【緊急】令和3年度春季早慶戦 注目選手特集 24 鈴木萌斗

野球

 

 ここまで全試合で安打を放ち、リードオフマンとしてチームトップの打率.355をマークしている鈴木萌斗(スポ4=栃木・作新学院)。今季、走攻守で躍動する姿は、鈴木自身が「打って走れて守れる三拍子揃った」外野手の理想像として挙げる秋山翔吾(シンシナティ・レッズ)を彷彿(ほうふつ)とさせる。バットに精彩を欠き、出場機会を大きく減らした昨秋とはもはや別人。悩める早大打線にこの男の存在は欠かせない。

 

 抜群の走力を武器に作新学院高2年時の全国制覇に貢献。大学入学後も1年春から神宮デビューを果たすなど、下級生の時からチームの戦力として貢献してきた。しかし、ここまでの大学生活が順風満帆だったわけではない。10季ぶりの優勝を果たした昨秋。全試合に先発出場した春から出番を大きく減らす。劇的な逆転勝利をした慶大2回戦も守備固めでの出場にとどまった。出場機会が減った原因は打撃不振にあった。「打てないと使ってもらえない」。持ち前の走力を生かすためにもバットで結果を残す必要がある。そう考え冬場は一からフォームを見直し改善を図った。コーチや学生の意見も取り入れながら試行錯誤を重ねた。

 

明大1回戦で3安打の活躍を見せた鈴木萌

 

 迎えた今季。チームがなかなか勝利を重ねられない中で、鈴木萌は毎試合安打、打率は3割5分超えと一気に花開いた。きっかけは、オフシーズンの取り組みだけではない。要因として挙がるのは2つ。1つは毎晩継続して行っている占部晃太朗新人監督(教4=早稲田佐賀)との練習だ。占部が打撃投手を務め、変化球を混ぜながら実戦に近い打撃練習を繰り返した。「実戦に近い球」を日々見られていることが好調の要因だと語る。もう一つの要因は精神面での余裕だ。昨季は、し烈な外野手争いを演じる中で「打たないといけない」という焦りを生んだ。しかし、今は吹っ切れた。大学ラストイヤーは「自分らしくやっていければいいなという気持ちの切り替え」ができたのだ。求めるのは結果ではなく自分らしさ。野球を楽しむこと。自分を追い詰めることを止め、「気持ちを楽に持った結果がいい成績につながった」。

 

 見据えるのはさらなる高みだ。試合の中で打率10割。これを目指しているからこそ鈴木萌は3安打を放った明大1回戦にさえ後悔を口にした。「結果としては満足できるものでしたが、残り2打席も打てれば良かった」。満足を知らない最上級生の働きは早慶戦でも不可欠だ。「気負わずにいつも通りやっていけたらいい」。一皮むけた切り込み隊長が走攻守全てで大暴れする。

(記事 永田悠人)

◆鈴木萌斗(すずき・もえと)

1999(平11)年6月25日生まれ。180センチ。78キロ。栃木・作新学院高出身。スポーツ科学部4年。外野手。右投左打。占部新人監督との練習が実を結び、好成績を残している鈴木選手。得意の走塁では「常に隙を探している」そうです。早慶戦では好調の打撃と走塁に注目です!