卓越した打撃センスと俊足が持ち味の瀧澤虎太朗副将(スポ4=山梨学院)。混沌とした状況の中でも日本一への熱い思いを決して見失ってはいない。そんな男に最後の東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)を控えた意気込みを伺った。
※この取材は3月27日に行われたものです。
「(3番は)チームの中で一番重要なポジション」
質問に答える瀧澤
――開幕を控えたお気持ちをお願いします
すごく楽しみというか、この冬にやってきたことを早く発揮したいなという気持ちがあります。またやはりコロナウイルスで開幕がこのままできるのかそれとも延期になるのか、中止になるのかなど不安な気持ちもあります。
――副将としての自分には慣れましたか
小中高とキャプテンをやってきたので、人の上に立つということにおいてはもともと慣れているので慣れました。
――プレッシャーは感じていますか
今まで3年間は野球を頑張ってチームに貢献するだけで良かったのですが、今年はそういうことだけではなくチームをまとめ、引っ張っていくことも結構やっているので(そういう意味では)責任感は増しました。
――体の状態は万全ということを以前の対談でおっしゃっていたと思います。冬はどういったことを重点的に練習していましたか
今までの冬(の練習)はバッティングが8で守備が2の割合だったのですが、今年はそれを逆にして守備を8、バッティングを2くらいで練習していました。
――冬の練習で改善できた点はありますか
送球が安定できてきているのと、打球に対しての反応や1歩目がよくなってきているかなと自分の中では思うので成果は出ていると思います。
――沖縄キャンプが中止になるなどとコロナウイルスの影響で思うようにいかない日々が続いていると思います。それに対する動揺はありますか
やっぱりありますね。野球部にとって沖縄キャンプとはリーグ戦前にチームがまとまるために重要なものであったので、それが中止になったということで東伏見でチームづくりをしなければならず、今室内練習場の工事をしているのですがそういうことも重なっているのでいろいろ大変です。
――逆にこういう機会だからこそ副将として心掛けていることはありますか
特にないですね。いつも通り副将としてのやるべきことをやっています。
――今外出などもできないとは思いますがオフはどのように過ごされていますか
治療に行ったりですね。あまり遊んだりはしていないです。
――今までの春季オープン戦をざっくり振り返ってもらえますか
今年から3番を打たせてもらっているのですが3番というのはやはり長打も打てて、足も速くて、ランナーがいたらランナーも返さなくてはいけないという自分の中ではチームの中で一番重要なポジションだと思っています。ですがそれ相応の結果は残せていなくて、この前ジャイアンツ戦では2本ホームラン打てましたがその前までは仕事もあんまりできていなくて調子が伸びずに悩んでいました。
――打順が変わったことで試合への気持ちの入り方は変わりましたか
1番の時は前日に明日初球から行こうかなとかセーフティバントしようかなとか考えていました。3番になってからはそんなにそういったことは考えていなくてランナーがいるかいないか試合になってみないとわからないですし。なのでいろいろな状況で対応できるように準備しています。
――チームの状態はいかがですか
最近の練習試合すごく勝てていると思うのですが、やはり監督(小宮山悟監督。平2教卒=千葉・芝浦工大柏)が要求されていることをちゃんとできていると思います。また投打がかみ合っていると自分は思っていて。勝ち癖もちゃんとこの後の練習試合も勝てていければついてくると思うのでいい状態ではないかなと思います。
――野手のミスでピンチを招く場面が散見されたと思うのですが守備についてはどのように捉えていますか
ピッチャーを助けないといけないのが野手なのでピッチャーの足を引っ張ってはいけないということがまずあって。そのミスを今後減らしていくためにはその1人のミスを1人だけのミスにしないでチーム全体で考えて他の人がミスをしないようにと取り組んでいけばおのずとミスは減っていくと思うので、それができればリーグ戦は大丈夫かなと思います。
――最初の3試合で瀧澤選手に安打が出なかったと思います。その時の状態について教えてください。
バットが振れない、出てこない、振り方を忘れていたという感じでした。悩んでいるとバットは出てこないものなので考えすぎていました。
――冬の期間の守備の割合を練習で増やした影響もあったのですか
多少はあったと思います。しっかり計画性を持ってバッティングに取り組んではいたのでまあ最近は徐々に上がってきているので大丈夫かなと思います。
――読売ジャイアンツ2軍戦は大活躍でした。その時を振り返ってもらえますか。
まさかホームランを打てるとは思っていませんでした。1本目出た時は久々の感覚でしたし久々にダイヤモンド回ったのですごく嬉しかったですかね。2本目はびっくりしました。
――プロとの対戦ということでいつもと意識は違っていたのですか
会場がジャイアンツ球場でスタンドがある中で早川(隆久主将、スポ4=千葉・木更津総合)が先発だったのでスカウトが8球団24人来ていたみたいなのですが、まあ少し意識はしました。でも早川を見に来ているのだから俺はあまり考えずにやろうと思っていました。
――ある記事には試合後「進路で悩んでいたので少し前向きになれた」とおっしゃっていたということが書かれていましたね。
やはりその試合まではあまり打てていなくて、スカウトとかも見に来ている状況で打ていなかったので(笑)。でもジャイアンツ戦では打てたので前向きになれたというか、首の皮一枚つながったという気持ちでした。
――その後スカウトの方から声をかけられることはあったのですか
あまり接触してはいけないみたいなのでそこまで話しかけられることはないですが、「打てて良かったな」みたいなことは言われました。
――オープン戦でのご自身の走塁はいかがですか
常に次の塁を狙える走塁はできていると思うのでこのまま継続していきたいと思います。チーム全体としても走塁の意識は高くなっていると思います。
――監督やコーチから個人で言われていることなどはありますか
徳武コーチ(定祐、昭36商卒=東京・早実)からいろいろ言われることはありますが監督からは特にないですね。
「自分の代で…」
昨春の慶大1回戦で本塁打を放つ瀧澤。本番への強さも持ち味の一つだ
――本番には強い方ですか。
そうだと思います。ジャイアンツ戦でも打てたので持っているなというのは感じました。それに早慶戦も大好きなので本番に強いほうですね。
――どちらかといえば目立ちたがり屋ですか
いや、性格的には人見知りで結構シャイなので目立ちたがり屋ではないですね。
――早稲田の選手の中でライバル意識している選手はいますか
ライバル意識している選手はいないのですが、吉澤(一翔副将、スポ4=大阪桐蔭)と金子(銀佑、教4=東京・早実)は一緒に頑張りたいなと思っています。下級生の時からベンチに入って試合にも出場してきたので、この3人で引っ張っていかないと優勝は絶対ないと思うので、ライバルというよりかは一緒に頑張ってチームを引っ張っていきたいという思いはあります。
――以前の対談で小さいことから積み重ねていけるチームにしたいということを意識していきたいとおっしゃっていました。今でもそのようなことを意識してチームをまとめているのでしょうか。
試合だったら1塁まで全力疾走をするであったり守備位置までしっかり走っていくというように、誰でもできることはしっかり全員ができるように、というのはしっかりチームが意識しているし浸透していると思うのでできていると思っています。
――理想の瀧澤像はどういったものでしょうか。
自分でも大舞台というか大事な試合には強いと思っているのでそういう試合でしっかり結果を残してチームを勝利に導けるような選手、ここぞの一打というか大事な場面でやってくれる選手だと思います。
――副将として迎える初めてのリーグ戦ですが心境の変化などはありますか
ありますね。副将ではなくても最上級生のリーグ戦というのは思いが違いますし、それプラス副将ということなので…。だけど副将だからというよりかは最上級生の最後のリーグ戦なので、今まで優勝していないですし自分の代で絶対優勝したいという思いはすごく強いです。
――他校で対戦が楽しみな選手はいますか
誰っていうのは特にいないです。どんなピッチャーが来ても打ちたいという気持ちがあるのでどんなピッチャーからも打てる準備をして試合に臨みたいと思います。
――では警戒しているチームや選手はいますか
やっぱり慶應ですかね。力としても一番あると思いますしピッチャーが何枚もそろっていますしそのピッチャー人を崩さないと優勝はないと思います。警戒する選手は木澤、佐藤です。この2人から打てないと勝てないと思うので頑張ります。
――リーグ戦ではご自身のどういったところに注目してほしいですか
一番の自分の売りはバッティングだと思うのでどんなピッチャーからもしっかりヒットを打つというところを見てほしいです。
――リーグ戦までにチームと個人でそれぞれ詰めていきたいところがあれば教えてください。
チームとしてはしっかりサインプレー、内野外野やピッチャー内野の連携をしっかりとって試合で大きなミスがないようにしていきたいです。個人としてはもうひとつバッティングの調子を上げて自信持ってプレー出来れば打てると思うので、バッティングの調子をもう少し上げることです。
――チームの目標は何ですか
リーグ戦優勝、そのあとの選手権(全日本大学選手権)で優勝して日本一になることです。
――では最後にリーグ戦への意気込みをお願いします
今世の中がこういう状況なので今後のスケジュールが分からないのですが、まず4月11日にしっかり照準を合わせて準備して、日程が変わったりしたらそれにも対応して初戦から全力でいい状態で入れればいいかなと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 萩原怜那)
本番に強い瀧澤選手は1試合総当たりの短期決戦でも本領を発揮します!
◆瀧澤虎太朗(たきざわ・こたろう)
1999(平11)年1月16日生まれ。180センチ、74キロ。山梨学院高出身。スポーツ科学部4年。外野手。右投左打。今年は1番から打順を変更した瀧澤選手。本人は1番から4番までであればどこでもいいのだそうです!3番打者になってもチームを勢いづける姿は必見です!