早慶戦へ、準備は万端!

応援

 伝統の一戦に向けて、ことしもこの季節がやって来た。秋の早慶戦を前に早大応援部が主体となって毎年行われる稲穂祭。応援部と観客が一体となって野球部へエールを送る、熱いイベントだ。記念すべき60回目を迎えたことしは、昨年とは構成を大幅に変更させた新しいスタイルでの開催となった。第1部・早慶応援合戦、第2部・応援部カムバック、第3部・野球部壮行会という3部構成のかたちをとる中で、会場は終始大いに盛り上がり、早慶戦への士気はさらに高まった。

 両校の幹部登場から始まった第1部。試合仕立てで進行し、会場は実際の早慶戦さながらの雰囲気に包まれる。一進一退の『試合』を繰り広げる両校に会場の熱はヒートアップ。チャンスパターンメドレーと共に、力強いテクと突きで観客を引っ張る。『試合』の終わりには、舞台上に両校のリーダーが一堂に会し、激しい応援合戦を繰り広げた。そして最後は『紺碧の空』と『若き血』の熱唱でこの部を締めくくった。続く第2部は応援部OBを招いて応援の歴史をたどる「応援部カムバック」。「応援とはどういうものかというのを知っていただく」(関口晃由代表委員主将、教4=東京・東洋)というコンセプトだったこの企画。応援テクニックの精神と題した講義でこれまでの早大の応援を映像や写真と共に振り返り、舞台上で歴代のOBがそれらを実践するという演出で会場を沸かせた。

『早慶賛歌』を披露する両校主将

 第3部はチアリーダーズの華やかなステージで幕を開け、早慶戦の主役である早大野球部の4年生が登場する。東條航主将(文構4=神奈川・桐光学園)と岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)が野球部を代表して、試合へ向けての思いを語った。その思いをかき立てるかのように、関口からは応援部全員で折ったという文字鶴の贈呈というサプライズが。折鶴1つ1つに込められた応援の気持ちが、この瞬間野球部員へと伝わった。文字鶴には「絆」という一文字がかたどられており、「慶大に勝つ」という信念の下まさに絆で結ばれた応援部、野球部、そして観客は、早稲田大学校歌を熱唱。会場が熱気に包まれたところで稲穂祭は幕を閉じた。

応援部員が制作したという文字鶴と共に握手をする東條(左)と関口

 幹部にとって、早慶戦という大舞台で応援するのはこれが最後。関口を始め、野村隆文(教4=兵庫・六甲)と高橋一弥(人4=神奈川・茅ケ崎北陵)も有終の美を飾るにふさわしい応援を見せてくれることだろう。稲穂祭同様観客を引っ張り、早慶戦を大いに盛り上げてほしい。試合はいよいよ今週末だ。

(記事 松崎はるか、写真 三尾和寛、川口真由)

コメント

関口晃由代表委員主将(教4=東京・東洋)

――きょうの舞台を振り返っての感想をお願いします

きょうは私が基本全部企画等をしてきて、集客の面とかで結構苦労したんですけれども、何とか最終的にはほぼ満員になって。ゲストコーナーも大変よく終わって、最後みんなで校歌を大熱唱できたので良かったと思います。

――始まる前どのような気持ちでしたか

もう不安だらけですね。不安しかなかったです(笑)。

――第1部での早慶応援合戦は試合に沿った構成になっていましたが、その構成にした理由は

ちょっとアドバイスを頂きまして。ほぼきのうまで台本を書き変えたりとかして、かなり根詰めてやって。いろいろと当初より変わった部分があったんですけれども、最終的にこういう形にできて良かったと思っています。

――「応援カムバック」は、それはやはり稲穂祭60周年ということもあっての企画だったのですか

そうですね、やはり60周年という記念でどういった動きに意味があるのかとか、応援とはどういうものなのかというのをこの60回の記念に来場してくださった方々に知っていただくという意図で。最初はちょっと講義形式という感じになったんですが、それもある意味良かったのかなと思っています。

――いつごろから企画を練り、準備をしてきたのですか

春合宿の時点で「あ、こういうの良いですね」というのが始まり、もう4月の時点から考え始めて、半年以上かけて準備してきました。

――今回の舞台で一番苦労した点や力を入れた点は

私としてはやはり、第1部の応援合戦と、集客の方ですね。集客をどうやってやるかというのを非常に考えてやりました。

――きょう来てくださった観客に一言お願いします

やっぱり本番は今週末の早慶戦なのでぜひそちらに足を運んでいただいて、一緒に盛り上がっていきたいと思います。

野村隆文(教4=兵庫・六甲)

――稲穂祭を振り返って一言お願いします

まず本当に感謝しています。早慶戦の前夜祭を成功させたいと思っていましたが、本当にたくさんの方がいらっしゃって一緒に盛り上がってくださったので感謝しています。

――どのような意気込みで臨まれましたか

4年間で学んできたことの集大成だと思って、恩返しというか先輩から教えていただいたことを次の世代に伝える恩送りを全力でしようという意気込みでした。

――早慶応援合戦は盛り上がりましたね

六大学の中で慶大が良きライバルであり良き友だと思うので、共演できて良かったです。

――観客の皆さんの盛り上がりを見ていかがでしたか

純粋に嬉しかったですね。早稲田祭と早慶戦が被り早稲田祭の準備が忙しい中来てくださった方も多くいらっしゃって、本当に感謝しています。

――新しい試みもあったかと思いましたが

高橋みなみさんの出演があり、構成自体もガラッと変わっているんですけど、応援自体ワセダが常にパイオニアとして先陣を切ってきたので、校歌にもあるように「進取の精神」を常に持って、新しいことを観客や野球部目線で探していきたいと思います。

――野球部にエールをお願いします

野球部は私が1年生のときから仲良くさせてもらって個人的な感情も多くありまして、どうしても勝ってほしいです。私たちの応援が少しでも野球部の皆さまの力になれるように、観客の声を一つにすることが役目なのでそれを野球部の心に届けたいです。

――最後に早慶戦に向けた意気込みをお願いします

恩送りというのを一番のモットーとして、いままでお世話になった皆さまやワセダを愛する皆さま、野球部の皆さまにたくさんのことをしていただいたので、少しでもその恩を次の世代につなげるようにしたいです。その大前提として一丸となった応援をして、絶対に勝ちたいと思います。

高橋一弥(人4=神奈川・茅ケ崎北陵)

――今回の稲穂祭にどのような気持ちで臨みましたか

早慶戦前夜祭ということで、いかに観客の方に盛り上がっていただけるのかということを考えました。それと自分でも楽しめるように頑張りました(笑)。

――稲穂祭は今回で60回目を迎えましたね

そうですね。節目の年だったので、関口と何かそれにふさわしいことをしたいなということを話していました。委員長は関口なので、結局全部やってくれましたけど(笑)。きょうみたいなことができて本当に良かったと思います。

――パフォーマンス中は肩で息をするほど気迫がこもっていました

何だかんだで結構疲れるんですよね、見た目以上に(笑)。

――観客席の方々も非常に盛り上がっていましたね

僕は最初の『紺碧の空』を担当したのですが、正直あれだけ盛り上がったのは新歓以来ですね。とてもうれしいです。

――第2部では応援部OBによるパフォーマンスがありましたが、それに関してどう思われましたか

各年代の方にテクニックを披露していただくという経験がいままでなかったので、すごく勉強になりましたね。できれば半年早く見たかったです(笑)。

――慶大の応援はどうでしたか

相変わらず曲調が華やかでしたね。きょうのパフォーマンスではいろいろと協力してくれたので感謝しています。

――早慶戦に向けての意気込みをお願いします

選手でない僕らは、応援することしかできません。ですが、その応援の声一つで、例えば平凡な飛球が安打になったり、投手がいつも以上の力を出せるかもしれません。そういうことができるような応援を作っていきたいと思います。