徳山がDeNA2位、西垣は楽天に6位指名を受ける! 岩本副将は名前を呼ばれず悔しい指名漏れに ※会見全文も掲載

野球

 昨年に比べ、2週間ほど早い開催となったプロ野球ドラフト会議。早大野球部からは先月10日に岩本久重副将(スポ4=大阪桐蔭)、16日には徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)西垣雅矢(スポ4=兵庫・報徳学園)の2人がプロ志望届を提出し、計3名が運命のドラフトに臨んだ。それぞれが吉報を待つ中、最初に徳山が横浜DeNAベイスターズから2位指名を受ける。続いて西垣も東北楽天ゴールデンイーグルスに6巡目で指名され、2人がプロの舞台へ。早大野球部から2人以上の指名は2015年の重信慎之介(平28教卒=現読売ジャイアンツ)、茂木栄五郎(平28文構卒=現東北楽天ゴールデンイーグルス)以来となった。一方、岩本副将は名前を呼ばれることなく、会議が終了。涙を飲む結果となった。

 


DeNAから2位指名を受けた徳山

 

 「こんなに早くかかるとは考えていなくて、本当に驚いた」。DeNAからの2位指名を受け、徳山は率直な思いを口にした。不調に苦しんだ東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)から一転、秋季リーグ戦では復調の気配を示す投球を披露。持ち味の伸びのあるストレートは本来の姿に戻り、球速も140キロ後半を計測することが多くなった。元々の実力を考慮すれば上位候補だったこともあり、今季の投球で再び評価を上げた。会見では、「開幕から一軍の戦力となれるように」とプロの舞台での目標を語った徳山。今後は即戦力として、先発ローテーションの一角を担うことに期待がかかる。

 


楽天から6位指名を受けた西垣

 

 「人生で一番緊張した」。楽天から6位で指名され、西垣の表情には笑顔が見えた。Wエースの一角として期待されて臨んだ春季リーグ戦、西垣は5試合に先発登板したものの、未勝利に終わる不本意なシーズンを送った。しかし、今季の東大2回戦では9回を投げ、14奪三振完封勝利。課題のスタミナ面でも成長を遂げ、念願のプロの舞台に飛び込むこととなった。また、3年までは中継ぎで好救援を重ね、リリーフとしての適性も兼ね備えた右腕だ。

 

 岩本副将は昨季、打率3割3厘、3本塁打、8打点を記録し、打撃成績が大幅に向上。秋季リーグ戦の東大2回戦では本塁打を放ち、リーグ戦通算本塁打を5に伸ばした。しかし、この会議では最後まで指名する球団は現れず。指名漏れとなった。卒業後は社会人野球でプレーを続け、2年後の指名を待つ。

 

 明暗は分かれ、徳山と西垣はプロ、岩本副将は社会人と異なる道を進むこととなった。しかし、チームとしての戦いはこれから中盤戦に差しかかる。翌日12日からは法大戦、今週末には明大戦を控え、王座奪還のためには4連勝が求められる厳しい展開だ。しかし、「チームを勝利に導けるように全力で投げたい」(徳山)、「しっかりチームを勝たせる投球をする」(西垣)と意気込みは十分。早大を引っ張るWエースと攻守の要は、最後までその責務を全うする。

(記事 足立優大、写真 山崎航平)

 

◆徳山壮磨(とくやま・そうま)

1999(平11)年6月6日生まれ。183センチ、82キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部4年。 投手。右投右打。大阪桐蔭高時代は岩本とともに17年センバツ優勝。リーグ戦には1年春から登板し、六大学通算35試合9勝5敗126・1/3回104奪三振 防御率2・21(10月11日時点)。最速151キロ。

◆西垣雅矢(にしがき・まさや)

1999(平11)年6月21日生まれ。184センチ、85キロ。兵庫・報徳学園高出身。スポーツ科学部4年。投手。右投左打。リーグ戦には1年春から登板し、六大学通算32試合7勝7敗139回125奪三振 防御率2・65(10月11日時点)。最速150キロ。

◆岩本久重(いわもと・ひさしげ)

1999(平11)年4月21日生まれ。180センチ、90キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部4年。捕手。右投右打。大阪桐蔭高時代は徳山とともに17年センバツ優勝。リーグ戦には1年春から出場し、2年秋途中から正捕手を担う。六大学通算37安打5本塁打27打点 通算打率.274。

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会見全文

徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)

――まずは指名された感想を簡単にお願いします

 今日はこのような場を設けていただきありがとうございます。早稲田大学4年の徳山壮磨です。正直、自分はこんなに早くかかるとは考えていなくて、本当に驚いたというのが正直な感想です。

――DeNAにはどういった印象をお持ちですか

 投手、野手の総合力が高いチームだと思っていたので、すごいいいチームに指名され、うれしく思います。

――なりたい選手像や対戦してみたい選手はいますか

 自分は小さい頃から投手をやる中で、前田健太選手(現ミネソタ・ツインズ)の投球フォームを参考にしてきたので、前田選手のように、球界を代表するような投手になれるように頑張りたいなと思っています。対戦したい選手というのはまだ思い浮かばないのですが、プロ野球は厳しい世界なので、上のレベルでしっかり通用するような投手になれるように頑張っていきたいです。

――プロでの目標は何ですか

 自分は一軍で投げて活躍することが第一条件だと思っているので、しっかり開幕から一軍の戦力となれるような投手になりたいと思っています。

――この春にかけてフォームを崩すなど、苦しい思いをした中でのドラフト指名だったと思います。改めてドラフトにはどういった思いを抱いていましたか

 自分は大学での4年間、プロの世界で勝負したいという思いで頑張ってきて、自分たちの代になってうまくいかないことが増えて、もがいていました。ですが、こうやって努力してきた成果が報われたというのは正直うれしい気持ちです。

――大学4年間で苦しい思いをしてきた中で、小宮山監督(悟、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)の存在も大きかったと思います。この4年間を通して、早稲田大学の存在はどういったものでしたか

 本当に早稲田大学に入ってよかったと思いますし、伝統のある大学で(エースナンバーの)11番という背番号を付けさせていただき、いいことも悪いことも色々な経験をさせてもらいました。ですので、この4年間で学んだことをプロの舞台でしっかり出していきたいと思います。

――指名された瞬間はどこにいましたか。また、上位での指名は想定していなかったと話されていましたが、2位で指名を受けた時のお気持ちを聞かせてください

 部屋で一つ下の後輩である蛭間(拓哉、スポ3=埼玉・浦和学院)と2人で見ていて、ちょうど自分が2巡目入る時に(ネット中継の)通信が止まってしまいました。その後、お父さんから電話がかかってきて、そこで初めて(指名されたことに)気づき、驚きのあまり蛭間と抱き合いました(笑)。

――早大野球部で学んだことを、どのようなかたちでプロの世界で生かしたいか教えてください

 『心技体』と、この三つを本当に大きく、成長させてくれた場所なので、その成長した部分を生かしたいです。まだ秋の東京六大学リーグ戦(リーグ戦)があるのですけど、そこで優勝してチームのために最後まで全力で投げていきたいです。

――早大野球部で野球をする上で小宮山監督から学んだことなどはありますか

 小宮山監督からは技術面でも精神面でもたくさんのことを教えていただきました。プロという世界では心技体ともにタフにならないとやっていけない世界だと思うので、その部分で監督さんからは11番(エースナンバー)を頂きました。そこは責任を持って投げろと言われて勉強させていただいた部分なので、プロの世界で生かしていきたいなと思います。

――4年生の春が一番の挫折だったとおっしゃっていましたが、どのように自分の中で乗り越えてここまで至ったのか教えてください

 メンタル的にも技術的にも試行錯誤しながら頑張ってここまでやってきたのですが、本当にうまくつながらずどうしてなのだろうともがいていました。春が終わって、もう一度自分の持ち味はストレートなのだと言い聞かせて、夏に徹底的に練習をしました。その成果が秋にできているので、自分の持ち味を出して投げられたらなと思います。

――先ほどお父様との通話のお話がありましたが、お父様との通話ではどのようなことを話しましたか

 ビデオ通話で話して家族でやったなと。家族全員でみんな喜んで泣いていて大興奮という感じでした。

――それを見ていかがですか

 本当に家族なしではやってくることはできなかったですし、春苦しかった中で両親やお姉ちゃん、お兄ちゃんから温かい言葉をもらって励ましになったので、家族の支えがなかったら本当にこの場はないと思っています。家族に感謝の言葉を伝えたいなと思います。

――今家族のお話がありましたが、家族以外で伝えたい人はいますか

 大阪桐蔭高校の西谷先生には伝えたいです。6月に春のリーグ戦が終わった後帰省して、大阪桐蔭に挨拶に行った時、監督だったりコーチだったり色々な人に悩んでいることを相談してそこを受け止めてくれて本当に勇気をもらったので、そこはもう一度頑張ろうという気持ちになったので感謝の気持ちを伝えたいです。

――西谷さんとはどんな会話をしましたか

 正直その時は自分なんかが、プロ志望届を出していいのかなと思ってしまうくらい落ち込んでいました。でも、大学に行く時にお前はドラフト上位で呼ばれるために頑張ってたんじゃないのかと言われていて、そのときの気持ちを絶対に忘れたらいけないと言われました。お前は持ち味があるんだからしっかり見ているからなと言ってくれて、その言葉があったから自分は頑張ろうという気持ちになれたので、ありがとうと言いたいです。

――明日から法大戦ということですが、明日の試合に何か意気込みを教えてください

 立大戦で2連敗してから東大戦をいいかたちで連勝したので、優勝の可能性はまだまだあると思います。自分は11番として、チームを勝たせる投球というのが一番大切になってくるので、打たれようが何をしようが最後まで投げ切って、チームを勝利に導けるように全力で投げたいなと思います。

西垣雅矢(スポ4=兵庫・報徳学園)

――ドラフト指名の感想をお願いします。

 とりあえず、ヒヤヒヤして見ていました。いま、選ばれてほっとしています。

――まずはプロに指名された時どういう気持ちでしたか

 今までずっと目指してきたプロ野球選手になるという瞬間だったので、すごく人生の中で一番くらい緊張していました。

――改めて楽天という球団のイメージを教えてください

 去年主将でエースだった、早川隆久投手(令3スポ卒=現東北楽天ゴールデンイーグルス)をはじめ、すばらしい投手陣がいらっしゃるので、そこが1番の印象です。

――ご自身の持ち味だったり、なりたい選手像があれば教えてください

 自分の持ち味はどのタイミングでも変化球だったり、ストレートで投げ込めることだと思います。しっかりチームに信頼されるような選手になりたいと思います。

――プロ野球で対戦したい選手はいますか

 まだ現実味がないのでわかりません。

――目指しているプロ野球選手を教えてください

 先ほども答えたのですが、チームに必要とされる投手です。しっかりここで投げてくれ、と言ったところで抑え、信頼を得る、そのような投手になりたいと思います。

――いま指名されて一番感謝を伝えたい相手は誰ですか

 まず一番には両親に感謝を伝えたいと思います。高校から寮生活をしていて、どんな時も支えてくれたので、まずは両親です。

――まだご両親には報告をしていないですか

 まだ連絡をとっていません。

――早稲田大学の野球部で学んだことをどのようにプロで生かしていきたいですか

 早稲田大学では主に小宮山監督からですが、準備する大切さを学びました。それを一番大事に自分でも思っています。

――先日の東大2回戦で久しぶりの白星を挙げて、最後のシーズンになったと思います。これまで苦しんでいた時に、同じ楽天の早川選手から何かアドバイスをもらったということがあれば教えてください。

 特にやりとりというのはしていなかったのですが、去年から早川さんはチームのために腕を振って投げる、そのような姿を見ていたので、直接言葉はもらっていないのですが、自分なりにチームのためにやる、そういうことを一番早川さんからは学びました。

――プロに入ってから一年目の具体的な目標があれば教えてください

 まずは一軍にしっかり帯同し続けることが自分の目標です。

――大学4年間で自分が一番伸びたなと思うことはありますか

 球速が少しずつですが一年生の時と比べると成長したかなと思います。

――今後の野球人生においてのご自身での課題はどこにあるのか教えてください

 一番に思うのが、安定感のなさだと思います。良い時、悪い時があるのが投手だと思うのですが、プロで活躍している選手はその差が小さいかなと思うので、その差を縮めていけたらと思います。

――人生の中で一番緊張したとおっしゃっていましたが、今日1日はどのように過ごしていたか教えていただきたいです

 もう今日になるとやることがないというか、神頼みではないですが、落ちているゴミを拾ったり、普段はやらないというか、そういうことをやったり(笑)。神様お願いしますという感じでした。

――指名されてから反響が大きいと思うのですが、L I N Eなどで連絡はきましたか

 あまりL I N Eはこなかったのですが、友達やお世話になっている方から連絡が来て、プロ野球選手になったのだなという実感が湧きました。

――今日はドラフトの指名はどこで、どんな風に見ていたのですか

 自分の部屋で、後輩1人と同級生1人の3人で見ていました。

――秋のリーグ戦に向けて、夏にどのようなことを強化したのか教えていただきたいです

 今でも課題なのですが、まだまだ体が細くて、まだ力不足だと春が終わった時に感じたので、特に食事とトレーニングを見つめ直しました。