【連載】秋季リーグ戦開幕前特集『勝』第5回 金子銀佑×真中直樹

野球

 第5回は金子銀佑(教4=東京・早実)と真中直樹(教4=埼玉・早大本庄)にお話を伺った。今春はセカンドでベストナインを獲得した金子と、活躍が期待されながら1試合の出場にとどまった真中。置かれている状況は違うが、内野手、学部学科と共通点が多く、長い時間を共にしてきた2人だ。そんな最上級生コンビに、春の振り返りと、最後の東京六大学リーグ戦(リーグ戦)への意気込みを聞いた。

※この取材は9月9日に行われたものです。

お互いの第1印象は・・・

取材に答える金子(左)と真中

――春季リーグ戦の振り返りをお願いします

真中 去年の春から続けて3位という結果に終わってしまったので、本当にあと少しのところだと思うのですが「また3位か」という風に思ってしまうところがあります。学生コーチやキャプテン、副キャプテンなどいろんな人と話して、あと少しのところは何だろうとミーティングを重ねてきました。けれど、やっぱり悔しい結果に終わってしまったなとチームとしては思っています。個人としては出場機会があまりなかったので、やっぱり悔しい思いをしたというのが春のリーグ戦の振り返りです。

――ミーティングで出た「あと少しのところ」とは、具体的にどんなところですか

真中 自分たちでミスをしてしまったというところが1つあります。送りバントでのミスが目立ったので、そこを1番に改善したいなと思っていて、夏はバントの練習や改善をチーム全員が高い意識で取り組んでいます。

金子 チームとしては今真中が言ったとおりです。でも、ミスとかいろいろあった中で悔しいと思えるのは、あと1つのところまでいけたという手応えがあったからこそ、勝てなくて悔しいという気持ちが例年以上に強くなったということだと思います。なので、春のリーグ戦はチームとしてとても手応えをつかめた大会だったと思います。

――印象に残っている試合はありますか

金子 自分は初戦の明治戦です。自分たちが入学してから初戦をものにできないことが続いていたので、最初のカードを取って勢いに乗れたというところで印象に残っています。

真中 やっぱり早慶戦が印象に残っています。最終回で1点リードされていたのですが、同期の太田(雅之、商4=東京・早大学院)が代打でしっかりフォアボールを選び、1アウト一塁から送りバントのサインで1番・金子に2アウト二塁で回ったのですが、そこで勝負強さを発揮してタイムリーを打って同点にしてくれました。結果負けてしまったのですが、9回の同点劇はとても印象に残っています。同期をベンチから見ていてさすがだなと思いました。 

――「さすが」という言葉がありましたが、改めて早慶戦を振り返って金子選手いかがですか

金子 早慶戦は何回か戦わせてもらっていますが、あの場面は木澤投手(尚文)でとてもいいピッチャーでカットボールも真っ直ぐもいいのですが、もうあの場面は気持ちでというのが1番合う場面でした。バットを少し短く持って、何とか(内角のカットボールを)よけないようにやろうという気持ちだけで、あの打席は立っていました。

――最上学年になり変化はありますか

金子 自分のことだけでなく、下級生や新しくメンバーに入る4年生を、どうやって同じモチベーションにしていくかというところを意識していました。自分的には、真中がショートで背番号1を付けてくれている中で、練習内でも周りに声を掛けたりと、4年生になってからとても変わったなと感じています。

真中 早稲田の伝統ある背番号1を背負わせていただいているので、それに恥じないプレーはもちろん、練習での態度であったり風通しのいいチームにしたいなと思います。下級生が伸び伸びできる環境を作りたいと思っているので 、最低限の上下関係はありますが無駄な上下関係はなくしたいと思います。練習中であっても寮での生活であっても、後輩と喋るようにというのは4年生になってから意識したことです。

――金子選手は冬の対談で「みんなと仲がいい」と柴田迅選手(社4=東京・早大学院)から言われていましたが、後輩とよくコミュニケーションをとりますか

金子 コロナ期間で全体練習ができない時に、中川卓也(スポ2=大阪桐蔭)と熊田任洋(スポ1=愛知・東邦)は試合に絡んでくると思っていて、特に熊田に関しては1年生で実力もあり結果的に二遊間を組むことになったのですが、一緒に守備練習に行ったりして意思疎通はできたと思います。

――真中選手と金子選手は同学年かつ同じ教育学部ですが、交流はありますか

金子  ない。

真中 あるよ(笑)。教育学部は同期が4人いるのですが、金子とは学科も同じで取る授業もほとんど同じです。今はオンラインになってしまったのですが、3年まではほとんど同じ授業を取っていました。同じ授業に出て同じ時間から練習してっていう感じでした。

金子 (真中は)真面目なので助けてもらっています。

――お2人のエピソードがあったら教えてください

金子 特にあれだよね。

真中 それだと仲悪いみたいになっちゃう(笑)。 仲はいいのですが、2人でこれっていうのはあんまりないかも。

金子 学校とかあった時は常に一緒だったので、いるのが当たり前みたいな・・・。あ、あれだ。最初の授業の。

真中 あ、1年生の。金子は1年の時、スポーツ推薦組と1月くらいから練習に参加していて、他の大多数は3月から参加していたので、最初は先に来た組と合流した組で壁があって。金子と自分は同じ学部っていうのがあったのですが、話しかけづらくて1年生の春だけ「同じ授業取ろう」みたいなのがずっと言えずに、科目登録期間が過ぎた後に言って、全然2人とも違う授業を取ってしまったということがありました(笑)。エピソードというか最初ちょっと怖かったので、なかなか声を掛けられませんでした。でも実際喋ると(話しやすい)という感じで、最初は怖い印象でした。

――現在の印象はいかがですか

真中 今の印象か・・・。難しいな。

金子  「面白いです」って。

真中 明るいですけど、意外に心配性なところがあるのかなと思います。「この提出期限はこの日まででいいんだよね?」とか結構確認してくることが多いです。意外とこう見えてしっかりしているんだなというか、心配性なんだなというイメージはあります。心配性なところあるでしょ?

金子  小3くらいの時なのですが、夜寝ている時に家の鍵が閉まっているかすごく不安で寝てから、大丈夫だよね?ってやってました(笑)。なので合っています。

――真中選手の最初と今の印象についてはどうですか

金子 最初はさっきも言っていたのですが、もう(科目登録が)決まっているのに急にLINEが来て「え、こいつ同じ学部だったんだ。でもすでに科目決まっているし、なんだこれ?」みたいに思っていた部分は正直ありました(笑)。でも、真中はどんどん野球がうまくなっているなっていう印象がすごくあります。年を重ねるごとにちゃんと前に進んでいるなと思っていて、結果的にそれが背番号1を今背負っているということでもあると思うのですが。あともう1個すごいなと思うところがあって。こういうところじゃないと言わないですけど、自分は結果の良し悪しで感情的になってしまうところが結構あるのですが、真中は自分が出る時にしっかり結果を出して、出なくても表に出さないというか。心の中にはかなり悔しさを持っている選手ではあると思うのですが、それを表に出さずに自分が背番号1であるという自覚をしっかり持っているからこそ、後輩の熊田や周りに対しての対応がすごく尊敬できるというか、伴っているなと思います。そこは自分にないところで、見習わなければと思います。下級生のころから見ていて、野球がうまくなっているなというのが1番の印象です。

――金子選手のお話を受けていかがですか

真中 そんな風に思ってくれていたんだなと(笑)。

金子 言わないからね、普段。

真中 そうですね。金子の言っていたように悔しい気持ちはあるのですが、やっぱりチームが優勝できるのが自分自身1番うれしいことなので、もちろん自分が活躍してチームが優勝できれば最高なのですが、チームで優勝することが全員の目標なので、それに向かって最適な役割というか自分ができることを100パーセントしたいなという気持ちでいます。スタメンで出てもベンチスタートでもやることは変わらず、しっかり準備して自分のできることをすべて発揮できればいいなと思います。

――お互いから何か特徴を盗めるとします。その場合何が欲しいですか

真中 銀佑はさっきも言っていたのですが、野球をやってる時は感情を表に出して気迫あるプレーをしていて、そこは本当に見習いたいです。やっぱり大会は緊張すると思うのですが、そこでその緊張に打ち勝つために気迫を出して全力でプレーする姿は、下級生のころからずっとあるなと思っていたので真似したいなと思います。

金子 真中は足が速いので、身軽さがいいなと思います。自分も遅い方とは思っていないのですが、年なのかなんなのか(笑)。やっぱり維持したり速くすることは大変だと思うので、そういう面でいいなと思います。あとはバッティングがいいんですよ。途中から出ることが多い中で結果を出すのは、先発で出ているより自分は難しいと思っていて。そういう選手たちの方が結果を出すのが難しいと思いながらやってきたので、そういった中で結果を残している真中はすごいなと思っていますし、自分がそういう立場になった時に果たしてできるのかなというところで、自分にも欲しいなと思います。

――自粛期間中はどのような練習をしていましたか

真中 安部寮にずっといたので全体練習はできなかったのですが、もう一度土台から見つめ直すチャンスだと思って、トレーニングや食事の量を落とさないようにすることを意識しました。動けない期間が多かったのですが、その中でも食べることとトレーニングはしっかりしていたので、決して無駄でなかったと今振り返って思います。

金子 普段練習をしている時よりスイングの量が増えたかなと思います。普段だとバッティングと他の時間内で行う練習がノルマとしてあるのですが、それ以上に素振りをする時間は増えたので、いい意味で自分のスイングが固まりました。なので有意義に過ごせたと思います。

――スイングの量は自分で決めているのですか

金子 数を決めているわけではないのですが、自分が納得するまでというかたちです。やることが限られていたので、スイング練習に対して密に時間を割けたことが良かったと思います。

――自粛期間中にはまったことはありますか

金子 自分はまったく韓国ドラマとか見るような感じではないと思うのですが(笑)、それこそ中川とか熊田から「面白いですよ」って言われて。ほんとに?って思っていたのですが、自分もNetflixで見て『梨泰院クラス』と『愛の不時着』にハマっちゃいましたね。

真中 NetflixとかAmazonプライムをたまに見たりしてたのですが。何していたかな・・・。Youtubeを見るか、スマホゲームの『プロ野球スピリッツ』にハマっていて。『プロ野球スピリッツ』は野球の感覚もちょっと影響してくるというか。感覚維持のためにもなかなかいいゲームなのかなと思うので(笑)。映画見たりゲームしたり、動画見たりみたいな感じで過ごしていました。

「自分が関与していない得点や他の人のいいプレーを、当事者以上に喜びたい」(金子)

昨季の早慶戦で9回に同点打を放ち、ガッツポーズする金子

――真中選手にお伺いします。夏季オープン戦を振り返っていかがですか

真中 たまたま熊田が1週間ほど英語の授業があったので、その期間は自分がスタメンとして出させていただいたのですが、状態としては悪くないなと思っていて。打撃の状態も悪くないとは思っているのですが、アピールしたいという気持ちが良い結果につながったのかなと思っています。ラストシーズンなので、できることは全部やりたいですし、後悔のないようにやりたいなと思っていて、一試合一試合必死に戦った結果が、ちょっと良い結果につながったかなと思っています。

――打撃の結果はどう捉えていますか

真中 形がどうとか、タイミングがこうとか、細かいところはそんなに気にしていなくて、来た球をがむしゃらに打ち返すことだけを意識していたのが、たまたま良い結果になったと思います。実際に本番の場面でも意識することは限られていて、最後は気持ちの勝負になるのかなと思うので、オープン戦ではたまたま打ちましたけど、もしリーグ戦で打席に立つ機会があったら、今まで通りがむしゃらにフルスイングしたいなと思います。

――昨年度から打撃で変えたことはありますか

真中 ほんの少しなのですが、テイクバックを小さくして、より(フォームを)コンパクトにしました。正確性を上げたいと思っていたので、テイクバックを小さくして、引いた状態で構えるようにしています。大きいスイングを改善したかったので、後ろを小さく、前を大きくするイメージで打席に立っています。

――打席の中で意識していることを聞かせてください

真中 大きい当たりを打つタイプではないので、内野フライや平凡な外野フライはなるべく避けたいなと思っているので、センターを中心に低い強い打球を打つようにはしています。

――守備に関して意識されていることは

真中 今までセンスでやっていた部分があるのですが、熊田が入ってきたことでそれが良い刺激になっていて。熊田の捕球姿勢や送球は正確なので、自分も送球の正確性だったり見習うべきところがありました。熊田を見て学んで、刺激をもらえているかなと思います。

――実際に送球は安定するようになりましたか

真中 送球は自分の永遠の課題だと思っています。ただキャッチボールを吉澤(一翔副将、スポ4=大阪桐蔭)としているのですが、吉澤もキャッチボールの意識がすごく高くて。自分もそれを見習って、キャッチボールから意識してやっています。

――プレーに関してコーチの方から何かアドバイスをもらうことはありますか

真中 打撃に関しては徳武コーチ(定祐、昭36商卒=東京・早実)から、ずっと低くて強い打球を打つように指導されていて、それを意識しながらやっています。他に指導されることは少ないのですが、送球のミスというのはなくすように言われているので、そこは意識的に取り組んでいます。

――昨年から成長を感じた部分はありますか

真中 実は自粛期間で体重が5,6キロ増えました。重くなったというのはあるのですが、スイングスピードだったり、打撃の飛距離は伸びたのかなと思います。

――同じポジションの熊田任洋(スポ1=愛知・東邦)選手はどう見ていますか

真中 やっぱりすごく上手です。高校時代から日本代表にも選ばれてセンバツも優勝していますし、自分よりも技術のみならず経験や実績も上だなとは思っています。春は熊田にレギュラーを取られてしまって、今も厳しい状況ではあると思います。自分もできればレギュラーで出たいという思いはあるのですが、熊田もチームにとってはなくてはならない存在だと思っているので。悔しい思いもありますけど、熊田が伸び伸びプレーできる環境をつくってあげることが、自分の一番の仕事だなとは思っています。

――同じ遊撃手として熊田選手に教えることはありますか

真中 教えることはあまりないですが、1年生なのでサインプレーだったり、大学生打者の特徴について意見交換をすることはあります。ここはこういうところを守るといいよねといった話は積極的にしていますし、複雑なサインプレーもあるのですが、自分が4年間ショートとしてやってきた経験があるので、経験やプレーを出すタイミングは話しました。

――今年から背番号1を付けていますが、どういう成り行きなのでしょうか

真中 新チームになって最初の公式戦が浜松であったオール早慶戦だったのですが、その時の背番号発表で1というのが発表されて、正直驚きました。自分が付けていいのかというのも正直あったのですが、付けさせてもらっているからにはプレーだけじゃなくて練習態度などでも、他の部員の模範にならないといけないなと思いました。歴代の背番号1を付けてきた先輩はチームの中心選手ばかりなので、そういう選手になりたいなというのは今も思っていますが、なかなかプレーでは出場機会に恵まれていないので、練習態度であったり普段の生活態度は、他の部員に常に見られているという意識を持ちながら生活しています。

――周りの反応はいかがでしたか

真中 聞いてないので分からないのですが、1を付けられそうな選手、技術的にも上の選手がたくさんいると思うので驚きました。もしかしたら、なんで真中が付けるんだと思った選手もいるかもしれないですけど。引退する時に真中が1を付けて良かったなと思ってもらえるようにプレーしよう、という気持ちは背番号を頂いたときからあります。

――今年は早大本庄出身の山下拓馬選手(法3)が1軍で登板しています。活躍をどう見ていますか

真中 山下は高校時代はキャッチャーで、ピッチャーというイメージが全くなかったです。なので大学に入ってピッチャーやりますと言われたときはすごくびっくりしましたけど、本当に今の活躍は頼もしいなと感じていて、同じ高校の後輩としてすごく誇らしいなと感じています。

――金子選手にお伺いします。春季リーグ戦開幕前まではどのようなことを強化しましたか

金子 守備の面では失策0を掲げて、打撃の面では練習でやっているスイングをあの神宮球場の打席でもする、というところを目標にここまでやってきました。

――練習中、具体的にどのようなことを意識しましたか

金子 どうしても自分は踏み込むときに(体が)流れてしまうので、ピッチャーに向かっていくという。それだけで打球の行方や自分の感覚が全然違うので、そこを打席内でよけないように向かっていくことを意識しました。口で言うのは簡単なのですが、簡単なように見えて結構できないことで。でもそれができると、意外にヒットコースに飛ぶことが多くあったので、そこのポイントをしっかり押さえて打席に入ろうとやってきました。

――「神宮球場でも練習のスイングを」ということですが、安部球場と神宮球場では違いが生まれるのでしょうか

金子 違いますね。あの雰囲気というかピッチャーの後ろの見え方や、少し距離感が近く感じたりマウンドが少し高く感じたり、いろいろ違います。ですが、そこをいかに安部球場でも意識して神宮に近づけるかというところだと思うので、そういうことを含め練習やオープン戦を行っています。

――守備面ではいかがでしょう

金子 セカンドをやり始めて2年目になるのですが、少しずつ周りも見えてきて冷静さが生まれてきたと感じています。

――昨年12月の対談時に「バッティングフォームを変えたい」と仰っていましたが、フォームの改造が春の結果につながったのでしょうか

金子 改造というとすごいことをしたみたいなのですが、改造という改造ではなくて本来調子がいい時の自分のスイングを研究しながら、タイミングの取り方であったり打席での力の入れ具合であったりを少し変えました。

――フォームを変える時、コーチの方からアドバイスなどはありましたか

金子 特にないですね。もう自分の感覚と、あとは徳武コーチに客観的に見ていただいて「こういう風になっているよ」というアドバイスをいただきながら行いました。でも1番は自分の感覚を大事にフォームを作っていきました。

――卒業後の進路をお聞かせください

金子 今のところは社会人でも野球をやらせていただこうと思っているのですが、やはり1番はこのチームでこの秋絶対優勝するということしか考えていないので。進路としては、社会人でも野球を続けたいと思います。

――東京六大学野球連盟のホームページで、金子選手が4年生の抱負の欄に掲載されていましたが、どのような経緯で決まりましたか

金子 マネージャーから書いてほしいと頼まれたので「はい」という感じで。

 抱負の中で、ベストナイン選出と首位打者獲得を個人目標に挙げられていましたが、達成するために何が必要になると思いますか

 自分の結果を出そうとすると絶対に良くないので、チームが勝つことをしっかり考えて、自分が関与していない得点や他の人のいいプレーを、当事者以上に喜びたいです。そこが自分の持ち味でもあると思うので、チームファーストが徹底できた時に、おのずと自分の結果もいい方にいくのではないかと思っています。先ほど真中も言っていたように、自分がどのような立場であってもチームの勝利を1番に考える行動が、自分の結果もいい方向に持っていくのではないかなと思います。

「このチームなら絶対優勝できる」(真中)

昨季の東大戦に出場した真中

――夏の間はどんな練習をしていますか

金子 やることはそこまで変わらずという感じで。ただリーグ戦の課題で上がった、バントの意識付けというところでは、バント練習の内容こそ変わっていないのですが、みんなで模索しながらやっているとは思います。

真中 春はあと一歩のところで負けてしまったので、その悔しさは忘れないようにということは意識しています。悔しさをみんなで共有して、秋は絶対勝つという気持ちで練習に取り組んでいます。

――春が終わって1カ月後に秋の開催ですが、どう考えていますか

金子 リーグ戦の間にあるオープン戦の勝率は結構良いと思っていて、チームとして勝ち癖を付けられていると思うので。そういった意味では有意義に着々と準備できているのかなと自分は思います。

真中 自分もチームの状態はいいと思っていて、スタメンで出るであろう選手はもちろんなのですが、それ以外のベンチスタートが予想される選手の状態も良いのかなとは思うので、チームの状態はすごく良いなと思います。

――お2人の状態はいかがですか

金子 さっきも言ったのですが、気持ち的にどんどん下がっていかないように。どうしても打てないことはあるのですが、ぶれずにやることが一番大事だと思うので。結果はどうなるか分からないですけど、やるべきことを一日一日無駄にしないように、もったいない練習にしないようにだけ気を付けてやっています。なので調子は良くも悪くなく普通ですね。リーグ戦が始まってみないと分からないので、普通が一番良いと思いますね、精神的にも。

真中 自分もさっき調子は悪くないとは言ったのですが、いざ本番になってみると分からないので、できることを全力でやるだけだと思いますし、開幕の9月19日に向けて最高のコンディションに向けていくことが大事だと思っています。今の調子は悪くはないと思っているのですが、開幕に合わせられるようには意識してやっていきたいです。

――大学生活最後のシーズンに向けて、どういう思いがありますか

金子 自分は早実からキャプテンとしてやらせていただいたのですが、1個上には加藤さん(雅樹、令2社卒=現東京ガス)がいて、1個下には清宮(幸太郎、北海道日本ハムファイターズ)がいて注目される中でやってきて。ただ僕たちはその間の代というか、注目されにくい代だったんですよね。なので、この代でもできるんだぞというところを、いろんな人を見返してやりたいと言うか、この代でまた優勝の流れを持ってきたかと言ってもらえるように。優勝したことがないので感覚としては分からないですけど、やるべきことをやり抜くしかないと思うので、何としても優勝するという気持ちで。自分たちが優勝するという気持ちで練習をしています。

真中 自分も絶対優勝したいという気持ちが強いです。秋のリーグ戦は3戦目がないので、例えば土曜日を取ったとしても日曜日は絶対落としてはいけないので、2連勝はすごく大事だと思いますし、逆に土曜を落として、日曜も落としてしまったら、そこで優勝はほとんどなくなってしまうので、負けていい試合は一試合もないのかなという状況になるので。チーム全員で1点でも多く取って、勝てればいいと思うので、どの試合でも勝ちにこだわって、一戦必勝で頑張りたいなと思います。

――お二人とも高校時代から早稲田のユニフォームを7年間着てきましたが、思い入れはありますか

金子 自分は高校からいろんな経験をさせてもらえた環境でした。早稲田でユニフォームを着るのが当たり前になっているじゃないですけど、それが当たり前じゃないんだなというのをここまで来て、本当に次が最後なんだなというのをやっと感じています。最後はもうWASEDAの文字が見えなくなるくらい、ズボンもドロドロになるくらいにしてもいいので。それで勝ち取った試合は絶対気分の良いものになるはずなので、さっき真中も言っていたように、このユニフォームで最後勝って終わりたいです。

真中 自分も高校、大学と早稲田のユニフォームを着てやっていますけど、優勝できていないので。早稲田のユニフォームを着てプレーできるのは、泣いても笑ってもあと2ヶ月で終わりなので、これ以降は絶対に着ることはないので、この2ヶ月をかみ締めながら早稲田のユニフォームで優勝したいという気持ちが強いです。

――ここに注目してほしいという部分はありますか

金子 自分は結構試合で声を出すので、春のリーグ戦でもお客さんの数が制限されていたので、自分の声が響いていたかなと思うのですが、そういった声にも注目していただいたらなと思います。

真中 自分は出場機会があったら、がむしゃらに全力でプレーするところを見てほしいと思うので、4年生の意地というのを見てもらいたいです。

――個人的な目標はありますか

金子 僕は絶対もう一回ベストナインを獲る、六大学の1番セカンドを守り抜くというところです。一球一球どのセカンドよりも丁寧にボールを扱って、でも間一髪の場面では自分の今までやってきた経験を生かせるように。六大学で一番のセカンドを守り抜けるように、守備面でも打撃面でもやっていけたらと思います。

真中 自分は目標という目標は正直ないのですがも、チームが優勝できるようにできることを全てやりたいなと思います。神宮初ヒットとかショートの守備に就くとか達成したいことはあるのですが、それは正直どうでも良くて、チームが優勝できれば何でもいいと思っているので、チームの優勝のために全力を尽くしたいと思います。

――改めて秋季リーグ戦への意気込みをお願いします

金子 何回も言っているのですが一番は優勝したいです、もう2位とか3位とか経験したくないので。優勝を知らないからこそ何が正解かは分からないので、必死にやって『一球入魂』を実現できるように。そして神宮球場で監督さんを胴上げできるように、早稲田の時代が来たなとここからスタートできるように、自分たちがその先駆けになれたらなと。強い早稲田が戻ってきたなと言われるように、必死にプレーしたいなと思っています。

真中 自分も同じく何が何でも優勝したいと思っています。メンバーは絶対揃っていると思いますし、このチームなら絶対優勝できると確信しているので。リーグ戦はどんな試合になるか分からないですけど、絶対優勝したいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 飯塚茜、小原央)

◆金子銀佑(かねこ・ぎんすけ)

1999(平11)年1月4日生まれ。169センチ。72キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。内野手。右投右打。秋季リーグ戦ではバッティングや守備はもちろん、試合中声を出している姿にも注目!神宮球場では闘志あふれるプレーが印象的ですが、実は小さい頃「寝ている時に、家の鍵が閉まっているか不安だった」という意外なエピソードも。

◆真中直樹(まなか・なおき)

1999(平11)年1月4日生まれ。170センチ。68キロ。埼玉・早大本庄高出身。教育学部4年。内野手。右投左打。優勝に並々ならぬ思いを燃やしている真中選手。対談ではハキハキとした受け答えが印象的でした。最後のリーグ戦では、陰日向にチームを支える真中選手の姿にも注目です!