【連載】春季リーグ戦開幕前特集『勝利への渇望』 第7回 今西拓弥

野球

 昨秋中継ぎとして、チームのピンチを幾度となく救ってきた今西拓弥(スポ2=広島・広陵)。鮮烈なデビューから半年たち、まもなく開幕する東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)ではかねてより渇望していた先発候補に名乗りを上げている。覇権奪回のカギとなる男に、現在の心境を伺った。

※この取材は3月31日に行われたものです。

鍛錬を積んだ冬

2年目にして早くも投手陣の中核を担う今西

――入部して1年たち、先輩という立場になりましたがいかがですか

 下の学年の子たちが入ってきたので、自覚と責任はしっかり持たないといけないなっていうふうには思います。

――広陵高の後輩の丸山壮史選手(スポ1=広島・広陵)が入部しましたが、何か話されましたか

 高校と生活が全く違って、多分いろいろ分からないことがあるので、アドバイスであったり、授業のことであったりの話はするようにしています。

――丸山選手以外の新入生とはお話しされましたか

 スポーツ推薦のピッチャーの徳山(壮磨、スポ1=大阪桐蔭)と西垣(雅矢、スポ1=兵庫・報徳学園)とはよく喋りますね。他の1年生とは時間があまりなく、間もたってないのであんまり喋れてないんですけど、その2人とはよく喋るように(なりました)。

――ここからは野球の話題に移りますが、昨秋の投球で良かったと思う点を教えてください

 去年は初めての登板ということもあったんですけど、先輩にいろんな声を掛けてもらって、思い切って投げることができたのが良かったのかな、と思っています。

――反対に悪かったと思う点を教えてください

 リーグ戦というのが初めてで、2カ月ずっと試合が続きますが、そこで調子を維持し続けるというのができなかったかな、と思っています。

――満足度だと何点ぐらいでしょうか

 60点ぐらいはあったのかな。

――投球フォームは昨秋から変えましたか

 元々姿勢が悪かったので、それを直すというのは継続してやっています。

――現在も試行錯誤中ですか

 大体(フォームが)決まってきています。

――フォームや投球術を参考にしている選手はいますか

 誰かを参考にするってことはあまりないですね。

――制球力が持ち味だと思いますが、どのように身に付けましたか

 毎日ピッチングはするようにして、毎日ボールに触るということだけはやってました。

――変化球を新たに覚えましたか

 カットボールをこの冬にかけてはしっかり投げ込んで、今は正直一番頼っている変化球にはなったかなという感じです。

――カットボールを習得しようと考えたきっかけは何ですか

 元々(投げていた変化球)はカーブとチェンジアップという抜くボールで球速も遅く、真っすぐの速いボールかゆっくりのボールしかなかったので、その間の球速のやつが欲しいなと思って練習しました。

――体重を減らさないため、長距離の走り込みをしていないという話を伺いましたが、現在でもしていないのですか

 今はもうちょっとずつ走る量も増やしてます。沖縄に行けなかったので、しっかり走り込むようにはしています。

――体重は昨秋よりも増えましたか

 そうですね、3キロぐらいは増えました。

――今の体重は何キロですか

 89キロです。

――ウエイトトレーニングはしていますか

 ウエイトは全くしていないです。姿勢を直すっていうところで、筋肉がつき過ぎると邪魔になっちゃうので、治療院の先生と一緒にやっているんですけど、いまウエイトトレーニングはしなくていいというふうに言われているので、今はもうウエイトは全くやってないですね。

――課題としてスタミナを挙げられていますが、それを強化するためにやっていることはありますか

 しっかり走って、毎日ブルペンで投げ込むっていうのは継続してやっています。

――冬季のトレーニング期間は、1日何時間練習していましたか

 授業があった時は3時間ぐらいで、授業がない時は6〜8時間ぐらいですかね。

――スケジュールはどのような感じでしたか

 ピッチャーのメニューでずっとやっていたんですけど、午前中にトレーニングをメインでやって、午後は走り込みでその時間の間にピッチングをしたりっていう感じでしたね。

――現在の自分を含めた投手陣の調子はいかがですか

 自分はけがもあって出遅れている部分はあるんですけど、他の人たちは順調にできてるんじゃないかな、と思います。

先発への思い

計り知れない伸びしろを感じさせている

――春季オープン戦では先発起用されていますが、中継ぎとの違いを感じることはありますか

 中継ぎの時は全て出し切ってそのバッターを抑えるっていうことだけだったんですけど、先発になって以降2巡目のことなどをいろいろ考えたりすることは多くなったかなと思います。

――長いイニングを投げるための力配分を変えるということですか

 そうですね。でも後ろのピッチャー陣がしっかりしているので、ペース配分とかはあんまり考えず、最初から思い切り(投げる)というのを考えていますけど、2巡目に入った時にちょっと配球を変えたりというのはキャッチャーと相談しながらやってます。

――先発起用されるようになり、練習で心掛けるようになったことはありますか

 ピッチングの1回の球数の量はかなり増えました。

――精神的に先発と中継ぎはどちらが楽ですか

 どうだろう、やりたいのは先発なんですけど、去年は先輩方がしっかりしてたから中継ぎでも全然プレッシャーなくできていました。

――春季オープン戦では中林健吾選手(スポ4=三重)や岩本久重選手(スポ1=大阪桐蔭)とバッテリーを組んでいますが、2人の捕手としての印象はいかがですか

 中林さんにしても岩本にしても自分が投げやすいように配球を考えてくれたり、自分もピッチングの時から話をしたりして信頼はできているので、任せられるキャッチャーだな(と思っています)。

――駒大戦や創価大戦では3回まで好投するも4回で相手打線に捕まっていますが、原因はなんだと考えられますか

 2巡目に入ってきてどう攻めるかというのがまだ決まり切ってなくて、探りながらで打たれているのはあります。

――Honda戦もそのような感じですか

 自分のミスから崩れちゃいました。創価大戦はけがから復帰して間もなかったんで、スタミナが切れていたんですけど、駒大戦だったりHonda戦は自分のミスで失点をしました。

――社会人と大学生の打者の違いは感じましたか

 そうですね、タイミングをずらしても力強いスイングで簡単には(空振りが)取れないかな、という印象はありました。

――試合の流れが悪くなると引きずられてしまいますか

 普段はそうでもないんですけど、Honda戦は自分のミスを引きずってしまったのがあったかな、と思います。

――肋骨(ろっこつ)のけがの経過はいかがですか

 完全に治って大丈夫です。

――けがの影響はもうないのですね

 はい。

――けがをしている間はどのような調整をされていましたか

 病院の先生から安静にしておいて、と言われている時は安静にしていました。できるだけ早く治すことを優先させたかったので、何かしながら治すとかではなく、安静にしていました。

――あまり練習はされていなかったのですね

 そうですね、最初の1週間ぐらいはあまり練習できていなかったですね。

――キャンプの実戦で投げられなかったことによる影響はありますか

 ちょっとみんなと比べて(調整が)遅れているっていうのはあるんですけど、そこまでです。

――今季の第2先発の候補だと考えられていますが、今西選手はどのように感じていますか

 去年の秋が終わってからずっと先発がしたいと思っていたので、そこを任せてもらえるのだったら一生懸命頑張りたいなと思っています。

――髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)や投手コーチから起用法についての話はありましたか

 監督さんとかとはあんまりそういう起用の話は(ないです)。投手コーチの方とよくそういう話はするんですけど。学生の投手コーチの人にはどこで投げたいかを聞かれた時に、すぐ先発というのは答えるようにはしてました。

――昨秋からここは成長していると言える部分を教えてください

 変化球のコントロールだったり精度というのは多分上がって、低めに投げられるようにはなったと思います。

――反対にまだ課題だと感じている部分はありますか

 やっぱりスタミナの部分ですかね。1巡目はほとんど確実に抑えられるようにはなってきたんですけど、2巡目、3巡目となってくると抑えるのがきつくなってしまうところがあるので、そこはまだ鍛えなければならないかなと思っています。

――昨秋リーグ戦デビューして、今季は主力投手としてシーズンを迎えますが、入学してからここまでの自分は当初描いていた自分と比べていかがですか

 こんなに早くから投げさせてもらえるとは正直思ってなくて、自分が考えていたのはことしの秋ぐらいから投げ始めて、らいねんと4年生の時に活躍できたらと思っていたので、投げさせてもらってありがたいというふうに思っています。

――昨季同率最下位ということで、チームの雰囲気など何か違いはありましたか

 とりあえずチームが一つになろうということを小島さん(和哉主将、スポ4=埼玉・浦和学院)が言っているんで、それでみんな付いていってみんなと同じ方向を向いているというふうには感じています。

――ことしはどのようなチームだと思いますか

 元気はあると思うんです。でも、正直能力的な部分だけを見ると多分去年のチームよりは少し劣っていると思います。それでも、チーム力はあると思います。

――もうすぐ開幕ですが、春季リーグ戦で警戒しているチームや選手はいますか

 ケイオーにだけは負けたくないです。ピッチャーだったら同学年の佐藤くん(宏樹)や関根くん(智輝)には負けたくないです。

――開幕週の対戦相手は立大ですが、打線の印象はいかがですか

 力があるとは思っていて、特にキャッチャーの藤野さん(隼大、3年)を1番警戒しなくてはならないと思ってます。

――今季の目標を教えてください

 少しでも長いイニングを投げて、チームが勝てるように貢献できたらなと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 宇根加菜葉)

念願の先発のマウンドでの活躍を期待しています!

◆今西拓弥(いまにし・たくみ)

1998(平10)年6月22日生まれ。200センチ、89キロ。広島・広陵高出身。スポーツ科学部2年。投手。左投左打。最近ヘッドホンを買ったという今西選手。EXILEなどのJ-POPをよく聴くそうです。音楽を聴いて気持ちを高めることが、いい投球につながるかもしれません。