ルーキーながら今季は守護神に定着した伊藤樹(スポ1=宮城・仙台育英)。ここまで主に最終回にマウンドに上がり、防御率2.61という成績を残している。「状態は全然良くない」と語るように、初めて先発した試合では悔しい思いをした。しかし、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)が「能力でいうと早稲田の投手の中で一番レベルの高い」と認めたように、ポテンシャルはまだまだ秘めている。
※この取材は10月29日に行われたものです。
(明大2回戦は)申し訳ない気持ちがすごく大きい
初めての先発を経験
――ここまで、チームの戦績を振り返っていかがですか
知らなかったんですけど、初戦にあんまり勝ててないみたいなのを超えてここまで勝ってきて。明治は落としてしまったんですけど、最終的に春に下位になったところから上位に食い込めてきているというのは夏やってきたことが結構試合の中で出てきている部分もあります。特にピッチャー陣はやっぱり試合で過ごしてきた時間が長いので、そこは練習してきた成果が出てきているというのは秋やってみてすごく感じているので。優勝できなかったとしても1年生の中で本当に上級生からいろいろ教えてもらったりとか、すごくここまでいい経験ができているなと思います。
――投手陣の結果出ていますが、夏の間全体で取り組んだ練習や心掛けていることはありますか
試合の中ではとにかくボールを低く投げるというのと、カウントが悪くなっていてもなんとかフォアボールを出さないように粘るとか、結構試合の中でのことを基本的にはずっとこだわって、試合でそういうのをするために練習でちゃんとこういう練習をしようとか。結果を出すために具体的に練習を取り組めてきたというのが一番かなと思うんですけど、その中でやっぱり投手コーチの横山さん(優斗、社4=東京・早実)にいろんなアドバイスとか、客観的に見て、もっとこうだろうとか、結果見て言ってもらったりとかいうのが一番大きいかなと思います。
――では個人のこれまでの成績について振り返っていただけますか
リーグ戦入る前に先発する感じで入っていって、結果的には抑えになっているんですけど、先発した試合で試合を壊してしまったので、そこに関しては本当に悔しい気持ちより申し訳ない気持ちがすごく大きくて。夏も結構オープン戦の中では結果出してきて、秋の先発のポジションを勝ち取ったと思っていたので、周りからも抑えてくれそうだなみたいな期待感とか、自分もある程度の自信を持って臨んだ試合で、全然駄目だったので。すごく悔しかったですし、明治の2敗目で勝ち点落としたところで、優勝狙っているのにあんな大差なゲームになってしまって。その後の試合で立て直せたというのは自分の中ではすごく成長したというか、全部抑えにはなっているんですけど、ちゃんと抑えてここまでこれているので。早慶戦は先発になるのか、後ろになるのかわからないですけど、とにかく投げ切るだけだなと思っているので、なんとか2戦目みたいなことを繰り返さないように頑張りたいと思います。
――明大戦で調子があまり良くなかったと思いますが、リーグ戦を通して調子の波の推移はいかがですか
もともと調子の波が少なかったり、安定して計算して投げられたりとか、ゲームを作れるというのが自分の売りだったんですけど、この秋のシーズンに入ってからすごく波が出るようになってしまって。すごく球速が出る試合があったりとか、全く出なくて、コントロールもつかない試合もあったり。そういうのが秋になって疲労とか、フォームがどうとか原因ははいろいろあると思うんですけど、そういうのが出てしまうというのがこの1年目でわかったというのはすごい経験になりました。立教戦のMAX更新した日(立大1回戦、自己最速となる150km/hを記録)は、すっごい集中できていて、めちゃくちゃ良かったんですけど。その後のオープン戦とかだとなんか集中しきれなくて、駄目みたいなというのが秋出ちゃったので。それはなんとか波が出ないように練習したいなと思います。
――立大1回戦は、スタンドから見てもすごかったです
立教戦やばかったですねちょっと(笑)。めちゃくちゃ集中できていて、入っていましたねゾーンに。あの1戦目のときは全く球速とか見ていなくて、試合終わってから言われて知ったんですけど。集中しすぎていて、ベンチも盛り上がってくれていたみたいなんですけど全然分からなくて(笑)。そんなんなっていたんだと思って。あの試合はいろいろ重なってめちゃくちゃ集中できていました。
――先発と抑えをどちらもやるというような調整は、これまで経験したことはありましたか
いやないですね。もともとロングイニング投げられるのは高校の時も結構やっていたので、連投とかは全然問題なくできるんですけど。やっぱり高校のときは先発の子が、例えば下級生とか投げて一巡して3イニング投げたらもう後ろは自分がいくみたいな感じだったんですよ、継投が。だから調整の仕方が全然違って。例えば今季でいうと、最初に作っているのが齋藤正貴さん(商3=千葉・佐倉)とかがいつもブルペンにいるじゃないですか。最初の方。ああいう立ち位置でずっと作っていて、ピンチになったら出るみたいなのが高校で。今はもう序盤にピンチがあってもいかないじゃないですか絶対。9イニングってなっているので。そんな感じで調整が全然違って、それがいきなり時間がずれて一番最初にやって動いてとなると、難しいんだなとは思います。
――疲労はいかがですか
自分が思っているより疲労は溜まっていると思います。オフには絶対治療に行きますね。自分の体の痛みが一番のストレスなので。体のどこか動かしていて状態悪いとすっごいストレスになるので。できるだけ痛くとか動きが悪くならないように寮でも電気かけたりとか、治療に行ったりしています。
――先発のときとリリーフのときはエンジンというか、力の使い方は違いますか
そうですね。抑えをやるときは1球目からドーンドーンみたいな。本当に感覚でしか表せないですけど、立教戦みたいなイメージを1イニングで出し切るのは自分の中で感覚としてあるんですけど、先発ってなるとどうしてもやっぱり。1イニング1イニングを投げ切って、その結果が6イニングとか、9イニングになればいいって言ってもらって、そう思ってやっているんですけど、なんか違うんですよね。実際投げていると。今は先発やっているときには、基本的には抑えをやるときみたいに1イニング1イニングをしっかり投げるという考えの下練習しています。
――先発する日の前日はどんな気持ちでしたか
結構わくわくしていましたね。ずっとやりたいと言っていて、やっときたと思って、結構意気込んでいたので、その分落ち込んだんですけど(笑)。他の人に聞いてもらえればわかるんですけど、ここに入ってきて過去一落ち込んでいるところを見たみたいな感じだったと言われたりしていたので。結構あの2戦目終わって、沈んでいて、いろんな人からLINEもらったりとか、先輩からご飯誘ってもらって一緒に行ったりとかしてもらってなんとか立ち直れてこれています(笑)。
――投げている時も楽しいですか
楽しいです。やっぱり投げていて楽しいことは楽しいですけど、自分の中でモチベーションを作らないというのを結構大事にしていて。練習とか試合にモチベーションを持ち込むとどうしても波が出てしまうので。できるだけマウンド上とか自分がプレーしているときは、感情を持たないように投げているので。余計ベンチとかに戻ったときに感情が出ちゃうっていうことはあるんですけど。一応マウンドでも無表情なんですけど、めちゃくちゃ楽しくは投げています。
――打席に立っている時も楽しそうに見えました
打席に入っているときは、本当に野球楽しんでるみたいな感じですね。みんなたぶん打てないと思っているので。それを、頑張って打ちたいなーと思って楽しくやっているだけなので。バッターのときはちょっとピッチャーのときとは違いますけど。
――明大2回戦で負けてしまった後、監督からお話はありましたか
監督からは何もないですね。何もなかったです。自分で這い上がってこいということなんでしょうけど。明治戦終わったあたりからは特に怒られたりすることもなく。
――先発した試合の前日、9回に投げていたときは、このまま負けてしまったら先発するだろうなというのはわかっていたのですか
そうですね、負けたら自分が行くというのはわかっていました。でもあそこの場面で自分が使われるってことは0−1だったので、あそこをゼロで抑えてしまえばもしかしたらサヨナラがあるかもしれないということを考えて、自分を出してもらったと思っているので。そこで1点を取られてしまったのが、もう次の試合の結果につながっていたのかなと今すごく思うんですけど。あそこでバチッと抑えてしまえば、次の日の明治の印象もちょっと違ったかもしれないし、自分の気持ちも打たれた後で悪いイメージで入ってしまったのかなというのは思っているので。その意図を組み込んで投げたつもりだったんですけど、ちょっとあれだったので。負けたらいくし、このあと抑えてサヨナラしてくれれば最高だなと思って投げていました。
――春にも明大戦で失点していましたが、気になっていますか
めちゃくちゃ気になっていますね。なんでこんなに打たれるんだろうって。高校の時からどうしても苦手なタイプがあるんですけど、それが明治の打撃の方針に重なってしまうので、ちょっと苦手意識はあります。
――先発するにあたって、加藤孝太郎投手(人3=茨城・下妻一)から何かアドバイスはありましたか
試合の中のことはあんまり話さなかったんですけど、夏のキャンプとか、先発を主にやっていたときは試合前のアップとか、どんな感じで試合に合わせて入っていけばいいみたいなのは結構加藤さんから教えてもらいました。やっぱり試合前の過ごし方って先発と中継ぎ陣では全然違うので。試合前の球場外とかでアップするときとか全然違うので、時間配分とか教えてもらって入っていましたね。試合の中では「自分のピッチングをすれば大丈夫だよ」みたいな感じで言われていました。
――クローザーとしては、ここまでの成績は満足していますか
そうですね。ここまで勝ち試合は全部抑えてこれていて、抑えてなんぼの仕事というか、役割だと思っているので。やっぱり日本シリーズ見ていて、最終回に打たれたりとかしているのを見ると、意外と難しいポジションなのかなと思うので。あと一試合にかける思いが大学と高校では全然違って。やっぱり最終回になると当然相手も勢いに乗ってきますし、そういうところをねじ伏せてやっていかないと成り立たないと思っているので、逆にそういうのが集中できているのかなって思っています。
――僅差の場面が多いですが、緊張しますか
明治戦終わってからめちゃくちゃ緊張していましたね(笑)。打たれたらどうしようみたいな。マウンドに上がったらないんですけど。もう上がるまでがバクバクで、今までにないくらい。もともと緊張しないタイプなんですけど、打たれた後からはああやばいみたいになっていて、東大戦とかが一番やばかったですね。
――東大2回戦の時ですか
あれって最終回の攻撃でめっちゃ入ったじゃないですか点が。1−1できていて、満塁ホームランですよね確か。熊田さん(任洋、スポ3=愛知・東邦)の。だから、まじかここでかーって思っていたらボンって出てくれたので。そこはもう楽に投げられましたけど、それまではもうバックバクでしたね初めて。投げる前こんな緊張してたっけと思って。バクバクでした。
(150km/hは)意外と早く出ちゃってちょっとびっくり
自己最速を更新
――150km/h出したことについてはいろいろな方面から連絡はありましたか
そうですね。高校の同期とか監督(須江航、仙台育英)からはやっと出たというか、一応目標のところ、大台のところまでは達成したというので連絡もらったりとか、家族とかからは「やっと出たねー」みたいな。LINEは入っていました。
――高校の監督と連絡を取っているのですね
取っています。甲子園については、優勝してLINEしました。優勝おめでとうございますみたいなのと、この間は東北大会優勝して、選抜ほぼ確定したので、それ連絡して。みたいな感じです。
――150km/hに到達したばかりですが、大学4年間で、何km/hまで伸ばしたいですか
そんなに何kmまで伸びろとは思ってないんですけど、そんなに球速にこだわっているわけじゃないので。50までは行きたいと思っていましたずっと。正直4年間で50出ればいいと思っていたので。野球をやっている人とか好きで見ている人とかには伝わるかもしれないんですけど、質のいい145と質の悪い145では全然違うので。そういうのを磨いていって、結果的に150とか55とかになればいいかなと思っているので。そんなに球速にはこだわってないですけど。正直なところ本当に4年間の中で150出ればいいかなって思っていました(笑)。
――意外と早く出たという感じでしょうか
意外と早く出ちゃってちょっとびっくりしているって感じです。ずっと惜しいところまではきていたので、ここ最近。東大の試合とかも48とか49とか出たりはしていたので。周りからも結構煽られていて。またあと1km/hかよみたいなことはずっと言われていて、取りあえずそこは達成できたので。あとは打たれないように頑張って練習して、投げられればいいかなと思っています。
――先程高校の話が出ましたが、立大戦では高校の同期である吉野蓮投手(立大、1年)と投げ合っていました。何か思うことはありましたか
あの時は、まじで変に抑えないでほしいなってめちゃくちゃ思いました。高校の時から、ああいう場面結構強かったりするんですよ。育英の継投的に、意外とピンチで上がったりとかすることが多くて、自分も慣れているんですけど、当然吉野も結構そういうのに慣れているので。自分の感覚的にああなんかこれ抑えそうだなみたいな感じがあって、あそこで1点でも取ってくれるとなんともなく流れたと思うんですけど、変に仙台育英が出てきて、抑えて、仙台育英が出てきたみたいな。球場の中ですごく感じていたので、まじで変に抑えんなみたいなのは思っていました(笑)。
――今季、リーグ戦に出場していく中で収穫はありましたか
まずは数字的なところでいうと、成績とかには関係ないですけど、セーブ数をちゃんと挙げられているというのと、150km/h出たということがまずは自分の中で良かったと思います。結果的に収穫としては通用するときがある、ない、そういうときはこういうことがあったとか、そういう細かい情報を知れたというのが一番の収穫かなと思います。
――夏の間、緩急を活かすボールをずっと磨いてきたとおっしゃっていましたが、投げてみていかがですか
今使えて効果的なので、本当に夏やってきて良かったなってめちゃくちゃ思っているところです。やっぱり真っ直ぐが速くなってきたところで、より変化球の重要性が高まってきていて、一個変化球がポンってはいると、そのあと打たれづらくなったりというのがすごく出てきているので、そこはやっぱり夏やってきて良かったなと思います。
――バッテリーを組む印出太一選手(スポ2=愛知・中京大中京)とは試合前にコミュニケーションを取って、配球などを一緒に決めているのですか
自分が抑えのときは試合の中でこういう感じだからこういう感じで準備しておいてというとか、実際に本当に投げる直前になったらこんな感じでいくわみたいな日も。正直印出さん任せにしているんですけど。あんまり自分が配球のことを考えてしまうとキャパオーバーになってしまって。基本的にはもう任せてという感じですね。先発の前日は、電話でして。いつもやっているらしいんですよ加藤さんと。前日にデータミーティングみたいなのをしているらしくて。それを明治の2戦目先発するときもやってという感じですね。
――直接ではなく、電話なのですか
その日は夜だったんですけど、自分がグラウンドのセンターのところで一人でグローブ磨いていたりとか、いろいろストレッチとかしていて。部屋だといろんな物があるので嫌で、いいとこないかなって探していたらセンターがめちゃくちゃちょうど良く暗さとかもあって、広々していてなんか良かったので。センターにいたら電話掛かってきて、それでちょっと動いたりしながら電話してみたいな感じです。
――一人でポツンといるのですか
一人でポツンとセンターにいて、スパイク磨いて、グローブ磨いて、ストレッチしたりしてたら電話掛かってきて(笑)。「どこにいるの」って言われて、「センターにいます」って言いました(笑)。「何言ってんの」って言われました(笑)。
――どのくらいの頻度でセンターに行くのですか
不定期ですね。自分が本当に夜動きたいなとかなったときにナイター消灯したりしてから。室内とかはみんな結構バッティングしていたりとかして明かりがついていて、いるんで。となると変に周りの目とか気にしちゃうので。センターだとまじで誰も見ないし、暗いし、音ないし、いいんですよ(笑)。
――春に比べて三振の割合が減ったことについては気になっていますか
そんなところまで見ているんですね(笑)。自分の中で三振を取るというのはあんまり気にしていなかったんですよずっと。気にしていなくて、たまたまそのボールが与える効果みたいなのがたまたま三振しそうなやつに近づいていたんですよ。めっちゃ細かい話すると、例えば球速が145km/h出ます、それからマイナス何km/hだと空振りしやすいみたいなのがあるんですよ。それがたまたま春そういう感じだったんですよ。それが秋になってからはその差が詰まってしまって、バットに当たるようになったんですよね。それでゴロアウトとか三振の割合がちょっと減って、みたいな感じになっています。
――春を経験して、対策されているなと感じた場面はありましたか
やっぱり明治はありました。自分が勝手に感じているだけかもしれないですけど苦手意識はちょっと持っているので。自分の落ちる系のボールに全然手を出してこなかったので。低めに落ちるボールを振ってほしくて投げているんですけど。そういうのが徹底してできるのが明治だと思います。
――対戦して印象的だった打者はいます
村松開人さん(明大、4年)です。村松さんが一番雰囲気ありました。投げていて、ちょっと投げづらいなって。宗山塁さん(明大、2年)とか上田希由翔さん(明大、3年)とか、法政とかだったら浦和博さん(3年)とかはいいバッターですけど、ちょっと穴があるかなと思ったりとか、抑えられそうだなと思うんですけど、村松さんはどうしようかなみたいな感じにさせられたので(笑)。結果的に見ても打たれて、フォアボール出してフォアボール出してみたいな感じだったと思うんですけど。村松さんが一番です。
ガラっと雰囲気を変える
既に風格がある
――では次に早慶戦に向けて質問します。早慶戦に対する印象はいかがですか
正直そんなに早慶戦ってものを高校まであんまり見たことなくて、ここに進学することが決まった秋に、ちゃんと早慶戦を初めて見たときに、こんなに盛り上がるんだなみたいな。早慶戦って違うんだなというのになんとなく気付いて。春実際にプレーをしてみて、伝統の一戦ってこういうことなんだなというのが。甲子園とかはどっちよりとかってないじゃないですか。基本的に本当に楽しみにきた人たちがプレーに対してワーワー言っているみたいな感じなんですけど、早慶戦は関係者がワーワー言っているみたいな。なんか違ったんですよね雰囲気が。観客数は当然甲子園の方が多いですし、そういう流れも似てはいますけど、仲間がいるみたいな意識はありました。甲子園は観客がすぐ敵になったり仲間になったりするじゃないですか。勝ち越しそうってなったらめっちゃ応援したりとか、いいプレーしたと思ったら応援したりとか。でも早慶戦は変わらずOBたちは応援してくれるのがすごく後押しになっているというか、甲子園とかと全然違うんだなーみたいなのはすごく感じました。
――投手陣の雰囲気はいかがですか
ずっと変わらず、やることやっているみたいな感じですね。すごく目標が定まっているというか、自分たちがやるべきことはやるしかないみたいな。というのが一つに決まっているので、ピッチャー陣としての一体感みたいなのはすごく感じています。チームピッチャーとしてここまでずっと練習してきて、それをあとやってきたことをやるだけです、出すだけですみたいなのをすごく感じるので。多分それがリリーフ陣も抑えられていますし、結構いい結果に。あとシンプルにピッチャー陣仲良いんですよやっぱり。それがすごく一体感につながっているのかなとは思います。
――立大戦が終わって、3週間空くことについてはどう考えていますか
個人な話でいうと、まじで3週間空いてくれて良かったなと思います。本当に状態が悪いので(笑)。本当にありがたいなとは思いますけど、4年生とやるのが短くて1週間って考えたら、早いな、悲しいなと感じます。
――4年生はどんな存在ですか
むずいですねそれ(笑)。4年生は高校の1年生から見た3年生に比べて、めっちゃかっこいいなって思います。大人というか、頼れる人たちだなと思います。試合の中で活躍しているからどうこうとかじゃなくて、掛けられる言葉にめちゃくちゃ重みがあるというか、勝手にそう感じます。
――プライベートでも仲が良い4年生の選手はいますか
一番プライベートの時間で過ごしている時間が長いのは、雪山さん(幹太、教4=東京・早実)ですかね。あとは、最近はよくマネ室のとこに行って、マネージャーの4年、岩井さん(スポ4=大阪・早稲田摂陵)とかと話しています。
――以前、松木大芽選手(スポ4=石川・金沢泉丘)が好きとおっしゃっていましたが
松木さんめっちゃ好きです。かっこよくないですか(笑)。めちゃくちゃ優しいんですよ。ここに入ってきて、最初に対戦形式みたいな練習で投げた時に、松木さんのバット折ったんですよ。その時は何もわからないので、うわ、折っちゃったみたいな変な感じだったんですけど、そのときにめっちゃ優しくて。それで松木さんかっこいいなみたいな。顔とかもかっこいいんですけど、そこからですね。めちゃくちゃ優しいです。
――松木選手は事前アンケートで、早慶戦で注目してほしい選手として伊藤樹投手を挙げられていました
めっちゃ嬉しいですね。めちゃくちゃ嬉しい。それこそ明治の2戦目終わって、そのときにLINEくれたりとかしたんですよ。松木さんが。雪山さんとかもくれたんですけど。そういうのをしてくれる4年生なので。大好きです松木さん。
――早慶戦では個人的にどこに注目してほしいですか
もうみんなの頭の中で結構守護神みたいな、クローザーみたいな位置付けがされていると思うので、最終回だ、伊藤樹が来るみたいな。そのときの雰囲気が変わる感じと、雰囲気を変えるようなピッチングをしたいなと思っているので、そこに注目してもらえればいいかなと思います。
――慶應の打者陣のイメージを教えてください
どの大学に比べても、長打がどの試合でも出るというのが一番怖さがある部分なので。あんまりそういうバッターを苦手にはしていないんですけど、それなりにレベルが高い方々なので、とにかく長打が出ないように投げたいなとは思っています。
――特に警戒している打者の名前を挙げるとしたらどの選手ですか
廣瀬さん(隆太、3年)ですかね。萩尾さん(匡也、4年)とかも怖いですけど、結局萩尾さんに回ってくる前に打つバッターなので。そこを抑えたほうが失点のケースも低くなりますし、取られても1点とかに留まると思うので。
――先発として投げている同級生の外丸東眞投手は見ていていかがですか
本当に仲良くなり始めたのがオールスターで話しはじめてからなんですけど。やっぱり同じ学年として先発でゲームの勝敗を握っているというのはシンプルに尊敬できるというか、1年生で慶應の第2戦先発しているというのは紛れもなくすごいことだと思うので。ライバル意識も当然ありますけど、この1年はすごく尊敬できるなというか、よくやっているなとは思います。
――アンケートでは外丸投手に甘い物食べに行こうねと書いていましたが
早稲田だと清水大成さん(スポ3=大阪・履正社)とかも甘い物好きみたいで、クレープとか食べたいねとか言ったりしていて。甘い物好きな人がピッチャー陣の中でも結構多くて、外丸も好きらしくて。慶應のスイーツ部みたいなあるらしいんですよ。野球部の中で。そういうのと一緒な感じで、話していたら行こうねって話になって。早慶戦終わったらみたいな話は。
――今は、具体的にどのような調整をしていますか
正直状態は全然良くなくて、体のコンディショニングもそうですし、試合の結果も全然良くないので、久々にすごい真剣に自分のことについて考え込んだというか。残り3週間空くとなって、この2週間はすごい自分のフォームを見て、いい時と比べて、ノートに書き留めて、またやってみてみたいな。高校のときすごく状態が悪かったときにやっていたようなことを繰り返し繰り返しやって、なんとなくまた形に戻ってきている感じなので。残り1週間でなんとかして早慶戦に間に合えばいいかなと思っています。
――あと1週間は、何に重点的に取り組みたいですか
やらないといけないことがいっぱいあるので、体のコンディショニングを整えることもそうですし、フォーム的に自分が今ずれているところもたくさんあるので、そういったところをトレーニングでとか、練習で直しながら自分の超万全な状態に持っていくことです。できるだけそこに近いところに持っていけるように1週間メニューを立てて、時間うまく使ってやれればいいかなと思っています。
――最後に改めて意気込みをお願いします
実際に試合の中での役割は後ろだと思うので、自分の任されたイニングをしっかりとゼロで抑えるというのはずっと自分の中で持っています。ゼロで抑えることと、ガラっと雰囲気を変えるというところが自分の仕事だと思っているので、そこに全うできるように頑張りたいなと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 臼井恭香)
◆伊藤樹(いとう・たつき)
2003(平15)年8月24日生まれ。176センチ、81キロ。宮城・仙台育英高出身。 スポーツ科学部1年。投手。右投右打。よく隣の齋藤正貴投手の部屋に遊びに行っているという伊藤樹投手。毎日「おやすみなさい」を言ってから寝るそうです。最近、遊びに行きすぎてノックをしても開けてくれなくなり、ちょっと頻度を減らしたという微笑ましいエピソードを語ってくれました。普段は弟キャラですが、マウンド上では一変、キリッとした表情に。そんな伊藤樹投手のギャップに注目です!