盤石かつ圧倒的な勝利で、今季の強さを証明せよ/東大戦展望

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 東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)は、早くも第4週目を迎える。開幕カードをものにした早大は、明大相手に第3戦までもつれたものの、延長11回に5点を挙げて勝利をつかんだ。勝率の差により、慶大に次ぐリーグ2位につけている。今季折り返しの相手は東大。過去のリーグ戦対戦成績は、早大の354勝34敗20引き分けと大きく勝ち越しているが、まったく油断は許されない。

 東大は慶大、明大に立て続けに敗れ、ここまで4連敗。明大戦では2試合で計34失点と、例年以上に苦しい流れで試合に臨む。窮地を脱することができる東大の強みは打線である。ここまでの東大打線は慶大、法大、立大を抑えチーム打率3位。特に明大2回戦では大量失点をしたものの、巧者がそろう投手陣から8得点を挙げた。そのうち5打点を記録した大原海輝(3年)は、1回表から3点本塁打を放つなど、5打数4安打の大活躍。ここまで全試合に出場し、リーグ2位となる打率.455を記録している。他にも、遊撃を守る青貝尚柾(3年)が好調だ。下位打線に名を連ね、毎試合安打を放っている。青貝の出塁からチャンスを作り、上位打線へ回せるように狙っているだろう。四死球で出塁し、適時打で点数を重ねる展開が目立つ東大。安易に出塁させないことが、早大にとって大きな鍵となるはずだ。

伊藤樹は立大戦、明大戦ともに1回戦と3回戦に登板。東大戦では疲労も考慮した起用になるか

 対する早大投手陣について、伊藤樹(スポ3=宮城・仙台育英)の存在を挙げずにはいられない。明大1回戦では7回4失点を喫するも、2日後の3回戦は147球を投げて8奪三振、与四死球1、無失点の完封。延長11回までもつれる展開だったが、チームに勢いをもたらす魂の投球を見せた。最終11回裏は、明大の宗山塁(4年)相手に最速141キロの直球を投げ込み、付け入る隙を与えなかった。ただし、明大相手に2試合で266球も投げたことは気がかりである。無理をしない範囲での活躍を期待したい。伊藤樹とともに注目を集めるのは、ルーキーの安田虎汰郎(スポ1=東京・日大三)だ。ここまでリーグ戦3試合に登板し、2回2/3を投げて無失点。明大1回戦では、9回裏1点差、1死満塁の場面に登板し、7球で打者2人を打ち取った。立大戦は2試合で1イニングずつの投球ながらも、2勝を獲得。メンタルの強さと運の良さが十分に発揮されている。伊藤樹のほかに先発として予想されるのは、今季2度先発を務めた宮城誇南(スポ2=埼玉・浦和学院)だろう。2試合ともにクオリティ・スタートを記録し、先発の役目を果たした。しかし、明大2回戦では安定感がいまひとつ足りない内容だった。2つの四球から失点につながった場面もあり、一抹の不安が残る。明大戦による疲労や調子を考慮し、中森光希(文構4=大阪・明星)や越井颯一郎(スポ2=千葉・木更津総合)らの先発登板もあり得るだろう。また4年生の鹿田泰生(商4=東京・早実)は、明大2回戦の9回表に登板。6球で三者凡退とテンポの良い投球を見せ、9回裏の打線に勢いをもたらした。最高学年として、チームの攻守を支える活躍が楽しみだ。

 一方、東大投手陣は苦しい状況が続いている。慶大戦と明大戦の1回戦に先発した平田康二郎(4年)は、これまで6回1/3を投げて防御率17.05。特に明大1回戦では、1回1/3、53球で7点を失った。チーム防御率は9.79で、ここまで全試合の初回に3点以上を失っている。試合序盤を最小失点で切り抜けられるよう、精一杯臨んでくるだろう。

明大3回戦で3安打をマークした吉納副将。3安打目の二塁打を放った後には安堵(あんど)し、目頭を押さえる場面も。打率も.263まで回復した

 それゆえ早大打線は「たくさん点数を取って当たり前」と思われても不思議ではない。その前評判に応えられる選手が、今のチームにそろっている。注目は、ここまで6試合全てに1番で出場している尾瀬雄大(スポ3=東京・帝京)だ。リーグ1位の打率.458を記録し、六大学最強のリードオフマンとして君臨している。明大3回戦では、1点が遠かったチームに、適時打で先制点をもたらした。また印出太一主将(スポ4=愛知・中京大中京)は、明大2回戦で今季チーム初の本塁打を記録し、4番の役割を果たした。そして吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)は、立大戦3試合で12打席1安打4四球と本調子でなかったものの、明大3回戦では5打席3安打2得点。ポイントゲッターとして期待される3、4番のエンジンがかかれば、相手投手には脅威となるに違いない。さらに、内野手の先発争いにも注目が集まる。明大3回戦で5打数3安打1打点の結果を残した小澤周平(スポ3=群馬・健大高崎)をはじめ、中村敢晴(スポ4=福岡・筑陽学園)、梅村大和(教4=東京・早実)といった実力者が内野を競っている。最後に、今季からスタメンに定着した前田健伸(商3=大阪桐蔭)に注目したい。好調の1、2番、そして復調の兆しを見せる3、4番の後に控える前田健。吉納副将、印出主将に続くクリーンナップの一角を担うからこそ、得点に絡んだ活躍を期待したい。

前田健の得点圏での一打に期待。吉納副将、印出主将と続く打線の流れを途切れさせるわけにはいかない

 明大3回戦の試合後「明大に勝って終わりではない」と口にした伊藤樹。大一番がまだ控えていることを、選手が一番理解している。7季ぶりの優勝に向け、投打ともにますます調子を上げていきたい。そのためにも盤石かつ圧倒的な勝利で、今季の強さを証明できるか注目だ。

(記事 中村環為)