東京六大学春季リーグ戦は第5週を迎え、いよいよ後半戦に突入する。ここまで2カードを終え、4戦全勝で勝ち点2を獲得している早大。3カード目にぶつかるのは第4週終了時点で3位につける法大だ。前週に『血の法明戦』に敗れた法大は、このカードで勝ち点を落とすと優勝が極めて難しくなる。一方の早大も、ここで勝ち点を獲得すればさらに勢いを加速することができるため、何としてでも勝っておきたいところ。両校の意地と意地がぶつかる熱戦に注目せよ。
1回戦の先発が予想される尾﨑
今年の法大の最大の特徴は、尾﨑完太(4年)と篠木健太郎(3年)の二枚看板を中心とした強力な投手陣だ。1回戦での先発が予想されるのは左のエース・尾﨑、2回戦で先発を務めるのが濃厚なのはリーグ屈指の剛腕・篠木だ。どちらもキレのある直球を軸に相手打線を手玉に取る。尾﨑はここまで防御率1.48、篠木は防御率0.60と、どちらも好投を続けている。また、尾﨑、篠木を早い回で攻略できたとしても、塙雄裕(4年)や武富陸(4年)、吉鶴翔瑛(3年)ら経験豊富なリリーフ陣が控えており、大量得点は容易ではなさそうだ。
その法大投手陣に立ち向かわなくてはいけない早大打線。ここまでチーム打率は3割7分4厘で、全4試合での平均得点は10点を超えるなど、打線はすこぶる好調で、どこからでも得点につなげることができる。特に、1番・尾瀬雄大(スポ2=東京・帝京)、2番・中村将希(教4=佐賀・鳥栖)、3番・熊田任洋副将(スポ4=愛知・東邦)、4番・印出太一(スポ3=愛知・中京大中京)の4人は、打率リーグトップ4を独占している。好調の上位打線から好機をつくり、着実に得点を積み重ねたいところだ。下位打線でのキーマンには野村健太(スポ4=山梨学院)を挙げたい。昨季まで苦しいシーズンが続いていた野村だが、立大1回戦で2本の本塁打を放つなど、自身の持ち味である長打力を発揮し始めている。法大戦でも目の覚めるような一発で、勝利を手繰り寄せることができるか。
立大1回戦で2本塁打を放った野村
一方で、法大打線は全体的に好調とはいいがたいが、その中で警戒すべきは武川廉(3年)であろう。ここまで3割8分7厘の高打率を残し、リードオフマンとしての役割を十分に果たしている。また、今季すでに2本の本塁打を放っている内海貴斗(4年)や昨年からレギュラーとして出場している今泉颯太(4年)らが、さらに調子を上げてくることができれば、一気に打線に厚みが生まれる。また、明大1回戦では加藤重雄監督の代打策が見事にはまった場面もあり、どんな選手起用をするのかも試合の命運を握るだろう。
中軸を打つ今泉
早大の投手陣は、安定した投球を続けている。1回戦は、東大戦と立大戦と同様にエース・加藤孝太郎(人4=茨城・下妻一)がマウンドに上がることが予想される。持ち前の制球力で法大打線を封じ、今季3勝目をつかみ取りたい。2回戦は東大戦では鹿田泰生(商3=東京・早実)、立大戦では飯塚脩人(スポ4=千葉・習志野)がそれぞれ先発したが、どちらも複数投手による継投で勝ち切った。今カードも同様に小刻みな継投が予想され、中森光希(文構3=大阪・明星)、田和廉(教2=東京・早実)、齋藤正貴(商4=千葉・佐倉)、伊藤樹(スポ2=宮城・仙台育英)らの活躍が不可欠だ。
ここまで投打ともに順調な様子をうかがわせる早大。5季ぶりのリーグ優勝へ向け、ここから先は一試合一試合がより一層重要な意味を持ってくる。法大から勝ち点を獲得し、次週の明大戦、最終週の慶大戦へ弾みをつけたい。
(記事 齋藤汰朗、写真 田中駿祐)