第1回には伊藤樹(スポ2=宮城・仙台育英)、外丸東眞(2年)の2投手が登場。昨年は1年生ながらチームの中心として活躍し、チームの勝利に大きく貢献した。そんな二人に大学野球の1年目についてやプライベートでの関わりについてなど、さまざまなことを伺った。
※この取材は1月25日にオンラインで行われたものです。
「大学野球のレベルは高い」(伊藤樹)
秋季慶大2回戦で最後の打者を抑えた伊藤樹
――初めに自己紹介をお願いします
伊藤樹 早稲田大学野球部2年伊藤樹です。ポジションはピッチャーで、最近はスマブラ(大乱闘スマッシュブラザーズ)にすごくハマっていて、休みの時は先輩たちとスマブラをすることが多いです。よろしくお願いします。
外丸 慶應義塾大学野球部2年の外丸東眞です。ピッチャーで、最近ハマっていることはマリオカートですね。毎日やってます(笑)。
――プライベートでお二人はどういった関わりがありますか
伊藤樹、外丸 結構お互いに連絡は取り合っていますね。
――以前の対談で「早慶戦が終わったら甘いものを食べに行こう」と伊藤選手がおっしゃっていましたがそれは実現しましたか
伊藤樹 甘いものは食べに行かなかったんですけど、東眞とうちの野球部含め4人くらいで遊びに行きました。
――お二人は頻繁に出かけますか
伊藤樹 今のところはお互い会う時間がなくてこの1回しか会ってないですけど、これから機会があればまた出かけようかと思います。
――お互いの印象を教えてください
伊藤樹 人としてここまでお話しさせてもらった感じですと、結構カワイイ系男子みたいな(笑)。名前だけ聞いたイメージと試合も高校の時一度だけ対戦したことがあるのですが、僕が出場してなかったりしていてお互いのイメージはなくて、もっといかついのかなとか思ったらこんな感じだったのですごく親しみやすくすぐ仲良くなれましたね。
外丸 イメージですか、なかなか思いつかないですね(笑)。最初からフレンドリーに話しかけてきてくれて、言葉で表現するのは難しいんですけど仲良くしてくれてマジでありがとうって感じです(笑)。
――お互いにフレンドリーで話しやすいとおっしゃっていましたが初めて会ったときはいかがでしたか
伊藤樹 初めて会ったのっていつだっけ?
外丸 いつかな…オールスター(六大学オールスター)か。オールスターで初めて話したんですけど、その前に連絡は取っていて実際しゃべったのはオールスターでしたね。
伊藤樹 オールスターだね。オールスター前からLINEなどで連絡は取り合っていましたが、実際にしゃべって仲良くなったという実感が出てきたのはオールスターからですね。
――お互いの野球部の印象を教えてください
伊藤樹 すごく(慶大野球部は)華があるなと思っていて、六大学の中で応援だったり試合だったりユニフォームが一番見ていてかっこいいなと思うのが慶應の野球部ですね。そういうのを含めて華があるチームだなと思います。
外丸 (早大野球部は)とにかく強いというのが印象としてあって、打者陣や投手陣がそろっていて六大学の中で一番戦いにくい相手だなというのは感じました。
――六大学で1年間プレーをした感想をお聞かせください
伊藤樹 レベルが高いなというのが第一印象で、社会人野球やプロ野球も今まで見てきてそういった中でも大学野球のレベルは高いなというのがすごく感じたというのと、チームごとに色があるというのがすごく驚いた点で、慶應だったら長打力にたけているだとか、明治であれば足が使えて、といったように大学によって思っていたより色があるというのが、能力重視で個人プレーで何とかする感じなのかなと思っていたのですが、実際はそんなことなくてそういった意味でも1シーズンを通して印象に残っています。
外丸 レベルがやっぱり高いですね。甘いところにいってしまうとそれを見逃してくれないですし、レベルの高さというものを痛感しました。
――レベルの高さを痛感した試合はありますか
外丸 うまくいかなかった試合が多かったのですが、その中でも秋の早慶戦は何もできなかったですし、秋はうまくいかなかった試合が多かったので、シーズンを通してレベルが高いと感じました。
――六大学野球という環境は高校野球とはどのような違いがあると感じましたか
伊藤樹 僕は投手なのでバットの違いはすごく感じました。金属の方が飛びますしミート確率も高いので、この部分では自分の投球スタイルが若干変わったというのが高校の時と比べて違いがあるかなと思います。
外丸 リーグ戦という長期的な戦いになることかなと思って、2か月という長い期間ずっと調子を維持しないといけないし、3連戦などもあって疲労もたまりますし、リーグ戦の難しさというものは感じました。
――バットが木製になるなど大学野球と高校野球の環境の変化に対応するために具体的に意識やスタイルを変えた点はありますか
伊藤樹 配球が変わって、ストレートの割合がすごく大きくなりました。金属だとある程度投手と打者の能力差があっても、まっすぐだけだと対応されるということが多かったので変化球を多めに投げていたのですが、大学に入ってから特にリリーフでは短いイニングをストレートで押し切るスタイルがかなりはまったということがあって、というのも木製バットに変わってストレートが対応しづらかったり、速い変化球が重要になってきたりすることが1シーズンを通して感じました。
外丸 どう楽に打ち取るか、芯を外して打たせて取るかを考えたシーズンだったと思っていて、 高校野球だと三振を狙いにいく場面が多かったのですが、そうではなく相手に打たせてアウトを取るといった自分が楽に試合を進めていけるピッチングを心がけるようになりました。
――この1年間で大きく成長した点について教えてください
伊藤樹 高校の時と比べてストレートの割合が多くなった点について、高校の時はストレートだけだと打たれてしまうということが自分の中にあってその状態で大学でも打たれるのではないかと思っていたのに対して、思っていたより結果が出たというのはすごく自信になりましたし、1シーズンを経てそういった経験ができてすごくよかったなと思うのと、単純にコントロールが良くなったというのが、早稲田の野球部の方針として四球をできるだけ出さないというところを細かく設定してやってきていて、1年間を通して四球が自分は多いほうなのですが、高校の時と比べると減ってきたのでそういったところは1年間の中で成長したのかなと感じます。
外丸 僕はやっぱり経験ですね。1年間ありがたいことに先発で投げさせてもらったというこの経験は非常に大きいかなと思っていて、結果はどうであれ自分の現在地を知れたというか自分の実力がどこなのか、何が通用して何が通用してないのかというこれからの課題が見えたというのがとても大きいかなと思います。
――今年引退された4年生から学んだことはありますか
伊藤樹 投手だったので原さん(原功征、令5スポ卒=滋賀・彦根東)が先頭で投手陣を引っ張っていたのですが、役割に徹するというところの意識の向け方というか、高校の時と違って抑えだけというような徹底した役割を果たしていましたが、原さんは2,3年生のころから7回、8回に左サイドとして周りと違うところを出しながら抑えるという姿を見ていたので、先発で投げていたら後ろにそのようなピッチャーがいることは心強いですし、役割に徹して練習を組み立ててやっていたというのはすごく印象的で、それを1年目で間近で一緒にやってこられたのはすごくいい経験になったのかなと思います。
外丸 僕は勝ちにこだわる執念を強く感じて、リーグ戦中はもちろんそうですが、それ以外の練習の場面で1球を大切にする意識だとか、この1球で負けるか勝つかが決まるということを突き詰めていたのでものすごく勉強になりました。
――オールスターや全早慶戦での試合に参加した感想はいかがでしたか
伊藤樹 オールスターはレベルが高い選手が多くて、改めて意識だったりどういう練習をしているのかだったり間近で見るとすごい体が大きいなということや、どういう人柄なのかというのをオールスターや全早慶で見ることができたので、すごい人ってこういう感じなんだと関わり合えたのが大きかったです。
外丸 実際に会ってみて、どういう練習をしているのかとか、何をしたらよくなるかというのを聞けたというのは非常に勉強になりましたし、レベルの高さを実感したというのももちろんですけど、色んな人とつながることで自分のものにできるという場でもあって、いい経験が積めたのかなと思います。
――印象的だった選手はいらっしゃいますか
伊藤樹 オールスターのときに明治の村田さん(村田賢一、4年)と結構お話をさせてもらって変化球はこういった感じでといったような話を聞いて、勝てるピッチャーはこうなんだと勉強になったというのと、人柄的にもすごく気さくに話しかけてきてくださったのですごくありがたかったです。
外丸 立教大学の荘司さん(荘司康誠、東北楽天ゴールデンイーグルス)とお話をさせていただく機会が多かったのですが、荘司さんは自分の体に繊細で自分の体をすごく理解しているなという風に思って、体の動かし方といった部分にも詳しく、そういう知識も伸びるためには必要なんだなと感じました。
(早慶戦の)「応援に驚いた」(外丸)
春季明大2回戦で登板した外丸
――入学前に早慶戦は見たことはありますか
伊藤樹 あります。
外丸 僕はテレビではあります。
――実際に早慶戦の舞台でプレーをしてみて感じたことはありますか
伊藤樹 徳山さん(徳山壮磨、令4スポ卒=横浜DeNAベイスターズ)とかが出てた時の秋の試合をテレビで見て、それまでは全く(早慶戦を)見ることがなかったんですけどさすがに自分が入学するから見ようと思って、すごいOBの方とか年齢層高めな方が結構スタンドにいるイメージがテレビの中から伝わってきました。実際に神宮で試合をしてみても、秋の早慶戦とかもベンチのすぐ上くらいまでOBの方がいっぱいいらっしゃって、試合が終わった後には立ち上がって拍手とかしてくださっていたので、そういうテレビからじゃ感じられなかった雰囲気を生で感じるというのはすごく独特というか、甲子園とかにも出させてもらったんですけどまた違うなというふうに思いました。
外丸 僕もやっぱり応援ですね。テレビで見ててもすごいなと思ってたんですけど、実際に球場に立ってみると外野席もいっぱいいますし内野席は埋まっていますし、早慶戦って特別な試合というのは分かっていたんですけど、本当に一大イベントというか応援に一番驚きました。
――お二人は甲子園に出られていますが、甲子園とはどのような雰囲気の違いがありましたか
伊藤樹 個人的にはそんなに変わらないですね。応援が違うかなとは思いますがやってることとしてはそんなに変わらないかなと思います。
外丸 早慶戦との違いではないですが、(神宮と甲子園では)マウンドの違いは僕は感じて、神宮はめっちゃ投げてて疲れます。
伊藤樹 めちゃくちゃ疲れます神宮は。土が違うので甲子園とはそれはあると思います。
――他の六大学の試合とは違いはありましたか
伊藤樹 僕の中ではどの試合もそこまで変わらないんですけど、チームとしてはやっぱり慶應だけには負けないっていうのはすごくありました。高校の時僕も仙台育英出身で同じ県に東北高校があってそこの二強とかって結構言われてて、ライバル校みたいなのは先輩たちからもすごく感じましたし、OBの方とか応援でも感じたので、全体の雰囲気としてやっぱりイベントとして捉えたりもしますし、昔からのというか名前がでかくある分ちょっと意識は持っていかれましたね。そういう伝統意識みたいなのはありました。
外丸 僕はやっぱり応援ですね。他の大学との試合と比べて早慶戦は観客の方の数ももちろんですけど、やっぱり応援が違うなと思いますね。チーム的にはやっぱり早稲田には負けられないというのはありますが、やっぱり一試合一試合大事に戦って早慶戦だからといって変に気合を入れるわけでもないですし、そこは感じました。
後編は慶應スポーツ新聞会ホームページでご覧ください!
(取材・編集 早稲田スポーツ新聞会 田中駿祐、橋本聖、慶應スポーツ新聞会 愛宕百華、写真 藤田珠江、田中駿祐)