加藤主将が殊勲打! リーグ戦42イニングぶり得点で待望の今季初白星/明大2回戦

野球
TEAM
明 大
早 大
(早)○徳山、今西、柴田―小藤、岩本
◇(二塁打)田口、福岡 (三塁打)中川卓

 東京六大学秋季リーグ戦(秋季リーグ戦)開幕から3連敗で迎えた明大2回戦。早大は5回、加藤雅樹主将(社4=東京・早実)の今季初安打となる適時打で4点を先制すると、終盤にも追加点を重ねる。投げては、先発の徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)が7回1失点の好投で明大打線を封じ、6-2で待望の今季初勝利を手にした。

5回に待望の先制適時打を放つ加藤

 悩める主将に殊勲の一打だ。序盤から得点圏に走者を進めるも攻めあぐね、無得点で迎えた5回。2死から、この日1番に座った田口喜将(商4=東京・早実)、続く中川卓也(スポ1=大阪桐蔭)の連打などで満塁とすると、打席には今季13打数無安打の4番・加藤。「勝ちたいという気持ちだけで打った」(加藤)。スタンドからの大歓声を背に受け、振り抜いた打球は中前へと転がる。さらには幸運も味方して中堅手が後逸し、走者一掃、一挙4点を奪う劇的な先制適時打となった。早大ベンチ総出で雄たけびを上げた得点は、春の慶大2回戦以来、実にリーグ戦42イニングぶりの得点。これで勢い付いた打線は、7回にも中川卓、福岡高輝(スポ4=埼玉・川越東)に今季初の適時打が飛び出し、計6点を挙げる意地の攻撃を見せた。

加藤の殊勲打をナイン総出でたたえた

 先発マウンドは、前回登板で法大相手に6回2失点と好投した徳山。この日も伸びのある直球はさえわたっていた。「0点で抑えることしかいつも考えていない」と徳山。序盤から走者を許しつつも、落ち着いたマウンドさばきでスコアボードに『0』を並べ続けた。すると5回に味方打線から待望の援護点。6回に失点するも、7回を投げ切り被安打3の1失点で勝ち投手となった。9回には、今季から抑えを任される柴田迅(社3=東京・早大学院)が、初めてリードの場面で登板。豪腕から繰り出される速球で2三振を奪い、危なげなく三者凡退で試合を締めた。

勝利を呼び込む好投を見せた徳山

 前日の明大1回戦の試合後、『劇薬を投入する可能性』を報道陣に示唆した小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)。その本意は「加藤を外すということ」だったというが、この日も信じて起用し、加藤はその期待に応えた。「正直うるっときた」と加藤の一打を振り返った4年生の福岡も、不振ながらフルスイングで大飛球の適時打を放ってみせた。さらには同じく不振の檜村篤史副将(スポ4=千葉・木更津総合)も、渾身のヘッドスライディングで内野安打を勝ち取った。こうしたガッツあふれるプレー、勝負師の気持ちがチームに波及すれば、おのずと結果もついてくるに違いない。勝ち点を懸けたあす30日の明大3回戦、早大の底力を見せることはできるか。

(記事 吉岡拓哉、写真 村上萌々子、島形桜)

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
(左) 田口喜将 4 3 0 .600 空三   中安   左安   右2    
2 (一) 中川卓也 3 2 1 .250 見三   捕犠   左安   右3    
(三) 福岡高輝 2 1 1 .200 死球   投ゴ   死球   左2    
(右) 加藤雅樹 4 1 1 .067 一ゴ   捕邪   中安   右飛    
(遊) 檜村篤史 4 1 0 .143   遊安   三ゴ 三ゴ   空三    
6 (捕) 小藤翼 3 0 0 .077   投犠   空三   左飛   三ゴ  
  金子銀佑 0 0 0 .000                  
7 (二) 吉澤一翔 3 0 0 .111   二ゴ   空三   遊飛      
  瀧澤虎太朗 .000               中飛  
  岩本久重 0 .—                  
(中) 山田淳平 3 0 0 .111   四球     空三 一直   空三  
9 (投) 徳山壮磨 2 0 0 .000   左直     空三        
  今井脩斗 1 0 0 .000             中直    
  今西拓弥 0 0 0 .—                  
  柴田迅 0 0 0 .—                  
早大投手成績
名前
徳山壮磨 2 1 1 7 3 4 5 1 1 2.08
今西拓弥 3 0 0 1 1 2 1 1 1 2.25
柴田迅 3 0 0 1 0 0 2 0 0 0.00
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位   慶 大 法 大 明 大 早 大 立 大 東 大 勝ち点 勝率
慶 大       ○4-3
○2-0
○13-4
○10-0
1.00
法 大     ○1-0
○2-0
○2-1
○5-3
  1.00
明 大     ○4-0
●2-6
  ○4-2
○8-0
.750
早 大   ●0-1
●0-2
●0-4
○6-2
    .250
立 大 ●3-4
●0-2
●1-2
●3-5
      .000
東 大   ●2-4
●0-8
●4-13
●0-10
    .000
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コメント

小宮山悟監督(平2教卒=千葉・芝浦工大柏)

――今秋1勝目を挙げました。これについて

あしたもあるので。もう一度、やっていきたいと思います。

――加藤雅樹主将(社4=東京・早実)にもようやく一本が出ました

やっぱり本人がね、一番ほっとしていると思いますよ。

――非常に苦しんでいる様子だったと思います

まあでもね、たかだか3試合打てていないだけで苦しんでいると言われても困ると、そういう話です。

――1回戦後には「劇薬を投入する可能性」を報道陣の前で語っていました

それはもう加藤を外すということです。

――きょうも4番で使うと判断した決め手は

もう心中ということで。決めましたよ。

――田口喜将選手(商4=東京・早実)がはまりました

これはもう、良かったと思いますよ。

――3回戦に向けて一言

はい、もう頑張ります。

加藤雅樹主将(社4=東京・早実)

――本日の試合を振り返っていかがですか

点が入らない中で徳山(壮磨、スポ2=大阪桐蔭)が踏ん張ってくれて、5回に打線がつないでくれました。自分はチャンスで何度も凡退していたので。そこからは打線もつながったので、点が取れたのかなと思います。

――先制適時打を放った打席を振り返っていかがですか

あまり記憶はないんですけれど。何とかしなければいけないという気持ちで、気持ちを前面に出して、勝ちたいという気持ちだけで打ったのではないかと思います。

――2ストライクと追い込まれた時に焦りなどはなかったのでしょうか

落ち着いてボールを見られていたので。難しい球に手を出さず、追い込まれても落ち着いた状態でした。

――その打席だけではなく、本日の試合を通して落ち着いた状態でいられたということなのでしょうか

まだまだなんですけれど、法政戦に比べれば。法政戦は、自分から打ちにいこうとしすぎて、難しい球に手を出してボール球を振ってしまったり、甘い球が来ても(ボールを)追ってしまうようなところがあったので。そこは少しずつなんですけれど、良くなっていると思います。

――安打が出たことで気持ちが楽になった部分もあると思います

そうですね。一本出るというのは大きいです。いいかたちで結果が出たので嬉しいという気持ちと、でもこれからは一打席一打席に結果を気にせず集中して、自分の力を発揮できれば良いなという気持ちがあります。

――本塁に生還した際には雄叫びも上げていました

自分の中に溜まっていたものもありましたし、すごくうれしかったので、さけぶというかたちで(気持ちが出ました)。何イニングぶりか分からないですけれど、久しぶりに点数が入ったので、点数が取れたということが本当にうれしかったです。

――あすに向けた意気込みをお願いします

あした勝ってこそ、きょうの勝ちに意味が生まれると思います。必ず勝てるように、あまり固くなり過ぎずに、きょうの良いイメージを持って臨めたらと思います。

小藤翼副将(スポ4=東京・日大三)

――先発の徳山壮磨投手(スポ2=大阪桐蔭)について

真っすぐがとても走っていたので、試合前から真っすぐで押していこうと話していました。その点では、内容的にもすごく良かったと思います。

――2番手の今西拓弥投手(スポ3=広島・広陵)についてはどう感じられましたか

点差があったので、点数を取られてもピンチにはなりませんでした。ですが、これから僅差の場面で出てくることも多いと思います。本来の力であればもっと球が走って投げられると思うので、今西にしっかりと投げてもらい、自分もしっかりとリードするというのを意識して投げさせてあげたいです。

――ようやく得点、勝利することができました。チームの雰囲気は明るくなりましたか

そうですね、一気に明るくなっていい雰囲気になりました。このままあしたにつなげられたらいいと思います。

――最終回は岩本久重捕手(スポ2=大阪桐蔭)が出場しました。点差が付いたからということでしょうか

自分が変わった後、試合中に監督さんから「体力大丈夫か」と言われて。「あしたも頼む」とも言われたので。多分自分が少し疲れているように見えたのだと思います。そういう意味と、多分岩本の経験という意味ですね。キャッチャーとしてはリーグ戦であまり出ていないので。明治戦で出られるというのは貴重なことなので、そこを考えての起用だと思います。

――小藤選手個人としては打撃面で非常に苦しい状況が続いています

自分の中で迷いがまだ消せていなくて。思っているように振れていないので、そこは切り替えて。一からもう一度フレッシュな気持ちで打席に立ちたいです。

――次戦は森下暢仁主将(4年)の登板が予想されます。意気込みをお願いします

もう一度リベンジするチャンスをもらえたので、しっかりと春ときのうのリベンジをしたいです。ですが、あまり緊張せずに、楽しくやっていきたいなと思います。

檜村篤史副将(スポ4=千葉・木更津総合)

――きょうの試合振り返っていかがですか

徳山(壮磨、スポ2=大阪桐蔭)がしっかり粘ってくれて、点取れて、良かったなと思います。

――きょうの試合勝てた要因は何だと考えていますか

ここまで4年生がふがいない試合が続いていた中で、きょうこそ絶対に勝つんだという気持ちが強かった結果、勝ちにつながったと思います。

――ご自身1打席目、3試合ぶりとなる本日チーム1本目の安打が出ました

追い込まれてからだったのですが、食らい付いて振って内野安打になって、チームを勢い付けることができたかなと思います。

――一塁ベースへのヘッドスライディング禁止のチーム方針がある中、渾身のヘッドスライディングでした。どのような気持ちだったのでしょうか

とにかくセーフになりたいという気持ちで走っていて、勝手に体が反応していた感じでした。

――これまでのリーグ戦で感じている課題は何ですか

バッティングで、ボールの見極めがしっかりできていないということと、スイングが自分の思った通りにできていないという感触があって、そこが課題です。

――明大戦に向けて対策していたことはありますか

真っすぐが速いので、そこを捉えられるように意識していました。

――あすの試合への意気込みをお願いします

きょう勝てたのでその勢いのまま、もう絶対に負けられない中でしっかり勝ち点を取りたいと思います。

福岡高輝(スポ4=埼玉・川越東)

――きょうの試合、どんな気持ちで臨みましたか

ずっと点を取れず負け続けていて、やるしかないという気持ちで臨みました。

――序盤は得点圏に走者を進めながらも得点できない展開が続きました。そこはどう感じていますか

好機で安打が出ないのはしょうがないので、次の好機まで我慢という気持ちでいました。

――その中で5回に加藤雅樹主将(社4=東京・早実)の適時打で、実にリーグ戦42イニングぶりの得点を挙げました。振り返っていかがですか

本当になかなか点が取れない中、加藤も調子が悪い中で主将が打ってくれるのは本当に心強いというか。正直うるっときた部分はあったんですけど、加藤が打った分さらにうれしかったですね。

――4年生がなかなか打てていない点に関しては、責任を感じてしまうこともありますか

そうですね。投手陣は下級生が多いので、点を取れないのは申し訳ないなと思います。

――個人としては死球が2つありました。内角の攻めが厳しいという実感などはありましたか

伊勢投手(大夢、4年)は全体的に内角を使っていたので、内角攻めは予想していたんですけど、まさか2回も当たるとは思わなかったです。

――7回には左中間に今季初の適時打を放ちました。振り返っていかがですか

点を取れてホッとしたというか。加藤の打点でホッとして。打席に入る前に監督さんにも「力が入っているから楽にいけよ」と言われて。それで力がスッと抜けたというか、打てる感じはしていましたね。

――それは久々に得点して気持ちの面で余裕が生まれたことも要因ですか

これまでは点を取りたいという思いが強かったので、力が入っていたのかなと思います。

――きょうもスタンドからは多くの早稲田ファンが声援を送っていました。応援してくれる方々に向けて何かありますか

3試合完封負けして、普通なら応援したくなくなるような試合だったと思うんですけど、その中で応援してくれた方々には感謝しかないです。

――最後に、あすの3回戦に向けて一言お願いします

チームの雰囲気もすごく良くて、勢いも付いているので、肩の力を抜いていければいいなと思います。

田口喜将(商4=東京・早実)

――絶好調ですね

まあ良かったですね。勝てて良かったです。

――きのうのコメントで話された通りの試合となりました。いまのお気持ちはいかがですか

キャプテン(加藤雅樹、教4=東京・早実)が、やっぱり4番が打つと盛り上がるなと思いました。加藤がきょう一本打ったのでまたあした良くなると思うし、福岡(高輝、スポ4=埼玉・川越東)もまた一本打ったので、どんどん良くなっていくのではないかなと思っています。

――加藤選手とは早実高時代からのチームメートですが、ホームで迎えた際には何か声を掛けられましたか

いや、奇声を上げただけです(笑)。ハグをして…もう本当にうれしかったです。

――プロ注目の伊勢大夢投手(4年)から2安打を放ちました。振り返ってみていかがですか

正直1打席目に全然体が動いていなくて三振してしまったのですが、そこから気持ちを切り替えていつもよりちょっと前で打つことと、最悪絞った球を打てなかったときはしょうがないと割り切って良い結果が出ました。あしたまたどうなるか分からないですけど、自分の体調に合わせて貢献していきたいです。

――竹田祐投手(2年)からも安打を記録しています

インコースのストレートだったと思うのですが、あれは体が反応してくれました。流れというのがすごくあると思っていて、とても良い状況だったので打てて良かったです。逆に全然駄目な状況でも、自分で打破できるようなバッティングをしていきたいです。

――明大の投手とは相性がいいですね

いや、自分でも怖くて(笑)。あした打てなかったらどうしようとか考えます。でも当たり前ですけど、一生懸命やって、結果を出して勝ちたいです。

――あすは正念場の3回戦です。意気込みをお願いします

あした勝ったらまだ(優勝へ)つながると思います。自分のことよりもチームのことを優先して、その中で自分はどうやったら貢献できるかを試合の途中で探しながら絶対に勝ちたいです。

山田淳平(教4=東京・早実)

――きょうの勝利に一言お願いします

本当に点が取れていませんでしたが、「1点入ったら一気に大量点が取れる」という話が監督からありした。本当にその通りになって、しかも6点取って勝ち切たのはとてもうれしいです。

――試合前のチームの雰囲気はいかがでしたか

今まで少し暗い部分があったんですけど、きょうに関しては後がない中でみんな割り切って明るい雰囲気で野球ができたと思います。

――やはり加藤雅樹主将(社4=東京・早実)が打つことで雰囲気は変わったでしょうか

そうですね。持っているというか、キャプテンとしての重圧もある中でやってきたのが報われたと思います。

――得点時のベンチの雰囲気を教えてください

優勝したことないので分からないですけど、優勝したかのような勢いでみんな飛び出してきました。

――ご自身もいい打球が増えていると思いますが調子はいかがですか

調子は本当に良くて、それこそ徳武さん(定祐コーチ、昭36商卒=東京・早実)に言われていることが練習とイコールになってきています。きょうは結果は出なかったですけど、内容は悪くないのでまた帰って練習して継続したいですね。

――あすは3回戦があります。意気込みをお願いします

きのうと春は森下(暢仁主将、4年)にやられていて、あしたやっと引きずり出すことができました。あしたも負けたら(優勝が)なくなってしまうので、全力を尽くしたいと思います。

柴田迅(社3=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうは久しぶりにリードした状態で投げることになって、すごく気合いも入りましたし、特に和田選手(慎吾、4年)には春に痛い目にあった中で対戦が回ってきて。すごく気合いを入れてマウンドに上がりました。

――チームの雰囲気はいかがでしたか

きのうは、正直ちょっとどんよりした雰囲気で良くなかったんですけど、きょうは点が取れていない状況でも結構ベンチの雰囲気は良かったので、きょうはチームの雰囲気としても良い状態でできたので、ああいうリードする展開になったのかなと思います。

――この秋は抑えとしての登板が多くなると思いますが、何か意識されていることはありますか

とりあえず大事な場面で登板するというのは決まっていることなので、リードしていればしっかり抑えるというのと、ビハインドだったらどれだけ流れを変えるような投球ができるかというのは常に意識しながら集中力を高めています。

――これからも厳しい戦いが続きますが、意気込みをお願いします

もう3敗しているので、ここから一回も負けられない戦いが始まってくると思うんですけど、集中力を保って全部の試合で勝てるように、抑えとして精進します。

徳山壮磨(スポ2=大阪桐蔭)

――今季初勝利となりました。試合を振り返っていかがですか

もう一回も負けられないという状況での先発だったので、何とかチームが勝てるようなピッチングができて良かったと思います。

――前日まで打線が点を取れていなかった中での先発でした。どのようなことを考えて試合に臨みましたか

0点で抑えることだけしかいつも考えていないので、それをいつも通りやるだけだと思っていました。

――前回登板した法大2回戦の際、「打線が点を取る前に失点してしまった」ことを反省点に挙げていらっしゃいましたが、きょうは味方が先制するまで無失点でした。投球を振り返っていかがですか

中盤から球が浮き出して思うような投球ができなかったのですが、何とか試合をつくれたのが良かったと思います。

――その中盤に四球から失点がありました

点数が入った後の回だったので、慎重にいかなければという面で気負い過ぎてしまいました。

――前回登板では安打を集められての失点がありましたが、きょうは1イニングに複数安打を打たれませんでした

先を見ずに一人一人打ち取ることしか考えていないので、その結果がそういうピッチングになったのかなと思います。

――今後に向けて一言お願いします

もう一敗もできないので、自分が投げた試合は必ず勝つ。それだけです。