【緊急】令和3年度春季早慶戦 注目選手特集 3 中川卓也

野球

 

 2季ぶりに東京六大学リーグ戦の舞台に帰って来た、中川卓也(スポ3=大阪桐蔭)。ここまでの打率は、2割4分1厘にとどまり、「自分の思っているプレーが全然できていない」と悔しさをにじませる。一方で、小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)が、「本来の彼の能力というものを、少しずつ知らしめるというかたちにはなっているのかな」と一定の評価を口にするように、昨年までとは少し違う姿が見られることも事実だろう。本人の言葉とともに、今季の足跡をたどっていく。

 

 中川卓が今季の打撃の収穫として挙げた一つが、内角球をさばけるようになったことだ。昨年までは、内角球に手が出ず、内角球を意識するとかえって外角の変化球を振ってしまうという悪循環に陥っていた。しかし、冬場に鈴木浩文コーチ(平5社卒=東京・関東一)の指導の下で、内角球へのバットの出し方を習得。その結果、「インコースに自信が持てることで、バッティングが楽になってきた」。課題としてきたミスショットの減少にもつながり、打撃全体に好影響を与えている。

 

 もう一つ収穫として挙げたのが、試合中での打撃の修正ができるようになってきたことだ。とりわけ法大2回戦が、「少し自信がついた試合」だという。法大の先発は、「警戒する投手」と名前を以前挙げていた山下輝(4年)。1、2打席目は、長身から投げ下ろす山下の投球に目線を合わせすぎてしまい三振を喫するなど、自分の打撃ができていなかった。しかし、3打席目を前にそれを修正。その打席で安打を放つと、続く4打席目でも右前に打球を運び、この日チーム唯一のマルチ安打と気を吐いた。開幕カードこそ苦しんだが、2カード目の立大戦以降の打率は3割1分8厘。小宮山監督の言葉を裏付けるかのように、数字の上でも成長の跡を示している。

 

立大2回戦で適時打を放つ中川卓

 

 守備面では今季不安定だという送球が乱れての1失策こそあるが、昨年までは31試合で無失策。安定感のある守備が特長だ。法大1回戦の初回では、小池智也(4年)の痛烈な打球をダイビングキャッチし、先発・徳山壮磨(スポ4=大阪桐蔭)の完封勝利をアシストした。試合前の練習では、アジリティ(俊敏性)を高めるメニューに多く取り組んでいるという中川卓。強みであるハンドリンクだけでなく、足を動かした守備にも磨きをかけている。日々の練習の積み重ねもあり、「捕るということに関しては、ある程度自分の思うようにできている」と手応えを語る。

 

 今季も残すは早慶戦のみ。慶大の先発は、現在防御率リーグ1位、2位の森田晃介(4年)、増居翔太(3年)が予想される。現在の実力を測るには格好の相手だ。攻略のポイントは、「いかに失投を逃さないか」。昨秋は、チームの優勝をスタンドからただ眺めることしかできなかった。だが、今季は違う。自身のプレーで宿敵を撃破するチャンスがある。攻守で一皮むけた姿を見せ、賜杯奪還への道を切り開け。

 

(記事 杉﨑智哉)

 

◆中川卓也(なかがわ・たくや) 2000(平12)年7月28日生まれ。175センチ。75キロ。大阪桐蔭高出身。スポーツ科学部3年。内野手。右投左打。冬場のトレーニングの成果に手ごたえを感じている中川卓選手。早慶戦では攻守での活躍に期待しましょう!