昨年の東京六大学フレッシュトーナメントでは春秋共に全試合でスタメンを勝ち取り、昨秋の東京六大学リーグ戦(リーグ戦)で初出場を果たした中村将希(教3=佐賀・鳥栖)。新チームでは3番を任され、中軸の一角として切れ目のない打線の鍵を握る。そんな中村将に冬のトレーニングの成果、現在の状態について伺った。
※この取材は3月27日にオンラインで行われたものです。
「とにかく出塁率を上げる」
今季から3番を任せられるなど周囲からの期待も大きい
――昨年末の対談の中で、取り組んでいるトレーニングについて伺いましたが、冬のトレーニングを終えて、手応えは感じていますか
冬は自分を追い込み妥協なく取り組んだので、その結果が春先出てきているのかなと思います。
――前回の対談では守備力を課題にあげられていました。守備について、どんな練習に取り組んできましたか
全体練習が終わった後に個別で行う特守でとにかく本数を受けました。左右に振られながら、足が動かない疲れた状態からどれだけ動いていけるかということに取り組んできました。
――ここまでのオープン戦を振り返って、守備での成長を感じていますか
結果的にはエラーなども出てしまっているのですが、少なくとも前よりは、少しずつですけど成長しているとは実感しています。
――オープン戦では一塁を守る試合もありました。守備位置は三塁のほかにも想定していますか
自分のポジションはファーストとサードなので、どちらでもこなせるようにいける準備はしています。
――ファースト、またはサードで、ここのポジションのレギュラーを取りたいというこだわりはあるのでしょうか
希望はサードなのですが、出してもらえるのであればもちろんどこでもやるつもりでいるので、そこのこだわりは特にないです。
――打撃について、この冬にテーマや目標としてきたことはありますか
自分は3番を打つので、とにかく出塁率を上げるということを自分のなかでテーマに置きました。後ろに蛭間さん(拓哉、スポ4=埼玉・浦和学院)など、いいバッターがたくさんいるので、つなぐ3番というのをテーマに、とにかくチャンス拡大できるような選手になりたいと思って取り組んできました。
――後ろに蛭間副将が控えているということで、プレッシャーもあると思いますが、どう感じていますか
打順を見てもそうだと思うのですが、相手から見たら勝負するのはおそらく自分です。自分を抑えないと後ろに蛭間さんなどが控えているから、自分でアウトカウントを稼ぎたいと思っているのがバッテリーの考えだと思うので、そこを自分がどれだけ打てるかでチームの勝敗が変わってくるのかなと思っています。その点に関しては結構プレッシャーがあるのですが、それに負けないようにやっています。
――昨年末の対談では、筋肉や体幹の使い方のトレーニングを重視されているとお話しされていました。体の使い方について、トレーニングの成果を感じる部分はありますか
体幹などのトレーニングは冬場個人的に取り組んできたことで、それが春先結果としても少しずつ現れているので、トレーニングが結果につながっているのかなと思います。
――オープン戦での打撃の状態について、ご自身ではどう評価されますか
結果は見てもらってもわかると思うのですが、全然物足りない数字です。春の最初の方は結構調子が良かったのですが、プロとの試合も組んでもらって、レベルの高いピッチャーと当たると自分の実力が通用しないのかなと思ったので、春のオープン戦の期間はかなり苦しい感じでした。ですがこれからのリーグ戦が勝負なので、そこでいかに結果を出せるかというのを考えています。
――打撃の課題についてのお話がありましたが、具体的にどういったところが課題でしょうか
最近三振が多いなと感じています。当てるのは苦手なタイプではないのですが、そのなかで三振しているということは何かしら原因があると思うので、そこが課題かなと思います。まずはミートしないと始まらないので、しっかり振りにいくなかでも当てる技術、三振をしない技術というのを今考えながら取り組んでいます。
――蛭間副将の前を打つ3番打者ということで、出塁率をポイントに挙げていましたが、球の見極めという点にも重点を置いているのでしょうか
四球はヒットと同じなので、いかにヒットを打つかだけではなくて、自分に不利なカウントでもそこから四球を選べる、例えばツーストライクで追い込まれてからでも四球をとれるような打者になれるように、自分のなかで課題に持って取り組んでいます。
――中村さんは長打も打つことが出来る打者という印象ですが、長打を狙うという考えは持っていますか
個人的には長打を狙うことはなく、ヒットの延長線上で長打が出ればいいかなと思っています。一番はやはり打率を求められていると思うので、大きいのを狙うのではなく、広角に打ち分ける、しっかりミートして単打でチャンスを広げるというのを目標に、重点を置いています。
「自分が率先してもっと声を出す」
4月に入ってからのオープン戦では好調を維持している
――今季のチームはリーグ戦の経験が少ない選手が多いと思います。開幕に向けて、チーム全体の雰囲気を教えてください
最近少し勝てていないというのもあって少し暗いのですが、そのなかでも、みんなどうしたらチームが良くなるのかをしっかり考えながら取り組んでいるので、リーグ戦に向けて気持ちがどんどん高まっていると思います。
――チームが少し苦しい状況というお話がありましたが、現在のチームの状況については、中村さん自身はどのように見えていますか。
今はオープン戦で勝負はリーグ戦なので、リーグ戦までにどういうアプローチをしていけるかを考えています。オープン戦でたくさん勝っていてもリーグ戦で負けたら意味がないので、そこはいい方に捉えて、いままで負けた試合で自分たちに足りなかったものなどをしっかり考えながら、残り少ない時間で工夫していければリーグ戦も結果を出せると思いますし、そこは全員考えながら取り組んでいます。
――そういったチーム状況のなかで、中村さんご自身は、チームの中でどのような役割を果たしたいと考えていますか
自分もリーグ戦の経験がほとんどない選手なので、そのなかで自分の役割はやはり技術的なことではなくて、元気を出したり全体を盛り上げたりすることです。自分が波に乗ってやらないと、まわりも暗い雰囲気になってしまいます。もっと声を出して元気にやってほしいというのは、いろんな人から言われているので、それは自分でも自覚を持って、三塁手としてホットコーナーと言われるように熱くやっていきたいと思っています。
――中村さんはチームの中心選手として、中川主将(卓也、スポ4=大阪桐蔭)や蛭間副将とコミュニケーションをとって、チームの状況をより改善しようと取り組むことはありますか。
自分は先輩方とコミュニケーションをとる機会はかなりあります。リーグ戦の経験が少ない方なので個人のことを少し考えがちなのですが、自分も三年生で上級生と言われる部類に入ると思うので、もっとチーム全体のことを考えながら、主将と副主将の考え方などをしっかり聞いて、それをまわりに広げていけるようにしたいです。
――春季リーグ戦の開幕が迫ってきました。今現在の心境を教えてください
自分は昨年の秋のリーグ戦で2試合しかベンチに入っていないので、チームの中心として取り組むリーグ戦は初めてです。なので結構ワクワクしている気持ちが強いのですが、少し緊張などもあるので、とにかく練習して不安要素を取り除いていけるようにしたいと思っています。
――リーグ戦で対戦したい投手はいますか
特にいないです。あまり投手は意識しないので、誰が投げてこようが変わりません。自分のスイング、打撃をすれば大丈夫かなと思っているので、投手への意識はないです。
――他大学で警戒している大学はありますか
法政大学はかなり選手もそろっていると思います。実力ある選手が多いので、そういう大学に負けたくないなという気持ちはあります。
――春季リーグ戦のチームとしての目標を教えてください
チーム目標は日本一なので、そのためにまずリーグ優勝、そのための初戦だと思うので、法政戦に100%以上の力でしっかり当たれるように準備していきたいです。
――春季リーグ戦に向けて、チームのなかで足りないと感じる部分はありますか
元気や声は足りないと思うので、まず自分が率先してもっと声を出していきたいと思います。
――春季リーグ戦の中村さん個人の目標を終えてください
春季リーグ戦では、まずエラーをしないことが目標です。打撃では出塁率4割以上、これはもう自分のなかで決めていて、4割以上は最低でも出さないといけないと思っています。そのなかで3割を超えるような打率を残せればいいかなと思っているので、とにかく出塁率とエラーをしないこと、この2つを個人的には目指していきたいです。
――最後に春季リーグ戦の意気込みをお願いします
春季リーグ戦ではまずチームがリーグ優勝できるように、個人としてもしっかりチームの中心選手という自覚を持って、全力で臨みたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 矢彦沢壮真)
◆中村将希(なかむら・まさき)
2001(平13)年7月26日生まれ。179センチ、83キロ。佐賀・鳥栖高出身。教育学部3年。「つなぐ3番」という新たな打者像を語ってくださった中村将選手。つなぐ打撃と元気な声で今季の早稲田を支えます!