今季、ここまで打率3割6分8厘をマークするなど、昨季に引き続き稲穂打線をけん引する福岡高輝(スポ3=埼玉・川越東)。特にここ5試合の打率は5割と好調ぶりが際立ち、法大3回戦ではリーグ戦初本塁打を放つなど、波に乗っている。そんな福岡に今季を振り返ると共に、早慶戦に向けての意気込みをうかがった。
※この取材は5月25日に行われたものです。
「このまま練習していれば結果が出るという手応えはあった」
打撃絶好調の福岡。表情も晴れやかだ
――立大2回戦でリーグ戦初安打が出た時の気持ちはいかがでしたか
1回戦で思うようなバッティングができなくて、打ちたいと思っていたので、1本目出た時は安心したというか。ほっとしましたね。
――アンケートでは、「思うように安打が出ない時、結果は後々出るだろうと信じて練習していた」と書かれていました。その自信というのは、昨年の秋の経験が生きていますか
今シーズン、明大戦の前のオープン戦で調子も良くて、ヒットも出ていて、当たりも良かったので、リーグ戦ではヒットが出ていなかったんですけど、このまま練習していれば結果が出るという手応えはありました。昨秋はそんな関係なかったですけど、オープン戦で良かったので信じてやっていました。
――今季、精神的な面での余裕は昨年に比べてありますか
自分としてもやれるという気持ちはあって。思ったような結果は最初出ていなかったんですけど、それでもリーグ戦を通じて打率残せればいいなという気持ちを持てたのは自分の中で余裕を持てていたのかなと思います。
――結果を出すために普段から心掛けていることはありますか
打席とかであれこれ考えると打てなくなってしまうので、とにかく打席に入ったら何も考えずに、それまでの準備はしっかりして、打席では何も考えないようにというのは意識しています。
――開幕から継続して調子がいい要因というのはどのように考えていますか
しっかり冬から振り込んできて、自分の中でも振れてきていることが自信になったのかなと思います。
――昨秋シーズンを通して調子を維持することは難しいとおっしゃっていましたが、今季はどのように感じていますか
秋は打率を意識しすぎて自分を追い込んでしまった部分があるんですけど、今季はシーズンを通してという気持ちがあるので、そういった面で調子が保てているのかなと思います。
――今季は長打も多いと思います。長打と単打どちらを意識されていますか
長打、単打というよりも、とにかく自分が塁に出て加藤(雅樹、社3=東京・早実)に回せば、決めてくれると思っているので、そこは気にしないで自分の打撃をしようといった感じです。
――今季は逆方向への打球が多い印象です
狙ってはいないんですけど、来たコースに対して素直に打ち返せているから、外の球を逆方向へ打てているのが今季いいのかなと思います。
――今季長打が増えた要因はどのようにお考えですか
やはり振り込んできてスイングが強くなったのが長打が出るようになった要因だと思いますね。振り込んできたのが大きいと思います。
――振り込みが自分の自信につながっているといった感じですか
そうですね、自信になっていますね。
――リーグ戦で川越東高の選手の活躍は刺激になっていますか
そうですね、同期が活躍していると自分も活躍しないといけないという気持ちになるので。前半は自分が打てていなくて藤野(隼大、立大3年)や髙橋(佑樹、慶大3年)はいい結果を残していてプレッシャーになっていた部分はあったんですけど、刺激は受けていて、いいライバルなのかなと思います。
――現在の打率はどのように捉えていますか
前半に比べたら打率も上がってきていてほっとしていますし、早慶戦でも打率を上げられるようにしっかり振っていかないといけないと思います。
――ベストナインも視野に入れていますか
選ばれるに越したことはないんですけど、他にもいい選手はいるので、まずは早慶戦で自分の打撃をして選ばれればいいなと思います。
――打率の面でどの部分を向上させれば、上がるというのはありますか
前半当たりは良かったんですけど、当てにいっている部分があって、その分正面に飛んでしまっている部分があったので、当てにいかないで、自分のスイングをすればもっと打率は上がっていくのかなと思います。
――自分の打撃を具体的に教えていただけますか
来たコースに逆らわず打ち返すこと、追い込まれてからも粘って甘い球を打つということですね。
――去年より相手チームのマークが厳しくなった実感はありますか
あまり打席で何も考えていないのもあるんですけど、特に自分は何も感じないですね。
――守備面で、今季神宮球場でプレーしてみていかがですか
安部球場でやるのと違って、足が一歩遅れてしまったり緊張感が違うと思います。
――大勢のお客さんがいると雰囲気は違いますか
人が多くいる分には自分も楽しめるのでいいのですが、負けられないという気持ちが強くなると、それが緊張につながっていると思います。
――開幕前三塁手としてチームを盛り上げていきたいとおっしゃっていましたが、実際いかがですか
盛り上げられているかは分からないんですけど、自分としては結構気持ちを前面に出してプレーできているのかなと思います。
――東大2回戦では好機で犠打を決める場面もありました
あの時は自分もバントが出るだろうとは思っていたので、しっかり自分のするべき仕事をして加藤につなごうというのは思っていました。
「(打撃の)調子は自分が一番いい」
今年もその一打で宿敵を沈めてみせる
――法大3回戦のホームランボールは後からもらえましたか
もらえましたね。
――もらった時の気持ちはどうでしたか
リーグ戦初だったので、すごいうれしかったですね。
――寮の部屋に飾られている感じですか
今はそうなんですけど、祖父にあげようかと思っていて。今度送ります。
――感謝の気持ちを込めてといった感じですか
自分のことをすごく応援してくれていて。「自分の野球が今、生きがい」といってくれていて、送ったら喜んでくれると思うので、送りたいです。野球に協力してくれたりしてたので、感謝の気持ちを込めて送りたいです。
――好機で自分が決めるという気持ちと加藤選手につなげる気持ちどちらが強いですか
2死の場面は自分が決めにいかないといけないと思っているんですけど、無死、1死の時はしっかり加藤につなごうという意識が強いです。
――ご自身の中で挫折したエピソードはありますか
挫折はないですけど、大学1年の入りたての頃に腰に腫瘍ができてしまって。野球ができない期間が半年以上あって、そこで、加藤とか周りが活躍していたので自分も治してやりたいなという気持ちはありましたね。
――その期間が今に生きているというのはありますか
野球ができなかった分、できるようになったときはやる気があって、出遅れた分、巻き返してやろうという気持ちはあったので、ケガした期間で気持ちは強くなったのかなと思います。
――今のチーム状態というのはいかがですか
やはり勝つと勢いもつきますし、チームも盛り上がるので、2つ勝ち点も取れていてチームの雰囲気もいいので、このまま早慶戦にいい勢いでいければと思います。
――今季は1年生の活躍も見られています
1年生が頑張っているので、自分たちも頑張らないとという気持ちはありますね。
――現在のチームの打撃というのはどのように考えていますか
そんなに悪くなくて、あさってもオープン戦があるので、そこでチームとしての打撃ができればいいなと思います。
――特に打撃の調子がいい選手はいますか
調子は自分が一番いいと思いますね。自分で言うのもあれなんですけど(笑)。すごく今調子が良くて。
(「チーム状況が変わっても)ケイオーに勝たないといけないというのは変わらない」
――昨年の慶大2回戦の代打逆転適時二塁打を今、振り返っていかがですか
たまに動画とか見返すんですけど、よくあの場面で打てたなというのはありますね。自分でもすごかったなと思いますね。
――あの場面は打席に入った時緊張しましたか
めちゃくちゃしましたね。ここで自分でいいのかなという気持ちがあって。それでも自分が決めるしかないので、打席に入ったら切り替えられましたね。
――ご自身の中でも、今でも記憶に残るものでしたか
やはり打った時、二塁に到達したら『紺碧の空』が流れて、その時の球場の歓声もすごくて鳥肌が立ちましたね。
――当時と今ではチーム状況も違うと思います。そのときと今では早慶戦への気持ちは違ったものはありますか
順位とかは去年と違うんですけど、ケイオーに勝たないといけないというのは変わらないので、そういう意味では去年と気持ちとしては変わってないですね。
――この一年で打撃面で一番成長した点は何ですか
やはり逆方向へ長打が打てるようになったのが、一番ですね。
――精神面で成長したところはありますか
シーズンを通してという気持ちが持てたのは一番成長してると思います。
――福岡選手にとっての早慶戦とはどのようなものですか
観客も多いですし、両校の意地がぶつかるというか負けられない試合なので気合いが入りますね。
――観客に注目されるのはプレッシャーにならない方ですか
多くの人に見てもらえるのはありがたいことですし、自分は緊張せずに楽しめる方なので楽しめればいいと思います。
――今回はワセダにとって優勝がなくなっての早慶戦です
このチームが発足してからの目標として日本一と早慶戦で勝つというものがあったので、日本一にはなれないんですけど、早慶戦では勝つことができればと思います。
――早慶戦でのキーマンはどなたでしょうか
小島さん(和哉主将、スポ4=埼玉・浦和学院)は調子が良くて抑えてくれると思うので打撃面では1番打者が、まだ誰が打つのか分からないんですけど、どれだけ塁に出れるかが勝負だと思いますね。誰かというより1番打者ですね。
――チームとしても昨秋の全早慶戦の借りを返す気持ちは強いですか
そうですね、ケイオーには負けられないので負けたくないですね。
――慶大で特に警戒している選手はいますか
河合選手(大樹主将、4年)は今、当たっていると思います。あとは柳町選手(達、3年)郡司選手(裕也、3年)は抑えたいと思います。
――現在ライバルとおっしゃっていた、柳町選手の打率を上回っています
いや、もううれしいですね、柳町に勝てているのは。向こうの調子はどうか分からないんですけど、勝てているのは自信になりますね。
――慶大で特に対戦したい投手はいますか
やはり同期の髙橋佑と去年の秋、左の佐藤(宏樹、2年)に散々にされたので、リベンジとして打ちたいなというのはありますね。
――アンケートでも髙橋佑投手と対戦するのが、入学時の目標とおっしゃっていましたが、高校卒業時、大学入学時に何か言葉は交わされましたか
そんな言葉は交わしていないですけど、お互い神宮で対戦したいとは思っていたので、早慶戦で、対戦できればいいなと思いますね。
――現在もお二人で会われたりしますか
リーグ戦終わった後とかのオフは一緒に高校行ったりしてますね。
――後輩の練習を見に行く感じですか
そうですね、それと自分たちの代で集まってご飯に行って近況を報告したりしてますね。
――後輩に指導などはされるんですか
後輩たちの練習を見て自分が言えることがあれば、アドバイスできればしようとは思っていて。後輩には頑張ってほしいんで、今季も終わったら後輩を指導したいですね(笑)。
――投球面で髙橋佑投手は高校と大学で違った印象はありますか
そんな印象はないんですけど、真っすぐが高校に比べて速くなっていると感じます。変化球がもともといいピッチャーなんですけど、それに加えて真っすぐも速くなっているので、高校に比べて成長しているのではないかと思います。
――内面的な部分では変わった部分はありますか
どうなんですかね(笑)。でも先発の日の朝とか聞くと顔が死んでいるので、変わっていないんじゃないんですかね(笑)。
――昨年の沖縄での全早慶戦で対戦した時のことを振り返っていかがですか
あの時2打数1安打で、打ち取られたのもいい当たりだったので、自分は勝ったと思っていて(笑)。向こうも負けたみたいに言っていて、この前会って、早慶戦で対戦したら次は抑えるよみたいなことを言われたので、楽しみですね(笑)。
――最後に早慶戦への意気込みをお願いします
早慶戦で勝ち点を取るのがこのチームができてからの目標なので、その目標が達成できるように自分が打って貢献できればと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 岡田静穂)
意地の勝ち点奪取を期待しています!
◆福岡高輝(ふくおか・こうき)
1997(平9)年9月8日生まれ。174センチ、80キロ。埼玉・川越東高出身。スポーツ科学部3年。内野手。右投左打。試合前のルーティンをお聞きしたところ、「朝、お風呂に入ってその後にアイスを食べる」と話してくださった福岡選手。ちなみにお気に入りのアイスの種類は『PARM』だそうです。早慶戦当日もお風呂とアイスでゲンを担ぎ、チームを勝利に導きます!