寺尾が４安打の大暴れ　先発伊藤樹も８回９奪三振の快投で雨天決戦を制す／慶大１回戦

　今年の東京六大学春季リーグ戦（リーグ戦）もいよいよ最終・第８週、「華の早慶戦」を迎えた。早大が３連覇を達成するためには、早慶戦で２連勝し、明大との優勝決定戦に持ち込む道しか残されていない。勝利が絶対条件だったこの日は、打線が序盤から爆発。初回に小澤周平主将（スポ４＝群馬・健大高崎）の適時打などで一挙３点を先制すると、３回にも寺尾拳聖（人３＝長野・佐久長聖）の２点適時打で得点を重ねる。先発のエース・伊藤樹（スポ４＝宮城・仙台育英）は８回２失点の好投でゲームメイク。打線は終盤にも大量得点で突き放し、大事な初戦を11－２の大勝で飾った。

　強い雨が降りしきる中、マウンドに上がった外丸東眞主将（４年）の立ち上がりを容赦なく攻め立てた。初回、先頭の尾瀬雄大（スポ４＝東京・帝京）が10球粘った末に四球を選ぶと、この日スタメン復帰となった渋谷泰生（スポ４＝静岡）が右前に転がしエンドランを決める。二盗成功で無死二、三塁とすると、小澤主将が外角の球を技ありの一打で左前に落として１点を先制。さらに、寺尾も一、二塁間を鋭い打球で破り、４者連続出塁で２点目を奪い取った。続く前田健伸副将（商４＝大阪桐蔭）の併殺打の間にも１点を追加。初回から３点を挙げ、チームに勢いをもたらした。

　３回には、１死から渋谷、小澤主将の連打で二、三塁のチャンスを作り、寺尾を打席に迎える。甘く入った３球目の変化球を振り抜くと、２打席連続となる左翼線への適時二塁打となって両者が生還。リーグ戦通算18勝を誇る相手先発・外丸から５点を奪ってノックアウトし、この回限りでマウンドから引きずり下ろすことに成功した。

　一方、試合前時点で同じくリーグ戦通算18勝で外丸としのぎを削ってきた伊藤樹は、圧巻の投球を見せた。打者一巡を終えて、許した安打は内野安打の１本のみ。ほとんど外野まで打球を飛ばさせず、三振の山を築いていった。４回、先頭の中塚遥翔（２年）に右翼スタンドへ特大の一発を浴びたが、以降も動じることはなし。５回は、三塁手・田村康介（商４＝東京・早大学院）が濡れた芝に足をとられる不運な失策で出塁を許し、１死一、二塁のピンチを招く。小原大和（３年）には６球ファウルで粘られたものの、最後はキレのある直球で見逃し三振に切って取った。要所でギアを入れ、無失点投球が続いた。

　しかし７回、小原に今度は右前打を許す。続く常松広太郎（４年）の高く上がった打球は、強風に流され右翼前方へ。これが適時二塁打となり、伊藤樹は２点目を喫した。それでも最少失点で切り抜け、８回まで抑えたところでお役御免。126球を投げて９奪三振２失点と上々の結果となった。

　中盤以降、慶大救援陣を前に打線は沈黙。しかし、８回に上位打線で作った１死一、三塁のチャンスで前田健が打席に入ると、追加点が欲しい場面で、きっちりと中堅へと飛球を打ち上げる。三走・渋谷が悠々生還する犠飛となり、久々の得点となる６点目のホームを踏んだ。これで打線に火が付いたか、９回は2安打３四球を集め、一挙５得点の猛攻。火消しに回った渡辺和大（３年）でさえも止められない勢いで、雨中の決戦を見守る早大応援席を沸き立たせた。とりわけ寺尾はこの日３本目の適時打を放ち、４番の役割を全う。打率も４割２分９厘まで上昇させ、首位打者獲得の可能性も現実味を帯びてきた。打者一巡でリードを９点に広げたところで、最後は２番手・田和廉（教４＝東京・早実）が試合を締めてゲームセット。優勝の望みをつなぎ、明日以降に弾みがつくような大勝となった。

　初戦を取って、優勝までにはあと２連勝となった早大。文字通り負けられない試合が続くが、１戦１戦ベストを尽くすまでだ。まずは目の前の１勝を。総力戦で、優勝決定戦への挑戦権をつかみ取る。

（記事　西村侑也、写真　植村皓大）

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早大打者成績

早大投手成績

コメント

◆寺尾拳聖（人３＝長野・佐久長聖）

ーー今日の試合を振り返って
　先制点を取ることができて、途中停滞もしましたが、最後はしっかりと点が取れたのでよかったです。

ーー試合中盤に点が入らない中で、チームで話したことは
　変わったピッチャーは変わりたてで崩れることが多いので、そこをしっかり取っていこうという話はありました。

ーー寺尾選手自身は４安打でした。打撃を振り返って
　初回にタイムリーを打てたことで、自分の波にしっかりと乗っていけたのかなと思っています。

ーー慶大に先勝しました。明日の２回戦に向けて意気込みをお願いします
　まず明日を勝たないと優勝も何もないので、しっかりと明日に向けて全員で勝ちに行こうとお思います。