「球界や球団を代表するピッチャーに」 早川、プロへの決意新たに語る/指名挨拶記者会見

野球

 10月26日のプロ野球ドラフト会議で、4球団競合の末に東北楽天ゴールデンイーグルス(楽天)から1位指名を受けた早川隆久主将(スポ4=千葉・木更津総合)。この日、早稲田大学戸山キャンパスにて楽天による指名挨拶が行われ、早川は石井一久GMらともにオンライン記者会見に臨むこととなった。

 

石井GMから『交渉権獲得』の紙を受け取る早川

 

 会見では、石井GMや沖原佳典担当スカウトが早川に対する期待を口にした。「楽天カードの表紙になっていただきたい」(石井GM)や「(チームの)中心投手として来年から頑張ってほしい」(沖原担当スカウト)という言葉を受け、早川は「チームの勝利に1つでも貢献できるような選手になれれば」と意気込みを語った。

 

意気込みを語る早川

 

 最終的には「球団や球界を代表するピッチャーになる」という目標を宣言。早稲田のエースから東北のエースへ。そして、東北のエースから日本のエースへ――。今季さらなる進化を遂げた左腕が、満を持してプロの世界へと殴り込む。

 

(記事 山田流之介、写真 早稲田大学広報課 提供)

 

会見詳細

石井一久GM(※記者会見より抜粋)

――先ほど指名挨拶をされたということですが、早川投手に会った印象をお聞かせください

 僕と違ってキリっとした好青年で(笑)。いち社会人として、いちプロ野球選手として、サポートしていくことがこちらの責務だなというふうに感じました。

――これまでもドラフト一位の選手にはものを渡されてきたと思うのですが、今日は早川投手に何かを渡されましたか

 今日は渡していないのですが、『萩の月』を小宮山監督の方に渡したので、なるべく早めに食べてきただきたいと思います。

――それはどのような思いで渡したのでしょうか

 「萩の月です」って渡しました。

――早川投手には何か言葉などは伝えられましたか

 僕もプロ野球の中で少し、ぎこちないですけど、一生懸命、海、川を泳ぎ切ったと自負しているので、その泳ぎ方をしっかりと(伝えたり)、もし何か息継ぎが必要だったらサポートしてあげたいなというのはあったので、「いつでも球場にいるので、なんでもコミュニケーションをとって、プロ野球選手としてステップアップしていただきたい」という話はさせていただきました。

――先日の早慶戦でも素晴らしい投球をしていたと思うのですが、改めて早慶戦を経て評価はどのようなものになったのでしょうか

 本当に改めていい投手だなと思いましたし、野球をしている時の振る舞いというのも、これから投手リーダーになっていくような人物だなというふうに感じました。また、野球の話で言えば、ああいう大事な場面でしっかりと自分の投球ができるというのは、一流選手になっていくうえで必要な要素だと思います。その辺の(能力を)持っていない選手というのは、プロ野球人生でもなかなか(新しく)持つことができないので。(早川選手はそういった能力を)持っている選手だと思うので、これからプロの世界に飛び込むにしても、パフォーマンス、人間性を発揮していただきたいなと思います。

――早川投手に期待することや、今後どのような投手になっていただきたいかを改めてお願いします

 僕の願望として、楽天カードの表紙というか、プラスチックの顔になっていただきたいなというのがあります。イーグルスではなかなか個人であのカードの表紙になることが今までできていないので。まあヴィッセル(神戸)ではイニエスタがなっていますけど。イーグルスだったら早川選手になっていただけるくらい、活躍をしてほしいし、サポートをしていきたいと思います。

――ドラフト会議の際にご自身を超えてほしいという話がありましたが、改めて、早川投手とお会いしてそのような素質は感じる部分はありましたでしょうか

 もちろんです。素質というのは僕も認識していますし、(ドラフト会議が)僕の野球人生で一番興奮した出来事だったかなと。今後このようなことが起きることはないなというくらい。『交渉権獲得』というマークがみたいなと思っていたので、今更語ることはしなくていいんじゃないかなと思うくらい興奮しました。

――改めて、プロ野球で成功するために「こういったことを大切にしてほしい」という思いは何かありますでしょうか

 僕も早川選手の人生で言えば新参者なので、小宮山監督(悟、平2教卒=千葉・芝浦工大柏)だったり、いろんな過去の指導者の方が早川選手と一緒に野球人生を歩んできたと思うので、その道をしっかりと僕たちが継続してあげることが一番大事かなと思っていますし、また新たな大きい道にしてあげられたらいいなと、球団をあげてサポートをしてあげたいなと思っています。

――ドラフトの時に、石井GMも「世界一の投手になってほしい」とおっしゃっていましたが、将来的に早川投手は日本球界のみならず、世界でも活躍できるだけのスケールがあるというふうにGMはご覧になっていますか

 もちろんそうですし、田中選手(将大、現ニューヨークヤンキース)も(楽天に)いたので、世界を代表する選手になっていただきたいと思います。その前に、そんな先を見据えず、一歩一歩足元を見て、しっかりとステップアップして頂ければなと思いますし、最初からいろんな期待を背負わせるのは僕は良くないと思っているので、とにかく一歩づつ前へ、一流選手への階段を上ってほしいなと思っています。

――先ほど「楽天カードの表になってほしい」というお話がありましたが、もしそうなったら石井GMも早川選手バージョンのカードに切り替えますか

 言った手前、そうするしかないですよね(笑)。はい。ただ、お店に出したときに、恥ずかしくないようなプレーヤーになっていただきたいと思います。

――元プロの小宮山監督の指導がわかるような部分はご覧になってありましたでしょうか

 小宮山さんが解説だったりをしていた時にいろいろとお話しをさせていただきましたが、やっぱり野球選手である前に一人の人間、そういう部分をすごく大切にされる方なので、野球だけうまくてもしょうがないというか、野球だけうまくても一流選手にはなれないという教えをしていただいていると思うので、そういう部分をしっかりと継続させてあげられればなと思います。

――早川投手から石井GMのほうに何か質問などはございましたでしょうか

 今日はそういったことはなかったとは思うのですが、やっぱりこれから僕のほうから、何かあった時にしっかりとコミュニケーションを取れる環境があるので、これからいろんなことにぶつかって(いく中で)、うれしいことでも、悩むことでも、いろんなことにコミュニケーションをとっていきましょうとお伝えしました。

沖原佳典担当スカウト(※記者会見より抜粋)

――担当スカウトとして、長く早川投手を見られてきたとは思うのですが、成長を感じた部分というのはどのあたりにありますか

 1年生から見ていますけど、元々素質は素晴らしい選手だとは前々から思っていましたが、4年生になってから一番はストレートの強さ、キレですとか、ベース上のノビですとか(が成長している)。本人のコメントとかもニュースで見ていますけど、体の使い方も勉強してですね、試合の中で今まで見てきたボールの中でも2段階、3段階とレベルアップ(していることを)感じますし、変化球もたくさんある球種の一つ一つの精度が高いですし、コントロールの良さも1段階も、2段階もレベルアップしているのではないかと感じました。

――これからの伸びしろにも期待されていますか

 そうですね。現時点でも高いレベルにあるのですが、プロ野球の世界に入って、試合数も違うので、体力的なことも含めて(成長の余地がある)。技術的なことも、いろいろな選手と対戦する中で自分の引き出しも増えていくと思いますし、そういった意味では体力的にも、技術的にも、精神的にももっともっとこれからも成長するというのは思っています。

――今後早川選手にどのような投手になってほしいか教えて下さい

 先ほど石井GMからもお話がありましたけど、たくさんのプレッシャーを与えるわけではないですけど、もう私たちスカウトとしては「即戦力で1年目から10勝する」と言ってきましたし、(チームの)中心投手として来年から頑張ってほしいですし、そのような力もあります。もちろん将来的には日本を代表するピッチャーになると私は確信していますので、あんまりプレッシャーをかけすぎてもダメのですが、本人もやってくれると思っています。

――早川投手は他の選手からも「ストイック」だというふうに言われていますが、そのような練習態度などの人間性的な部分も獲得の決め手にはなったのでしょうか

 正直(スカウトが直接)話はできないので、人間性で(良かった部分が)あったというのはわからないですけど。性格というのは。それでも、プレースタイルを見ても、今まではクレバーな、淡々としている投球スタイルだったのが、それに加えて今年は特に闘争心が前面に出ていた、今までにあまりないような感じだったので、すごく気迫があふれる投球を見せていただきたので、そこは今までとは違った面が見られたのはありましたね。

早川隆久(スポ4=千葉・木更津総合)(※記者会見より抜粋)

――指名挨拶を受けた今の心境から教えて下さい

 大学野球も一区切りついて、みんな周りを整理している状況ではあるのですが、新たな一歩を踏み出すスタートラインに近づいていると感じています。

――石井GMや球団の方から掛けられた言葉はどのようなものでしたか

 謙虚な姿勢で自分もいかないといけないと思うので、その姿勢を大学からずっと貫いてきていると思うので、そこを変えずにやっていければなと思います。

――早慶戦が終わったばかりだとは思うのですが、指名挨拶を受けたことで、プロへの道が少しづつ現実味を帯びてきた感じでしょうか

 石井GMさんから『交渉権獲得』の券をもらった時に、天皇杯よりは緊張しませんでしたけど(笑)、それくらい緊張するようなものをいただいて、やっとプロ野球の世界に飛び込めるというか、スタートラインに立てるなという気持ちにはなりました。

――交渉権をもらったということですが、何か言葉だとか、メッセージのようなものは書かれていましたか

 『輝け』というように書いてあったので、自分もその言葉通り輝ける選手になれればなと思います。

――今シーズン楽天は4位というかたちになりましたが、来シーズンの巻き返しのために早川選手にかかる期待も大きい方は思うのですが、そのあたりは何か感じられたのでしょうか

 自分が入ってチームを強くするということはなかなか難しいとは思うのですが、チームの勝利に1つでも貢献できるような選手になれればなと思っています。

――プロに向けて強化していきたい部分などはありますか

 体がそんなに太い選手だとは思わないので、そういう面では体を強くしようかなというふうには思っています。

――改めて今後への意気込みを聞かせて下さい

 野球をするのは当たり前だと思うのですが、自分は夢を与えてもらった立場でもあるので、プロ野球選手になって夢を与えられるような選手になれるように人間性をしっかり鍛え直していければなと思います。

――早大で過ごした四年間で最も成長したなと思う部分は何でしょうか

 主将という役割を与えてもらった中で、責任感だったりをすごく感じることができたので、そういう責任感を今後もプロの世界で持ちながらやっていければなと思います。

――石井GMの現役時代の投球などはご覧になったことはありますか

 何試合か見たことはありました。自分と似たようなタイプというのはおこがましい言葉だと思うのですが、速球を使いながらも変化球(で打ち取る)投球スタイルは似ているのかなとは感じています。

――先ほどGMの方からもいろいろとサポートしていきたいというお話がありましたが、何か技術面などでプロで戦い抜くために聞いてみたいことはありますでしょうか

 自分もまだ何もわからない状態ではあるので、いろいろなことを聞きながら成長できたらなと思います。

――先ほど、石井GMの方から楽天カードの表紙になるような選手になってほしいというお話があったのですが、楽天カードはもっていますか

 自分は(笑)、すみません。持ってはいないです。はい(笑)。

――今後は楽天カードの顔になれるようにやっていきたいという気持ちもあるのでしょうか

 球団を代表するような選手になるとともに、球界を代表するようなピッチャーになれればなと思います。

――先ほど夢を与えてもらった立場だという話がありましたが、具体的にどのような選手に憧れたのでしょうか

  小さい頃から、自分のいとことかが高校野球を始めている中で野球に興味を持ち始めたという感じです。2013年に東北楽天ゴールデンイーグルスが日本一になった時に、田中将大投手だったり、則本昂大投手の活躍は、東日本大震災で被災された方に勇気を与えたと思うので、そういう面でも夢を与えられるような選手になれればなと思います。

――則本選手は今も在籍していますが、則本選手に聞きたいことや一緒にやってみたいことはありますか

 練習などを一緒にやっていきたいですし、練習とかの私生活の面でもストイックだと思うので、そういう面を見習っていきたいなと思います。

――石井GMも日々いろいろなことでコミュニケーションをとっていきたいとおっしゃっておりました。早川選手は技術的なところで石井GMに聞いてみたいことはありますか

 どのようなふうにやっていければ長くプロ野球生活を続けられるのかというのを聞いていければなと思っています。

――プロに入ってからのご自身の未来予想図をお持ちでしたらお聞かせください

 最終的には球団や球界を代表するピッチャーになることを目指していて、1年後、2年後の直近のことに関してはまだあまり考えてはいません。