9回2死からまさかのサヨナラ負け 今年最後の対外試合を終える

野球

全早明戦 12月1日 大宮市民公園市民球場

TEAM 合計
全早大
全明大

バッテリー

香西、鹿田、越井、宮城、髙橋煌、安田、田和-吉田、栗田

二塁打

なし

三塁打

なし

本塁打

寺尾(4回3ラン)、吉納(6回ソロ)

 明治神宮大会を終え、今年度の公式戦を全て終えた早大はこの日、全早明戦に臨んだ。両校のOBも参加する全早明戦。昨年背番号『11』を背負った加藤孝太郎(令6人卒=現JFE東日本)らが参加した全早大は、初回に先発した香西一希(スポ2=福岡・九州国際大付)が1点を失ったものの、4回に寺尾拳聖(人2=長野・佐久長聖)の3点本塁打で逆転に成功する。その裏に越井颯一郎(スポ2=千葉・木更津総合)が1点を奪われ1点差に詰め寄られたが、6回には吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)が大学野球最終打席で本塁打を放ち、再び2点差に。しかし最終回、田和廉(教3=東京・早実)が2死から2点本塁打を浴びて同点とされると、その後3連打を浴びてサヨナラ負け。今年最後の対外試合は、後味の悪い幕切れとなった。

 全早大の先発マウンドに上がったのは香西。この登板で先発として自らをアピールしたかった香西だったが、初回から1死一、二塁のピンチを背負うと、瀨千皓(明大3年)に適時打を浴びて先制を許してしまう。それでも、続く打者を空振り三振に斬って取りピンチを脱すると、続く2回は無失点に抑え、2回1失点と、まずまずの内容でマウンドを降りた。

先発した香西

 すると4回、全早大は、先頭から2者連続で四球を奪い、無死一、二塁のチャンスを作る。打席に入ったのはこの日4番に座った寺尾。4球目を捉え、高々と舞い上がった打球は左翼ポール際へと吸い込まれ、逆転の3点本塁打となった。試合後には、吉納副将から「4番の座を狙ってほしい」と、並々ならぬ期待を口にされた寺尾。来年以降の活躍に期待が懸かる。

3点本塁打を放った寺尾

 しかし、その裏にマウンドに上がった越井は、先頭に出塁を許すと、犠打と進塁打で2死三塁のピンチを背負い、中前適時打を浴びて失点。全明大に1点差に迫られた。それでも、越井からマウンドを引き継いだ宮城誇南(スポ2=埼玉・浦和学院)は、続く5回を三者凡退に抑え、反撃を許さない。相手の上位打線を相手に2三振を奪う圧巻の投球で、全早大に流れを引き戻した。

 続く6回、ここまで2打席無安打だった吉納副将が、1死走者なしで打席に入る。全早明戦は交代が多いこともあり、吉納副将にとって、この打席が大学最終打席となるものと思われた。すると、全球ボールで迎えた4球目、吉納副将は高めのストレートを強振。打った瞬間に確信した打球は、右中間フェンスを越える本塁打となった。大学生活最後の対外試合に、自ら花を添える本塁打を放った吉納副将。今後はNPBの世界に挑む。六大学最強スラッガーが、NPBでどのような活躍を見せるか、今から楽しみだ。

本塁打を放ち、応援席の歓声に応える吉納

 試合はその後、スコアが動くことは無く最終回に突入。2点リードで迎えた最終回のマウンドに上がったのは、今秋復帰を果たして以降、守護神として支配的な投球を続けていた田和。この日も、先頭を三振に斬って取ると、四球こそ出したものの、簡単に2死までこぎつけた。しかし、代打で出てきた田上夏衣(明大1年)に打った瞬間それと分かる2点本塁打を被弾してしまう。更に、続く打者に連打を浴びて2死一、二塁とされると、代打で登場した内海優太(明大2年)に中前へと運ばれ、二塁走者が生還。勝利が目前で滑り落ち、4―5でサヨナラ負けを喫した。

サヨナラ打を浴び、うなだれる田和

 今年最後の公式戦を、後味の悪い負け方で落とした全早大。この悔しさをバネに、冬の鍛錬の期間に臨み、より強くなった早大野球部を目にすることができると、私たちは信じている。

(記事 林田怜空、写真 西本和宏)

早大打者成績

打順 守備 名前
(指) 板谷竜太 右安   一ゴ            
  打指 尾形樹人         遊ゴ   遊ゴ    
(遊) 渋谷泰生 空三     四球          
  松江一輝         遊ゴ        
  山縣秀               二ゴ  
(二) 小澤周平 四球     四球 捕邪飛        
  梅村大和               中飛  
(左) 寺尾拳聖 三併     左本   一直      
  薗部将大               左飛  
(中) 吉納翼   四球   空三   中本      
  文殊玄基                 中飛
(三) 田村康介   左飛   空三   右邪飛      
  中村敢晴                 右飛
(右) 石郷岡大成   遊併   四球   二ゴ      
  椎名丈                 遊ゴ
(捕) 吉田瑞樹     中飛 三ゴ          
  栗田勇雅             中飛    
(一) 岡西佑弥     二ゴ   右安        
  印出太一             右邪飛    

早大投手成績

名前
香西一希 2 3 1 1 1 1
鹿田泰生 1 1 0 1 0 0
越井颯一郎 1 2 0 0 1 1
宮城誇南 2 1 0 2 0 0
髙橋煌稀 1 0 0 1 0 0
安田虎汰郎 1 2 0 1 0 0
田和廉 2/3 4 1 1 3 3

コメント

吉納翼副将(スポ4=愛知・東邦)

ーー本塁打を放った打席を振り返って
 試合の流れ的に打線が続くような試合じゃなかったので、あの打席が最後になるんじゃないかなっていう風に思っていました。ボールが続いていたので見逃して、次の打者が打ってくれる方が形としては良いんですけど、最後振り切って終わりたいという気持ちがあったので、高めのストレートでしたけど、強く振りに行きました。

ーー試合全体を振り返って
 この試合を前に色々思うこともあって、リーグ戦の1打席目は三振から始まっていたので、 最後ぐらいは良い形で終わりたいなっていう風に思って試合に臨みました。なので、2打席目で三振した時には、やばいな、みたいなことは思ったんですけど、結果的には良かったかなと思います。

ーー今日が大学野球最終戦、そして本塁打の打席が大学最終打席となりましたが
 自分はこの早稲田のユニフォームを着た時に、これからプロの方に行く中で、4年間ここで生きてきたことが自分の財産になると信じてやってきました。プロを目指してやってきた中で、プロに行けるっていう夢が叶った以上は、プロの世界でしっかり結果を出して恩返ししていかないといけないと思っています。試合に負けたことは、僕にとっては本当に悔しかったですが、打たれたのは田和なので、まだあいつには来年があるので、リベンジっていう意味でも春からしっかり投げて欲しいですね。

ーー楽天でプロ生活をスタートさせるということで、宗山塁(明大4年)と同じチームとなる。試合前何か話したことは
 話したんですけど、僕は(宗山が)出ると思っていたので、「じゃあね」って言われて、「えっ」ていう感じでした。ここから仲間になるので、この4年間はライバルとしてやってきましたけど、仲間としてしっかり2人で頑張りたいと思います。

ーー茨城県は早稲田大学の野球と非常に関係も深い。その場所で今日プレーできたということに関して
 新チームが去年始まって、初練習から2週間後の頃に主将と幹部たちで茨城に来て、お墓参りをしました。茨城との関係が強い早稲田大学野球部の一員として、最後自分たちの代をこういう場所で終われたことは、当たり前に開催されたわけではないので、この試合を開催していただいた方々に感謝したいと思います。

ーー宮城県のイメージは
 東北自体が初なのでまだわからないです。寒いっていうことと、牛タンが有名っていうことぐらいしかまだイメージはないです。

ーーOBの方々が3人加わっての試合でした。何か話などは
 もちろん全員話して、三倉進さん(平27スポ卒=現・日立製作所)は高校の先輩なので、年末どうするとかそういう話とか、12月29日に自分の激励会を高校主催で行っていただけるのですが、その会に行けないから今日は激励にしに来たつもりだからっていうのは言ってくださいましたし、加藤さん、板谷竜太(令5教卒=現・茨城トヨペット)さんに関しても、一言目でまずおめでとうっていうことを伝えてくれたのですが、野球に対しての深い話はしていないです。

ーー同じ外野手の寺尾選手が本塁打を放ちました。期待することは
 彼は今日みたいな打撃をこれからもっともっとしていかないといけないと思いますし、どういう使い方をされるかはわからないですけど、今日は4番に座っていましたし、これからは早稲田の4番を打っていける存在にはなれると僕は思っているので、3年生から印出(太一主将=愛知・中京大中京)がチームの4番を担ってきた中で、そこの座を狙ってほしいと思います。