【連載】秋季リーグ戦開幕前特集『復権』【第8回】伊藤樹

野球

 昨春に1年生ながら東京六大学リーグ戦(リーグ戦)デビューを飾った伊藤樹(スポ1=宮城・仙台育英)。抑えなどでの登板が主だった昨春だったが、今季は先発に回ることが予想される。今後の早大を支える成長著しいルーキーに、今季の意気込みを伺った。

※この取材は9月6日に行われたものです。

80点くらいあげられるピッチングをしてきたんじゃないかな

1年生とは思えない投球を見せた伊藤樹

――入学してから約半年が経ちますが、1年生の前半を振り返ってみていかがですか

 2月から野球部の方に参加させていただいて、大分同級生や先輩方と仲良くさせていただいてます。練習に関してもいろんな経験をさせていただいて成長できているなとこの半年間で感じています。

――部活以外の普段生活はいかがでしょうか

 大学生となって授業の形態が変わって、まだ慣れていないというのが自分の中にあるので、秋からは先輩方のアドバイスや同級生と協力してやっていけたらいいかなと思います。

――春季リーグ戦を振り返っていかがですか

 抑えなど後ろの方で投げさせていただく機会が多く個人的にはすごく先発したいという気持ちがあったので、勝敗に関われた部分があまりなかったことが少し悔しかったです。その中で思ったより良い成績が出て、思ったよりも通用したというのが個人的な感想です。秋からはもっと勝敗に関わってチームの勝ちに貢献したいなと思います。

――フレッシュトーナメントでは先発も経験しましたが、この試合について振り返っていかがですか

 志願登板みたいなかたちで登板させてもらいました。多少の疲れもありながらどのくらい先発として通用するのかを自分の中で確認したいと思っていたのですが、結果的にチームを勝たせることができず、そんなに内容も良くはなかったのでまだまだだなと感じました。良かったところとしては、自分の中で自信のあるボールをしっかり投げ込めたということはいい経験になりました。

――早稲田に入られてからはじめての夏の期間、どのような練習に取り組んできましたか

 新潟キャンプに行かせていただいて、投げて走ってみたいなランメニューが多かったです。特別なことは特にしていなくて変わらず継続して春の課題をつぶしながらやっていく、体力不足ということと4年間けがをしない体づくりの一環として厳しいメニューをやっていくことでスタミナは向上していると思います。1年生のうちからこのキャンプに参加することができてとても良かったと思っています。

――レベルアップを図っていくにあたって先輩やコーチからアドバイスなどはありましたか

 技術的なことはそんなに教わっていないんですけど、加藤さん(孝太郎、人3=茨城・下妻一)と野球のことについてよく話す機会がありました。当然秋から先発をしたいということは言っていてオープン戦でも何度か先発させていただく機会があったんですけど、実際に秋から先発することになったら、どういった調整をするのか、試合の入り方をどうするのか、調子が悪いときにどうやって改善するのかなどを加藤さんと意見交換することができたので、すごく自分の中で大きな経験になりました。

――ここまでのオープン戦での投球を振り返って100点満点で評価するとしたら何点になりますか

 試合によってできなかったことが違うのですが、それでも80点くらいあげられるピッチングをしてきたんじゃないかなと思います。もともと好不調の波が少ないことが長所だと思っているので、その中でキャンプ中にすごく状態が良くて上武大学と試合をさせていただいたときにすごく抑えられたのが自分の中で自信になりました。

――残りの20点分を補う部分はどういったところにあると思いますか

 球数が多くなってしまって、先発をする上でどうしてもカウントが深くなることで後ろのイニングで疲れが来てしまうので、もっと球数を制限することやアウトをうまくとることを改善していけば100点に近づけると思います。

全日本に出て優勝することを見据えながらやっていきたい

先発として大きな期待が寄せられている

――ご自身の成長している点など感じることはありますか

 ピッチングの中だと緩急を使えるようになったことが春から比べて練習してきた部分なので、そこは自信を持って成長したなといえる部分だと思います。もう一つは先発としてゲームをつくることに関して、大学生は高校生とは違う部分があるのですが、そういったところに慣れてきたことは成長してきた部分だと思います。

――先日のオールスターでも3人で抑える活躍でしたが、いかがでしたか

 オールスターはこれから対戦する方々が相手なので、あまり持ち球を見せずに投げました。当然レベルの高い人たちと一緒にプレー出来て、意見交換したりだとかブルペンを見に行ったりだとかしてどういった調整方法なのかを見ることができてすごくいい経験になりました。ピッチングに関しては、仕上がりも悪くなく結果的に抑えられたので良かったです。

――秋季リーグに向けてチームの雰囲気はいかがですか

 すごくいい状態でキャンプ後からできていると思います。オープン戦も勝ち越していますし、そういった面に関してはすごく良くなっているのかなと思うので、この勢いのままリーグ戦に入っていけたらいいと思います。

――先発での起用が見込まれますが、いかがですか

 先発をすると思うので、当然春よりは長いイニングを投げることになるため、規定投球回を超えることとタイトルを狙うことを目標にしたいです。長いイニングを投げる以上、最多勝が取れれば一番うれしいですけど、防御率や奪三振数などそういったところにもこだわりながら結果的にそれがチームのためになると思うので、タイトルを視野に入れながらやっていきたいです。まず第一はチームの勝ちに貢献することを目標にやっていきたいです。

――リーグ戦に向けて自分のアピールポイントを教えてください

 春から磨いてきたボールとしてまっすぐはもちろんなのですが、カーブやチェンジアップといった緩急を活かすボールをずっと磨いてきたのでそこが良い結果につながればいいかなと思っています。自分のアピールポイントとしては、マウンド捌きは当然甲子園とかでも経験させていただいて場数も踏んできているので、そういったところのマウンド捌きを見ていただきたいです。

――初戦の法政大学に対する印象は何かありますか

 印象的にすごく一発が出るバッターが多く、勢いがあるという印象です。丁寧に丁寧に投げれば大けがは無さそうな感じではあるのですが、爆発した時の勢いはすごく強いものがあるのでそれだけは注意しながら投げたいなと思います。

――最後に今シーズンの目標とそこに向けての意気込みをお願いします

 今シーズンの目標は規定投球回を超えるイニング数をまずは投げたいなと思っています。またそれに加えて奪三振数、防御率、最多勝などのタイトルを1年秋から目指しながら、それがチームのためになると思って投げたいなと思ってます。チームとしての目標はもちろん優勝ですし、全日本に出て優勝することを見据えながらやっていきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 小澤慶大)

◆伊藤樹(いとう・たつき)

2003(平15)年8月24日生まれ。176センチ、78キロ。宮城・仙台育英高出身。 スポーツ科学部1年。投手。右投右打。持ち味である力強いまっすぐと多彩な変化球で打者を翻弄(ほんろう)する伊藤選手。磨き上げた緩急を活かすボールを駆使してチームを勝たせる伊藤選手の投球に期待がかかります!