【連載】春季リーグ戦開幕前特集『再興』【第3回】加藤孝太郎

野球

 昨年の東京六大学秋季リーグ戦(リーグ戦)では中継ぎ、救援として3試合で好投を見せた加藤孝太郎(人3=茨城・下妻一)。春季オープン戦では3試合に先発しており、今季はローテーション入りが見込まれている。粘り強い投球が武器だという加藤に、今季の意気込みを伺った。

※この取材は3月27日にオンラインにて行われたものです。

「簡単に追い込めている」

オープン戦では先発として調子を上げてきている

――最近はまっていることはありますか

 はまっていることですか(笑)。寝る前に無印良品のアロマディフューザーを付けてから寝ることに、ちょっとだけハマっています。

――部内で仲の良い選手はいらっしゃいますか

 同じく投手の齋藤正貴(商3=千葉・佐倉)とユエン賢(国教3=カナダ・セントジョセフ)の2人とは、寮生活でも一緒なので仲が良いです。

――3人の間で最近あった楽しかったことはありますか

 お風呂に入るタイミングが一緒になることも多いのですが、水をかけて、ちょっかいをかけてきます。最近はそれが一番面白かったです(笑)。

――まずはこの冬の取り組みについて伺いたいと思います。以前の対談では、オフシーズンでは全体的なスキルアップを目標に考えているとのことでした。中でも重きを置いていたことはありますか

 このオフシーズンでは、単純に球数を増やすことに重きを置きました。体づくりも並行して行ってきてはいましたが、やはり実際にボールを投げないと全体的なスキルアップは見込めないと思ったので、特にこの冬は投げ込む量を意識していました。

――狙った所に投げるコントロール力を身に付けたいともお話されていました

 コントロールに関しては、まずはアウトコースにストレートをしっかり投げ切ることを大事にして。そこから、自分の持っている球種全てでしっかりストライクを取れるようにすることを意識して取り組んでいました。

――また、決め球となる変化球を習得したいとのことでした。習得はできましたか

 昨秋のリーグ戦が終わってから結構いろいろな球種を試してきました。自分の中でしっくりくる球種が、身に付いたとまではいかないですけど、少し手ごたえがあるかなという感じにはなりました。

――球数を増やしたとおっしゃっていましたが、どのような練習をされていましたか

 冬場は瞬発系のトレーニングというよりは、体を大きくするために筋肥大のトレーニングをしていました。球数を多く投げるということに関しては、ブルペンでの球数(を増やしました)。あとはピッチングとは別に守備練習で、ボールを使った練習を増やしました。

――新体制になってから、投手も野手の行う打撃練習や守備練習を行うようになったとお聞きしました。そちらの調子はいかがですか

 自分の投球スタイルとしてフィールディングがカギとなってくるので、その点に関してはこの期間取り組んできた守備練習がすごく自分のためになっていると思います。

――続いて春のオープン戦について伺っていきたいと思います。城西大戦、筑波大戦、城西国際大戦と3試合で先発されていました。それぞれ振り返ってみていかがですか

 全体的にそこまで調子は悪くないかなという感じなのですが、点数を取られてしまった城西大戦と筑波大戦はどちらも本塁打で点を取られてしまっています。リーグ戦でも一球(のミス)で点数を取られてしまうことが多いので、詰めの甘さが出ているのかなと思います。

――チーム全体としてオープン戦で感じた課題はありますか

 オープン戦開始前から少し投手力が低いと言われていて、初戦で投手陣が打ち込まれてしまうというかたちになってしまいました。その後のオープン戦でも、何試合か投手陣が崩れて負けてしまうという試合が見られました。やはり投手陣がしっかりしないと野手陣も守りづらいですし、テンポも作れないと思うので、投手陣がしっかりするというのが課題だと思います。

――個人として感じた課題はありますか

 先ほども述べた通り、詰めの甘さです。具体的に言えば2ストライクを取ってから簡単に打たれてしまうというケースが自分の場合よくあるので。2ストライクからどのように打ち取っていくかをもう少し考えていきたいなと思っています。

――反対にオープン戦で良くなってきていると感じたところは

 カウントをすごく簡単につくれているというか。変化球やストレートで空振りやファウルを取って、2ストライクに簡単に追い込めているなという手応えがあります。

――今季注目している選手はいらっしゃいますか

 今年の新1年生の伊藤樹くん(スポ1=宮城・仙台育英)。単純に球速もありますし、コントロールもいいですし。全体的にレベルが高いと思うので、魅力的な選手だなと思います。

「武器は粘り強く投げるところ」

春季オープン戦で安定した投球を見せた加藤

――ここからはリーグ戦について伺いたいと思います。春季リーグ戦まであと2週間を切りましたが、今の心境はいかがですか

 秋季リーグ戦が終わってからここまで、あっという間だったなというのが率直な感想です。

――今季は2019年までのリーグ戦のように、土日の2試合で勝敗がつかない場合、月曜の3試合目で勝敗を決める勝ち点制になっています。加藤選手はこの方式で戦うのは初めてだと思いますが、いかがですか

 やっと本来のリーグ戦のかたちに戻りました。初めてということもあってどのようなリーグ戦になるか不安というか、考えることがたくさんあって。投げる機会も昨年までと比べて増えてくると思うので、与えられた機会をしっかりと全うしたいです。

――昨秋は立大戦での2連敗から始まりましたが、最終的には優勝争いをして2位でリーグ戦を終えました。昨季の戦いを全体的に振り返っていかがですか

 1カード目の立大戦は2連敗から始まって、そこから4年生たちが「このままじゃ駄目だ」という雰囲気を出して、下級生たちを引っ張って。最上級生がいい雰囲気をつくってくださったので、2カード目からはチーム一丸となって臨めていたかなと思います。

――続いて加藤選手個人の昨季について伺います。立大戦、法大戦、明大戦と3試合に中継ぎやリリーフとして登板されました。振り返ってみていかがですか

 昨年は春のリーグ戦でリーグ戦デビューをして、秋のリーグ戦ではしっかり結果を残そうと思って臨んだのですが、初戦の立大戦で失点してしまって。そこから明大戦でも四球を出して降板してしまったので、自分の中では物足りなさやふがいなさを感じていました。

――今季の投手陣はどういった起用になっていくと思いますか

 今年の投手陣は軸となる投手がいないので、誰が先発するのか分からない状態です。いざ登板となったときには、しっかりと与えられたイニングを抑えられるような準備をしていけたらなと思っています。

――自身ではどういったタイミングで登板したいですか

 先発であれ中継ぎであれ、任されたところをしっかり投げるというのを意識してリーグ戦に臨みたいと思っています。

――ベンチ入りメンバーには3年生の投手が多いと思います。このことについてはいかがですか

 今年は3年生がすごく多くベンチに入っているので、自分たちの代がしっかりして抑えようという雰囲気になっています。

――チーム内に意識する選手はいらっしゃいますか

 一番意識するのは、普段仲が良いということもあって齋藤正貴です。今の投手陣で、先発する可能性が一番高いのが正貴。決め球もあるすごく良いピッチャーですし、同じく指定校で県立高校からきているということもあって、似ているタイプなので、負けないように頑張りたいなと思っています。

――開幕戦は法大との試合ですが、法大へのイメージは

 投打共にすごくレベルが高いチームだと思います。

――特に意識しているチームはありますか

 やはり法大、立大が今年は選手層が厚くて強いと思うので、その2校を乗り切れたら優勝も見えてくるのではないかと感じています。

――他大学で意識している選手はいらっしゃいますか

 対面で会うことがなかったので特定の選手を意識してはいませんが、やはり同学年の打者と当たったときは、抑えたいなという気持ちがあります。

――現在のチームの様子はいかがですか

 開幕2週間前にして、先日の社会人対抗戦(3月26日、明治安田生命戦。初回に3本塁打を許し、12-4で敗戦)は少し不安なかたちで終わってしまったので、野手というよりは投手がもう少し調整していかなければいけないなという感じです。

――社会人対抗ではベンチ入りメンバーに名前がありませんでした

 まだ神宮を経験していない投手が、神宮に慣れるために多くベンチに入っていたという感じです。逆に自分はリーグ戦を経験している立場なので、しっかりしなきゃいけないなと感じています。

――スタンドからはご覧になっていましたか

 (東伏見に)残ってグラウンドで練習していました。

――春季リーグ戦に向けて、自分の一番の武器は何ですか

 ヒットを打たれながらも粘り強く投げるところです。

――対面での取材では、毎回色紙を書いていただいています。今回のオンライン取材では難しいですが、もし色紙を書くとしたら、どのような言葉を書きますか

 「気持ち」ですかね。神宮という舞台に立ったら、技量どうこうよりも最後は気持ちだと思うので。最後は気持ちで抑えていきたいです。

――最後に今季の意気込みをお願いします

 チームとしてはリーグ優勝。個人としては先発と中継ぎのどちらをやるか分かりませんが、とにかく与えられたイニングをしっかり抑えるだけです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 荒井結月)

◆加藤孝太郎

 2001(平13)年11月20日生まれ。178センチ、74キロ。下妻一高出身。人間科学部3年。投手。右投右打。仲が良いと挙げた齋藤正貴選手を、一番意識する選手にも挙げた加藤選手。仲の良い2人の、早大を支える右腕・左腕としての活躍に期待がかかります!