きなポイントですね。

――ことしの新曲『サンライズ』も六旗では初のお披露目でしたが

この先々どうなるかまだ分からないのですけれども、きょう『六旗の下に』でも発表できて、感触的にも結構この先も残っていくのではないかなという気はします。なのでこの先もどんどん『サンライズ』が引き継がれていければと思います。

――六大学の中でワセダのチャンスパターンメドレーのときが一番声が大きかったように感じました

謙遜するともしかしたら最初ということもあったのかもしれませんが、ただ、でももしかしたらワセダの応援が一番人の心に残りやすくて、みんなが覚えてくれているということもあるのかなと思いました。

――高橋さんにとって六旗とは

そうですね…。最初で最後の最高のステージですね。

――ワセダ応援部のファンに一言お願いします

日頃からみなさんが温かく見守ってくださっていての僕ら応援部なので、やはりみなさんから冷たくされてしまったり見向きもされなくなったら僕らはただの『ちんどん屋』になってしまうので、みなさんあっての応援部だと思うのでこれからも応援部の応援をよろしくお願いいたします。