【連載】インカレ直前特集『BELIEVE』 最終回 星川堅信×岩屋頼×下山瑛司

男子バスケットボール

 最終回を飾るのはF星川堅信(スポ4=京都・洛南)、G岩屋頼(スポ2=京都・洛南)、G下山瑛司(スポ1=愛知・中部第一)の3人。最上級生としてチームをけん引する星川と、下級生ながら主力として活躍するポイントガードの2人に、関東大学リーグ戦(リーグ戦)の振り返りや、全日本大学選手権(インカレ)への思いについて伺った。

※この取材は11月18日に行われたものです。

お互いの紹介

下山

――他己紹介をお願いします

岩屋 (星川は)見たら分かる通り、バスケが上手くて、身長も高くて筋肉モリモリで完璧です。本が好きで、本を書いたりもできます。読むだけでなくて、 その方面にも幅が広がればと考えてます。 バスケも本も頑張っています。

星川 (下山は)しもじです。愛称は「しもじ」です。

――しもじと呼ばれているんですか

星川 下山の「しも」と瑛司の「じ」でしもじです。しもじと呼んであげてください。寮が一緒なので、一緒にご飯を食べてます。服装が動物縛りですが、本人は否定します。

――「服装が動物縛り」とはどういうことですか

星川 熊の服を着ていたら、陽稀(堀陽稀、スポ2=京都・東山)が動物縛りと言っていて(笑)。 バスケはみんな分かると思うけど、一番速いので、その勢いをチームにもたらしてくれます。あとは、いじられ役でもあり、先輩にいじりにもいけるので、いいスタンスでやってます。あとは真面目ぶってます。

下山 (岩屋)頼です。2年生で、見ての通りイケメンで、身長は男性としてちょうどいいぐらいです。勉強もできて、バスケもうまいです。寮とか授業では一緒にやることが多いのですが、すごいボケてます。急にボケ始めて、1人で笑って、 周りもつられて、周りを明るくできる人だなと思います。あとは…。

岩屋 もういいよ(笑)。

下山 あとは、すごく優しいです。

――星川選手と岩屋選手は洛南出身で、高校からお互いを知っていると思いますが、高校と大学で印象は変わりましたか

星川 (岩屋は)先輩としゃべるようになったよね。洛南の時は先輩とそんなに上下関係はなかったけど、あんまりしゃべらずみたいな感じやった。大学では、みんなで喋ってるんじゃないかなと思います。

岩屋 (星川は)ずっと優しいです。ずっと優しいけど、高校から大学に入って、親しみやすさは変わったなという感じです。高校生の時は、キャプテンと仲良くしていて、そのキャプテンも怖かったから(笑)。めっちゃ怖い人と仲良くしてたから、どこか近寄り難いというか。あんまりしゃべってなかったけど、親しみやすくなったなと大学に入って思いました。

――下山選手に対して初対面と今で印象に違いはありますか

星川  最初は、やっぱりみんな真面目ぶるんで(笑)。けど最近はね、全然バレてきてますけど、真面目ぶってるのが。最近は親しみも増えてますね。

岩屋 僕は高校のウインターカップ(全国高等学校選手権大会)の時に対戦していて、その時先輩にタメ口で話していて(笑)。「おい、流嘉洲(田中流嘉洲、大東大)!」みたいな。しかも険しい顔をずっとしてるから、おもんなくてやばいキャラやなと思ってました。今は意外とちゃんとしていて、一番後輩感あるんちゃうかな。楽しい感じでやっていて、そのギャップはありました。

星川 俺もウインターカップで洛南の開聖(星川開聖、筑波大)の応援に行ったんですよ。そこで(下山が所属していた)中部第一に接戦で負けて、しもじがいいタイミングで、コーナースリーポイント2本決めて、「あいつダルい!」とか言ってました(笑)。そいつがチームメイトになると聞いて、うれしかったです。

――学年のカラーはありますか

星川 (4年生は)龍海(兪龍海、現三遠ネオフェニックス)が一番強い色を出していたので、それが抜けた分、良くも悪くも色味薄めになったな。

岩屋 結構人数が多いです。長田さん(長田草太コーチ、平29年スポ卒)から言われるのは、僕と陽稀が子供な思想してるって。

星川 思想(笑)。

岩屋 けど中和してくれるような賢いキャラの人たちも多いです。啓汰(吉祥啓汰、政経2=東京・早実)、いっしー(石井滉己主務、社3=神奈川・小田原)とか。周りがしっかりしているから、いい学年になるんじゃないかなって感じです。

――1年生はどうですか

 1年生は我が強いです。ちょっと今は1年生のカラーと言われてもぐちゃぐちゃな状態です。もう強い人は強くて、弱い人はすごい弱いので、真ん中で何かしてくれる人がまだ少なくて大変です。僕は多分周りから見たら大変側にいるんですけど、僕から見ても大変だなと思います。

星川 (下山は)大変側じゃないよ。

――大変側は誰なのでしょうか

星川 健一(三浦健一、スポ1=京都・洛南)が大変というか。まあ火がついたら止まらないっていう(笑)。ファウル数にも現れてるんですけど。

リーグ戦の振り返り

岩屋

――リーグ戦で見つかったチームの課題はありますか

星川 接戦を落としてしまったこと、留学生がいない分リバウンドを安定して取らなければいけなかったことです。あとはディフェンスの遂行力が上がらないままチームが安定せずに終わってしまいました。ディフェンスの仕組みが変わったりして、自分たちもそれに迷いを抱えながらやっていた部分がありました。あとは、今は下級生中心なので、上級生は僕1人と1、2年生みたいな感じです。本当だったら1、2年生にもっとのびのびプレーさせてあげたいんですけど、そのためには、上級生が少なくともコートに3人くらいいないと厳しいので、負担をかけてしまいました。 例えば、2巡目の神大戦の最後のシュートを健一に打たせてしまったりとか。チームの勝敗が決まるシュートはやっぱり上級生が、僕が打たないといけなかったと思うし。僕が打つにしろ、健一が打つにしろ、外れたとしたら、やっぱり僕が打っていた方が、個人的なダメージも僕の方が健一よりもうまく吸収できます。健一はあのシュートを外して、だいぶ泣いていました。 あれは目に見えて分かる負担だったと思うんですけど、上級生として、心も体もだいぶ下級生に負担かけたと思うので、それが課題というか、心残りというか。

岩屋 課題はオフェンスで言ったら、スリーポイントが少なかったことです。リーグ戦の時、なお(堀田尚秀、スポ2=京都・東山)がケガしてシューターが1人減ったことでスリーポイントが減って、 ほとんど2点で点数を伸ばしたみたいな感じでした。早稲田らしい点数の伸び方が、このリーグ戦通して少なかったというのが、オフェンスの課題です。ディフェンスは、チームルールの徹底のところです。相手の長所でやられすぎたかなと思います。留学生がいるチームやったらリバウンド拾われたし、スリーが得意なチームにはスリーでやられて負けて。相手がやりたいことをやられて負けたっていうのが、課題でした。

下山 リーグ戦を通して、全体的に春の試合よりは早稲田らしい勢いがそんなに出せなかったと思っています。オフェンスだったら、自分たちは小さいので速い攻めで相手をずらして、フィニッシュするのがリーグ戦ではうまくいかなかったと思います。それにつながるディフェンスの部分でも後手に回ってしまいました。それで最終的に相手にノーマークで打たれるとか、リバウンド取れなかったりして、セカンドチャンス、サードチャンスという風に相手にオフェンスのチャンスを与えてしまいました。そういう一つ一つの積み重ねが早稲田の勢いに乗り切れなかったのかなと思います。

――反対に成長できた部分はありますか

星川 リーグ戦で負けが込んでくると、課題にばかり集中しがちなんですけど、そんな中でも、俺らできてるところもあるからっていう声が出てたと僕は感じていたので、それは良かった点だと思います。あとは、東海に勝てたのが大きかったと思います。2巡目入る前に東海に勝てて、あれで、みんなも忘れかけていた勝ち方を思い出したというか、そんな感じだと思います。あれはリーグ戦の中でも良かった試合でした。

岩屋 リーグ戦の中でチームとして戦う意志が見えたのは収穫でした。例えば、誰かがルーズボールに行った時に、みんな駆けつけて手を差し伸べたり、試合間の円陣も前よりみんなでやっていた感じがしました。フリースローの間も話し合ったり、チームとして頑張ろうという意志がみんなから見えたのは良かったです。

下山 やっぱり負けが続いて、気持ちが下がる部分がみんなあったと思うんですが、一人一人が逆にもっと勝ちたいという気持ちが本当に強くなって、それをチームのためにという風にしていけた人が多くなったんじゃないかなと感じています。リーグ戦の最初の時よりも、最後の方がチームとしてまとまっていた部分もあったし、コミュニケーションの部分でも全員がしゃべるようになりました。

――2部降格が決まった後チームで話したことは

星川 降格が決まってから中央戦が最後に残っていて、気持ちのコントロールは、みんな悩んだと思います。リーグ戦が始まって最初は上位リーグに入りたいなとか思っていたけど、だいぶ負け続けて。去年もそうだったんですけど、 残留を目標にするようになってきて、あれは無力感がありました。2部降格で、来年から後輩たちを2部でやらせないといけないという4年生の情けなさも感じました。4年生で何回か話し合っても、この立場から後輩に言えることないよなとか、何言っても響かないんじゃないかなとか、めっちゃ思っていました。けど、せな(田口聖和、スポ4=愛知・松蔭)は、「応援してくれる人たちとか、見に来てくれる人たちもいるし、今まで頑張ってきたことを披露する舞台でもあるから、中央戦また頑張ろうぜ」って励ましてくれました。支えられて、何とか中央戦頑張ろうって臨みました。

――岩屋選手と下山選手は来年からの2部リーグについて考えていることはありますか

岩屋 1部上がろうみたいな話もある中で、個人的には一旦インカレに集中したい気持ちがあります。だから、来年のリーグ戦に向けて具体的にどう頑張ろうみたいなのはあんまり考えてないです。まずは4年生と最後にできるインカレで出し切って今シーズンを終えたい気持ちが一番強いです。

下山 自分も4年生とやるのはインカレが最後なので、そこにフォーカスしたいです。4年生最後の舞台ということで、一つでも多く勝って恩返しできるようにしていきたいです。

インカレに向けて

星川

――インカレが決まった時はどんな気持ちでしたか

下山 やっぱり正直、うれしかったです。自分たちはリーグ戦で負けてしまって、インカレはほぼ出られない状態だったので、もう一回最後に4年生と一緒にできるチャンスをもらえたのは、すごくうれしかったです。

岩屋 インカレが決まった時、1週間くらい休みの期間で、ほぼオフシーズンモードみたいになっていたんですが、いろんなチームのおかげで巡ってきたチャンスとなったら、もうやるしかないと思いました。みんなやるしかないという気持ちだったと思うんですが、特にスタッフ陣が喜んでくれて、そういうのを見てたので、その人たちのためにも頑張るチャンスが巡ってきてよかったと思いました。

――スタッフ陣というのは誰でしょうか

岩屋 特に、僕ら2年のマネジャーが拓大の入れ替え戦を観に行って、「今何点差」みたいなことをLINEグループで送ってきて(笑)。「インカレ決まった、頑張ろうね」みたいになって、こういう僕らを応援してくれる人たちのために頑張りたいです。

――星川選手はいかがですか

星川 僕はリーグ戦が終わって、かなりシーズン終了ムードがあったので、入れ替え戦で1部のチームがどっちも勝ってインカレに行けると聞いて複雑でした。4年生と話した時も、自分たちが情けない学年というのを前提にしてしまう感じがあったんですが、そういう4年生のためにって言ってくれてるので、その思いに応えないとなと思います。

――インカレへの意気込みをお願いします

下山 自分は初めてのインカレで、全然緊張とかはないんですが、やっぱり4年生のために全てをかけたいです。自分はなんか大げさというか、あの、馬鹿なので、せっかくインカレのチャンスもらったからには、とにかく日本一を目指して頑張っていきます。

岩屋 試合に出ていない人たちや試合を観に観てくれる保護者の方たちはリーグ戦で「もうちょい頑張ってくれよ」みたいな気持ちがあったと思うので、インカレはそれを一番晴らせる機会だと思います。応援してくれてる人たちへの恩返しの結果を出したいです。4年生もそうなんですが、今まで支えてくれてた人たちに気持ちで見せたい。

星川 下馬評通りに行くんだったら、やっぱトーナメントである意味はないし、そこが覆えるから観てくれる人も応援してくれる人もおもしろい、応援して良かったと思えます。そういう意味で、1つでも勝ちたいし、接戦になれば最後は4年生だと思うので、僕が決めに行きたいです。あとは、春日(祐樹、文構4=東京・国学院久我山)と大倉(隆太、教4=東京・早実)はBチームに行っていて、一緒にいる時間が少なくなっていたので、彼らの思いが強いのも感じてるし、インカレで一緒にできるのはうれしいです。コート上でプレーできるのは、プレイヤーなので、その責任感を持って頑張ります。

――ありがとうございました!

(取材・編集 権藤彩乃、落合俊)

◆星川堅信(ほしかわ・けんしん)(※写真中央)

2001(平13)年11月1日生まれ。190センチ。95キロ。京都・洛南高出身。スポーツ科学部4年。リーグ戦では、コートに立つ唯一の4年生としてチームをけん引した星川選手。4年間の集大成となるインカレでの活躍に期待です!

◆岩屋頼(いわや・より)(※写真左)

2003(平15)年4月20日生まれ。183センチ。76キロ。京都・洛南高出身。スポーツ科学部2年。リーグ戦では、勝負所で得点し、勝利に貢献してきた岩屋選手。インカレでもその勝負強さを発揮できるか、注目です!

◆下山瑛司(しもやま・えいじ)(※写真右)

2004(平16)年8月16日生まれ。170センチ。64キロ。愛知・中部第一高出身。スポーツ科学部1年。リーグ戦では、スピードを武器に得点し、活躍を見せた下山選手。「チャンスをもらったからには、日本一を目指す」とインカレへの意気込みを語ってくれました!