【連載】春季早慶戦直前特集『矜持』【第8回】松木大芽

野球

 明大2回戦でリーグ戦初スタメンを果たし、それ以降フルイニング出場を続ける松木大芽(スポ4=石川・金沢泉丘)。今季はここまで打率1割台と持ち味の思い切りの良さを発揮できていない。それでも、守備では好プレーを何度も見せ外野を支えている。初めてスタメンとして出場するシーズンを振り返るとともに、早慶戦への思いを伺った。

※この取材は5月11日に行われたものです。

このままいい勢いに乗っていきたい

守備面での貢献が大きい松木

――チームのここまでの結果を振り返っていかがですか

 なかなか勝ち点が取れず苦しい試合が続いたのですが、ここ最近の東大戦や練習、練習試合で少しずつ勢いが出てきているので、このままいい勢いに乗っていきたいと思っています。

――優勝は厳しい状況となりましたが、チームの雰囲気はどうでしょうか

 結果は変わらないので、「いい意味で引きずって」とよく主将の中川(卓也、スポ4=大阪桐蔭)も言っているのですが、「いい意味で引きずって次につなげていけるように」というふうにみんなでやっています。

――今季は勝ちきれなかったり、一打が出なかったりという試合が続いています。その原因はどのような部分だと感じていますか

 いろいろ要因はあると思いますが、やはり東伏見での練習をどれだけ神宮に近づけれるかという部分だと思います。学生コーチの冨永(直宏、文4=東京・国学院久我山)もよく言っていて、神宮での一球の重みを東伏見でより近づけて、より重いものにして練習をしていくことが神宮の一球につながるのかなと思っています。

――東大戦では2戦連続引き分けという結果でしたが、チームの状況はどうでしたでしょうか

 1戦目は2ー1で勝っている中で迎えた9回裏に、ホームランを浴びて同点になってしまい、チームとしてはすごく凹んでしまったのですが、あそこでよく負けず引き分けで抑えられたというところをプラスに捉えて、次の試合を迎えました。ただ、次の試合も序盤に失点をして追いかける展開で、よく追いついてなんとかしのげたかなと思っています。

――そういった(プラスに捉える)ことが3戦目、4戦目の勝利につながりましたか

 そうですね。

――続いて松木選手個人の振り返りに移ります。明大1回戦までは代打や守備からの出場でしたが、そこまでの3試合を振り返っていかがですか

 法大戦では失点につながるエラーをしてしまいチームにすごく迷惑をかけていた状況だったので、なんとかしてチームの勝利のためにという思いでやっていました。その3試合についてはとても悔しい思いが強かったです。

――明大3回戦からはスタメン出場を続けています。スタメンに抜てきされた際の心境を聞かせてください

 シンプルにやってやるぞという気持ちが強かったです。

――その気持ちが4回の犠牲フライにもつながりましたか

 そうですね。

――9回には一打同点の場面で刺殺を決め試合を終わらせました。その時はどういったことを意識していましたか

 自分のところに飛んできたらなんとかしてアウトにしようと思っていたので、イメージ通りの球を投げることができて良かったと思います。

――守備練習の際も、こうした低く強い送球を意識していますか

 練習ではノーバウンドで投げることはほとんどないですが、正確に取りやすいワンバウンドのボールを投げることを練習では意識しています。

打とうと思った球をしっかりと振れるように

東大戦では好走塁を見せた

――スタメン出番時の打撃を振り返っていかがでしょうか

 なかなか思うような結果が出ておらず、打席でのアプローチなどまだまだ改善しなければいけないことが多いので、今後練習でしっかりと取り組んでいこうと思っています。

――原因はどのような点だと思いますか

 なかなか練習でやっているようなスイングが実際に打席に入るとできなかったり、力が入ってしまったりという部分が原因かなと思います。

――最近の練習ではどのような点を意識していますか

 今は神宮の打席に入るとピッチャーの投げる球を見上げてしまう傾向というか癖が自分にはあるので、それを出さないように練習では意識しています。

――打撃に関して小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)やコーチ陣から言われていることはありますか

 今言ったことにも重なるのですが、やはり自分が打つ時に右肩が上がってしまうので、そこを直すようにと言われています。

――打席の中ではどのようなことを意識していますか

 打席の中では特に何も考えずに、打とうと思った球をしっかりと振れるように意識していますが、なかなかできていないのが現状です。

――何回か打順が変わっていますが、打順によって打席内の意識やアプローチを変えていますか

 打順というよりも、その場面のランナーの状況やアウトカウントによってというのが大きく、打順によってはあまり意識していません。

――今季の守備面を振り返っていかがですか

 エラーを1つしてしまったのですが、まだなかなか体が思うように動いていないというのが正直なところで、もう少し東伏見でやっているような動きを神宮でもできるようにならないと駄目だなと感じています。

――具体的にどういった動きをしていきたいですか

 打球を追う1歩目の早さや、打球の追い方がやはりまだまだ東伏見でやっている時よりも少し遅くなっていると自分は感じているので、そういった誤差を直していけたらなと思います。

――今季はレフトとセンターどちらの守備にもついていますが、ポジションに意識や変えていることはありますか

 レフトを守っていた時よりもセンターを守っている時の方が、レフト、ライトとの距離感をしっかりと保ったり、ポジショニングをしっかり指示したりというところで、コミュニケーションをとることはレフトの時よりもセンターの時の方が意識しています。

――現在盗塁を1つ決めていますが、今季の走塁面を振り返っていかがでしょうか

 もう少し盗塁を決めることができたらチームとしても楽になりますし、得点のチャンスも増えると思うので、もっと走れるようにこれから練習したり、相手投手の癖を分析したりして試合に臨めるようにしたいなと思っています。

――ご自身の強みはどこだと考えていますか

 今はなかなかリーグ戦では出せていないのですが、思い切ったバッティングや、勝負強いバッティングが自分の強みだと思っているので、これからのリーグ戦で、そういった部分をしっかりと出せていけるように頑張っていきたいです。

――オープン戦ではチャンスで1本出ていた場面がよくありましたが、神宮と東伏見ではやはり何か違いがあるのでしょうか

 どうしてもここ(東伏見)でやっているより、思い切っていこうと思っていても力が入ってしまって、自分の思っているようにバットが振れていないと今感じている部分があるので、そこの修正をしていきたいと思います。

――今年から背負っている背番号24番は、昨年は鈴木萌斗選手(令4スポ卒=現明治安田生命)が付けていました。何か言葉はもらいましたか

 言葉とかは特にもらっていないのですが、自分が今つけているリストバンドを萌斗さんからもらいました。

――金沢泉丘高校の同級生・浦田晃佑選手(東大)が活躍されていますが、どのように感じていますか

 高校の時に一緒にやっていた仲間ということで、すごいなという思いもありますし、自分も負けていられないなという思いもあります。

――連絡は取っていますか

 そうですね。たまに連絡を取っています。

応援してくれる皆さんの思いも背負って一丸となって戦いたい

早慶戦では攻守で躍動したい

――続いて、早慶戦の話に移りたいと思います。早慶戦の出場は初となると思いますが、何か思い入れはありますか

 小さい時からテレビ中継もあって見ていた試合ですし、早稲田大学に入ってからも早慶戦ですごく熱い試合を何度も経験してきました。その球場に自分が立ってプレーをするということを考えると、これまで以上に緊張をすると思いますが、夢に見てきた舞台なので思い切り楽しんで、のびのびとプレーしたいなと思います。

――1番思い出に残っている早慶戦はありますか

 昨年秋の早慶戦の2回戦目で、引き分けて優勝が慶大に行ってしまった試合が自分としては1番印象に残っています。

――今季の慶大の印象は

 3番の広瀬選手をはじめすごく勝負強い打者がそろっていると思うので、早稲田も打ち負けないように練習したいと思います。

――勝利の鍵はどこにあると思いますか

 今季は加藤(孝太郎、人3=茨城・下妻一)をはじめピッチャーがすごく頑張ってくれているので、早大打線が一丸となって機能することが鍵になると思います。

――慶大で意識している選手は

 キャプテンの下山悠介選手は自分達が1年生の時から活躍していて、バッティングも参考にさせてもらっている部分もあるので意識しています。

――どういった点ですか

 無駄のないスイングというか、ミート力の高いスイングがすごいなと思っています。

――早慶戦ではどのようなプレーをしていきたいですか

 どういった場面で自分がプレーに関与するかはわからないですが、どの場面でも自分らしく思い切ってプレーをした結果がチームの勝利につながると思うので、思い切ってやりたいと思います。

――早慶戦への意気込みをお願いします

 早慶戦は早稲田大学にとってもすごく重要な1戦になると思うので、野球部もそうですし、応援してくれる皆さんの思いも背負って一丸となって戦いたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 田中駿祐)

◆松木大芽(まつき・たいが)

2000(平12)年10月14日生まれ。171センチ、70キロ。金沢泉丘高出身。スポーツ科学部4年。外野手。右投左打。「BT」というロゴのあまり見慣れないグラブを使う松木選手。ボールタウンというメーカーでオーダーしたもので、生沼選手と一緒に販売店に行き、その時に気に入ったそうです。早慶戦では思い入れのあるグラブで好守を披露します!